2023年11月11日に放送された【世にも奇妙な物語’23秋の特別編】全4話のキャストとネタバレ感想をまとめています。
今回は「永遠のふたり」「地獄で冤罪」「走馬灯のセトリは考えておいて」「トランジスタ技術の圧縮」の4話構成となります。
第1話「永遠のふたり」
キャストとスタッフ
- 坂本一…草彅剛
ヤマモト研究所の助教授 - 二宮康孝…江口洋介
県警の警部 - 三田隊長…姜暢雄
警察特殊部隊の隊長 - 安藤リカ…大西礼芳
山本教授の秘書 - 山本教授…久田幸宏
ヤマモト研究所の教授 - 白髪の老人…モロ師岡
- 隊員１…村井崇記
- スーパーの店員…蓜島邦明
- 脚本・演出：星護
あらすじ
研究所は警察に取り囲まれていた。助教授の坂本一（草彅剛）は、完全に犯人扱いされていた。教授を殺害し人質として教授の秘書である、安藤リカ（大西礼芳）を人質に取って立てこもっていると思われていた。
やがて警察は突入の判断を下す。この状況を打破するため、坂本は自分が作った装置へ向かう。このボタンを押したらどうなってしまうのか、その結果は……？
ネタバレ
坂本一（草彅剛）は銃を手にしていた。説得しようと入った警官の銃を奪ったと、特殊部隊とこう着状態の続く中、隊長の三田（姜暢雄）が遅れてやってきた二宮康孝（江口洋介）に状況を説明する。突入したくとも人質がいると言い、警察はしばらく様子をうかがっていた。
その頃、坂本は自分がやったのではない、と教授の秘書の安藤リカ（大西礼芳）に言う。山本教授は自殺であり、坂本が殺害したわけではなかった。時間理論を考えたのは坂本だったのに、王立アカデミーはろくに調べもせず、山本教授（久田幸宏）が考えたことにしてしまう。その結果、サカモト理論ではなく、ヤマモト理論にして教授が受賞してしまった。
警察は自分を犯人扱いするし、アカデミーは教授を受賞させてしまう。苛立ちが募る坂本はこのままいくと、恋人のリカとの仲も裂かれてしまうことを恐れた。
警察が内部の様子をカメラで探り、突入を決断する。追い詰められた坂本は時間停止装置の前に行って、スマホで撮影しながらボタンに手をかける。そして押した瞬間、衝撃波のようなものが広がった。
突入した警察が室内を捜すが2人の姿が見当たらない。隊員の一人が地下にあったベッドの上に、白骨遺体が2つあるのを発見する。一体どういうことなのか、二宮が驚いているところに坂本のスマホが見つかり、充電をした後に中にあった動画を再生する。
ボタンを押した後、全ての時が止まり、坂本とリカだけが自由に動いていた。「誰も僕たちを捕まえることはできない」と言う坂本は、リカと一緒に逃げていく。坂本たちは時の挟間に逃げ込んだのだ。
「このまま時間を止めておこう、永遠に」と坂本は思い、無実を晴らすこともやがてどうでもよくなった。愛するリカと静止した時間の中で、教会に行って静止したままの神父の前で結婚式を挙げる。永遠に夕方の時が止まった世界で、2人は生きていくことにした。
その後、リカの具合が悪くなってしまうが、医者にかかれず薬を飲ますことしかできない。やがてリカは亡くなってしまう。坂本はリカを失った途端、殺されたようなものだと忘れていた恨みを募らせる。「僕の理論を認めず、僕の無実を信じなかった世界が憎い。この先何十年たっても1人だ、憎い、復讐だ」と坂本は一心不乱に研究に打ち込んだ。時がたち年老いた坂本は、白骨遺体となったリカを見つめていた。
あの白骨遺体は容疑者たちだったのかと、二宮が動画を見ていて気付く。坂本はタイマーをセットしていて、やがてボタンが自動で戻り、時が動き出すと動画内で説明していた。
二宮はフェイク動画だと言って信じようとしなかった。しかし坂本は「バッテリーが切れる前に最後に一つ言っておこう。僕はこの時の止まった世界で、一生をかけてある物をつくる」と動画内で語る。
すると建物の屋根に知らぬ間にできた大きな装置から、ビームが発射され辺り一面が火の海になる。「時を止めていた分、たまった膨大なエネルギーを一気に解き放ち…」と坂本の動画は続いていた。
逃げ惑う警察隊員たちを尻目に、装置からビームは発射され続ける。二宮は何かをひらめいて建物内に戻り、時間停止装置の前にやってきた。ボタンを押そうか迷う二宮だが、破壊が広がり続けているのを見て決断する。
ボタンを押した瞬間、再び時は静止した。外に出ると二宮以外はみんな静止したままで、声をかけても何の反応もない。「俺だけ？どうしよう…」と困惑する二宮。「お～い！お～い！」と呼びかける二宮の声が空しくこだました。
感想とまとめ
シュールな話でブラックなオチがついて終わります。
名前が坂本“一”、“二”宮、“三”田なので、坂本で始まって二宮に繋がり、恐らく二宮が死んだ後は三田が今度は時を止めるのかもしれないと想像したくなる話です。
止めたはいいもののちゃんと装置を破壊しておかないと、またエネルギーが溜まってさらなる破壊が繰り返されます。二宮には一生をかけて、装置の破壊をしてもらうことになりそうです。くれぐれも時間停止装置のボタンを、もう一度押すのも忘れずにいて欲しいです。
第2話「地獄で冤罪」
キャストとスタッフ
- 山根航平…北村一輝
山根法律事務所の弁護士 - 田島勲…アキラ100％
ノンフィクションライター、三雲死刑囚の支援団体代表を務める - 三雲一郎（声）…花江夏樹
一家3人強盗殺人事件の死刑囚 - 長沼拓也…鈴之助
首に入れ墨がある謎の男 - 三雲道夫…小須田康人
一郎の父 - 三雲妙子…船木幸
一郎の母 - 山根佳代…田山由起
航平の娘 - 山根千佳子…西村皐
航平の妻 - 店主…田中英樹
- アナウンサー…佐々木恭子（フジテレビアナウンサー）
- 脚本：辻野正樹
- 演出：松木創
あらすじ
山根航平（北村一輝）は何者かに追われている夢を見ていた。目を覚ますと今度はドアを叩く音が聞こえてくる。誰もいないはずの事務所なのにと怯えていると、三雲一郎（花江夏樹）という人物が「助けてください」と呼びかける。
恐る恐るドアを開けてみても誰もいない。山根は恐ろしくなって事務所を出て帰ろうとした。すると今度は事務所のドアを叩く音が聞こえる。開けてみるとやはり誰もいなかった。
男の姿は見えないが声は聞こえてくる。弁護を引き受けて欲しい、無実だ冤罪だと訴えてきた。姿が見えない理由は、自分ががいるのは地獄だからだと言うが……。
ネタバレ
困惑しながら山根航平（北村一輝）はラーメン屋で食事をしていた。三雲一郎（花江夏樹）は2015年に一家3人殺害事件で捕まった死刑囚だった。店のテレビで三雲が死刑執行されたと報じていた。三雲は裁判のやり直しを求めていたという。
山根が会計をしようとすると、再びノックの音がする。三雲の声がまた聞こえてきた。生きている時に無実の罪で死刑になり、地獄に送られたという。そして今は地獄の裁判を受けることになり、無実が証明できなければ永遠に地獄から出られないと訴えてきた。弁護を引き受けてくれと迫る三雲だが、山根は他を当たれと言って断り続けた。
逃げるようにタクシーに乗った山根だが、今度はタクシーをノックする音がする。山根は運転手に何か言おうとするが、三雲は運転手には聞こえてないから無駄だという。諦めて三雲の話を聞くと、両親を呼んで証人尋問をやってくれないかと頼んできた。山根が断ると「グリスには会えなかった」と父か母に伝えて欲しいと言って来た。
朝、街頭で三雲道夫（小須田康人）と妙子の2人が支援者たちと一緒に、三雲の再審請求を訴えていた。山根が通りがかりに見ていると、道夫が近付いてきたので「グリスってわかりますか？」とたずねる。すると横から別の支援者がやってきて、弁護士の山根先生だと声をかけてきた。山根は医療過誤の裁判で勝訴した有名な弁護士だった。
逃げるようにその場から離れる山根だが、追いかけてきた道夫が「グリスってもしかして、猫のグリスのことですか？」と言って来た。グリスは何年か前に死んでしまい、息子は自分が死刑になったらグリスに会えると言っていたという。
山根は場所を変えて三雲の両親と話すことにした。戸惑いながら地獄の裁判の話をする山根を、両親は全く疑いもせず魂を救えるなら何でもすると協力を申し出た。
そこで山根は三雲が逮捕された経緯を聞きだす。三雲は被害者と居酒屋でビールがかかった、かかってないと口論になった。怒りが収まらない三雲が被害者の後をつけて家に入り込み、事件を起こしたということになっているが、両親は信じられなかった。
両親は事件が起こった時刻に、現場を通りかかったドライブレコーダーの映像を、支援者伝いで入手したという。再生してみると、首に入れ墨をした男が映っていた。
事務所に戻った山根のもとに、三雲がノックをしてやってきた。裁判は3日後に決まったという。
後日、事務所に両親を呼び寄せ、しばらく待っているとノックの音がして三雲の声が聞こえてきた。両親にも聞こえていた。証人尋問を始めて欲しいという三雲に応じて、山根は言われるままに始める。
そこに助手が慌ててやってきて、新しい情報提供があったという。それは事件の日、現場近くを走っていた別の車のドライブレコーダーだった。映像を見ると入れ墨の男の顔がはっきり写っていた。その男は山根を夢で追いかけていた男だった。
気分が悪くなった山根は今日はここまでにして欲しいと頼み、次回公判は1週間後の同じ時刻となった。
自宅に戻るがいてもたってもいられず、山根は家を出て事件が起きた家を見に行く。以前ここに来たことがあると山根はすぐに察した。さらにあの入れ墨の男がいたのを見つけ、山根は後をつけていく。やがて夢で見た廃墟の中へと後に続いて入っていった。
男の姿はどこにもなく、部屋の真ん中に血まみれの扉が立っていた。裏側に回ってみると、入れ墨の男がいて「久し振りだな」と声をかけてきた。何のことか分からない山根だが、「あの日のことも忘れてるのか？」とさらに問われる。
すると山根はようやく気付く。事件の起きた家から女性の悲鳴が聞こえ、そこから出てきた男の姿を偶然目撃していたことを。「お前が犯人だ！」と男に向かって叫んだ。男は長沼拓也（鈴之助）という人物だった。
三雲の声がし、翌日のニュースを見て、彼が犯人だとピンと来たはずだと山根に聞く。確かにあの日、ニュースを見ていた山根は妻に、変な男を見たと話していた。妻はすぐに警察に届けたほうがいいと勧めていた。
どこからともなく三雲の父母も現れ、どうしてすぐに警察に言ってくれなかったのかと山根を責める。いくつもりだったが、当時いくつも案件を抱えていてと弁解した。
一週間後に息子が逮捕されたニュースを見たはずなのに、その時も何もしなかったではないかと父母はさらに追い詰める。確かにそのニュースを見ていた山根は、妻に自分が見た男と違うと話していた。しかし、仕事で問題が起きてそちらに気を取られて警察に行かなかった。
山根は確かに知らせようと思ったと弁解する。三雲の父は「嘘だ。あんたは嘘つきだ」と非難した。
なぜなら、山根が警察に行こうとした時、ふらりと長沼が現れたので行くのをやめた。それどころか夢で見たように、長沼に追いかけられて廃墟に逃げ込んだ。山根は追い詰められ、警察には何も言っていない。今後も何も言わないと怯えて約束した。
それを聞いた三雲の母は怒り、自分の身を守るために警察に行かなかったのかと責める。三雲の父は警察にさえ言ってくれれば、息子は死刑にならなかったのにと悔やみ「人殺し！あんたは人殺しだ！」と山根の胸倉を掴みながら怒った。
両親を振り払った山根は三雲に向かい、「あんたは無実だ。犯人は長沼だ」と訴えるが反応がない。すると長沼が「三雲さんはもういない。彼は天国へ行った」と言う。自分はやれることはやった、裁判はもう終わりだと言う山根に、長沼は「お前まだわかってないのか。これは、お前の裁判なんだ」と言い出した。
混乱する山根だが長沼はさらに「お前の、地獄の裁判なんだ」と続ける。最近妻と娘と話したかを問われ山根は考えると、話した記憶はなかった。妻と娘はずっとあちらの世界にいると言われても、山根には何のことか分からなかった。実は山根は長沼に追いかけられた後、この廃墟の中で刺されて死んでいた。
実は自分は長沼でなく地獄の裁判官だと正体を現す。三雲の両親は弁護側ではなく、地獄の検察側の証人だった。長沼に殺されてから山根はずっと記憶を失っていた。地獄裁判で記憶を取り戻す必要があったと裁判官は語る。「ここは、地獄です。あなたは地獄にいたんですよ」と裁判官から教えられる。ノックの音だと思っていたのは、実は木槌を叩く音だった。
山根は仕事が忙しくて警察に行けなかったのが、何の罪になるのかと開き直る。裁判官は淡々と「人間が作った法律など、ここでは何の意味もありません」と言って「被告人は、有罪」と判決を下した。
狼狽する山根に構わず「これから地獄で思い罰を受けてもらうことになる。永遠に地獄から出ることは許されない」と裁判官は言い渡した。山根は納得できず「何をしたっていうんだ、罪なんて犯してないよ！」と叫ぶ。裁判官は「何もしないことは、大きな罪です。あなたも分かってますよね」と突き放した。
血まみれの扉が開き「く～る～し～め～」と低い声が響く。三雲の両親が山根を捕まえ、扉の向こうに追いやった。扉が閉まると部屋には何も残っていなかった。
山根の事務所には山根の「誰か弁護士を呼んでくれ！」という叫びと共に、三雲の「冤罪だ！」という叫びがドアの向こうから聞こえていた。
感想とまとめ
ホラー系の話です。真犯人を見ていたのに、自分の事を優先して警察に言わずにいた山根は、いざ言いに行こうと思った時に真犯人に刺されて殺されました。
自分が死んでいることも気付かず、山根は日常を暮らしているように思っていました。しかし、実際は地獄の裁判官が記憶を呼び覚ましていただけでした。山根の地獄裁判だったため、三雲は未だに裁判を待っている状況のようです。
実は山根の裁判だったと分かる瞬間からが面白く、それまでは何が現実なのかよくわからない感じで進みます。いわゆる『シックスセンス』的な展開なのですが、初見だと結構印象に残る話だと思います。
見て見ぬふりをすることは、大きな罪だと地獄の裁判官が言います。誰しも犯しがちな罪だと思いますが、さすがに冤罪を生むのはまずいです。この世で裁けない罪は、あの世で裁かれるかもしれません。身が引き締まる話でした。