『さよならノワール』第7話では、マッチングアプリで知り合った女性をきっかけに、約1000万円を脅し取られた高校教師・岩田倫太郎が支援対象となります。
事件直後は警察の事情聴取に応じていた岩田でしたが、恐喝の原因となった「動画」について聞かれた途端、一切言葉を発さなくなってしまいました。
絵梨子は花を通して少しずつ岩田との距離を縮め、やがて彼からスマホを託されます。しかし、支援が順調に進んだかに見えた矢先、岩田は絵梨子へ特別な感情を抱き始めます。
この記事では、岩田がなぜ黙ってしまったのか、恐喝に使われた動画には何が映っていたのか、絵梨子との間に起きた「陽性転移」や桑原の過去も含め、第7話を詳しく解説します。
第7話3行まとめ
- 岩田は美人局被害で約1000万円を脅し取られ、恐喝に使われた動画について聞かれると一切話さなくなった
- 絵梨子は花を通して岩田の心を開くが、岩田から私的に誘われたことで支援者と被害者の距離が揺らぐ
- 動画の正体は蘭にたとえたプロポーズで、岩田は最後に「隠すのをやめる」と決め、再び前を向き始めた
第7話あらすじ
高校教師の岩田倫太郎は、マッチングアプリで知り合った小室朋美をきっかけに、知人の八木から約1000万円を脅し取られていた。
さらに金を要求された岩田が拒否すると、八木から暴行を受けて全治2週間のけがを負う。しかし事件後、岩田は恐喝の原因となった動画について聞かれたことを境に、一切言葉を発さなくなってしまった。
支援に入った夏海と絵梨子にも心を閉ざしていた岩田だったが、花を通じて少しずつ絵梨子との意思疎通を始める。やがて岩田は再び言葉を発し、恐喝に使われた動画や脅迫メッセージが残るスマホを絵梨子に託した。
一方で、岩田は支援を続ける絵梨子へ特別な感情を抱き始める。絵梨子が私的な誘いを断ったことで関係は一度こじれるが、最終的に岩田は自分の失敗や被害を隠し続けることをやめ、再び前へ進もうと決めた。
岩田はどのような美人局被害に遭ったのか
マッチングアプリで知り合った
高校教師の岩田倫太郎は、マッチングアプリを通じて小室朋美と知り合いました。
岩田は朋美に好意を抱き、交際を申し込むほど本気になっていきます。しかし朋美は、岩田について「一度デートしたら本気になってびっくりした」と話しており、岩田と同じ気持ちではありませんでした。
その後、朋美の知人を名乗る八木が岩田の前に現れます。岩田が朋美に送っていた動画を材料に金銭を要求し、事件は美人局による恐喝へと発展していきました。
八木から約1000万円を脅し取られた
岩田は八木から繰り返し金銭を要求され、被害額は約1000万円にまで膨らんでいました。
しかし八木は警察の取り調べに対し、朋美から「モテない教師に迫られて困っている」と聞いたので、やめるよう注意しただけだと主張。朋美も動画について「見ていない」「内容は覚えていない」と話し、2人とも恐喝への関与を否定します。
警察としても、岩田がどのような動画を送っていたのか分からなければ、恐喝の経緯を十分に裏付けることができませんでした。
暴行事件のあと岩田は何も話さなくなった
さらに金を要求された岩田が拒否すると、八木から暴行を受け、全治2週間のけがを負いました。
事件直後の岩田は警察の事情聴取に応じていましたが、朋美に送った動画について尋ねられたことを境に、一切言葉を発さなくなります。
職場にも事件を知られたくないと考え、自宅を訪れた夏海や絵梨子にも何も話そうとしませんでした。
なぜ岩田がここまで口を閉ざしたのか。その理由は、単に「女性に騙されたことが恥ずかしかったから」ではありませんでした。動画の内容と岩田が抱えていた本当の苦しみについては、後半のコラムで詳しく見ていきます。
絵梨子はどうやって岩田の心を開いたのか
無理に話させず花を通して意思疎通を始めた
岩田は夏海や絵梨子が自宅を訪ねても、ほとんど言葉を発しませんでした。
そこで絵梨子は、事件について無理に聞き出そうとするのではなく、岩田が世話をしていた花に目を向けます。
岩田が図鑑を開いて花を指さすと、絵梨子もそのやり取りに合わせ、言葉を使わなくても意思疎通できる時間を積み重ねていきました。
事件のことを話させるより先に、まず岩田が安心して誰かと一緒にいられる関係を作ろうとしたのです。
わざと花の名前を間違えて岩田から言葉を引き出した
やがて絵梨子は、岩田と2人でベランダの花に水をやるようになります。
そこで絵梨子は、花の名前が分からないふりをしました。植物に詳しい岩田は見かねたように名前を教え、事件後初めて自分から声を出します。
絵梨子は驚いたふりをして笑い、それ以上無理に会話を続けようとはしませんでした。
岩田にとっては「話してください」と求められて口を開いたのではなく、自分の得意なことを教えるという自然な流れの中で、再び言葉を使うことができた瞬間でした。
岩田は「あなたなら」とスマホを託した
その後、岩田は少しずつ絵梨子と会話するようになり、ついには恐喝のきっかけとなった動画についても話し始めます。
そして、動画や八木からの脅迫メッセージが残されているスマホを差し出し、「あなたなら」と絵梨子に託しました。
警察にも明かせなかったものを渡したことからも、この時点で岩田が絵梨子を強く信頼していたことが分かります。
絵梨子は後に、そのスマホを鴨居へ託します。岩田の希望をできるだけ尊重してくれそうだと、鴨居を信頼していたことも、この場面からうかがえました。
絵梨子の不器用さも岩田との距離を縮めた
絵梨子は、最初から理想的な支援ができていたわけではありません。
人の痛みを理解することが苦手だと自覚しながらも、相手を助けようとすると前のめりになりやすく、夏海からも「何もせず待つことができない」と指摘されています。
一方で絵梨子は、花を枯らした昔の失敗や「人間はもっと苦手」といった自分自身の話も岩田にしました。
完璧な専門家として振る舞うのではなく、不器用な部分を隠さず接したことが、岩田にとって話しやすさにつながったのです。
実際、夏海も後に「完璧さは、傷ついた人を息苦しくさせる」と語っています。
絵梨子は支援者としてまだ未熟な部分を抱えていましたが、その未完成さも含めて岩田と向き合ったことが、彼が再び人を信じ、言葉を取り戻すきっかけになったのでしょう。
岩田が絵梨子に抱いた気持ちは陽性転移だったのか
貴子は一対一の支援による転移を心配していた
絵梨子が岩田と一対一で支援を続けたいと申し出た際、貴子は「転移」が起こる可能性を心配していました。
転移とは、支援を受ける側がカウンセラーや支援者に対し、過去の人間関係で抱いた感情を重ねることです。今回のように好意や恋愛感情に近い形で現れるものは、陽性転移と呼ばれます。
岩田は女性に騙され、人との関係に強く傷ついていた最中でした。そんな時に、自分を否定せず、そばにいてくれる絵梨子へ特別な感情を抱く可能性を、貴子は早い段階から警戒していたのです。
プライベートで会おうと誘ってしまう
絵梨子との会話が増えていくと、岩田は自分の好きな植物について楽しそうに話せるようになります。
そしてある日、以前絵梨子が外へ誘ってくれたことを思い出し、今度の休みに開かれる蘭の展覧会へ一緒に行かないかと誘いました。
これは支援の時間ではなく、明らかにプライベートで会おうとする誘いでした。
絵梨子はそこで初めて、夏海や貴子が心配していたことが現実になったと気づきます。
断られて再び失望
絵梨子は、誤解を招く可能性があるためプライベートでは会えないと断りました。
すると岩田は「結局は仕事ですよね」と失望します。
絵梨子が自分に優しくしてくれたことも、話を聞いてくれたことも、すべて仕事だったのではないか。そう感じた岩田は、朋美との関係まで重ねるように「あなたもあの女も、僕を利用しようとしただけ」と言い、再び心を閉ざしてしまいました。
絵梨子には岩田を利用する意図などありませんでしたが、岩田にとっては、ようやく信じられると思った相手から再び拒絶されたように感じられたのでしょう。
岩田自身も「誰でもよかった」と振り返った
その後、岩田は夏海に対し、絵梨子を本気で好きになったわけではないと説明しました。
女性に騙された傷を癒してくれる相手が欲しかっただけで、「誰でもよかった」と振り返っています。
もちろん、この言葉だけで岩田の感情すべてを陽性転移だったと断定することはできません。しかし、傷ついていた時期に自分を受け止めてくれた支援者へ特別な感情を向け、その関係が終わることに強い不安を抱いた点を見ると、貴子が心配した転移に近い状態だったと考えられます。
重要なのは、絵梨子が失敗したから岩田が好意を抱いたのではないということです。
むしろ、それだけ岩田が絵梨子を信頼できるところまで回復していたからこそ、支援者と被害者の境界が揺らいだともいえるでしょう。
桑原はなぜ今回の被害者支援に積極的だったのか
息子も女性に騙された過去があった
今回、いつもとは少し違う反応を見せたのが桑原でした。
岩田の支援状況を夏海に確認し、「だったらちゃんと支援しろ」と強い口調で念を押します。これまで支援室の仕事にここまで踏み込むことはなかったため、夏海もその変化を不思議に思っていました。
そこで桑原は、自分の息子も3年前に女性から騙されたことがあると明かします。
被害額は岩田ほどではありませんでしたが、桑原にとって今回の事件は、過去の息子の姿を思い出させるものだったのです。
桑原は「恥」と考えて被害を訴えさせなかった
当時の桑原は、「警察官の息子が女性に騙された」ことを恥だと考えてしまいました。
そのため被害を訴えさせることもせず、息子に対して「馬鹿だ」「甘い」と叱責してしまいます。
桑原自身は、息子を立ち直らせるつもりだったのかもしれません。
しかし結果として、被害に遭った息子の苦しみを受け止めるのではなく、「騙された側にも問題がある」と追い打ちをかける形になってしまいました。
その結果、息子は引きこもるようになった
息子はその後、家に引きこもるようになりました。
騙されたことを周囲に話せず、友人との付き合いも断ってしまったといいます。
桑原はそのことを振り返り、「俺が壊したようなもんだ」と後悔していました。
岩田もまた、自分の被害を学校に知られたくないと考え、誰にも話せないまま孤立していました。
だからこそ桑原には、現在の岩田と、かつての自分の息子が重なって見えていたのでしょう。
岩田を息子と同じようにしたくなかった
桑原は夏海に「男の恥は非常に厄介だ」「初動が大事だ」と伝え、手遅れにならないよう支援してほしいと頼みました。
その言葉に対して夏海は、「手遅れという言葉、私は嫌いです」と返します。
桑原自身もまた、息子への対応を後悔し続けている一人です。だから今回、岩田だけは同じように孤立させたくないという思いが、これまでにない積極的な姿勢につながったのでしょう。
そして事件解決後には、桑原が夏海たちと食事をしながら岩田の今後について語る姿も描かれました。
今回の支援は岩田のためだけではなく、桑原にとっても、自分が過去にできなかったことを少しだけやり直す機会になっていたのかもしれません。
コラム|岩田はなぜ動画を隠したかったのか
恐喝に使われたのはプロポーズ動画だった
岩田が頑なに隠そうとしていた動画には、朋美へ向けたプロポーズが収められていました。
事件の経緯から考えると、もっと人には見せられないような内容を想像してしまいます。しかし実際に映っていたのは、自宅で岩田が真剣に朋美への思いを語る姿でした。
この動画が八木たちに利用され、約1000万円を脅し取られる原因となっていたのです。
「共生相手になってくれませんか」と蘭にたとえて告白した
動画の中で岩田は、自分が好きな蘭になぞらえて朋美へ思いを伝えていました。
そして最後に口にしたのが、「よかったら僕の共生相手になってくれませんか?」という言葉です。
生物教師である岩田らしい、不器用ながらも真剣なプロポーズでした。
岩田は初めて女性から褒められ、「この人と一緒なら元気になれそうだ」と感じていました。まだ交際も始まっていない段階で結婚を申し込んだことについては、本人も「焦った」と振り返っています。
動画そのものは決して恥ずかしい内容ではなかった
実際に動画を見た絵梨子は、恥ずかしい内容だとは思わなかったと岩田に伝えています。
確かに、付き合っていない相手へ突然プロポーズしたという点だけを見れば、岩田自身が後になって恥ずかしく感じる部分はあったでしょう。
しかし動画そのものには、人に知られて困るような行為が映っていたわけではありません。
では、なぜ岩田は動画について聞かれただけで、警察にも支援員にも何も話せなくなるほど追い詰められたのでしょうか。
岩田が傷ついたのは本気の気持ちを利用されたこと
岩田にとってつらかったのは、プロポーズに失敗したことだけではなかったと考えられます。
朋美を信じ、自分なりに勇気を出して伝えた気持ちそのものが、恐喝の材料として利用されてしまいました。
さらに朋美は、警察の聴取で岩田について「一度デートしたら本気になってびっくりした」と笑っています。
岩田にとって大切だった気持ちは、相手にとっては笑って済ませられる程度のものだった。それだけでなく、その気持ちを示した動画まで犯罪に利用されています。
つまり岩田が隠したかったのは、単なる「恥ずかしい動画」というよりも、自分が最も無防備に誰かを信じていた瞬間だったのではないでしょうか。
「何を喋っても伝わらない」と思い声を失った
岩田自身も、騙されたことが格好悪いから黙っていたわけではないと話しています。
彼が語ったのは、「何を喋っても誰にも伝わらない気がした」「声を出すのが怖かった」という感覚でした。
自分は真剣だったのに、その思いは相手に届かなかった。それどころか利用され、笑われ、金を奪われてしまった。
そんな経験をした岩田にとって、もう一度自分の気持ちを誰かへ言葉で伝えること自体が怖くなっていたのでしょう。
だからこそ岩田が再び声を出したきっかけも、事件について説明することではなく、好きな花の名前を絵梨子に教えることでした。
動画を隠さないと決めたことが再出発につながった
最終的に動画は警察で共有され、裁判でも証拠として使われることになります。
当初はそれを望んでいなかった岩田でしたが、絵梨子に対して「もう隠すのはやめにしました」と話しました。
これは単に証拠を提供することを受け入れたというだけではないのでしょう。
自分が誰かを好きになったことも、焦ってプロポーズしてしまったことも、騙されたことも含めて、なかったことにせず抱えて生きていく。その選択だったように見えます。
岩田が最後に語ったように、人間は失敗したあとも落ち込んだり、泣いたりしながら生き続けることができます。
動画を隠さなくなったことは、岩田が「失敗した自分」を隠すこともやめ、再び自分の言葉で生きようとし始めた一歩だったのではないでしょうか。
「失敗できるのは人間だけ」とはどういう意味なのか
絵梨子が調べた言葉を岩田自身が言い直した
事件が解決したあと、絵梨子は岩田に「生物学によれば、失敗できるのは人間だけだそうですね」と話します。
しかし生物教師の岩田は、その言葉を少し訂正しました。
人間以外の生物にとって、狩りや逃走の失敗はそのまま死につながることがある。一方、人間は失敗したあとに落ち込んだり、泣いたりしながら、それでも生き続けることができるというのです。
絵梨子が用意してきた言葉を、今度は岩田自身が自分の言葉で語り直したことにも意味があります。
人間は失敗しても生き続けることができる
岩田は朋美を信じ、交際前にもかかわらずプロポーズをしてしまいました。その気持ちは利用され、約1000万円を奪われ、さらに暴行まで受けます。
本人にとっては、取り返したいと思っても取り返せないほど大きな失敗に感じられていました。
しかし第7話が描いたのは、「失敗しないこと」ではありません。
失敗してしまったあとでも、それを抱えたまま生きていくことはできる。岩田が動画を隠すことをやめ、自分の言葉で再び話せるようになったことは、その最初の一歩だったのでしょう。
失敗そのものを消すのではなく、失敗したあとをどう生きるか。それが「失敗できるのは人間だけ」という言葉に込められていたように思います。
岩田だけでなく絵梨子や桑原にも重なる言葉だった
この言葉は、岩田だけに向けられたものではありません。
絵梨子も今回、岩田との距離の取り方を誤り、結果的に彼を傷つけてしまいました。それでも夏海に支えられ、失敗したまま支援から逃げるのではなく、もう一度岩田と向き合います。
桑原もまた、3年前に女性から騙された息子を「馬鹿だ」「甘い」と責め、被害を訴えさせなかったことを後悔していました。しかし今回、その経験があったからこそ岩田を孤立させまいと支援室に働きかけています。
岩田、絵梨子、桑原の3人とも、過去の失敗をなかったことにはできません。
それでも、その後の行動によって失敗との向き合い方は変えられる。
「失敗できるのは人間だけ」という言葉は、第7話に登場したそれぞれの失敗を、一つにつなぐ言葉だったのではないでしょうか。
鴨居と絵梨子の関係はどう変わったのか
絵梨子は鴨居なら分かってくれる気がした
岩田からスマホを託された絵梨子は、その中に残されていた動画や脅迫メッセージを鴨居へ渡しました。
絵梨子は後に、なぜ鴨居に託したのかについて、はっきりした理由があったわけではないものの、「鴨居なら分かってくれるような気がした」と話しています。
これまで絵梨子は鴨居のことを「何を考えているのか分からない」と見ていました。それでも今回、岩田が最も隠したがっていたものを託す相手として鴨居を選んだことから、2人の間には少しずつ信頼が生まれていることが分かります。
岩田の希望を考慮するよう鴨居が刑事課で訴えた
スマホを受け取った鴨居は、岩田が動画を公にされることを望んでいないと刑事課に伝えました。
中谷は捜査のためには必要だと考えていましたが、鴨居は岩田が一時的に言葉を失うほど追い詰められていたことを挙げ、本人の希望も考慮すべきだと主張します。
最終的には桑原の判断で動画は確認され、証拠として使われることになりますが、鴨居は捜査だけを優先するのではなく、被害者の状態にも目を向けていました。
絵梨子が「鴨居なら分かってくれる」と感じたのも、こうした部分を無意識に信頼していたからなのかもしれません。
お互いを「これくらいがちょうどいい」と感じている
事件後、鴨居は絵梨子に、岩田へかなり感情移入していたように見えたと話します。
絵梨子は、それなら少しは支援員らしくなれたのかもしれないと答えました。
すると会話は2人自身のことへ移り、絵梨子が「私のこと、知りたいですか?」と尋ねます。
しかし鴨居は「いいえ。これくらいがちょうどいいです」と返し、絵梨子も「私も」と同意しました。
相手のことが気になっていないわけではない。それでも今は、すべてを知ろうとはしない。2人はそんな距離を選んでいるように見えます。
近づきすぎない不思議な信頼関係が続いている
鴨居と絵梨子は、分かりやすく距離を縮めているわけではありません。
第2話では鴨居が絵梨子を食事に誘い、その後も2人で話す機会は増えてきました。しかし今回の最後でも、互いについて深く踏み込むことはせず、「これくらいがちょうどいい」と笑っています。
一方で絵梨子は、大切な証拠を託す相手として鴨居を選び、鴨居も岩田の気持ちを守ろうとしました。
言葉では距離を取っているのに、行動では少しずつ信頼が深まっている。
恋愛とも友情ともまだ言い切れない、この不器用で曖昧な距離感が、今の鴨居と絵梨子にはちょうどいいのかもしれません。
第7話で残された謎
鴨居にはどんな過去があるのか
第6話では、鴨居が突然仕事を休み、花束を持って寺を訪れていました。
誰の墓参りだったのかは明かされておらず、第7話でもその理由について説明はありませんでした。
今回、中谷からプライベートについて尋ねられた鴨居は、「話すような面白いプライベートでもない」とかわし、結婚して家庭を持つことについても「俺には無理」と話しています。
また以前、鴨居は警察官になった理由を「犯罪者に興味があったから。人は何で罪を犯すのか」と語っていました。
墓参りをしていた人物と、鴨居が犯罪者に関心を持つようになった理由につながりがあるのかは、まだ分かりません。
絵梨子との距離が少しずつ縮まる一方で、鴨居自身のことはほとんど語られておらず、今後明かされる過去が気になるところです。
五十畑が絵梨子と夏海の接近を警戒する理由は何なのか
第5話では、五十畑が貴子を訪ね、絵梨子と夏海が近づくことを心配していると話していました。
五十畑によると、絵梨子には「危険なほうに行きがち」なところがあり、夏海と接近することで危険なことにならないかと警戒しているようです。さらに貴子へ、絵梨子のことを注意して見ていてほしいと頼んでいました。
しかし第7話では、五十畑は夏海の判断を否定するどころか、岩田の支援を一人で続ける絵梨子について「信じて行かせたのなら、最後まで信じたらどうか」と助言しています。
つまり五十畑が警戒しているのは、夏海という人物そのものではなく、夏海の過去や山崎失踪事件へ絵梨子が踏み込んでいくことなのかもしれません。
なぜ2人が近づくことをそこまで危険視するのか。五十畑が山崎の失踪について何か知っているのかも含め、まだ明らかになっていません。
まとめ|失敗しても生き続けられることを描いた第7話
第7話では、美人局被害に遭った岩田が、恐喝の原因となった動画をきっかけに言葉を失い、絵梨子の支援を通して少しずつ自分を取り戻していきました。
岩田が隠していた動画は、決して人に知られて困るような内容ではなく、朋美へ真剣に思いを伝えたプロポーズでした。だからこそ、その気持ちを利用され、笑われたことが、岩田にとって大きな傷になっていたのでしょう。
一方、絵梨子も岩田との距離の取り方を誤り、桑原も過去に息子への接し方を間違えたことを後悔していました。
誰も失敗をなかったことにはできません。それでも、失敗したあとにどう向き合うかは変えられる。
岩田が語った「失敗できるのは人間だけ」という言葉は、そんな第7話全体を象徴していたように思います。
最後には岩田が「もう隠すのはやめにしました」と自分の過去を受け入れ、絵梨子もまた支援員として一歩前へ進みました。
失敗しないことではなく、失敗してもなお生き続けられること。その当たり前のようで難しいことを描いた第7話でした。
