部下からのSOSを見過ごし、問題を隠そうとしてきた宮木英理子(吉田羊)。しかし、第3話ではついに性加害の事実が明らかになり、事態は思わぬ方向へと動き始めます。
被害を受けた寺田(加藤清史郎)は突然姿を消し、加害者の山岸は処分されるどころか、まさかの栄転。英理子が下した決断も、会社の思惑によって覆されてしまいます。
なぜ山岸は栄転したのか。寺田はどこへ行き、なぜ戻ってきたのか。そして、英理子が自らを「会社の駒」と呼ぶ理由とは。
この記事では、『会社員』第3話のあらすじと結末を振り返りながら、事件の経緯や登場人物の心理、残された謎についてネタバレを含めて解説・考察します。
第3話のあらすじ(ネタバレあり)
山岸光に憧れていた寺田一輝は、以前、酒に酔った際に山岸から性的な被害を受けていた。斉藤るりが入手した写真をきっかけに、宮木英理子は山岸を問い詰め、本人も寺田の体に触れ、キスをしたことを認める。しかし山岸は悪びれる様子もなく、酔った勢いの事故だったと主張した。
英理子は山岸をプロジェクトから外すことを決め、安西にも報告する。一方、出社予定日になっても寺田は姿を現さず、連絡も取れなくなる。るりと英理子が自宅を確認するが寺田はおらず、部屋に残されたデトックスツアーのパンフレットを手がかりに、るりは各地を探し回る。
その頃、コンプライアンス室の佐々木は、隠蔽に加担した人々の苦しさにも触れながら、良心に従って仕事をすることの大切さを正則に語っていた。正則も英理子の隠蔽を支えることに限界を感じ始める。
やがて、寺田を見つけられないまま戻ったるりに、英理子は山岸の異動が決まったと告げる。しかも処分どころか、経営戦略本部の課長への栄転だった。納得できないるりは英理子を責めるが、英理子は自分も会社の駒にすぎないと反論する。
その後、安西の部屋を訪れた英理子は、コンプライアンス室の佐々木と正則、そして行方不明だった寺田がそこにいるのを目撃するのだった。
第3話のネタバレ解説
山岸は寺田に何をした?明らかになった性加害の真相
第2話のラストで見つかった、シャツがはだけた状態で眠る寺田の写真。第3話では、その写真が撮影された夜に何があったのかが明らかになりました。
4月23日の夜、寺田は憧れていた山岸と酒を飲み、酔いつぶれてしまいます。山岸は寺田を自宅まで送り届けますが、その後、眠っている寺田の服を脱がせて写真を撮影。さらに体に触れ、キスをしていました。
寺田は途中で目を覚まし、山岸を押しのけて拒絶しています。寺田が同意していたわけではなく、明確に拒絶していたことが判明しました。
しかし、英理子に問い詰められた山岸は、互いに酔っていたために起きた事故のようなものだと説明し、責任を認めようとしません。山岸にとっては軽く済ませたい出来事でも、寺田にとっては仕事に支障をきたし、医師に相談するほど深刻な被害だったのです。
寺田は以前、診断書を持って英理子に相談していました。しかし、英理子は山岸をプロジェクトから外せないという話を優先し、寺田が本当に伝えたかったことを聞き出せませんでした。
- 寺田は山岸から性的な被害を受けていた。
- 医師から診断書を渡され、職場への相談を勧められていた。
- 英理子に相談したものの、被害の詳細を打ち明けられなかった。
- 英理子は山岸の必要性を優先し、寺田の苦しさに向き合わなかった。
英理子は後に、最初から性加害のことを話してくれれば対応したと主張する。しかし、るりが指摘したように、性加害だと知らなかったからといって、助けを求めていた寺田を放置してよかったことにはならない。
寺田はなぜ行方不明に?るりがデトックスツアーを探し回った理由
出社予定日になっても、寺田は会社に現れませんでした。電話にも出ず、心配したるりは寺田のマンションへ向かいます。
ところが、管理会社は簡単には部屋を開けてくれません。そこへ英理子も駆けつけ、警察を呼ぶなどの手続きを経て、ようやく室内を確認できました。しかし、寺田の姿はありませんでした。
両親には、会社の研修があるため、しばらく連絡できなくなると伝えていたことがわかります。一方、寺田の部屋には「デトックス・ツアー」のパンフレットが残されていました。
るりは、電子機器を使わずに過ごすツアーなら、寺田と連絡が取れない理由になるのではないかと考え、問い合わせを始めます。ただし、最初に問い合わせたツアーには、寺田は参加していませんでした。
そこでるりは、デトックスツアーを実施している施設を片っ端から訪ね、英理子から受け取った寺田の写真を見せながら捜索します。しかし、寺田を見つけることはできませんでした。
デジタルデトックスとは、スマートフォンやパソコンなどの電子機器から一定期間離れて過ごすことを指す。デトックスをするツアーのこと。
英理子は山岸を見限ったのに、なぜ栄転した?
山岸から性加害の事実を聞いた英理子は、安西に報告し、山岸をプロジェクトから外す方針を伝えました。
しかし、安西は難色を示します。山岸は新プロジェクト「ルーキス」の中心人物であり、失敗すれば英理子を推した自分の立場にも影響するためです。それでも英理子は山岸を外すべきだと主張し、安西は後任をすぐに決めることを条件に、人事に話をつけると答えました。英理子は社内で後任探しを始めますが、適任者はなかなか見つかりません。
そんな中、山岸はプロジェクトの数値を勝手に書き換えようとします。英理子が改ざんだと指摘すると、山岸は最終的に帳尻が合えばよいという態度を見せました。さらに、自分の代わりになる人材はいないと豪語し、これまで成果を出してきた自分を英理子が守らないことに不満を示します。
英理子は、成果を出せば何をしても許されるわけではないと、山岸に明確に伝えました。ところが、その後に決まった山岸の異動先は、経営戦略本部の課長でした。降格や左遷ではなく、むしろ栄転です。しかも、英理子はこの人事を事前に知らされていませんでした。
- 英理子は山岸をプロジェクトから外すと決めた。
- 安西は後任の確保を条件に、人事に話をつけると答えた。
- その後、山岸の経営戦略本部への異動が決まった。
- 異動先では課長となり、実質的な栄転だった。
- 英理子には事前の説明がなかった。
誰がどのような判断で山岸の栄転を決めたのか、その詳しい経緯は第3話では明らかになってない。ただ、英理子が山岸を切り捨てようとした一方で、会社としては彼を高く評価する人事を行った。
正則はなぜ隠蔽をやめようとした?佐々木の言葉と最後の行動
コンプライアンス室では、正則が寺田から届いたメールを確認していました。そこには、心配をかけたことへの謝罪と、これ以上会社に迷惑をかけないという内容が書かれていました。
そんな正則に、室長の佐々木は、別の企業で起きた品質不正の隠蔽問題について話し始めます。佐々木が注目したのは、不正を隠していた人々の苦しさでした。隠蔽に加担した人間にも、つらい事情があったのではないかと考え、最後には良心に従って仕事をすることが一番だと語ります。
佐々木は隠蔽を肯定するのではなく、そこに加担した人間の苦しさにも目を向けていました。この言葉は、正則自身にも重なるものだったのではないでしょうか。
その後、英理子から寺田の捜索について聞かされた正則は、強い苛立ちを見せます。英理子が作った問題を何とか収めようとしているのに、さらに事態を複雑にしないでほしいと訴え、これ以上自分に負担をかけないよう求めました。正則の反応からは、英理子をかばい続けることに限界を感じている様子がうかがえます。
そして第3話のラスト。安西の部屋を訪れた英理子が目にしたのは、佐々木と正則、そして行方不明だった寺田の姿でした。正則が佐々木とともに行動していたことから、これまでの経緯を話す決意をした可能性も考えられます。ただし、正則が何を話したのか、寺田がなぜそこにいたのかは、まだ明らかになっていません。
第3話ネタバレ考察
るりの過去に何があった?少女の幻影と「また手遅れ」の意味
寺田を捜し回るるりの前に、気になる光景が現れました。
電車の中で楽しそうに話す女子高生たち。しかし、その中には一人だけ会話に加われず、寂しそうにしている少女がいました。るりはその姿を見て落ち着かなくなりますが、次に目を向けたとき、少女の姿は消えていました。
この場面は、単に仲間外れにされている少女を見かけたというより、るり自身の過去に関係する記憶が呼び起こされたのか?
そもそも、るりが寺田の失踪を知ったときの反応も気になります。寺田のマンションへ向かう際には「また手遅れになったら」と口にし、捜索しても見つけられなかったときには「何でいつもこうなっちゃうんだろう」と涙を流していました。
「また」「いつも」という言葉からは、るりが過去にも誰かを助けられなかった経験を持っている可能性が感じられます。
では、電車で見た少女は誰だったのでしょうか?考えられるのは、少女がかつてのるり自身を象徴しているという可能性です。学生時代に孤立した経験があり、そのときの苦しさが今も残っているのかもしれません。
あるいは、少女はるりの友人だったとも考えられます。孤立している友人に気づきながら、何もできなかった。さらに、その友人を失うような出来事があったとすれば、るりが寺田を救うことに強くこだわる理由にもつながります。
最悪の場合、友人が自ら命を絶ってしまったという可能性も考えられますが、現時点でそれを裏づける描写はありません。ただ、るりの行動には、目の前の寺田を助けたいという思いだけでなく、過去の後悔を繰り返したくないという切実さがあるように思えます。
だからこそ、会社や英理子に何度妨害されても諦めず、寺田が行方不明になると仕事を放り出してまで捜しに行ったのでしょう。寺田を救うことは、るりにとって過去の自分と向き合うことでもあるのかもしれません。
- 電車で目撃した、集団から孤立する少女の姿
- 寺田の失踪を知ったときの「また手遅れ」という言葉
- 捜索に失敗したときの「何でいつもこうなっちゃうんだろう」という涙
これらが一つの過去の出来事につながっているのか、それとも別々の経験なのか。今後、るりが寺田を救おうとする理由が明らかになれば、彼女の行動の見え方も変わりそうだ。
寺田はどこへ行っていた?なぜ戻ってきた?
第3話のラストで、行方不明だった寺田が突然姿を現しました。しかも、寺田がいたのは安西の部屋。そこにはコンプライアンス室の佐々木と正則も同席していました。
寺田はどこへ行っていたのか?して、なぜこのタイミングで会社に戻ってきたのか?まず気になるのは、寺田の部屋に残されていた「デトックス・ツアー」のパンフレットです。
寺田は両親に、会社の研修があるためしばらく連絡できなくなると伝えていました。一方、るりが問い合わせたツアーでは、参加者が電子機器を使わずに過ごすことになっていました。
つまり、デトックスツアーに参加していたとすれば、寺田と連絡が取れなかった理由には説明がつきます。しかし、るりが最初に問い合わせたツアーに寺田の参加記録はなく、その後も捜索は空振りに終わっています。寺田が実際にデトックスツアーへ参加していたのかどうかは、まだわかっていません。
ここで考えたいのが、寺田の失踪に会社側の人間が関わっていた可能性です。
寺田は医師から診断書を渡され、職場への相談を勧められていました。また、コンプライアンス室の正則には、これ以上会社に迷惑をかけないという趣旨のメールを送っています。そのため、寺田が誰かの紹介や勧めによって、心身を休めるための施設やプログラムに参加した可能性も考えられます。ただし、医師や会社がデトックスツアーを紹介したという事実は、第3話では確認できません。
もう一つ気になるのは、寺田が戻ってきた場所です。
るりや英理子に連絡するのではなく、コンプライアンス室の佐々木と正則とともに、常務取締役である安西の部屋にいたのです。これは、寺田が会社に対して正式に何かを伝えようとしているからなのか。それとも、会社側から呼び出されたのか。
佐々木は正則に、隠蔽に加担した人々の苦しさを理解しつつ、良心に従って仕事をすることの大切さを語っていました。その正則が寺田と同席していることを考えると、これまで隠されていた事実が安西に報告される展開も考えられます。
一方で、寺田自身が何を望んで戻ってきたのかは不明です。被害を訴えるためなのか、会社に残るためなのか。それとも、失踪中に何かが起き、考え方が変わったのか?寺田が戻ってきたことは確かですが、失踪中の行動も、再登場した理由も明かされていません。
コラム|「会社の駒」である英理子が、それでも出世を諦められない理由
山岸の栄転に納得できないるりから責められた英理子は、自分は会社の駒にすぎないと反論しました。
これまで必死に会社にしがみつき、誰にも守られずに出世してきた。だからこそ、るりが当然のように口にする「守る」という言葉が理解できないのでしょう。
しかし、ここで疑問が浮かびます。自分が会社の駒でしかないとわかっているのに、なぜ英理子はそこまで出世にこだわるのか?
英理子が生きてきた時代と、るりとの価値観の違い
英理子の年齢を考えると、就職氷河期世代、あるいはそれに近い時代に社会人になった可能性があります。
当時は、今以上に会社に尽くすことが求められ、理不尽な扱いを受けても簡単には辞められないという価値観が強く残っていた時代です。もちろん、同じ世代の人が全員そうだったわけではありません。しかし、英理子の言動には、そうした時代の働き方が色濃く表れているように感じます。
一方、るりは違います。
会社のために個人が犠牲になることを当然とは考えず、立場の弱い人間も守られるべきだと訴えます。英理子にとっては「耐えて勝ち取るもの」だった権利を、るりは「最初から守られるべきもの」として考えているのかもしれません。
どちらが楽な時代を生きているという話ではなく、社会の中で当たり前とされてきた価値観そのものが違うのでしょう。
出世は、英理子が生きてきた証しでもある
第1話では、英理子自身もかつて上司の野田から、女性であることを理由に理不尽な扱いを受けていたことが描かれました。
それでも会社を辞めず、仕事で成果を出し、現在の地位まで上り詰めた英理子。彼女にとって出世とは、単に給料や権力を得ることではないのだと思います。
男性中心の組織で、自分にも能力があることを証明する。そして、これまで耐えてきた苦しみや犠牲が無駄ではなかったと確かめる。
そのための、目に見える成果が出世なのでしょう。
社内から初めての女性役員になる可能性もある英理子にとって、それは仕事上の目標であると同時に、自分の人生が間違っていなかったと証明するための目標なのかもしれません。
- 男性中心の組織で、自分の能力を証明すること
- これまで耐えてきた理不尽さや犠牲を無駄にしないこと
- 自分の働き方や人生の選択が正しかったと確かめること
そう考えると、英理子が簡単に会社を離れられない理由も、少し理解できる気がする。
犠牲を払ったからこそ、引き返せなくなる
ここで思い浮かぶのが、「サンクコスト」という考え方です。
サンクコストとは、すでに費やしてしまい、取り戻すことのできない時間やお金、労力などを指す。「ここまで費やしたのだから」と、損失を認めたくない気持ちから、同じ選択を続けてしまうことがある。
英理子も、これに近い状態なのかもしれません。長い年月をかけて仕事に尽くし、理不尽な扱いにも耐え、ようやく今の地位までたどり着いた。ところが時代が変わり、かつて自分が耐えるしかなかったことが、今では許されない行為として問題視されるようになりました。
それは社会にとって望ましい変化です。しかし英理子からすれば、自分が我慢してきた年月を否定されたようにも感じられるのではないでしょうか。「自分は耐えてきたのに、なぜ今の若い人たちは守られるのか」そんな思いが、るりへの反発につながっているようにも見えます。
そして、ここで出世を諦めてしまえば、これまで積み重ねてきたものが何だったのかわからなくなる。英理子が手放せないのは、出世そのものというより、出世によって報われるはずだった自分の過去なのかもしれません。
被害者だった英理子が、今度は誰かを傷つけている
ただし、英理子の苦しさが理解できることと、彼女の行動が許されることは別です。
英理子自身もかつて理不尽な扱いを受けていたのに、助けを求めた寺田の声を聞こうとしませんでした。山岸をプロジェクトから外そうとしたのも、性加害の事実を知り、これ以上かばいきれないと判断した後のことです。
一方で、山岸が成果さえ出せば何をしてもよいという態度を見せたときには、英理子もそれを明確に否定していました。つまり、英理子にも守るべき一線はあるのでしょう。
それでも、自分の出世やプロジェクトの成功が懸かると、その一線が揺らいでしまう。かつて傷つけられた側だった人間が、今度は組織の中で誰かを傷つける側になっている。そこに、英理子という人物の複雑さを感じます。
英理子は、自分の過去を手放せるのか
英理子の生き方は、決して他人事ではないと思います。
長い時間をかけて努力してきたことほど、途中で間違いに気づいても、簡単には手放せません。まして、それが自分の人生そのものに関わることであれば、なおさらです。
しかし、過去の自分が苦しんだからといって、今の誰かにも同じ苦しみを背負わせてよいわけではありません。英理子が本当に向き合わなければならないのは、山岸でも、るりでもなく、自分が信じてきた働き方なのかもしれません。
これまでの努力や犠牲に意味があったと認めながら、それでも今のやり方は間違っていると受け入れられるのか。英理子が出世するかどうか以上に、そこが今後の見どころになりそうです。
まとめ|守られた加害者と、追い詰められた被害者
第3話では、山岸による寺田への性加害が明らかになりました。しかし、被害を受けた寺田が行方不明になる一方で、山岸は処分されるどころか栄転するという、納得しがたい結果になりました。
英理子もようやく山岸を見限りましたが、会社という組織の中では、自分の意思だけで物事を変えられない現実を突きつけられます。
一方、印象に残ったのは、佐々木が隠蔽に加担した人々の苦しさにも目を向けていたことです。不正を正すことはもちろん大切ですが、なぜ人は不正に加担してしまうのか。その背景まで考えさせられる回でもありました。
そして、行方不明だった寺田が安西の部屋に現れたことで、物語は新たな局面を迎えます。寺田はどこにいたのか。正則は何を話したのか。そして、るりが抱えている過去には何があったのか。
会社のために誰かが犠牲になることを、いつまで当たり前としてよいのか。英理子がその問いにどう向き合うのかも含めて、次回の展開が気になります。
