『さよならノワール』第8話では、元衆議院議員の瀧本祐子が講演会後に刃物で手を切られる事件が起きました。
祐子はかつて秘書と反社会勢力との関係を報じられ、議員を辞職していました。その後、再び選挙に挑む祐子は、反社撲滅を公約に掲げます。その矢先に起きた事件でした。
この記事では、祐子と祥仁會の関係や、祐子がなぜ人前で真実を告白したのかを整理しながら、政治家が使う「ご支援」と犯罪被害者支援の違いについても掘り下げます。
第8話3行まとめ
- 元衆議院議員の瀧本祐子が講演会後に襲われ、犯人が祥仁會とつながる店の従業員だと判明する
- 祐子は祥仁會との過去の関係や、2年前に秘書だけの責任としていた説明が嘘だったことを打ち明ける
- 夏海たちの支援を受けた祐子は、トークショーの場で真実を公表し、自ら審判を受ける道を選んだ
第8話あらすじ
元衆議院議員の瀧本祐子が、講演会後に何者かから刃物で手を切られる事件が発生。
祐子は2年前、秘書と反社会勢力との関係を報じられて議員を辞職していた。再び選挙への出馬を目指し、反社撲滅を訴えていたことから、警察は今回の襲撃にも祥仁會が関わっている可能性を探る。
被害者支援を担当することになった夏海と絵梨子だったが、祐子は2人を家政婦や秘書のように扱い、支援を必要としているようには見えなかった。しかし事件への恐怖を隠しながら、祐子は祥仁會との過去の関係についても秘密を抱えていた。
やがて犯人が逮捕され、祥仁會の息がかかった店で働いていたことが判明。そしてトークショー当日、祐子は夏海たちに真実を打ち明け、自ら祥仁會との関係を会場で公表する決断をする。
瀧本祐子はなぜ襲われたのか
講演会後に刃物で手を切られる
瀧本祐子は講演会を終えて会場を出た直後、握手を求めて近づいてきた男に手を切られました。
祐子は2年前、秘書が反社会勢力と関係を持っていたと報じられたことで議員を辞職しています。その後、再び選挙への出馬を目指し、「当選すれば反社の撲滅を必ず実行する」と訴えていました。
その矢先に襲われたことから、警察は祐子に恨みを持つ人物だけでなく、反社会勢力による報復の可能性も視野に入れて捜査を進めます。
祐子自身も、今回の襲撃が祥仁會からの警告ではないかと疑っていました。
犯人・入江力は祥仁會とつながる店の従業員
やがて警察は、祐子を襲った犯人として入江力という男を特定します。
入江は犯行を認めたものの、動機については祐子が「憎たらしい」から襲ったと話すだけでした。
しかし入江が働いていたダーツバーは、祥仁會の息がかかった店でした。
祐子と祥仁會にはどんな関係があったのか
初当選直後に祥仁會の助けを借りていた
祐子と祥仁會の関係は、2年前に始まったものではありませんでした。
祐子が初当選した直後、事務所の家賃問題をめぐって関西系の組員からゆすられたことがあり、その仲裁に入ったのが祥仁會でした。
当時の祐子は助けてもらったと考えていましたが、今回振り返って「今から思えば罠だった」と話しています。
困っているところへ手を差し伸べ、恩を作る。祐子はこの時点ですでに、祥仁會との関係を持ってしまっていました。
2年前には票集めの援助を持ちかけられた
その後、祥仁會は祐子に選挙の票集めを援助したいと持ちかけます。
祐子の秘書だった畑中は申し出を断りましたが、その接触が週刊誌へリークされ、祐子は議員を辞職することになりました。
祥仁會は政治家との関係を、その後も利用しようとしていたことが分かります。
秘書が勝手に接触したという説明は嘘だった
当時、祐子は祥仁會との関係について、秘書が反社会勢力とは知らずに接触したと説明していました。
しかし実際には、祐子自身が以前から祥仁會との関係を持っていました。
祐子は祥仁會との過去を隠したまま、説明していたことになります。
祐子はなぜ祥仁會との関係を告白したのか
畑中は祐子が嘘を続けることに耐えられなかった
祐子の秘書を30年間務めてきた畑中は、今回の事件後に辞職を申し出ました。
きっかけとなったのは、祐子が祥仁會との過去について警察に話そうとしなかったことです。
畑中は祐子に「あなたが国民のために、働ける人だと信じていた」と伝えます。
祐子の毒舌や強引さを批判されても支えてきた畑中でしたが、「これ以上、嘘を続ける姿を見たくありません」と告げて去りました。
畑中が離れたことで祐子は、長年自分を支えてきた唯一ともいえる人物まで失うことになります。
祐子は祥仁會を拒絶したものの死への恐怖を抱えていた
その後、不二から電話を受けた祐子は、「もうあなた方に頼るつもりはありません」と申し出を拒絶します。
祥仁會との関係を断ち切ろうとする意思は固まっていました。
しかし不二から「今度は殺されるかもな」と告げられたことで、祐子の恐怖はさらに強まります。
トークショー当日、祐子は祥仁會の組員が会場にいることを知り、本番直前には手を震わせながら「私、殺されるかもしれない」と本音を漏らしました。
それまで強気な態度を崩さなかった祐子も、本当は事件を恐れていました。
夏海は「逃げても逃げなくても間違いじゃない」と伝えた
祐子は祥仁會との過去を夏海と絵梨子に打ち明けると、「今出ていってもろくな話ができない」「逃げ出したい」と弱音を吐きます。
しかし同時に、ここで逃げれば「二度と浮かび上がれない」とも考えていました。
そんな祐子に対して、夏海は真実を話すよう説得したわけではありません。
「逃げるならお付き合いしますよ」と伝えたうえで、「逃げても逃げなくても、どちらでも間違いじゃない」と選択を委ねました。
支援する側が正しいと思う答えへ祐子を導くのではなく、どちらを選んでも寄り添う姿勢を示したのです。
祐子は自分で真実を話す道を選んだ
夏海の言葉を受けた祐子は、「どうせ負けるなら……行くわ。それが私よね」と立ち上がります。
そしてトークショーの壇上で、初当選直後から祥仁會に助けてもらっていたこと、2年前に秘書だけの問題として説明したのは嘘だったことを自ら明かしました。
さらに、これから警察の捜査に協力し、すべてを開示したうえで有権者の審判を受けると宣言します。
真実を公表すれば、議員へ返り咲く道がさらに厳しくなる可能性もあります。
それでも祐子は、祥仁會との関係を隠したまま政治家へ戻るのではなく、自分の口で真実を話してから判断を仰ぐ道を選びました。
畑中が最後に戻ってきた理由
トークショーを終えた祐子のもとへ、畑中が再び現れます。
警察から事情を聞きたいと言われた祐子に対し、畑中は「私が同行します」と申し出ました。
畑中が離れたのは、祐子そのものを見限ったからではありません。
祥仁會との関係を隠し、嘘を続ける祐子をこれ以上支えることができなかったからです。
だからこそ祐子が壇上で真実を語ったことで、畑中も再びそばに立つことができました。
祐子が祥仁會との関係を告白したことで取り戻したのは、政治家としての信用だけではありません。30年間そばにいた畑中との信頼も、そこからようやく修復され始めたのです。
祥仁會はどこまで表社会に入り込んでいるのか
政治家に恩を売り票集めまで申し出る
第8話で見えてきたのは、祥仁會が単に裏社会で活動する暴力団ではなく、表社会にもかなり深く入り込んでいる可能性です。
困っている政治家を助け、その見返りとして関係を作る。祐子自身も、祥仁會が政治家に恩を売っておけば後で役に立つことを知っていると話していました。
暴力で従わせるだけではなく、相手が困った時に手を差し伸べることで関係を作るのが、祥仁會のやり方の1つなのでしょう。
不二には週刊誌の「子飼いの記者」がいる
今回、不二は祐子に対して、週刊誌に「子飼いの記者」がいることまで明かしています。
その記者を使えば、祐子を持ち上げる記事を書かせることもできるというのです。
これまで祥仁會は警察や他の暴力団との関係を中心に描かれてきましたが、第8話では政治だけでなく、マスコミにも人脈を持っていることが示されました。
票を集めることができ、世論を動かす記事にも影響を与えられるのだとすれば、その力は裏社会の中だけでは収まりません。
山崎失踪事件にもつながっている可能性はあるのか
ここで気になるのが、これまで物語を通して描かれてきた山崎の失踪です。
山崎は失踪する直前、夏海に「信用できるのはお前だけだ」と連絡していました。
その後、山崎の失踪は本部が扱うことになり、西池袋署の人間には関わらないよう指示が出ています。
一方、不二はこれまで何度も山崎の消息を気にするような発言をしてきました。
現時点では、山崎の失踪と祥仁會が直接つながっている証拠はありません。
ただ、今回の話で祥仁會が政治家や週刊誌にまで人脈を持っていることが分かった以上、警察内部にも何らかのつながりがあったとしても不思議ではなくなってきました。
もし山崎がそうした関係を探っていたのだとすれば、失踪直前に夏海だけを信用しようとした理由も、また違って見えてきます。
祥仁會はなぜ不気味なのか
今回の祥仁會について、不二が祐子を襲うよう直接命じる場面は描かれていません。
入江も、祥仁會から指示されたとは自白していません。
それでも、入江が祥仁會の息がかかった店で働いていたこと、不二が事件後に祐子へ助けを申し出たこと、トークショーに組員が姿を見せたことが重ねられています。
さらに、その組員は祐子が祥仁會との関係を公表すると、何も言わずに何度か頷いて会場を去りました。
はっきりと説明されなくても、視聴者には祥仁會の影があると分かるように作られています。
相手を直接脅さなくても、存在を見せるだけで恐怖を与えられる。
政治家には恩を売り、週刊誌にも人脈を持ち、必要であれば表社会の人間を動かすこともできる。
第8話は、祥仁會がこれまで思っていた以上に広い場所へ手を伸ばしている組織なのではないかと感じさせる回でもありました。
コラム|「ご支援よろしくお願いします」と被害者支援は何が違うのか
絵梨子が考える支援は「対等な立場からの後押し」
祐子の態度を見た絵梨子は、政治家が使う「支援」という言葉に違和感を抱きます。
絵梨子が考える支援とは、困っている人を一方的に助けることではありません。
本人が持っている力を発揮できるように、対等な立場から後押しするものです。
そのため、献金や投票を受け取る政治家の「ご支援」と、犯罪被害者支援では、同じ言葉でも意味がまったく違うと感じていました。
夏海の支援は本人の選択を待つことも含まれる
一方、夏海の支援は、絵梨子よりもさらに相手の選択を待つことを重視しています。
祐子がトークショーへの出演を続けようとした時も、夏海は無理に止めようとはしませんでした。
相手が何を望んでいるのかを受け止め、その都度そばにいる。
そして本人が決めるまで待つことも、夏海にとっては支援の1つなのでしょう。
これは第1話から夏海が繰り返してきた、「歩きたくない人を無理やり歩かせない」という姿勢にもつながっています。
祐子にとって支援は自分のために力を貸してもらうことだった
対して、祐子が最初に考えていた「支援」は、夏海や絵梨子の考えるものとは大きく異なっていました。
政治家にとっての支援とは、票を入れてもらったり、献金してもらったり、自分の活動のために力を貸してもらうことです。
その感覚のまま被害者支援を受けた祐子は、夏海たちを家政婦や秘書のように扱いました。
自分が困っているのだから、必要なことをしてもらう。
祐子にとって「支援される」ということは、最初はその程度の意味だったのだと思われます。
夏海たちは祐子を「正しい方向」へ導かなかった
しかし夏海たちは、祐子に何が正しいのかを教えたわけではありません。
祥仁會との関係を公表するよう説得したわけでも、トークショーへ出るよう背中を押したわけでもありませんでした。
本番直前、恐怖から逃げ出したいと話す祐子に対して、夏海は「逃げるならお付き合いしますよ」と答えます。
さらに、逃げても逃げなくても、どちらでも間違いではないと伝えました。
支援する側が答えを決めるのではなく、祐子自身が選べる状態まで付き合う。
その結果として、祐子は自分から舞台へ向かい、祥仁會との関係を告白しました。
最後の「ご支援、ありがとう」で言葉の意味が変わった
トークショーへ向かう直前、祐子は夏海と絵梨子に「ご支援、ありがとう」と告げます。
政治家として何度も使ってきたであろう「ご支援」という言葉です。
しかしこの時の祐子は、票や献金を求めていたわけではありません。
自分の代わりに何かをしてもらったことへの感謝でもありません。
怖くて逃げたい気持ちも含めて受け止められ、それでも最後は自分で選ばせてもらった。
祐子は被害者として支援される側になったことで、それまでとは違う「支援」を知ったのでしょう。
もちろん、絵梨子と夏海の支援に対する考え方も同じではありません。
だから第8話が示したのは、「支援とはこうあるべき」という一つの答えではなく、相手に何かを与えることだけが支援ではないということなのだと思います。
第8話で残された謎
祥仁會は警察内部にもつながりを持っているのか
第8話では、祥仁會が政治家に恩を売り、票集めを申し出るだけでなく、週刊誌にも「子飼いの記者」を持っていることが明らかになりました。
ここまで表社会に人脈を持っているとなると、警察内部にも何らかのつながりがあるのではないかという疑いが浮かびます。
山崎は失踪直前、夏海に「信用できるのはお前だけだ」と連絡していました。その後、山崎の失踪は本部が扱うことになり、西池袋署には関わらないよう指示が出ています。
現時点で祥仁會と警察内部のつながりを示す証拠はありません。
しかし、山崎が何を知り、なぜ夏海だけを信用しようとしたのか。その答えに祥仁會が関わっている可能性は、今回の話によって以前より気になるものになりました。
五十畑と鴨居が意味ありげに見つめ合った理由は何なのか
ラストでは、絵梨子に誘われて五十畑の講演会を訪れた鴨居が、五十畑と意味ありげに視線を交わしました。
2人が以前から面識を持っているのか、それとも互いに何かを察しただけなのかは明かされていません。
鴨居についてはこれまでにも、五十畑がかつて加害者の人権問題に取り組んでいたことへ妙に反応したり、家族について尋ねられる場面が描かれてきました。
第8話では答えは示されず、2人の視線だけを残して終了しています。
鴨居が抱えている過去と五十畑にどのような接点があるのか、次回以降で明らかになりそうです。
まとめ|相手に答えを押しつけないことも「支援」
第8話では、祐子と祥仁會の関係が明らかになる一方で、「支援」とは何をすることなのかも改めて描かれました。
絵梨子は、本人が力を発揮できるよう対等な立場から、後押しすることを支援だと考えています。一方の夏海は、相手がどうするかを決めるまで待ち、その選択を受け止めることも支援だと考えていました。
祐子が逃げたいと弱音を吐いた時も、夏海は真実を話すよう説得するのではなく、「逃げても逃げなくても、どちらでも間違いじゃない」と伝えます。
そのうえで祐子は、自分の意思で壇上に立ち、祥仁會との関係を公表しました。
相手の代わりに答えを出すのではなく、本人が自分で答えを選べるようそばにいる。
政治家として何度も「ご支援」という言葉を使ってきた祐子が、最後に「ご支援、ありがとう」と口にしたことが印象に残る第8話でした。
