【サイレント・ヴォイス 行動心理捜査官・楯岡絵麻 シーズン2】の第5話「読みすぎていた男」のネタバレと感想をまとめました。
今回のゲストは渡部豪太さんでした。将棋の棋士と絵麻の知恵比べ、何手先も読む天才棋士に絵麻は勝つことができるのか?
【サイレントヴォイス2】5話のあらすじ
スナック経営者の藤本明恵(田山由起)が店で殺害された。現場にはなぜか将棋雑誌があり、天才棋士・丹羽三善(渡部豪太)のページの端が折られていた。
絵麻(栗山千晶)は丹羽が怪しいと睨みさっそく聞き取りを始める。話を聞いているうちになだめ行動が現れ、何かしら殺害に関わっていると判断する絵麻。しかし、丹羽は殺害時刻のころ、タイトル戦の真っ最中だった。
完璧なアリバイがある丹羽に対し、絵麻は15年前にあった丹羽のある対局に共通点を見出す。それは休憩明けに悪手を打って負けたという共通点だった。
天才棋士が活躍するきっかけとなった15年前の対局、そこに秘められた謎を解明するため、絵麻はなんと丹羽と対局をすることに。
【サイレントヴォイス2】5話のネタバレ
今回の取り調べ対象者は天才棋士でした。1000手先まで読むという相手に絵麻は勝てるのか?
【サイレントヴォイス2】5話のネタバレ(クリックでジャンプ)
1:殺人事件発生
今回発生した事件はこういう内容でした。
- 被害者:藤本明恵(48歳)
- 職業:スナック経営者
- 死亡推定時刻:11:30~13:30
- 死因:包丁で背中を刺され死亡
- 凶器:包丁・指紋はない
- 状況:物色されていたが争った跡はない
警察は物盗り、顔見知りの犯行と見立てます。
容疑者として浮上したのが、スナックの常連客である久我沢仁志という男でした。ツケが溜まっていて言い争っている姿を目撃されています。
白井が取り調べしているのを見た絵麻は、彼は“シロ”だといいます。では誰が犯人なのか?
2:1回目の聞き取り
絵麻が目をつけたのは殺害現場にあった将棋雑誌でした。その中の丹羽三善のページだけ端が折られていたことに注目します。そこでさっそく丹羽を呼び聴取を始めます。
絵麻:明恵に会ったことはある?
丹羽:ありません。
なだめ行動=会ったことがある
絵麻:(明恵の写真を見せ)こちらの方ですか?
丹羽:存じ上げておりません。
なだめ行動=知っている
絵麻:明恵を殺害した人物の犯人像とか…
丹羽:見当もつきません
なだめ行動=犯人を知っている
この聞き取りから絵麻は共犯者がいるのかもしれないと考えます。
分かったこと
- 明恵に会ったことがある
- 明恵を知っている
- 犯人を知っている
2-1:明恵の過去と神埼八段について
殺された明恵を調べてみたところ、丹羽とある接点が見つかります。
明恵は15年前棋士の神埼良八段の家政婦をしていた
棋士の家政婦をしていたということが分かりました。
ではこの神埼八段という人物はどんな人物だったのか?
- 若いころから将来を期待されていた
- 娘を授かったときに初タイトルを獲得
- その後次々とタイトルを獲得して将棋界のトップに立った
- ある時期、スランプに陥り引退
- 3年前に病死
- 妻とは離婚していて消息不明
- 一人娘の香花も棋士
本人が他界しているので、娘に東野とシオリが話しを聞きに行きます。
- 父親は丹羽と仲が良かった
- 時々家に来ていたので、そのときに明恵に会っているはず
- 父がタイトル戦で丹羽に負けてすぐ、明恵は家政婦を辞めた
という証言を得ました。丹羽はやはり嘘をついていたということになります。
3:2回目の聞き取り
まずは15年前に丹羽と神埼八段が対局した内容について絵麻が語ります。
- タイトル戦の竜虎戦で丹羽と神埼が対局
- 丹羽は神埼と6回対局しているが一度も勝ったことがない
- 神埼絶対有利といわれていたが、丹羽は強気な姿勢を崩さなかった
- 対局前の神埼は様子がおかしかった
- 神埼は扇子を持ってくるのを忘れていた
- 神埼は休憩が明けにおかしな手を指して丹羽に負けた
一度も勝ったことない相手に対しても強気だった丹羽、まるで負けることが分かっているかのようです。そこで絵麻が質問をします。
絵麻:神埼に勝ったことと明恵が辞めたことは、何か関係があるのでは?
丹羽:私には何のことだかさっぱり
隠蔽のマイクロジェスチャー=関係がある
絵麻:共犯者がいる?
丹羽:そんなものいるわけがない
なだめ行動=共犯者がいる
絵麻:神埼香花が共犯者?
丹羽:いい加減にしていただきたい
不安のマイクロジェスチャー=共犯者ではないが香花は関係している
ここで丹羽は絵麻の話を聞いた上で、自分の思うことを語ります。
神埼八段は扇子を忘れたことが前にもあって、そのときは勝っている。
なだめ行動なし=扇子が盗まれたことと神埼が負けたことは関係ない
絵麻:明恵の殺害に関わっている?共犯者がいる?
なだめ行動なし=共犯者がいない
共犯者がいると出たりいないと出たり、おかしな反応になります。
ここまでのまとめ
香花が事件に関係しているのは間違いないけど、彼女が共犯者ではない。丹羽と明恵は15年前の対局になんらかの関係もしている。
15年前の対局と今回の対局、2つの対局の共通点は休憩明けに指した手が原因で負けた。なぜそんな手を指すことになってしまったのか……?
4:3回目の聞き取り
絵麻は丹羽を呼んで何をするのかと思ったら、将棋で勝負をして欲しいと言い出します。自分が勝ったらもう二度と警察には呼ばないということを条件にし、ハンデなしの手合わせを願います。
天才棋士と一般人、勝負に勝てるとも思えませんが、絵麻は自信満々です。そう、15年前に神埼八段と対局したときの丹羽のように。
今回の聞き取りはマイクロジェスチャーやなだめ行動を見るというより、動揺した丹羽が将棋で悪手を指すというのを引き出しまします。自分の人生そのものである将棋で負かす、これ以上ない屈辱を絵麻は与えます。
対局をしながら絵麻が真相を語ります。まずは15年前の事件についてです。
- 香花は3歳のときに捜索願が出ていた
- 朝8時に庭で遊んでいた香花が行方不明になった
- 神埼八段は丹羽との対局があったので仕方なく会場へ向かった
- 1時間後、母親が警察に捜索願を出した
- 対局終了まで見つからないままだった
- 午後2時に香花は公園のベンチで寝ていたところを発見される
- 香花が無事だったため、警察は事件性がないと判断した
- 香花を発見したのは明恵だった
15年前の対局の日、神埼八段の娘の香花が行方不明になっていました。動揺していた神埼八段は、休憩明けにだからおかしな手を指してしまったのです。
どうしても勝ちたかった丹羽が、明恵に近づき金を渡して香花を一時的に誘拐したのではないか?絵麻は推理します。このとき、香花が扇子を持っていたため、対局のときに扇子を忘れたのだろうと。そして対局終了後、明恵に指示を出して香花が見つかったようにした。
これが15年前の対局の裏側に隠された真実だと絵麻は見抜きます。
5:ドラマの結末
では、今回の明恵殺害の真相はなんなのか?絵麻は丹羽の休憩前と休憩後のある違いからヒントを得て導き出します。
まずは明恵殺害の動機です。丹羽と明恵は15年後に偶然再会していたと予測します。
- 明恵はなくなったと言われていた神埼八段の扇子を見せる
- 自責の念で誰かに誘拐のことを話すかもしれない
- 酔った勢いで店の客に話してしまうかもしれない
- 今はゆすらなくても、金に困ることがあればゆするかもしれない
何手先も読む丹羽だからこそ、あらゆる事態を想定します。そして丹羽が結論付けたのが、明恵は今後自分の邪魔になるから排除しようという考えに至ったに違いない。と絵麻は考えました。
犯行の手口についてはこうです。
- 対局の50分間の食事休憩中に、トイレにいって着替える
- トイレの窓から外へ出て、とめておいたバイクに乗る
- バイクで山道を走れば、片道15分で明恵の店に行ける
- 予め店に呼び出しておいた明恵を殺害
- 扇子を探したが見つからなかった
- 時間が迫っていたため、将棋雑誌を見落とした
- 再びトイレの窓から戻って着替えた
- 何食わぬ顔で対局に戻る
対局中、外出していないと言いながら、トイレの窓から抜け出したに違いないと推理しました。その根拠となったのが、休憩前は袴の結び目が十文字結びだったのに、休憩から戻ると結び切りだったということです。
この違いに気づいた絵麻は、丹羽は一度着替えたに違いないと考えました。そして丹羽が指して負けた手であり、神埼八段が指して負けた手でもある6六桂を指してこう告げます。
相手のミスで勝ったあなたは、15年後、全く同じミスを犯し負けることになる。皮肉なことに。
丹羽は15年前、どうしても勝ちたかったと告白します。技術でも精神面でも勝てない相手に唯一勝つ方法、それがあの誘拐でした。そうして手に入れた勝利を、今度は15年後に自らも同じ手を打って負ける。本当に皮肉な話です。
6:【サイレントヴォイス2】5話のネタバレまとめと要約
藤本明恵殺害犯と動機
- 犯人:丹羽三善
- 動機:15年前に手伝ってもらった明恵に偶然再会し、今後邪魔になる可能性があったので殺害した
【サイレントヴォイス2】5話の感想
今回の最後はいつものなだめ行動とマイクロジェスチャーから、犯人を追い詰める話ではありませんでした。
悪手は棋士のなだめ行動、そんな聞き取りです。
本来なら勝てるはずもない相手であっても、動揺を誘えば勝てると絵麻は踏んでました。それは、丹羽自身が対神埼八段戦で使った手法です。だから絵麻は「勝負はやってみないと分からない」と、かつて丹羽が神埼戦の前に語ったセリフを引用します。
ふと思ったのが、袴の結び目が違うといっても、それが証拠になるのか?ということです。トイレに行って用を足して、急いで結び直していたからこうなった。と主張してもよさそうなものです。
丹羽はこの後の絵麻の何手先も読んだ結果詰みだと思ったのか、あっさり観念して自供しました。絵麻にこれ以外の証拠があったのかは、結局のところドラマ内では分かりません。
いわゆる森村誠一のドラマでよくある、勘違いや先読みから起きる殺人です。要するに身に覚えがあるものだから、勝手に先走ってしなくてもいい殺人を起こす感じでした。それを棋士という職業柄に合わせて構成し、天才ゆえに足元をすくわれたという皮肉が面白かったです。
【サイレントヴォイス2】5話の補足
三手の読み
ドラマ内でも語られる“三手の読み”は、ビジネスや人間関係などあらゆる場面に使えます。
- 自分の指した手に対して
- 相手がどんな手を指し
- さらに自分がどんな手を指すのか
この三手を読むことが、将棋の基本と丹羽が語ります。そして、この二手目を読み間違えてしまうと、その先の三手目をいくら考えても間違いになります。
今回の場合、丹羽は二手目が“明恵はいつかやらかすに違いない”という前提だったため、三手目が“排除しよう”になってしまったわけです。別に明恵は再会を普通に喜んでいただけだったのに、後ろめたいことがある丹羽は二手目がおかしな手になり、その後の手も間違いになってしまいました。
升田幸三の話の続き
GHQから将棋を守った男として冒頭で語られた、升田幸三の話には続きがあります。元々、当時の名人、木村義雄が軍に関わっていたことから、GHQは将棋は野蛮と思っていた部分がありました。それを一蹴する升田幸三の痛快な返答がコレです。
戦争中、あの人が海軍大学などを講演して回り、おかげで日本は戦争に負けた。オレが代わりにやっとったら、日本が勝っておる。おんどれらにとっちゃ、あの人は大恩人なんだぞ。
俺がやっていたら日本は勝っていた。そんな言葉の後に、お前らの大恩人を殺すのか?と詰めます。ウィットに富んだ格好いい言葉です。そして升田は最終的にこう願います。
巣鴨にいる戦犯の連中を殺さんで欲しい。彼らは万事よく知っており、連中を殺すのは字引を殺すようなものである。生かして役立てる道を考えてもらいたい。
戦犯である彼らを生かし、占領政策に取りいれろと。将棋の持ち駒使用というルールを、これらの人物に当てはめて締めくくりました。
参考記事:升田幸三のエピソード!将棋でGHQを詰んだ棋士 [将棋] All About
このエピソードも載っている彼の自伝も面白いです。
【サイレントヴォイス2】5話のその他気になったこと
- イケメンというだけで呼び出すに違いないと思う東野
- 実はプロ棋士を目指していた綿貫
- でも弱かったからなれなかったと絵麻にいわれる
- 古いリアクションをする絵麻につっこむ東野
- 絶対負けを認めないタイプだといわれる絵麻
- 丹羽の頭をパカっと開けて覗いてみたいという絵麻
- 絵麻がフラれたのを見て喜ぶ東野
- シオリに裏拳を食らわされて鼻血が出る東野
- たまにお手柄な綿貫
- 鼻血男呼ばわりされる東野
- 既読スルーされて凹む絵麻
- 恋愛になると相手の手が読めない絵麻
- 丹羽逮捕に自棄酒する綿貫
【サイレントヴォイス2】5話のまとめ
天才棋士と絵麻の知恵比べをする話でした。先を読む棋士に表情の変化を探る絵麻、どちらも読み筋と推理で先んじて物事を考えます。
しかし、丹羽は先を読みすぎた結果、犯さなくてもいい罪を犯してしまいます。読んでいるといえば聞こえがいいですが、要するに人を信用していません。最悪の事態を想定するのは大事ですが、法を犯すのは間違いです。
そんな簡単なことにも気づかないのは、自分に自信があるからか、後ろめたいことがあったせいで考えが及ばなかったのか。いずれにしても、普通の人だったらしない犯罪にわざわざ手を染めます。
表情の変化を見るのではなく、将棋の指し手を見て真実かどうかを確かめるという演出でした。そして、皮肉にも15年前に相手が指した手で自分も負け、今回の絵麻との対局でも6六桂を指されて負けを認めます。丹羽の人生を決める一手には常に6六桂が関わっていました。
次回は5月16日21時より放送予定です。
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