『さよならノワール』第4話では、プロチームへの入団が決まっていた大学サッカー部主将・勝俣陸が、何者かに歩道橋の階段から突き落とされ、選手生命を絶たれてしまいます。
当初、犯人と思われたのは、陸と面識のない阪本晶でした。しかし事件を追ううちに、陸の過去や周囲の人間関係が明らかとなり、単純な通り魔事件ではなかったことが分かります。
陸は突然未来を奪われた被害者である一方、かつては自分の立場を利用して北川翔太や青木未来を傷つけていました。そして傷つけられた側もまた、別の形で陸を傷つける側へ回っていきます。
この記事では、陸を襲った犯人が判明するまでの経緯を整理しながら、北川が復讐を選んだ理由、陸が犯人を知った後に抱えた葛藤、そして夏海と絵梨子が負の連鎖をどのように止めたのかを解説します。
この記事でわかること
- 勝俣陸を歩道橋から突き落とした犯人と事件の全容
- 北川翔太が陸への復讐を計画した理由
- 勝俣・北川・未来・阪本の間で連鎖した傷
- 夏海と絵梨子が復讐に向かう陸を止められた理由
- 痛みや憎しみを抱えたまま前へ進む、被害者支援の意味
『さよならノワール』第4話のあらすじ
明教大学サッカー部主将の勝俣陸は、歩道橋の階段ですれ違った男に突き落とされ、複合靱帯断裂の重傷を負ってしまう。プロチームへの入団が内定していたが、今回の怪我によって選手生命を絶たれてしまった。
犯罪被害者支援室の夏海と絵梨子は、精神的なケアのため陸の入院する病院を訪れる。陸は明るく振る舞い、「サポートはいらない」と話すが、その一方で犯人を自分の手で殺したいと口にした。夏海は、感情を表に出さない陸が突然崩れてしまう危険を感じる。
やがて、陸とぶつかったとみられる阪本晶が任意同行される。しかし阪本は、陸とは面識がなく、偶然ぶつかっただけだと主張する。陸は阪本の写真を見ても知らない人物だと答えるが、突き落とされる直前に「勝俣陸だよな? お前は用なしだ」と言われたことを思い出し、復讐すると激昂した。
その後、阪本が金を受け取って陸を襲ったことが判明した。指示を出していたのは、サッカー部の広報を務める北川翔太だった。北川はかつて選手だったが、陸から「補欠でいいと思っているやつはいらない。用なしだ」と言われ、自信を失い、長い間恨みを抱えていた。
真相を知った陸は北川を呼び出し、カッターを手に復讐しようとする。しかし夏海と絵梨子は、過去の栄光だけでなく、苦しみや後悔もこれからの陸を支えるはずだと必死に訴えた。そして陸は思いとどまり、自らカッターを手放した。
北川への憎しみは消えないが、陸は復讐することだけはやめると決めた。支援センターへ向かう際、陸は夏海と絵梨子に「あのとき、止めてくれてありがとう。どんな試合に勝つよりも、自分に勝ててよかったよ」と告げ、再び歩き始めた。
第4話の3行まとめ
- 陸を突き落とした実行犯は阪本で、犯行を指示したのは北川だった
- 北川は、かつて陸から「用なし」と切り捨てられた恨みから復讐を計画した
- 陸は夏海と絵梨子に止められ、復讐ではなく「自分に勝つ」道を選んだ
勝俣陸を襲った犯人は誰だったのか
勝俣陸を歩道橋から突き落とした実行犯は、阪本晶です。しかし、阪本が自分の意思だけで陸を狙ったわけではありません。
犯行を指示したのは、明教大学サッカー部で広報を務める北川翔太でした。
赤い髪の男・阪本が浮上した
事件直後、防犯カメラには赤い髪の男が映っていました。聞き込みから阪本が浮上し、警察は任意同行しますが、阪本は陸と面識がなく、偶然ぶつかっただけだと主張します。
陸も阪本の写真を見て、知らない人物だと答えました。しかし、ぶつかったのは明らかに故意であり、突き落とされる直前に「勝俣陸だよな? お前は用なしだ」と言われたことを思い出します。
阪本が陸を知らないにもかかわらず、名前を確認し、「用なし」という言葉まで投げつけていたことから、背後に指示役がいる可能性が高まりました。
阪本は金を受け取って陸を襲った
さらに警察が調べると、阪本は3年前にも闇バイトの受け子をしていたことが判明します。
鴨居たちが過去のアカウントまで特定して追及すると、阪本は金を受け取って陸を襲ったことを認めました。阪本自身は陸に恨みを持っておらず、金をもらい、指示されたとおりに動いただけだったのです。
現場写真から北川の関与が判明した
一方、病院では青木未来が、北川の不審な行動に気づきます。
北川は事件現場の写真を見ていましたが、その写真はインターネット上には出回っていませんでした。未来からその話を聞いた陸は、「用なし」という言葉と過去の出来事を結びつけ、北川こそが阪本へ指示した人物だと悟ります。
北川はSNSで「簡単な仕事。ヒーローが嫌いな奴求む。報酬10万」と実行役を募集していました。応募してきた阪本に陸の写真を見せ、脚を狙うことに加えて、「お前は用なしだ」と告げるよう指示していたのです。
つまり、第4話の事件は、阪本による偶発的な傷害事件ではありません。北川が陸の選手生命を奪うために計画し、阪本を金で雇って実行させた復讐事件でした。
北川はなぜ勝俣を襲わせたのか
北川が勝俣を襲わせたのは、かつて「用なし」と切り捨てられた恨みを晴らすためでした。
勝俣の言葉によって自信を失った
北川はもともと、勝俣と同じ明教大学サッカー部の選手でした。
しかし監督から広報への転向を勧められた際、勝俣に意見を求めると、「補欠でいいと思っているやつはいらない。用なしってことなんだよ」と突き放されます。
勝俣にとっては、プロを目指す厳しい環境で結果を出すための言葉だったのかもしれません。しかし北川にとっては、大切にしてきたサッカーだけでなく、自分自身の価値まで否定されたように感じる言葉でした。
北川はその後、自信を失い、就職活動もうまくいかなくなったと語っています。
自分がサッカーを諦め、望んでもいなかった人生へ進もうとしている一方で、勝俣はプロ選手として成功しようとしていました。その姿を広報として間近で見続けることも、北川の恨みを深めていったのでしょう。
自分が味わった絶望を返そうとした
そこで北川は、SNSで「ヒーローが嫌いな奴」を募集し、応募してきた阪本に10万円を渡しました。
勝俣の写真を見せて脚を狙わせ、さらに「お前は用なしだ」と告げるよう指示します。
北川が奪おうとしたのは、勝俣の脚だけではありませんでした。自分が味わったように、夢を奪われ、自分には価値がないと思わされる絶望を、勝俣にも味わわせようとしたのです。
そのため北川は、犯行の発覚につながる危険がありながらも、「用なし」という言葉を阪本に言わせました。
北川にとって重要だったのは、単に勝俣を怪我させることではなく、自分が受けた傷を同じ形で返すことだったからです。
傷つけられたことは犯行の免罪符にならない
ただし、北川が深く傷つけられていたことと、犯行が許されることは別です。
北川は自分では手を下さず、金を渡した阪本に勝俣の選手生命を奪わせました。勝俣から受けた傷を理由に、今度は自分が相手の人生を壊す側へ回ってしまったのです。北川の復讐は、傷つけられた人が別の誰かを傷つける連鎖の一部となりました。
勝俣・北川・未来に連鎖した傷
第4話では、勝俣だけが一方的な被害者として描かれているわけではありません。
事件をたどると、勝俣、北川、未来の間で、傷つけられた人が別の誰かを傷つける連鎖が起きていたことが分かります。
勝俣は北川と未来を軽く扱っていた
勝俣は、サッカー選手として将来を期待されていた頃、自分の夢を最優先にしていました。
北川に対しては、「補欠でいいと思っているやつはいらない。用なしだ」と言い放ち、相手が大切にしてきたサッカーだけでなく、その存在価値まで否定するような言葉を投げつけています。
未来に対しても、対等な恋人として向き合っていたとは言いにくい関係でした。未来が「私のこと、体だけの関係でしたよね?」と問いかけたことからも、彼女は勝俣から大切に扱われていなかったと感じていたのでしょう。
勝俣は北川や未来を、自分の成功を支える脇役のように扱っていました。
しかし選手生命を絶たれたことで立場が変わります。今度は自分が、大学や周囲から価値を失った人間として扱われる側になりました。
傷つけられた側も勝俣を傷つけ返した
北川は勝俣に傷つけられた被害者でしたが、その恨みを阪本へ流し、勝俣を襲わせる加害者になりました。
自分が味わった「用なし」という絶望を、同じ言葉とともに勝俣へ返そうとしたのです。
未来もまた、勝俣に軽く扱われてきた側です。しかし勝俣がサッカーを失うと、「あんたにとって周りはゴミなのよね。だからこうなったのよ」と言い放ち、「失礼します。元キャプテン」と突き放しました。
未来の言葉には、これまで傷つけられてきた怒りが込められています。ただし、弱った勝俣を嘲笑し、価値を失った人間として切り捨てたことで、彼女もまた勝俣と似た振る舞いを別の形で繰り返してしまいました。
阪本は責任を他人へ預けていた
この連鎖には、実行犯の阪本も加わっています。
阪本は北川から金を受け取り、深く考えないまま勝俣を襲いました。自分で恨みを抱いていたわけではなくても、「指示された」「騙された」と考えることで、相手の人生を壊した責任への実感が薄くなっていました。
勝俣、北川、未来、阪本には、それぞれそうなった理由があります。しかし、傷つけられた経験は、別の誰かを傷つけてよい理由にはなりません。
第4話が描いたのは、完全な被害者と完全な悪人の対立ではなく、立場が変われば誰もが被害者にも加害者にもなりうる危うさでした。誰かから受けた痛みを次の人へ渡し続ける限り、負の連鎖は終わりません。
コラム|「用なし」という言葉は誰に向けられていたのか
「用なし」という言葉は、最初は勝俣から北川へ向けられたものでした。
勝俣は、補欠でいることを受け入れようとした北川に対し、「用なし」と切り捨てます。勝俣にとっては、勝つために必要な厳しさだったのかもしれません。しかし北川には、自分の存在そのものを否定された言葉として残りました。
その後、北川は阪本に同じ言葉を言わせ、今度は勝俣へ返します。ただし、この言葉が向けられたのは北川や勝俣だけではありません。
選手生命を失った勝俣は、大学や未来から、サッカー選手としての価値を失った人間のように扱われました。明確に「用なし」とは言われていなくても、勝俣自身は、周囲からそう告げられたように感じていたのでしょう。
未来もまた、勝俣に対等な相手として扱われず、都合のよい関係として軽く見られていました。彼女も勝俣から、言葉にされない「用なし」を突きつけられていた人物です。
つまり「用なし」という言葉は、誰か一人だけに向けられたものではありません。勝俣が北川へ投げ、北川が勝俣へ返し、勝俣は未来へ態度で示し、最後には周囲から勝俣自身へ返ってきました。
第4話では、人の価値を役割や能力だけで判断することの危うさが描かれています。サッカーを続けられなかった北川。プロになれなくなった勝俣。都合のよい関係として扱われた未来。
誰かを「役に立つかどうか」で測れば、立場が変わった瞬間に、今度は自分が切り捨てられる側へ回ります。「用なし」という言葉は、北川への侮辱であると同時に、勝俣自身へ戻ってくる予告でもあったのです。
犯人が北川だと知った勝俣の葛藤
未来から、北川が事件現場の写真を持っていたと聞いた勝俣は、「用なし」という言葉と北川の過去を結びつけ、彼が犯行を指示したのだと気づきました。
北川の恨みに理由があると知った
勝俣は北川を部室へ呼び出し、二人きりで問い詰めます。北川は当初否定しましたが、勝俣がかつて自分へ投げつけた言葉について語り始めました。
北川は、広報への転向を勧められた際、勝俣から「補欠でいいと思っているやつはいらない。用なしってことなんだよ」と告げられています。
その言葉をきっかけに自信を失い、就職活動もうまくいかず、勝俣がスターになっていく姿を見るたびに、自分には価値がないと思わされてきたと訴えました。
勝俣にとって北川は、自分が夢を追う途中で切り捨てた一人にすぎなかったのかもしれません。しかし北川にとっては、その一言が人生を止めるほど深い傷として残っていました。
自分の過去を知っても犯行は許せない
北川の苦しみを聞いた勝俣は、自分が彼を傷つけていた事実を突きつけられます。一方で、勝俣自身もまた、北川の復讐によってサッカー選手としての未来を奪われた被害者です。
自分にも非があったからといって、脚を奪われた苦しみまで受け入れられるわけではありません。北川の恨みに理由があると分かっても、犯行を許せるわけでもありませんでした。
さらに勝俣は、大学や未来からも、自分にはサッカー選手としての価値しかなかったように扱われます。プロへの道を失った今、自分にはもう何も残っていないと思い込み、北川の胸ぐらをつかんでカッターを握りました。そして勝俣は、「こいつを殺して、俺も死ぬ」と口にします。
被害者から加害者へ変わる寸前だった
このとき勝俣は、北川を憎んでいただけではありません。
北川を傷つけた過去への後悔、夢を奪われた怒り、自分の価値を失った絶望が重なり、相手を殺して自分も消えることで、すべてを終わらせようとしていました。
しかし勝俣が北川を傷つければ、今度は彼自身が加害者になります。北川が復讐によって勝俣へ返した傷を、勝俣が再び北川へ返すことになり、連鎖はさらに続いてしまいます。
勝俣が直面していたのは、北川を許せるかどうかではありませんでした。憎しみと絶望に任せて復讐するのか、それとも傷を抱えたまま別の道を選ぶのか。その分岐点に立たされていたのです。
勝俣はなぜ復讐を思いとどまれたのか
北川への復讐を思いとどまれたのは、夏海と絵梨子が、勝俣の怒りや絶望を否定せず、その先にも人生が続いていると伝えたからです。
夏海は負の連鎖を指摘した
勝俣は北川の胸ぐらをつかみ、カッターを握りながら、「こいつを殺して、俺も死ぬ」と口にしました。
プロサッカー選手になる夢を奪われ、大学や未来からも見放されたことで、自分にはもう何も残っていないと思い込んでいたのです。夏海は、カッターを振るえば勝俣も逮捕されることを伝え、「復讐に復讐で返すの?」と問いかけました。
北川は、勝俣から受けた傷を復讐という形で返しました。しかし勝俣まで北川を傷つければ、被害者だった彼も次の加害者になります。それでは、傷つけられた人が別の誰かを傷つける流れが、もう一度繰り返されるだけです。
絵梨子は勝俣の過去を肯定した
それでも勝俣は、「自分にはもう何もない」と聞く耳を持ちませんでした。サッカーこそが人生のすべてだった彼にとって、選手生命を失うことは、自分の存在価値まで失うことと同じだったのでしょう。
そこで絵梨子は、これまで積み重ねてきた時間まで消えるわけではないと訴えました。勝俣の過去にあったのは、試合に勝った栄光だけではありません。吐くほど苦しかった練習、悔しさ、涙、後悔も含め、そのすべてが彼の人生でした。そして、それらはサッカーができなくなったからといって、なかったことにはなりません。
夏海も、「あなたは終わってなんかない」と繰り返しました。二人は、北川を許すよう求めたわけでも、憎しみを捨てるよう説得したわけでもありません。勝俣が失ったものの大きさを認めたうえで、それでも彼の人生すべてが終わったわけではないと伝えたのです。
最後にカッターを手放したのは勝俣だった
その言葉を受けた勝俣は、握っていたカッターから手を離しました。そして自ら部屋の鍵を開け、カッターを夏海へ渡します。夏海たちが無理やり武器を奪ったのではありません。最後に復讐をやめると決めたのは、勝俣自身でした。
北川が連行された後、勝俣は悔しさを抑えきれずに泣きました。北川への怒りも、夢を奪われた絶望も消えてはいません。それでも夏海と絵梨子がそばにいたことで、憎しみに人生の残りすべてを渡さずに済みました。
勝俣は北川に勝ったのではありません。復讐によって自分まで壊れそうになった瞬間に踏みとどまり、次の加害者になることを拒みました。
夏海と絵梨子は、勝俣を代わりに救ったのではなく、彼が自分の意思で戻るための足場を作ったのです。
痛みを抱いたまま歩くことが被害者支援
勝俣は、北川への復讐を思いとどまったからといって、すぐに立ち直れたわけではありません。
プロサッカー選手になる夢は失われたままであり、北川への憎しみも消えてはいません。過去の自分の言動を反省したとしても、それによって奪われた未来が戻るわけでもありませんでした。
それでも勝俣は、支援センターへ向かうことを決めます。
憎しみを消すことが回復ではない
支援センターの担当者も、憎しみを抱いていること自体を否定しませんでした。大切なのは、すぐに相手を許すことでも、痛みを忘れることでもなく、その感情を抱えながらも前へ進めたことだと伝えます。
被害に遭った人は、傷つく前の自分へ完全に戻れるとは限りません。失ったものをなかったことにはできず、怒りや後悔が長く残ることもあります。
しかし、痛みが消えるまで人生を止めていたら、いつ再び歩き始められるかは分かりません。時間は、気持ちの整理がつくまで待ってはくれないからです。
支援とは再び歩くための足場を作ること
だから被害者支援とは、傷をきれいに治し、元通りにすることではないのでしょう。絶望に打ちひしがれた人が、痛みを抱えたままでも次の一歩を踏み出せるよう、戻るための足場を作ることです。
その足場は、蜘蛛の糸のように細く、すぐには未来が見えないものかもしれません。
夏海と絵梨子も、勝俣の怒りを消したわけではありません。北川を許すよう求めることもなく、ただ、復讐によって自分まで壊れてしまう道だけは選ばないよう支えました。
そして最後に歩き出したのは、勝俣自身です。
「あのとき、止めてくれてありがとう。どんな試合に勝つよりも、自分に勝ててよかったよ」
この言葉は、勝俣が傷を乗り越えたことを意味しているのではありません。傷を抱えたままでも、憎しみだけに人生を支配させず、再び歩くことを選んだということです。
『さよならノワール』第4話が描いた被害者支援とは、痛みを消すことではなく、痛みにその人の未来まですべて奪わせないための支えだったのだと思います。
まとめ|勝俣が勝ったのは復讐心に支配されそうな自分だった
『さよならノワール』第4話で、勝俣陸を襲った実行犯は阪本晶、犯行を指示したのは北川翔太でした。
北川は、かつて勝俣から「用なし」と切り捨てられた傷を抱え続け、その言葉と同じ絶望を勝俣へ返そうとします。
一方の勝俣も、突然未来を奪われた被害者でありながら、過去には北川や未来を傷つけていました。そして犯人が北川だと知ったことで、今度は自分が復讐する側へ回りかけます。しかし、勝俣が北川を傷つければ、同じ連鎖を繰り返すことになります。
夏海と絵梨子は、勝俣の怒りや憎しみを否定せず、北川を許すよう求めることもありませんでした。ただ、復讐によって勝俣自身の人生まで終わらせないよう、戻るための足場を作ります。
そして最後にカッターを手放したのは、勝俣自身でした。勝俣が勝った相手は、北川ではありません。憎しみに支配され、次の加害者になろうとしていた自分です。
夢を失った痛みも、北川への憎しみも消えてはいません。それでも勝俣は、痛みを抱えたまま再び歩くことを選びました。
第4話が描いた被害者支援とは、傷をなかったことにすることではなく、傷にその人の未来まですべて奪わせないための支えだったのだと思います。
