『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~Season2』第2話では、多摩川で発見された栗原千香の遺体をめぐり、伝説の結婚詐欺師・田中太郎が容疑者として浮上します。
千香は田中が名乗った「城島丈二」と婚約し、150万円を渡していました。さらに殺害後には、千香の口座から523万円が海外へ送金されており、田中による結婚詐欺と殺人を疑わせる状況がそろっていました。
しかし、田中には犯行時刻のアリバイがあり、今度は同じく田中に騙された大村和美へ疑いが向かいます。実はこの二人は、真犯人が自らの罪を隠すために用意した容疑者でした。
この記事では、田中と和美を利用した偽装計画の仕組みを発端から整理するとともに、犯人を映し出したタピオカの「一粒の証拠」について解説します。さらに、千香を直接殺してはいない田中太郎が、本当に彼女の死と無関係だったのかも考えます。
3行まとめ
- 多摩川で発見された栗原千香は、睡眠薬を飲まされたうえで川へ落とされ、口座から523万円を奪われていた。
- 容疑者として結婚詐欺師・田中太郎と、その被害者・大村和美が浮上したが、二人とも真犯人に利用されていた。
- 真犯人は捜査二課の奈良岡で、タピオカへの映り込みと車内のDNAから犯行が明らかになった。
『大追跡 Season2』の各話のあらすじや犯人、デジタル捜査、ゲスト出演者については、全話まとめ記事で随時更新しています。
→【大追跡 Season2】全話あらすじ・ネタバレまとめ|犯人・動機・デジタル捜査一覧
第2話「一粒の証拠」のあらすじ
多摩川で、寝具専門店に勤める栗原千香の遺体が発見される。千香は睡眠薬を飲まされたうえで川へ落とされ、口座からは523万円が海外へ送金されていた。
捜査の結果、千香の婚約者「城島丈二」の正体は、複数の偽名を使う結婚詐欺師・田中太郎だと判明する。しかし田中には犯行時刻のアリバイがあり、次に同じく田中に騙された大村和美へ疑いが向けられた。
ところが和美も、偽の刑事に呼び出され、千香の写真を撮らされていただけだった。真犯人は捜査二課の奈良岡英彦で、流用した約500万円の穴を埋めるために千香を殺害し、田中と和美へ罪を着せようとしていた。
奈良岡は千香のSNS写真まで偽装していたが、写真に写ったタピオカの一粒に奈良岡の姿が映り込んでいたことから正体が判明。さらに犯行車両からDNAも検出され、逮捕された。
栗原千香を殺した犯人
栗原千香を殺害した犯人は、警視庁捜査二課の奈良岡英夫でした。
奈良岡は、捜査員という立場を利用して千香からネットバンキングの情報を聞き出し、口座の預金を奪ったうえで、結婚詐欺師の田中太郎とその被害者・大村和美に罪を着せようとしていました。
千香は睡眠薬を飲まされ多摩川へ落とされた
多摩川の河川敷で発見された千香の遺体には、目立った外傷がありませんでした。しかし血液から睡眠薬の成分が検出され、防犯カメラには午前2時6分ごろ、橋から何かが落下する様子が映っていました。
奈良岡は千香に睡眠薬を飲ませ、意識を失わせたうえで多摩川へ落としたのです。
現場付近には盗難車が停車していましたが、犯人の姿をはっきり捉えた映像はなく、当初は身元も犯行の経緯も分かりませんでした。
口座から523万円が不正送金されていた
千香が殺害された約1時間後、銀行口座から預金全額の523万円が海外口座へ送金されていました。
婚約者の「城島丈二」が結婚詐欺師・田中太郎だったことから、田中が千香から金を奪い、口封じのために殺害したようにも見えました。
しかし田中が騙し取ったと認めたのは150万円だけで、犯行時刻には自宅の固定電話から別の女性へ電話をかけていました。千香を多摩川へ落とすことは不可能であり、523万円の送金にも別の人物が関わっていると考えられます。
流用した金の穴を埋めようとしていた
奈良岡はオンラインカジノで多額の金を失い、捜査で押収した口座から約500万円を流用していました。
その穴を埋めるために目をつけたのが、田中の結婚詐欺被害について相談してきた千香です。奈良岡は本物の捜査員であることを利用し、被害金を取り戻すために必要だと信じ込ませて、ネットバンキングの情報を聞き出しました。
そして千香を殺害して523万円を奪い、田中か和美の犯行に見せかけようとしたのです。
奈良岡にとって千香は、詐欺被害から救うべき相談者ではなく、自らが使い込んだ金を補うための標的に変わっていました。
城島丈二の正体は結婚詐欺師・田中太郎
千香の婚約者だった城島丈二は、実在するセレクトショップ経営者ではありませんでした。その正体は、30年近くにわたって偽名を使い、女性から金を騙し取ってきた結婚詐欺師・田中太郎です。
千香のスマートフォンから婚約者の存在が判明
行方不明になっていた千香のスマートフォンは、破損した基板から記憶媒体を移す「チップ・スワップ」によって復元されました。
城島とのやり取りには、千香の誕生日に結婚式を挙げるという言葉や、金を工面させる会話が残されていました。千香の口座から150万円が引き出されたのは、その翌日のことです。
テキストマイニングで複数の偽名がつながった
名波たちは、奈良岡が保管していた結婚詐欺のデータと、城島が千香へ送った文章をテキストマイニングで比較しました。
すると、「会社」「上場」「マウイ島」「世界一の幸せ者」といった特徴的な言葉が、城島を含む複数の詐欺師の文章から検出されます。
別人に見えた男たちは、すべて同一人物でした。城島丈二の正体は、過去にも桐生守や早乙女明などの偽名を使っていた田中太郎だったのです。
田中は千香から150万円を騙し取っていた
田中は、寝具専門店で働く独身の千香が寂しさを抱えていると考え、城島丈二を名乗って接近しました。
取り調べでは、千香から150万円を受け取ったことを認めながらも、詐欺ではなく恋愛だったと主張します。名前や身分を偽った理由についても、「男は見栄を張りたいものだ」と言い逃れ、反省する様子はありませんでした。
一方、殺害後に送金された523万円については、自分は女性から200万円以上受け取らないとして否定しました。
固定電話の通話記録によってアリバイが成立した
千香が川へ落とされたのは、7月17日午前2時6分ごろでした。
田中はその37分前の午前1時29分、自宅の固定電話から別の女性へ電話をかけ、留守番電話にメッセージを残していました。
石神井の自宅から二子玉川までは、急いでも1時間近くかかります。そのため、田中が電話をかけたあと千香を多摩川へ落とすことは不可能であり、殺人についてのアリバイが成立しました。
田中は千香を騙した詐欺師ではありましたが、彼女を殺害して523万円を奪った犯人ではなかったのです。
大村和美はなぜ疑われたのか
田中に殺人のアリバイが成立すると、奈良岡は次の容疑者として大村和美の名前を挙げました。
和美は千香を殺害した犯人ではなく、奈良岡が田中に罪を着せられなかった場合に備えて用意した、第二の身代わりでした。
和美も田中に騙された結婚詐欺の被害者だった
和美も田中に騙され、120万円を渡していた被害者の一人です。
しかし、和美は自分が詐欺に遭ったとは思っていませんでした。婚約者の「西園寺」が事件に巻き込まれ、姿を消したと信じており、警察にも被害を訴えるのではなく、彼を探してほしいと相談していました。
奈良岡は、和美が今も田中を信じ続けていることを知っていました。
千香のSNS写真に和美が写り込んでいた
千香が死亡する約5時間前、SNSに投稿された写真を調べると、瞳の中に和美の姿が映り込んでいました。
和美は千香を知らないと話していましたが、二子玉川で見知らぬ男性から頼まれ、千香の写真を撮ったことを思い出します。
奈良岡は事前に「捜査二課の宮沢」を名乗って和美を二子玉川へ呼び出し、自らは千香と一緒にいる男性を装って、和美に写真を撮らせていたのです。
銀行員の和美には不正送金の知識もあった
和美は田中に捨てられたあと、田中が次に千香へ近づいたことを知り、恨みを抱いたのではないかと疑われました。
さらに銀行員だったため、千香の口座から523万円を不正送金する知識があっても不思議ではないと考えられます。
恋愛上の嫉妬と、送金を実行できる職業上の知識。その二つがそろうことで、和美は犯人に見えやすい人物となっていました。
位置情報によって殺害時刻のアリバイが判明した
和美のスマートフォンの位置情報を調べると、二子玉川にいたのは午後10時ごろまでで、その後は目黒の自宅へ戻っていました。
千香が多摩川へ落とされた午前2時6分ごろにも、自宅から動いていません。そのため、和美にも殺人のアリバイが成立します。
和美は結婚詐欺の被害者でありながら、奈良岡によって嫉妬に駆られた殺人犯に仕立てられようとしていました。
奈良岡はなぜ田中と和美に罪を着せたのか
奈良岡の計画は、結婚詐欺師の田中太郎を最初の容疑者にし、田中のアリバイが成立した場合には大村和美へ疑いを向ける二段構えでした。
| 利用された人物 | 奈良岡の狙い | 実際の立場 |
|---|---|---|
| 田中太郎 | 千香を騙して殺した犯人に見せる | 千香から150万円を騙し取った結婚詐欺師 |
| 大村和美 | 田中を奪われた恨みで千香を殺したように見せる | 田中に騙された結婚詐欺の被害者 |
| 栗原千香 | 預金を奪い、SNSを使って犯行を偽装する | 奈良岡へ相談した詐欺被害者 |
捜査員として田中の手口と被害者を知っていた
奈良岡は捜査二課で結婚詐欺を担当しており、田中が複数の偽名を使って女性から金を騙し取っていることを知っていました。
さらに、千香と和美が田中の被害者であることや、和美が今も田中を信じていることまで把握していました。
奈良岡は捜査で得た情報を被害者の救済ではなく、自分の犯罪を隠すために利用したのです。
信用されない詐欺師を最初の容疑者にした
千香の婚約者が結婚詐欺師で、殺害後には口座から大金が送金されているとなれば、田中が金を奪って千香を殺したと考えるのは自然です。
しかも田中は名前や職業を偽り、実際に千香から150万円を騙し取っていました。殺人を否定しても、簡単には信用されません。
奈良岡は田中の手口だけでなく、詐欺師の言葉など誰も信じないという状況まで計画に組み込んでいました。
田中のアリバイが成立した場合に和美を利用した
奈良岡は、田中にアリバイが見つかる可能性も考えていました。
そこで第二の容疑者として用意したのが、同じく田中に騙されていた和美です。和美が千香の存在を知れば、田中を奪われたと感じて恨みを抱くかもしれません。
さらに和美は銀行員だったため、千香の口座から523万円を不正送金する知識があるようにも見えました。
和美を二子玉川へ呼び出して写真を撮らせた
奈良岡は「捜査二課の宮沢」と名乗って和美を二子玉川へ呼び出しました。
その一方で、自らは千香と一緒にいる男性を装い、偶然近くにいた和美へ写真の撮影を頼みます。撮影された写真を千香のSNSへ投稿すれば、和美が殺害前の千香と接触していたように見せられます。
田中にアリバイが成立しても、和美へ疑いが移るように証拠を仕込んでいたのです。
詐欺被害者を殺人犯に仕立てようとした悪質な計画
和美は田中に騙されながらも、自分が詐欺被害者だとは信じていませんでした。奈良岡は、そんな和美の思いまで利用し、殺人犯に仕立てようとしました。
被害者を救う立場の捜査員が、相談によって得た情報を使い、別の被害者へ罪を着せる。奈良岡の計画で特に悪質なのは、犯罪者の田中だけでなく、何の罪もない和美まで自分の身代わりにしようとした点です。
奈良岡の偽装工作はどのように見破られたのか
田中と和美にはどちらも殺害時刻のアリバイがあり、伊垣たちは二人を犯人に見せようとした別の人物がいると考えます。
突破口となったのは、殺害前に千香のSNSへ投稿された写真でした。何気ない一枚の中に、奈良岡が消し切れなかった「一粒の証拠」が残されていたのです。
千香のSNS写真は殺害前に撮影されていた
千香のSNSには、死亡する約5時間前に二子玉川で撮られた写真が投稿されていました。
しかし、投稿したのは千香本人ではありません。奈良岡は和美に写真を撮らせたあと、千香のスマートフォンを使ってSNSへ投稿し、二人が接触していたように見せかけました。
和美が千香を撮影したという事実だけを残し、撮影を仕組んだ自分の存在は隠したつもりだったのです。
タピオカの一粒に奈良岡の姿が映り込んでいた
SSBCが写真を細部まで拡大すると、千香が手にしていたタピオカの一粒に、サングラスをかけた男の姿が映り込んでいました。
粒の表面が鏡のように周囲を反射し、写真の撮影を和美へ頼んだ奈良岡の姿を捉えていたのです。
奈良岡は自分が写真に入らないよう注意していましたが、タピオカの一粒までは計算に入れていませんでした。これがサブタイトルにもなった「一粒の証拠」です。
顔認証によって偽の刑事「宮沢」の正体が判明
和美は二子玉川へ行く前、捜査二課の宮沢と名乗る刑事から連絡を受けていました。しかし、警視庁にそのような捜査員は存在しませんでした。
タピオカの粒に映った男のサングラスを補正し、顔認証を行った結果、奈良岡と一致します。
和美を呼び出した偽の刑事「宮沢」と、千香の写真を撮らせた男は、どちらも奈良岡だったと判明しました。
犯行車両からDNAが検出され逮捕された
タピオカの一粒への映り込みによって奈良岡が捜査線上に浮かびましたが、それだけで犯行のすべてが証明されたわけではありません。
その後、千香を運んだ盗難車を調べると、車内から奈良岡のDNAが検出されます。
奈良岡は田中と和美を利用して巧妙な偽装工作を重ねましたが、タピオカの一粒に残った姿と車内のDNAによって犯行を裏づけられ、逮捕されました。
コラム|田中太郎は千香の死に無関係だったのか
栗原千香を殺害したのは奈良岡英夫であり、田中太郎ではありません。
しかし、だからといって田中が千香の死と完全に無関係だったとは言い切れません。田中は「城島丈二」という存在しない人物を演じ、千香の信頼と結婚への思いを利用していました。
千香を直接殺したのは田中ではない
田中には犯行時刻のアリバイがあり、千香を多摩川へ落としたのも、口座から523万円を送金したのも奈良岡でした。
殺人事件について田中は犯人ではなく、奈良岡から罪を着せられようとした側でもあります。その意味では、田中も奈良岡の偽装計画に利用された人物の一人です。
ただし、田中が千香から150万円を騙し取った事実まで消えるわけではありません。
千香が愛した城島丈二は最初から存在しなかった
千香が結婚を約束したのは、セレクトショップを経営する城島丈二でした。
しかし、城島という人物は田中が作り上げた偽りの姿です。名前も仕事も経歴も嘘であり、千香が信じた相手は最初から存在していませんでした。
田中は金だけでなく、千香が思い描いていた結婚や、その先にある生活まで利用していたことになります。
田中は恋愛の中に悪意を溶け込ませる
田中の悪意は、脅迫や暴力のように分かりやすい形では現れません。
優しい言葉をかけ、結婚を約束し、相手が望んでいる人物を演じる。その中に少しずつ嘘と金の要求を混ぜ込み、相手が自ら差し出したように見せます。
毒が混じっていると知らなければ、人はそれを吸い続けてしまいます。田中は、悪意を恋愛の空気に馴染ませることで、相手に警戒させないまま人生へ入り込んでいました。
「恋愛だった」という言葉では責任から逃れられない
田中は取り調べで、千香との関係は詐欺ではなく恋愛だったと主張しました。
しかし、偽名を使い、身分を偽り、結婚を信じさせて金を受け取っていた以上、対等な恋愛だったとは言えません。千香が愛していたのは田中本人ではなく、田中が作り上げた城島丈二です。
田中が千香を殺したわけではありません。それでも、千香の信頼を利用して傷つけ、奈良岡につけ込まれる状況を作った責任まで、「恋愛だった」の一言で消すことはできないでしょう。
投げキッスが示した何も変わらない男
青柳は田中に対し、千香が田中と出会わなければ死なずに済んだかもしれないと突きつけました。
田中は一瞬だけ感傷に浸ったような表情を見せます。しかし、その直後には青柳へ投げキッスを送り、反省したようには見えませんでした。
あの仕草は、田中が改心していないことを示すだけではありません。罪悪感を抱いた人物を演じることさえ、彼にとっては相手へ見せる表情の一つにすぎないのでしょう。
重い言葉を突きつけられても、最後には軽くかわしてしまう。その姿によって、田中という男の悪意が日常の中へ自然に溶け込んでいる不気味さが残りました。
まとめ|周到な偽装計画を強引に畳んだ第2話
第2話では、捜査二課の奈良岡が、結婚詐欺師・田中太郎と、その被害者である大村和美を利用して、自らの犯行を隠そうとしました。
田中が信用されにくい詐欺師であること、和美が今も田中を信じていること、さらに銀行員として送金の知識を持っていることまで計画に組み込んでおり、偽装工作そのものはかなり周到でした。
一方で、決着はタピオカの一粒に映った姿と、犯行車両から検出されたDNAによって一気につきます。本作らしいデジタル捜査の面白さはありましたが、複雑に組み立てられた事件だっただけに、最後は少し強引に畳まれた印象も残りました。
また、事件の内容は結婚詐欺、横領、殺人と重いものです。それでも、八重樫たちの軽いやり取りや、田中の投げキッスによって、物語は深刻さを引きずらないまま終わります。
見やすさにつながる一方で、事件の重さを受け止めようとした瞬間に肩透かしを食らう。その真剣さとおちゃらけが噛み合わない奇妙な違和感も、『大追跡』というドラマの持ち味なのかもしれません。
第3話以降の事件や犯人、各話で使用されたデジタル捜査については、Season2全話まとめ記事で更新していきます。
