【相棒シーズン22】6話「名探偵と眠り姫」のネタバレと感想をまとめています。
17年前に起きた誘拐事件について、右京のもとに真相を究明するようメッセージが届く。捜査に乗り出した右京が話を聞きに行こうとすると、失踪騒ぎが起きていた。防犯カメラに映っていたのはマーロウ矢木で……。
【相棒22】6話のあらすじ
警視庁の情報提供フォーラムから、杉下右京(水谷豊)宛に「『眠り姫事件』の犯人は殺された。至急真相を解明されたし」というメッセージが届く。
『眠り姫事件』とは17年前に起きた、老舗百貨店の蔵本屋の孫娘で当時5歳だった蔵本里紗(潤花)が誘拐された事件で、人質救出後に犯人の水田仁(多田昌史)が遺体で発見されて幕引きを迎えていた。
右京は亀山薫(寺脇康文)と共に捜査を開始する。関係者への聞き込みをしにホテルに向かった2人だが、里紗が忽然と姿を消したと騒ぎになっていた。
父親の蔵本慎吾(佐伯新)は慌てた様子もなく、本人から無事を伝える連絡があったという。右京が防犯カメラ映像を確認したところ、見覚えのある格好をした男の姿が映っていた。
2人はチャンドラー探偵社に行き、マーロウ矢木こと矢木明(高橋克実)に話を聞くが、とぼけて答えようとしない。そこで尾行をするがうまく巻かれてしまった。
里紗はいったいどこへ消えたのか?右京の推理が17年前の事件の真相を明らかにする。
【相棒22】6話の見逃し配信
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【相棒22】6話のネタバレ
17年前の事件
矢木に巻かれてしまった杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、改めてもう一度17年前に起きた『眠り姫事件』を洗う事にした。
蔵本里紗(潤花)が連れ去られたのは、バレエ教室の帰りだった。普段は家政婦か運転手が送迎をしていたが、この日は水田仁(多田昌史)が彼女を迎えに来た。車に乗せられた里紗は、睡眠薬入りジュースを飲まされて眠らされてしまう。そして近所の廃ビルに監禁された。
家政婦の瀬戸路子(和泉ちぬ)が警察に通報するが、当時運転手だった今井慎吾(佐伯新)が瀬戸から連絡を受けて近所を捜索する。やがて廃ビルの前で見慣れない車が停まっているのを発見し、建物内を捜索したところ、囚われていた里紗を救出した。
その後、現場に駆けつけた捜査員が、水田の遺体を発見する。死因は転落死で遺体のそばに身代金要求書が落ちていたため、誘拐犯本人と断定した。水田は蔵本屋の元従業員で、事件の2ヶ月前に使い込みがバレて解雇されていた。
里紗の母親の蔵本歩美は当時シングルマザーだったが、運転手が後に歩美の再婚相手となった。蔵本慎吾と里紗は実の親子ではなく、歩美の連れ子だった。
関係者への聴取
右京は当時から現在も勤めている家政婦の瀬戸路子に話を聞きに行く。歩美は3年前に亡くなり、里紗はあの事件以来、外出を恐れて家に引きこもるようになったという。
そんな里紗がなぜ今回婚約をすることになったのか、疑問に思った右京は父親の慎吾に話を聞く。蔵本屋の跡取りのため、社長の蔵本幸次郎(花王おさむ)の意向でそうなったという。長男の啓介(石田登星)は独身だし、婚約相手の黒崎潤也(三浦大和)は老舗和菓子店の黒崎堂の息子なので、相手として申し分なかった。幸次郎はこの縁談が決まれば、慎吾を次期社長にすると言っていた。
しかし、1週間ほど前、婚約相手の店に挨拶に行った里紗が、体調を崩してしまう。里紗は誘拐犯の声が聞こえると言い、ひどく怯えていた。右京が最後に矢木の写真を見せるが、慎吾は知らないと言った。
次に長男の啓介に話を聞くと、婚約をあまり好ましく思っていないようだった。17年前に慎吾が里紗を助けたということも怪しいと感じていた。1人で監禁場所を見つけるなんて出来すぎている、慎吾と水田はグルなのではないかと考えていた。
右京たちは水田を知る蔵本屋の重役(菅野久夫)に話を聞きに行くことにした。水田は倉庫作業中のケガにより、腕が肩より上がらなくなってしまい営業に異動した。17年前の事件の2日前に水田を訪ねて来た男がいた。その人物はハットを被りコートを着ていたという。右京たちはすぐに矢木明(高橋克実)ではないかと思った。
矢木に迫る危機
ある晩、矢木は1人で港の倉庫へ向かう。誰かと待ち合わせをしているようで、周囲を見回しているといきなり背後から何者かに頭を殴られてしまう。その場で倒れこんだ矢木が次に目を覚ましたのは病院だった。
伊丹憲一(川原和久)たちが見守る中、目を覚ました矢木は驚く。するとそこにサラリーマンに扮した亀山がやってきた。あの晩、亀山は矢木を尾行していた。以前巻かれたことがあったので、スーツを着てサラリーマン風の格好でつけていた。すると矢木が襲われたのを目撃し、亀山は急いで病院に矢木を運んだ。
犯人や誰に呼び出されたのかをきいても矢木は一切答えなかった。右京が17年前に水田のことを探っていた理由をきいても、やはり矢木は何も答えなかった。
そこで右京たちは矢木の所持品を鑑識で確認することにした。亀山は矢木が紙を持っていたことを覚えていたが、所持品の中には見当たらない。矢木の帽子に目を留めた右京が、内側を探ってみるとそこに折りたたまれた紙がはさまっていた。
脅迫
メモを読んだ右京はあるバーに矢木を呼び出す。やがて慎吾も遅れてやってきた。右京は2人が昔からこのバーの常連だったと分かっていた。なぜなら、慎吾の家にこの店の周年記念で常連に配った、グラスがあったことに気付いていたからだ。
紙にはスマホのメール画面が印刷されていた。『17年前の父親の罪をバラされたくなければ、この場所に1人で来い』と地図が添えられていた。このメールは里紗に届いたものだった。矢木は里紗の代わりに倉庫へ行って襲われたのだった。
17年前、慎吾は何らかの秘密を抱えていた。ここに来てそれをネタに里紗が脅迫されたので、安全な場所に匿うため失踪を装ったのだろうと右京は読んでいた。
矢木と慎吾は観念して2人の出会いから話を始める。2人が出会ったのは誘拐事件の少し前だった。探偵小説好きの2人はすぐに意気投合し、度々バーで飲む間柄になった。だが実際は矢木は幸次郎に雇われ、慎吾の身辺調査をするために近付いた。幸次郎は矢木の働きぶりを認め、社員として身近に置くために、素の人間性を探って欲しいと矢木に依頼していた。慎吾は薄々そのことに感づいてはいたが、矢木との日々は楽しかった。
ちょうどその頃、水田が慎吾の前に現れる。歩美の別れた夫が里紗を取り戻すと脅していると水田は話す。それを聞いた慎吾は自分にも何かできないかとたずねると、護衛をつけるから里紗の生活パターンを教えて欲しいと言われ、疑う事もなく慎吾は水谷教えた。
だがその結果、里紗が誘拐されてしまう。それを知った慎吾は、矢木に電話をかけて水田の事を何か知らないかときいた。なぜなら自分の事を調べていたのだから、水田の事も調べていて、居場所のあてがあるのではないかと思ったからだった。
矢木から話を聞いた慎吾は、廃ビルに監禁されていた里紗を発見する。その時、水田かと思って人影に声をかけるが、相手は何も答えずに廃材を投げてきたので逃げ出した。その後、犯人が死体で発見されたと聞いた慎吾は驚いた。
17年間抱えた罪
慎吾は自分のせいで里紗が危ない目にあったと思い、またそのことから目を背けてきたと自責していた。「それが私の犯した罪。17年間、抱えた秘密です」と告白する。矢木は事件直後に話を聞いていたが、秘密を守るために口裏を合わせていたが、里紗に真実を話すよう、説得もしていた。
だが、慎吾は真実を話す事ができなかった。家に引きこもる里紗を見るのも辛く、必死に働いて蔵本家にこの身を捧げようと考えた。しかし事はうまくいかず、結果的に最悪な形で里紗に伝わった。
3日前、最初の脅迫メールが里紗に届いた。『お前の父親は眠り姫事件で、犯人に情報を流した。公表されたくなければ婚約を中止しろ』と書かれていた。
さらに婚約パーティー当日の朝に『従わなければお前を殺す』と届いた。里紗は父に相談し、矢木をすぐ呼んだ。身内が関わっている可能性が高いため、警察を呼んで刺激するのもためらい、里紗だけをなんとか連れ出そうと2人は考えた。
右京は2人の話を聞いていてある疑念が浮かぶ。それはビルで廃材を投げられたということだった。水田はケガによって腕が肩より上には上がらないはずなので、慎吾が見た人影は水田ではなく脅迫者だろうと推理する。
里紗に話を聞こうと右京が告げると、矢木は右京たちを里紗の元へ連れて行く。匿われていた里紗に以前、誘拐犯の声が聞こえた時のことをたずねると、誘拐犯ともう1人の男性が争う声が聞こえたという。誘拐犯が自殺でないとなれば、父が怪しいと思った里紗は記憶が甦ったと言えなかった。
甦った切欠は里紗自身もよく分からなかった。ただ、黒崎堂に挨拶に行った時、急にふらっと思い出したという。それも厨房を覗いた時に気分が悪くなったという。右京は里紗が来た時も、厨房でよもぎを煮ていたかどうか、婚約者の潤也に話を聞く。確かに煮ていたという話を聞いた右京は、全てが繋がった。
事件の真相
矢木は蔵本家に関係者全員を集める。匿われていた里紗もその場に連れて来た。まず里紗が脅迫を受けていた話をし、慎吾が17年前に誘拐犯に情報を流していたことを告白した。つまり、脅迫犯は17年前の誘拐現場にいた人物であり、水田を殺害したのもその人物だと矢木は話す。
里紗が記憶を思い出したのは、煮ていたよもぎが原因だった。矢木から説明を引き継いだ右京が、犯人は黒崎弘(諏訪太朗)だと明かした。
17年前、蔵本屋は黒崎堂との取引を大幅に減らしていた。水田は蔵本屋にいたころ、黒崎堂の営業担当だった。その後、解雇された水田も蔵本屋を恨んでいた。恨みを持つ2人で誘拐の計画を立てた。
水田の遺体のそばにあった身代金要求書には、汚れが付着していた。その中からよもぎの成分が検出されていた。黒崎堂の草餅にはよもぎの他に、数種類のハーブが混ぜ込まれている独自のものだった。
里紗が記憶を甦らせたのを勘付いた弘は、なんとか里紗を遠ざけようと思い、脅迫メールを送って婚約を中止させようとした。その後、里紗を呼び出して殺害しようとしたが、現場に行った矢木が代わりに襲われた。矢木を襲った犯人も弘だった。
17年前の誘拐現場に弘がやってきた時、手によもぎがついていた。里紗の鼻先に指をやり、息があるかを確認した。水田に手を引くと弘が言うと、水田はもう共犯だと言い「お前も道連れにしてやるよ。どこにも逃がさねえからな」とキレる。
窓辺に水田が近付いたのを見た弘は、後ろから押して突き落とした。そして脅迫状を素手で持ち、水田の遺体のそばに落とした。そこへ慎吾がやってきたのを知り、焦った黒崎は廃材を投げて追いやった。
そのうち自分の声を思い出すのではないかと、弘は不安だった。200年続いた老舗を自分の代で潰す恐怖に怯えていた弘は、店を守るためだったと動機を告白する。それを聞いた幸次郎と取っ組み合いになり、慎吾が割って入って止めると啓介が慎吾を罵る。見かねた亀山がいい加減にしろと割って入った。
右京は「200年続いた老舗を潰す恐怖。そんなものが、人を殺していい理由にはなりませんよ!」と恫喝した。そして「あなた方が案ずるべきは、家の歴史でも名誉でもない。傷つけられた里紗さんの心です」と言い、里紗は慎吾に「ありがとう。お父さん」と感謝した。
【相棒22】6話の結末
矢木と一緒に右京たちは歩きながら話をする。特命係に隠し事をするのは大変なので、二度とごめんだとぼやく矢木。右京は1つ知りたい事があった。それは情報提供を送ったのは誰なのかということだった。事件を解決した今思うと、恐らく里紗だったのではないか。記憶が戻ったことを隠していた里紗が、一縷の望みをかけて送ったのではないかと矢木にたずねる。
右京たちがやってきた時、情報提供があって来たというの聞いた矢木は、特命係を呼んだのは里紗かとたずねていた。里紗は幼い頃、父が話す名探偵の話を聞くのが大好きだったという。「あなたがマーロウならその方はホームズ。抜群の推理力を誇る、警視庁の名探偵」と矢木に語り、それで右京を指名したという。
右京の予想どおり、情報提供を送ったのは里紗だった。矢木は長年眠っていた我々の友情も甦ったので、彼女には感謝していると笑った。
【相棒22】6話のまとめと感想
かつて誘拐された娘が脅迫を受けたことで、父は矢木を呼び、娘は右京を呼んで事件を解決したという話でした。
名探偵と名刑事は惹かれあうと、矢木がドラマ内で語ります。長らく登場のなかった矢木ですが、久し振りに登場した回もハードボイルド探偵小説のようでした。
かつて友情を交わした相手が、実は大きな秘密を抱えていて、その秘密を矢木も隠し続けます。しかし、それが原因で娘が脅迫されてしまい、娘は父がよく語っていた名探偵のような刑事を思い出します。それが右京さんでした。
父親は自分のせいで娘が誘拐されたと自責していましたが、よくよく考えると水田が騙したわけで、そんなに責任がない気もします。
ですが、そういう時に自責するような人物だからこそ、社長から信頼も寄せられていたのだろうし、矢木との友情も続いたのかもしれません。確かに何か失敗した時にすぐに他人のせいにする人とは、仕事も一緒にしたくないですし、友人にもなりたくないです。
あの後、里紗は婚約したのか。何気に潤也もかわいそうな話です。
映像として見るといつもの相棒なのですが、話はかなり探偵小説っぽく作られています。この回は映像で見るより本で読んだほうが、より雰囲気を感じられる回なのではないかと思いました。