【水平線のうた】ネタバレと感想|阿部寛主演の震災ヒューマンドラマ

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【水平線のうた】後編のネタバレ

残る3つの楽譜のうち、チェロの楽譜は見つかるが、フルートの楽譜は見つからなかった。しかし、フルートの演奏者は見つかった。

敏子に残る楽譜を起こしてもらい、音楽祭を開いてはどうかと提案される。さらに、曲に歌詞をつけて歌うよう大林は言われた。

りらは及川を説得してチェロのパートを演奏してもらうことにした。四重奏をするため、大林たちは練習を始める。

会場をどこにするか悩んでいると、佐々木が知人を紹介してくれる。その劇場は慰霊のための場所のようで、そこで開催したいと思った大林は支配人と話し、会場を借りることができた。

敏子の体調が悪化し、演奏会は彼女抜きでやろうとするが、敏子は迎えに来るよう大林に電話する。メンバー全員で迎えに行き、何とか演奏会には間に合った。

作詞した歌を大林が歌った後、四重奏が始まる。曲を聴いた人の中には涙を流す人もいた。妻と娘が会場にやってきた、大林の目には彼女たちが見えた。音楽祭は大成功で終わった。

チェロの楽譜の行方

大林賢次(阿部寛)の妻・早苗(松下奈緒)が残していた楽譜は全部で4つあり、そのうち1つは遠く離れた町に流れ着いていた。残る楽譜はあと3つだった。石巻の漁師である田中剛(渡辺憲吉)に会いに行く。剛の亡くなった息子・隆(藤村俊太郎)は、早苗と一緒に四重奏でチェロを弾く予定だった。四重奏を演奏するための楽譜がないかと見せてもらう。

その時、隆のいとこである谷口明(前原滉)が現れ、酒を勧められるが大林は車なので断る。楽譜が見つかり、さらに生前、隆が演奏していた時の映像も見せてもらう。食事をふるまってもらいながら隆の話を聞くと、明は隆のことを「こうと思ったら、テコでも動かない男だった」と語る。

震災の日、隆は「逃げろ!」と叫んでいたと明は言い、坂道の上からそれを見ていたと話す。隆は年寄りの家に走っていき、そのまま戻らなかったという。明は安室奈美恵しか聴かないが、演奏会の日程を教えてくれと頼んだ。

フルートの楽譜の行方

大林は四重奏でフルートを演奏する予定だった、前田和子の勤め先である市役所で話を聞こうとする。人事課で遺族と連絡を取りたいと話すが、個人情報なので教えられないと断られる。すると、話を聞いていた小林雪乃(キタキマユ)が話しかけてきた。

雪乃によると、和子の家族は母親だけで、母も仮設住宅で亡くなっているという。和子の家も津波で流されてしまい、楽譜もわからないとのこと。和子はどんな人だったか尋ねると、雪乃は「私の課の主任でした。割と融通が効かないタイプで、怖い人だなって思っていたけれど、実はすごい人だった」と答える。

雪乃は震災の日のことを話し始める。市内で会合があったビルで被災した際、和子は後輩を先に屋上に上がらせ、自分は非常用のはしごにつかまっていた。腰まで波が来た時、和子は家族を残していくのは絶対に嫌だったはずなのに、「こんなのなんでもない。仕方ない」って精一杯笑顔を浮かべて流されていったという。

その後、雪乃がフルートを習っていることを話すと、大林は雪乃を誘った

音楽祭を開催

大林はいつもの食堂で阿部りら(キタキマユ)と一緒に食事をしながら、チェロの楽譜が見つかったこと、フルートの楽譜はないが演奏者が見つかったことを話す。ピアノについては菊池先生こと菊池敏子(加藤登紀子)にお願いしようと思ったが、体調があまりよくないため迷っていると伝える。クラリネットはりらがやったらいいと言うと、彼女はメリットがないと断ってしまう。そこで大林は考え込み、いつもの高台で演奏しているチェロを弾く青年・及川皇(中川翼)のところに、りらと一緒に向かう。

りらは彼の演奏と自分たちのレベルの違いに戸惑うが、大林はまるで気にせず話しかける。及川は「人前で演奏できるようなものではない」と断るが、大林は「努力はしたぞ、やってくれるな?」と頼み、りらは渋々応じる

その後、大林たちは敏子のところに向かうと、敏子の体調はだいぶ良さそうだった。敏子はピアノ譜とフルートの譜面を起こしたと言い、クラリネットとチェロの譜面も揃え、これで全てが整ったことを告げる。敏子は音楽祭を開いてはどうかと提案し、「音楽には人を好きな自分に変える力がある。そう思うの」と話す。

「泣きたければ泣けばいい。忘れたければ忘れればいい。思い出に浸っていたければ、思う存分、思い出の中にいればいい。みんなそれぞれが、好きな自分に帰っていける。そういう音楽祭」と語る敏子に、どうすればいいか分からず戸惑う大林。

敏子にピアノを弾いてもらえないかを頼むと、敏子は「死ぬ前にもう一度、ポロンってピアノ弾くのもいいかもね。その代わり、この曲にあなたが詩をつけて、自分で歌いなさい」と言う。突然の話に驚く大林だが、戸惑いながらも引き受けることにした。

王子の悩み

りらは及川に「こないだのおじさんと音楽祭をやります。よかったら、協力してもらえませんか?」と頼みに行く。しかし、及川は「僕は人前で弾けるような人じゃない」と答える。りらは「海が相手なら、あがらずに弾けるということですか?」と聞き返す。

及川は「君は誰にでもそうなの?」と問い、「人の心にずかずかと、土足で入っていくという意味ではそうです」とりらは開き直る。そして、及川は「気づいてたんだ、動かなくなること。東京ではイップスとか、ジストニアとか言われた」と続ける。さらに、「聞きに来ている人たちには悪いけど、背中を向けていれば気にしなくていいかなって」と話す。

楽譜のことは聞いていた及川に対して、りらは「王子みたいな人が演奏すべきだと思う」と語り、イップスが治るかはわからないが、「みんな人のためじゃなくて、自分のために演奏しようとしている。王子も利用しちゃえばいいと思う」と誘う。そして、楽譜を渡す。

「最初にこれを弾こうとしていた人は?」と聞かれると、りらは「消防士だった人だよ。今は海にいるんだって」と答える。すると、りらは「その人、王子の演奏ずっと聞いてたんじゃん、もう運命じゃん」と言う。

1週間後、大林は車に及川とりらを乗せて走っていた。及川は震災の時、9歳で家族と共に仮設住宅に住んでいた。音楽ができない環境を見かねて、東京の親戚が及川だけを引き取ってくれ、それからずっと東京で過ごしていると言う。春にはまた大学に戻るつもりだとも話す。

及川は「震災が人生で一番大きな出来事だと思っていた。でもコロナがあって、北陸の地震があって、この国で生きることが大変なんだとわかってきたんです」と語る。続けて「僕らはずっと…何かの災害…最悪の中で生きているだけなんだって。だから、ここで起きたことも、決して過去にはならないんだって」と感じていることを打ち明けた。

音楽祭にふさわしい場所

4人で集まって音合わせをしたが、うまくいかなかった。大林は敏子に歌詞が進んでいるかを問われると、返事をごまかした。

大林はいつもの食堂で作詞をしていたが、何度も紙を破って捨てていた。常連客の佐々木(菅原大吉)にそれを見せると、歌詞はそういうものではないと言われる。「単純な言葉で、それでいて情景が見えるような…一番大事なのは、人の心をガッとつかむようなものでないと」とアドバイスされる。

会場を探しているが、市民ホールなどは先約があり、借りられない。どこか良い場所を知らないかと尋ねると、渡波に7月にできたばかりの劇場があると紹介してくれた。その劇場の支配人は佐々木が避難所で知り合った人で、渡波は多くの人が亡くなった地区であり、支配人も子供3人を失っていた。その劇場は亡くなった人々の、慰霊のための場所だろうと佐々木が話す。それを聞いた大林は、その劇場でイベントを開催しようと考える

劇場は支配人の遠藤(遠藤伸一)の自宅跡を改装して運営されていた。震災当日、遠藤は親戚を見に行ったがすでに家にいなく、帰路で津波が来て流されてしまった。次の日、家に戻ると家が20メートル離れた場所に流され、そこで母親が次女を抱えていたが、子供はすでに息絶えていた。遠藤は2人を避難所に連れて行った後、長女を見つけることができたが、長男を捜しに行くも見つからず、10日後に自衛隊の人が見つけてくれた。

その劇場は、遠藤にとっては一番幸せな場所だったが、一番悲しい場所になってしまった。遠藤は子供たちの写真を大林に見せ、「津波の中から見つけた写真だった」と語る。長女は13歳、長男は10歳、次女は8歳だった。子供たちが生きた時間以上に、会えない時間が長くなったと話す。時々、夢に子供たちが出てくるという。

劇場を貸して欲しいと話すと、遠藤は「思いがつながってくれれば私も嬉しい」と承諾してくれた。

娘と父の葛藤

りらから電話が入り、「迎えに来て」とだけ言われる。大林が迎えに行くと、りらは「タクシーなんか乗らない」と言って車に乗らない。りらは及川に告白したが、ふられたことを話す。及川には年上の銀座の画廊に勤めている女性が恋人で、その人が音楽祭に来るということで、りらはもう出たくないとごねる。

大林は「花苗が生きていたら、こんなふうだったのかな」とぼやき、りらは「きっとそうだよ。父親が勝手に美化してるだけで、娘なんてみんなこんなもんだ」と言う。ちょうどその時、タクシーから降りてきたところを、りらの父親・阿部一樹(山中崇)に見つかってしまう。大林は父親に謝罪し、音楽祭をするためにはりらが必要だと頼むが、父は許そうとはしなかった

一樹は「自分だけが被害者ではない、りらだって犠牲者だ。気を引きたくて虚言癖になったんだ」と話し、震災がなければ妻と離婚しなかったし、りらがこんなふうになることもなかったと言う。すると、りらと父親の口論が始まり、「自分が苦労したことや、母親の悪口ばかり聞きたくない。こんな家だからいたくない」とりらは怒る。

一樹も思わず、「母親の居場所は知っているし、再婚して子供もいる。成人したら話すということで、話はついていた。でももういい、そんな口きくならお前も大人だ」と言い放つ。りらはその言葉を聞いて黙ったまま、二階の自室に閉じこもる

大林と一樹は一緒に話す。「娘の気持ちはわからない。通じ合えたと思ったら突き放される。親なのにちゃんと傷つく」と語る一樹。大林も「親ってもっと偉いもんだと、思っていましたよね」と同情する。

一樹が大林に娘のことを聞き、大林は答えると同時にりらのことを「まるで自分の娘のように思っていた。いい気になって迷惑をかけた」と謝る。

ピアノなしの演奏

その後、みんなで再び練習をする。りらはあの後、父と話して母に来てもらうことにしたという。もちろん父も来てくれることになった。気持ちにケリがつきそうな気がすると語る。りらは「演奏会の日だけは、その日だけは私の日」と大林に話した。

敏子の具合が悪くなり、大林は敏子が参加できなくなったことをみなに伝え、ピアノなしの演奏を考えていると話す。「おじさんはいいの?」とりらに聞かれると、大林は「命には代えられない」と答える。しかし、りらは「じゃなくて、ピアノのパートは早苗さんのパートでしょ、それが聴きたかったんじゃないの?」と言う。

大林は「レッスンで何度も聞いた。歌うので精一杯で伴奏は聞いてられない」と答え、りらは「そう…」と、それ以上は言わなかった。

演奏会当日、大林は母娘の写真に向かって「不出来な歌詞だけど、精一杯書いた。今日は見守って欲しい、花苗、お父さん。今日は精一杯歌う」と報告する。そして父の遺影には「終わったら海に連れて行く」と約束した。

演奏会には食堂の常連たちや、音楽喫茶の夫妻。チェロを演奏するはずだった田中家の人や、いとこの明など、たくさんの人々が集まってきた。食堂の店主である大谷(山本浩司)が司会を務め、敏子は病院のベッドでその様子をスマホで見ていた

緊張する及川に、りらは「大丈夫、ここ優しい風が吹いている」と声をかける。その時、敏子から電話がかかり、「病院にいますぐ来て、弾くから迎えに来て」と頼まれる。りらは「迎えに行こう。先生も誰かに聴かせたいのかも」と考え、急いでみんなで敏子を迎えに行くことに決める。

車椅子に乗せて敏子を連れて来る大林。看護師の小野寺旬子(松岡依都美)は無断で連れ出すのを見て、あえて何も言わずそのまま見送った。みんなで車に乗り、会場へ急いで向かった。

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【水平線のうた】後編の結末

到着するまでの間、月野(佐々木史帆)が歌って場を繋いでくれた。「タクシードライバーと石巻カルテット」と紹介され、曲が生まれた経緯を話し始める。13年前、自宅で生まれた曲が流され、その後喫茶店にたどりつき、演奏されていた。その曲で育った子が、今、曲を届けてくれたと語る。妻が書き、娘が歌うはずだったその曲を今日演奏することになったのだ。

曲のタイトルは『水平線のうた』だった。敏子のピアノの伴奏だけで大林が歌う。そして歌い終わると四重奏が始まった。曲を聞いて涙を流す人も観客席にはいた。ふと風が吹くと、そこに早苗がピアノを弾いているのが見え、花苗もやってきた。大林は驚きながら涙を流して見ていた。

演奏を終えた後、りらは及川に「引けたじゃん」と声をかけ、及川は「音楽っていいね」と答えた。及川の彼女がやってきて外へ出ていくのを見届ける。寂しげにしているりらの肩を叩く母(上島奈津子)。りらは母に抱きつき、父はその様子を涙を堪えて見ていた

雪乃は前田に対して、「助けてくれてありがとうございました」と改めて礼を言う。菊池は夫の写真を見ながら、「お父さん、すばらしかったわよ」と語りかけた。

音楽会は大成功に終わり、みんなの思いが一つになった瞬間だった。

1週間後、大林は父を海に流すのではなく、墓に入れた。「親父悪く思うなよ」と言い、早苗も花苗も戻ってくる、そのうち自分もと話す。「それまで俺はこの町で生きるから」と語る。

大林はりらに「おやじ、何か言っているか?」と聞くと、りらは「聞こえない。消えたんだ、あの能力は」と答える。「どうして?」と尋ねると、りらは「大人になったからじゃん」と笑った。

あれから元気になった菊池先生は厳しいとぼやく大林、りらと一緒に練習に向かった。

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【水平線のうた】の歌詞

大林が曲につけた歌詞はどんな歌詞だったのか?引用します。

きらめく波の揺らぎを眺めてる
愛おしいあなたの笑顔忘れはしない
今日も明日も
ひとは誰しもが恋して
大切な人と歩みながら愛に生きる
水平線のうたよ 届けふたりに

実際早苗はどんな歌詞をつけたのかは分かりません。花苗が「あなた」と言っていたので、大林も“あなた”を歌詞に入れたのかもしれません。

早苗が結婚10周年記念のために作った曲だったので、大林は“愛”という言葉をあえて入れ込んだのかもしれません。

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【水平線のうた】後編の感想

みんなで演奏会を成功させ、それぞれ大切な人に思いを届けたという話でした。

誰かのためにするのではなく、自分のためにする演奏だとりらは言って及川を説得します。そんな及川は及川で、自分たちはずっと最悪の中で生きているだけだと気付きます。被災者の人たちの話を聞いていると、今生きていること、それ自体がもはや奇跡なのかもしれない。そんな気になります。

さらに劇場の支配人である遠藤氏が、本人役で出演しているため、現実とフィクションがドラマ内で入り混じります。ドラマ内で語られる被災の話は、もしかしたらどれも現実にあった話なのかもしれないと思わせます。

今はいないあの人、今そばにいる大切な人。それぞれの大切な人に、音楽を通して思いを届けて演奏会は大成功に終わります。大林役の阿部さんの歌もよく、実際にピアノが弾ける松下さんや、加藤さんが出演しているのもよかったです。

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