絶叫 1話 ドラマ感想 棄民のなれの果て

絶叫2019春ドラマ

葉真中 顕さんの同名小説をWOWOWでドラマ化した作品となっています。初回から見る人を完全に選ぶドラマでした。

くれぐれも気持ちが落ち込んでいる時には見ないでください。

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「絶叫」概要

「絶叫」はWOWOWプライムで日曜22時~全4回で放送されています。
普通のOLだった女性が父親の失踪をきっかけに、人生が転落していくサスペンスドラマです。

主なキャスト

  • 鈴木陽子(尾野真千子)
  • 神代 武(安田 顕)
  • 奥貫綾乃(小西真奈美)
  • 八木徳夫(片桐 仁)
  • 楠木一馬(前川泰之)
  • 町田裕基(小柳友)
  • 樹里(酒井若菜)
  • 芳賀健一(要 潤)
  • 鈴木妙子(麻生祐未)

主なスタッフ

  • 原作:葉真中 顕「絶叫」(光文社)
  • 監督:水田成英
  • 脚本:池田奈津子

あらすじ

2018年3月4日。 マンションの一室で孤独死をした遺体が発見される。
遺体は死後半年経過していて、飼っていた11匹の猫に体を食べられ損傷していた。部屋にあった免許証から遺体の身元は鈴木陽子(尾野真千子)という女性だと判明する。

悲惨だという町田(小柳友)に対して、奥貫(小西真奈美)は好きな猫に囲まれていたので、そうでもないと思っていた。だが、猫好きな割りにはトイレのしつけもできていないと、町田が現場を見て気付く。その気付きに奥貫も違和感を覚え、実は陽子とは別の第三者で、死体を特定できないようにしているだけなのでは、と考える。

上司の楠木(前川泰之)にそのことを告げるが、単なるアニマルホーダーの依存症で、寂しい女の孤独死だと取り合って貰えない。
陽子と同じ歳の奥貫は、彼女の死が他人事ではないように感じ始めていた。

そして、町田と一緒に更なる捜査を続けていくことにする。

ネタバレ


続きはこちら

1990年静岡県三美市。

陽子の家は、父・母(麻生祐未)・弟・陽子の四人暮らしのごく平凡な家庭だった。ただ、母は優秀な弟ばかりを可愛がっていた。
ある祭りの時、屋台の金魚すくいをやろうとして、母親に声をかけるが母は弟と一緒に先へ行ってしまう。その様子を不憫に思ったのか、屋台の店番の男が金魚を一匹すくい「嬢ちゃん、覚えておき。人生は笑ったもん勝ちや」と言って陽子に渡す。
貰った金魚を自宅で飼い始めた陽子が水槽を眺めていると、母親は「影が薄いんだから愛想良くしろ」と嫌味を言ってくるのだった。

その後、家の電話が鳴って陽子が取ると、弟が交通事故で死亡したという内容だった。
霊安室に着いた途端、弟の亡骸を見て絶叫する母親。その時、陽子は「言葉にできない強い思いに突き動かされた時、人はただ獣のように叫ぶ」と、母の姿を見て思うのだった。

自宅に戻り弟の部屋にあったノートに「死にたい」との文字が書かれていたのを陽子が見つける。それを持ってきて、最近成績が落ちてきたのを気にしていたからと母に報告する。しかし母親は激昂し、陽子が書いたに違いない、あの子はそんなこと書かないといって陽子に八つ当たりをする。
それを聞いた陽子は「自分が死ねば良かったってこと?」と言い捨てて家を飛び出し浜辺に行く。そこで一人、言葉にできない思いを表現するように、海に向かって絶叫する陽子だった。

母の愛情は弟にしか向けられてなく、その弟は母の愛情が重くて自殺してしまう。

2010年10月21日。陽子27歳の誕生日。

父親が仕事に出かける前、陽子と他愛もない会話をしていた。母親は会話に加わるでもなく、死んだ弟を思い続けて仏壇と向き合ったままだ。 父はその日を境に二度と家に戻って来なかった。

その後、弁護士と金融会社の人が家を訪ねてくる。父親は株や先物取引で作った3千万の借金があり、家も抵当に入っていたのだった。返済できないなら来月家を明け渡して欲しいといわれ、母と陽子は家を出て行くことにする。

陽子が今後のことを母親に相談すると、母はぶっきらぼうに「一緒に住む必要はない」と返す。そして自分だけ長野に住んでいる兄のところへ、身を寄せることに決めてしまう。陽子は仕方なく東京に出て働くことを決める。
最後の日、駅へ一緒に向かう陽子と母。素っ気ない態度で行ってしまう母へ、陽子は声をかける。しかし、結局何も言えずに見送る。本当は「お母さん、なんで私を嫌うの?」と陽子はききたかった。

父親が借金を残して失踪し、母親は陽子を放って行ってしまう。

取調室ではNPO代表である、神代武が死んだ事件の取調をしていた。
昨年10月に全身20ヶ所刺されて殺害された後、部下の3人が失踪していた。 その中の一人、梶原が見つかり尋問を受ける。神代の殺害の関与を問われるが、梶原は神代は恩人だから自分はやっていないと答える。

かつてホームレスだった梶原は、神代に拾われた。前科がありまともな仕事にもつけず、自業自得だと言う梶原に、神代は「一緒に生活を立て直そう、人間らしく生きて欲しい」と励ましてくれた。もしあの時、神代に会ってなければ自分は死んでいたと梶原はいう。

その話を聞いた楠木は、神代は囲い屋で生活保護の金をピンハネする、貧困ビジネスをやっているだけだと教える。だが、梶原は自分はやっていない、棄民だった俺を救ってくれたといって認めなかった。

殺された神代はいわゆる「囲み屋」という、貧困ビジネスをやっていた。

2010年10月21日

東京に出て来た陽子はテレアポの仕事をしていた。
同僚の女性達に女子会をしないかと誘われるが陽子は断る。 そして自宅に戻り、スーパーで半額の惣菜と、自分の誕生日を祝うショートケーキを買って食べるのだった。テレビでは囲い屋の話が放送され、いたたまれなくなった陽子は消した。 手取りが15万円で家賃が6万円、生活費の計算をしている陽子だったが、金は余るどころかマイナスだった。

新たな仕事を探しに職安へ向かう陽子、建物の前で声をかけてきた栗原に仕事の話を聞く。
それは生保レディの仕事で、自分も大変だったけど、この仕事について自信が持てたと語る。仕事を探していた陽子は、誘いに乗って生保レディの仕事に就職する。

最初は栗原と一緒に仕事をしていくが、やがて一人で契約を取りにいくことになる。 慣れない仕事だけに、なかなか契約が取れない。他の人たちは契約を着実に取っているのに、自分だけまだ一件も取れずにいた。

奥貫は陽子のことが気になり、生保の職場で一緒だった栗原に話を聞きに行く。
栗原は現在生保は辞めており、別の仕事についていた。
陽子が孤独死したことを伝え、友人や家族などはいなかったのかを問う。栗原がいうにはあの世界は真面目な人ほど、人との繋がりが途切れてしまう仕組みになっているからと答える。

夜遅くに会社に戻った陽子は、芳賀に呼び止められる。いまだに成果を上げられない陽子は、契約解除かと不安になるがそうではないと芳賀は告げる。だが、このまま契約が取れないなら話は別だと付け足す。
結果が出ないのは、あなたがダメだからだ、口に出して自覚しようと芳賀がいう。陽子は言葉に出すことを戸惑うが、芳賀の圧力に追い込まれてしまう。
そして「私はダメな人間です」と、大粒の涙を流しながらいうのであった。

そんな陽子を慰めるようにハンカチを差し出す芳賀、さらに本気になっていないだけだと励ます。家族や前の職場の知り合いに声をかけろとアドバイスし、困惑する陽子に対してうちの商品はいい商品なんだからためらうなと、押し売りの後押しをする。

会社を出た陽子は、以前テレアポの仕事で一緒だった晴美に電話をかけようとする。しかしまだ迷いがあってできずにいた。そのそばではホームレスに囲い屋が声をかけている。不安に駆られた陽子は自宅に戻るなり、覚悟を決めて電話をするのだった。

次の日、陽子は喫茶店で生命保険の説明を晴美にする。それが勧誘と知り、席を立って帰ろうとする晴美。陽子は頭を下げて、ノルマを達成できないとクビになってしまうと言って縋る。 その結果、陽子はようやく契約を取ったのだった。

芳賀と二人でレストランで食事をする陽子、それは初めての契約祝いだった。自分の過去を話す陽子は、誰からも褒められたことが今までなかったと告げる。そんな陽子を見て、芳賀は甘い言葉を囁くのだった。

芳賀が陽子に圧力をかけ、陽子は身近な人をノルマのために利用し始める。

再び栗原と奥貫の会話。

今にして思えば全て芳賀の作戦だったと栗原は言う。芳賀は何人もの部下と関係を持って営業を煽るのだという。成績が下がれば冷たくし、それで居辛くなって自分はあの会社を辞めたという。 その後、夜の街で偶然芳賀と歩く陽子を見たが、彼女がどうなるかわかっていても自分は何も言わなかった。
あの世界に誘った自分が陽子の孤独死の原因なのではと、自責の念に駆られる栗原だった。奥貫は孤独死ってそんなに悲しいことかと、漠然とした考えを持っていたが、栗原から告げられた言葉に身につまされる。

2012年

生保に新たに入った新人が既に7本も契約をしていた。だが、陽子はまだ契約が取れていなかった。知人にはもう売り切ってしまっていた陽子は、自分で保険に入ってノルマを達成するしかなかった。
営業先に行ってセールスをしていると、そこの社員から聞かされたのは新人の女の子のやり方だった。彼女は身体を使って、契約を取っていたと教えられる。そして陽子にも同じようなことを求めてくるのだった。

芳賀の作戦にハマってしまった陽子は、次第に堕ちていく。

奥貫はまだ陽子のことを調べていた。戸籍を取り寄せて確認すると、結婚していたことがわかる。それも3回結婚して3回とも死別というものだった。何か大きな事件に関わっているような気配を奥貫は感じていた。

その頃、取調室では梶原が話し始める。2017年10月21日、家にいたのは神代の愛人の女だけだったと。

足元に転がる神代を見下ろす陽子、日本刀を持って返り血を浴びている。

あなたは戦った。あなたの孤独な運命と、この不寛容な社会と。この薄暗い水槽から抜け出すために。と、陽子のナレーションが入って終わる。

陽子は3度結婚して3度死別し、さらには神代の愛人をしていた。


見どころと感想

まず最初に言たいのは、尾野真千子さんと麻生祐未さんの演技がとにかく凄いです。

  • 弟の遺体を前に絶叫するシーンの麻生祐未さん
  • 大粒の涙を流しながら、言いたくもないことを言わされるシーンの尾野真千子さん

この二つのシーンと、後述するラストシーンが印象的でした。
尾野さんの静かで抑圧された苦しみの表現や、麻生さんのやさぐれ感は、見ているこちらが苦しくなります。

さらに間に入る陽子のナレーションが、乾いて生気がなく、他人事のように淡々と語っていくのが良いです。
他にも奥貫刑事役の小西さんの、冷静なようで徐々に陽子に引き込まれていく感じや、上司の芳賀役の要さんの表の顔と裏の顔の使い分けも良かったです。

良い役者さんが揃うと、こんなにも物語に凄みを与えるのかと驚きました。

こういう人には向かないかも?

今現在生活に困窮していたり、母親に愛されなかった過去がある人には視聴をオススメできません。
間違いなく見終わった後に、気持ちが重くなる可能性があります。その理由はネタバレを見て頂ければわかります。

謎の数々

  • 見つかった遺体は誰なのか?
  • 神代はなぜ殺されたのか?
  • 陽子は旦那を殺しているのか?

全4回というドラマなので、直ぐにわかるのかもしれませんし、最後までわからないかもしれません。

陽子が何かしら関わっているのは間違いないです。なぜ関わることになったのか、その理由がまた救いようのない理由のような気がしてなりません。

それと、関係あるのかないのか、わかりませんが、幼少時の陽子に金魚をあげたのは神代でした。

見どころ

このドラマは演技が見どころなので、今回はラストシーンの陽子です。

右手に日本刀を所持し、足元にある死体を見下ろす陽子。真っ赤なドレスを身に着けて、顔には赤い返り血を浴びています。
そんな殺伐としたシーンなのですが、圧倒的に格好いいです。

まとめ

棄民といわれる捨てられた人、そしてそこに付け入る悪い奴ら。これ以上悪くなる状況なんてないと思うのに、更なる悪い状況へ悪い状況へと向かっていきます。

もっと稼げる仕事を見つける→見つけた仕事は合法だが怪しい→契約のために友人・知人を失う→悪い上司に操られる→契約のために体を差し出してでもノルマを達成させる

こうして負のスパイラルにハマっていきます。

何のために生きているのか、弱者は搾取されるだけなのか。誰も守っても助けてもくれない、自業自得といわれて見向きもされない。人として産まれたのに、ゴミのように死んでいく。
まさに現代社会に訴えかけてくる話です。

このドラマは苦手な人は苦手だと思いますが、自分は来週を楽しみにして見ます。

今回のいいセリフ

悲しいのは一人で死んでいくことじゃない。一人で死んで誰にも気づかれないことです。

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