【水平線のうた】ネタバレと感想|阿部寛主演の震災ヒューマンドラマ

スペシャルドラマ
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2025年3月1日と8日にNHKで放送されるドラマ【水平線のうた】のネタバレと感想をまとめています。

阿部寛さん演じるタクシー運転手が、偶然乗せた少女に導かれ、震災で亡くなった妻が残した楽譜に出会います。そして妻が演奏するはずだった曲を、みんなで演奏するために奮闘するヒューマンドラマです。

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【水平線のうた】キャストとスタッフ

キャスト

主要人物

  • 大林賢次(おおばやし けんじ)…阿部寛
    石巻安全タクシーの運転手。東日本大震災で妻子が行方不明になっている
  • 阿部りら…白鳥玉季
    石巻市立日和坂高校の女子高生。不思議な力を持つという
  • 大林早苗(おおばやし さなえ)…松下奈緒
    賢次の妻。石巻の高校の音楽教師。東日本大震災で10歳の娘・花苗とともに行方不明になっている
  • 菊池敏子(きくち としこ)…加藤登紀子
    早苗の高校時代の恩師。いつも送迎タクシーで賢次を指名する

周辺人物

  • 及川皇…中川翼
    東京の音大生。チェロを弾いているところに賢次は出くわす
  • 小林雪乃…キタキマユ
    石巻市役所の職員
  • 阿部一樹…山中崇
    りらの父。妻と離婚後、男手一つでりらを育てる
  • 三好(みよし)…宇野祥平
    大船渡の音楽喫茶の主人
  • 恵子(けいこ)…
    大船渡の音楽喫茶の従業員
  • 小野寺旬子(おのでら しゅんこ)…
    石巻総合病院の看護師
  • 大谷…山本浩司
    大衆食堂「はらがへった」の店主
  • 佐々木…菅原大吉
    「はらがへった」の常連客
  • 信子…
    「はらがへった」の従業員
  • 月野…佐々木史帆
    ホステス。「はらがへった」の常連客
  • 翔…
    りらの恋人
  • 岡部…
    タクシー会社の内勤
  • 谷口…前原滉
    石巻で牡蠣養殖を営む漁師
  • 大林花苗(おおばやし かなえ)…木村日鞠
    賢次の娘
  • 大林賢太郎(おおばやし けんたろう)…吉澤健
    賢次の父

スタッフ

脚本:港岳彦
原案・音楽:岩代太郎
演出:岸善幸
制作統括:杉田浩光(テレビマンユニオン)、高橋練(NHKエンタープライズ)、磯智明(NHK)
制作:NHKエンタープライズ
制作著作:NHK

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【水平線のうた】前編のネタバレ

偶然タクシーに乗せた少女がハミングしていた曲が気になり、再会した少女に曲を教えて欲しいと頼むと、大船渡に連れて行かれる。

そこで楽譜を目にした大林は、それが妻の直筆のものだと気付いた。元々四重奏用に書かれた楽譜だと知り、妻が以前、ミニコンサートを開いていた病院で話を聞く。

演奏のメンバーの1人である敏子に話を聞きに行った大林は、その曲が結婚10周年を祝うためにサプライズで書かれた曲だと知った。

りらに励まされ、大林は本来妻が演奏するはずだった四重奏を、実現するために動き出した。

少女との出会い

宮城県石巻で石巻安全タクシーの運転手をしている大林賢次(阿部寛)は、食堂で食事をしながら亡き父の遺言について話す。遺言は「海に骨をまけ」という内容だった。佐々木(菅原大吉)は、長年大事に守ってきた先祖の墓も、震災であっという間に流れてしまった。今では守る意味がないのではないかと語る。

そこに常連客の月野(佐々木史帆)が現れ、店まで送ってほしいと頼む。大林は食事を終え、月野を乗せて走り出すが、月野が「たまには店に来てくれ」と言うと、大林は夜が稼ぎ時だからと答えた。店に送った後、大林は再び走り出す。

途中、大林はタクシーの仕事についての不思議な話を思い出す。「この世からいなくなった者がタクシーに乗ってくると聞いた。行き先は埋め立て地や消えた土地で、到着すると乗客はシートから消えているという。転職して10年、妻と娘には未だ会えない

その後、客を乗せて女川まで走り、送り届けた大林は休憩のため車を停めてストレッチをしていると、男女が言い争っている声を聞く。すると、阿部りら(白鳥玉季)という女性が彼のバイクの鍵を投げ捨て、大林のタクシーに乗り込む。大林が話しかけるが、りらはイヤホンをして無視。ゲームを終えたりらは鼻歌を歌い始め、大林が曲を尋ねてもまた無視される。りらを送り届けた後、大林は再び走り出した。

誰も知らない曲

翌朝、大林は寝ている間に知らず涙を流していた。目を覚まし、妻と娘の写真を見つめる。いつも通り出勤し、車の点検を終えて走り出した後、常連客の菊池敏子(加藤登紀子)を迎えに行き病院まで送り届ける。

その後、食事休憩で堤防近くに車を停め、大林は昔のことを思い出す。妻の早苗(松下奈緒)と娘の花苗(木村日鞠)がピアノを弾きながら歌を歌っていた。帰宅すると、花苗が「聞いちゃだめ」と言っていた。夜、早苗にその曲のことを聞いても、秘密だと笑いながらハミングするだけだった。

ある晩、賢次は食堂でその曲をハミングし、皆に聞いたことがあるか尋ねるが、誰も知らなかった。そこで月野がスマホでハミング検索してみてと言い、スマホを渡す。大林がハミングしてみるが、曲は見つからなかった。

2人旅

半月後、大林は海の見える高台に来ていた。突然、どこからともなくチェロの音色が聞こえ、演奏している及川皇(中川翼)を見つける。演奏が終わると、観客たちから拍手が起こり、その中にりらもいた。しかし、りらは大林に気づかず、覚えていなかった。

大林は彼女に、先日ハミングしていた曲が何なのか教えてほしいと頼むが、りらは及川を追いかける。大林は「行って来い」と促す。及川はりらを怪訝な顔で見つめ、りらは追いかけるのをやめて戻ってきた。文句を言うりらに構わず、大林は曲名を教えてくれと迫る。

大林は、死んだ妻と娘がその曲をピアノで練習していたことを打ち明け、りらのハミングでその曲を思い出したと言う。りらは「一度しかやらないから、よく聞いて」と言ってハミングを始める。大林はそれを聞きながら、妻がハミングしていたことを思い出す。演奏が終わると、大林は「素晴らしい、ありがとう」と感謝するが、りらは曲名を知らないと言う。

りらは大船渡に連れて行ってほしいと頼み、「曲のことが知りたいんでしょ?」と言う。大林は両親の許可をとろうとするが、りらの家は離婚しており、父親の一樹(山中崇)とは2年口をきいていないから無駄だという。

彼女は「知りたいんでしょ?往復7万円、安いもんじゃん」と言って、ただ乗りしようとする。大林は「そんなふうに世渡りしてたら、将来絶対ろくなもんになんねえぞ」と忠告するが、りらは聞く耳を持たずにタクシーに乗り込んだ

謎の曲の正体

大林とりらは大船渡に到着し、あるお店に入る。店の人、恵子()はりらを見て驚き、りらは恵子に抱きついて再会を喜んだ。店主の三好(宇野祥平)はりらを見て「大きくなったな」と言う。大林と一緒にオムライスを食べながら、りらは震災で子どもたちの遊び場がなくなり、放課後にこの店で預かってもらっていたことを話す。りらもこの店で育ったと語る。

その後、三好はリコーダーをりらに渡し、三好がピアノを弾き始める。りらは3歳の時に石巻で被災し、両親と大船渡に引っ越してきたが、環境の変化や仕事の変動で行き違いがあり、母親が家を出ていった。その後、小学校卒業と共に父と一緒に石巻に戻った。時々、母親が来なかったことを電話で聞かれるが、どう答えるべきか分からなかったと恵子が話す。

りらがハミングしていた曲をリコーダーで吹くと、大林は驚いて楽譜を見る。その楽譜はボロボロで汚れていたが、大林はそれが妻が書いた楽譜だと気付いた。三好によると、この楽譜は13年前にこの辺りの海に流れ着き、ボランティアの人が拾ったものだという。恵子は「奥さん、やっと帰れますね。良かったですね」と話す。りらは「こういう曲、子供心にしみるんだよね」と言い、それがりらの好きな曲だったと伝える。「早苗、お帰り」と大林は楽譜を抱えて涙を流す。

2人が帰ろうとすると、三好がその楽譜はパート譜で、クラリネットの部分だけだと説明する。おそらく四重奏の楽譜で、クラリネットの他にピアノ、バイオリンかチェロ、さらに管楽器のフルートが加わるかもしれないと語る。三好は、早苗が誰かと一緒に演奏するために、この四重奏の楽譜を書いたのではないかと言う。りらと大林は互いに見つめ合って頷き、残りを探す覚悟を決めた。

父の怒り

帰りの車の中で、りらは大林について尋ねる。大林は昔、仙台の建設会社で設計士をしていたが、震災後にタクシーに霊が乗ってくるという話を聞いて転職した。早苗と花苗が流されて行方不明のままだったため、タクシーの運転手になれば、いつかその二人が客として乗ってくるかもしれないと思っていたと語る。りらはその考えに効率が悪いと呆れた。

10年が経ち、霊のことは忘れかけていたが、りらが楽譜に導いてくれた。大林は運転手を辞めるつもりはないと改めて決意し、初心に帰るつもりだと話す。早苗と花苗が近づいていると感じ、楽譜を持ち帰り、次は2人を家に連れて帰るつもりだと語る。

夜になり、車の中でりらは眠っていた。大林は父親が平気でいるのか心配するが、降ろすなり父が現れて怒る。大林が説明しようとするが、りらが口を挟む。父はそんなりらに怒って、家に帰れと命じる。大林はりらが死んだ妻の楽譜を自分の手に戻してくれたと話し、楽譜を見せながら説明する。

父はその話を真に受けないようにと言い、霊が見えるとかそんな話をされたのだろうと反論する。娘はデタラメな話で人の気を引こうとするところがある。大人なのだから、わかるだろうと一樹は呆れた。そして、一樹は車や大林の写真を撮り、今度は会社に電話すると脅した。

りらの能力

大林はりらの学校の前で待っていて、一緒に高台に向かう。りらは「今から話す話は信じてもいいし、信じなくてもいい」と前置きして、タクシーに乗ったのは偶然ではないと話す。誰かに導かれるように、いろいろな場所に連れて行かれることがあると語る。そして、時々その場所に行くよう頼まれることもあり、自分の体の中にそういった風が吹くことがあると言う。

りらは続けて、初めて会った女川での夜、急に「行かなきゃ」と感じて、大林のタクシーに乗ったことから、何かしらのつながりを感じたと話す。そのとき、風が様々な記憶を落としていく、風になった人の記憶を感じることがあると説明する。りらは大林が家族と震災前、女川でよく海水浴をしていたことなどを話し、その時の具体的なエピソードを交える。

大林は取り乱し、早苗と花苗が今ここにいるのではないかと尋ねる。りらは、早苗の記憶が見えるのが自分の能力だと答え、霊が見えるときもあれば、体の中に入って話しかけてくることもあると言う。しかし、十何年前の霊はもう話さないし、形も溶けてうっすらしか見えないとも言う。

「もしタクシーに乗っても、きっとおじさんにはわからない」とりらは言う。早苗や花苗も見えず、話せないのかと尋ねられると、「霊なんてそんなにいいものではない。うんざりしている」と答えるりら。大林は一樹がりらは嘘を言っていると言っていたことを話すと、りらは「そうだよ、嘘」と言い、歩き出す。

その後、りらは「楽譜は何の目的で書いたか分かった?」と問う。早苗が病院や老人ホームで小さなコンサートを開いていたこと、音楽仲間と一緒にボランティアで演奏していたことを話す。あの年の春、早苗は小さなコンサートをするつもりだったと教えた。

身近にいた恩人

早苗がコンサートをしていた病院の看護師・小野寺旬子(松岡依都美)に話を聞くと、見せた楽譜について、うちでやっていたふれあいコンサートのためのものだろうと言う。四重奏を予定していたと話し、四重奏のメンバーについては早苗の高校時代の恩師である、菊池先生に聞くと良いと教えてくれる。そこで菊池先生に話を聞きに行くと、彼女は大林が送迎をしていた敏子だった。敏子が毎回大林を指名していた理由もここにあった。

その曲は大林と早苗の、結婚10周年を記念して作られたものだった。病院のコンサートで、早苗がピアノを弾き、花苗が歌って、大林にサプライズでプレゼントする予定だったという。早苗がピアノ、チェロは消防署の田中、フルートは市役所の前田、クラリネットは敏子の夫だったと聞かされる。

大林がその人たちに会えるか尋ねると、敏子は「もうみんないなくなっちゃった」と答える。夫は7年前に敏子と同じ病気で亡くなり、他の2人は震災で亡くなったという。敏子はその後、ピアノを弾きながら曲を聞かせてくれる。そして、もし音源があれば、ピアノ譜くらいは起こすと言ってくれた。

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【水平線のうた】前編の結末

大林は父の賢太郎(吉澤健)が携帯で録画していたことを思い出し、自宅に戻って探す。入ってきたりらは、骨壺を見て驚く。「父が入っているが、海に散骨してくれという決心がつかない」と大林は話す。りらは津波があったのに、海に散骨することに驚いた。

あの日、早苗と花苗は買い物をしに外へ出ていた。家にいるはずの父と電話がつながらなくて心配した早苗は、花苗を車に乗せて家に向かう途中、恐らく津波にさらわれたと大林は話す。父は先に避難して無事だったが、それ以降、父とは早苗と花苗の話を一度もしなかった。

大林は父が骨を海にまけというのが罪滅ぼしなのか、それとも懐かしい街や友達、流された嫁や孫に会いたいのか、本当のところはわからないと悩む。携帯を操作すると、動画が入っていた。動画を見ながら涙ぐむ大林。花苗が「あなた、あなた」と歌う。

りらは楽譜を取り出して眺めていた。大林は自分が帰ってきたシーンも、動画に入っているのを見つけて涙ぐんでいた。すると、りらが「そこの泣き虫おじさん。いつまでメソメソしてんの?」と声をかける。そして「誰かに演奏してもらおう。ピアノ譜を起こしてもらって、菊池先生に編曲を頼もう」と提案する。

りらは早苗が大林のために作った曲を、早苗の思った通りの四重奏でちゃんとした完成形で、演奏するのを聞きたくないのか?と大林に問う。「他に聞きたい人いるかな?」と迷う大林、りらは「聞きたい」と即答した。そして「なんで大人だけが悲しんでると思ってるの?なんで私たちは何も感じてないと思ってるの?」と続ける。

「その曲は、あの時いなくなった人たちが作ったものだよ。私、寂しかったんだ。早苗さんに救われたんだよ。私が聴きたいんだよ」と懇願するりら。続けて「あの街でみんなに弾かれたり、吹かれたりして、この曲がやっとおじさんのところに帰ってきたんだよ。13年頑張ってきたこの曲が、泣くためだけにあるのはもったいないよ」と訴える。

大林は涙を流しながら考え込むが、りらは「涙拭け!」と小突き、「悪いけど私そういう涙見飽きてんだわ。そろそろハッピーにいこうよ」と励ました。最後に「早苗も花苗も喜ぶだろうな。会場に来てくれるかな?」と言う大林、「風だけどね」とりらは付け足した。

大林は「ありがとう」と言って手を差し出すが、りらは「きも」と言って握手はせずとも、大林と一緒に実現に向けて動き出すことにした。

後編ネタバレ

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【水平線のうた】前編の感想

震災で亡くなった妻が書いた楽譜が見つかり、コンサートを実現するために動き出したという話でした。

東日本大震災が起きて今年は14年目になります。NHKでは戦争や震災が起きた時期に、こうして特別ドラマを放送したりします。今回は震災で亡くなった妻が書いた楽譜から、残された人たちで協力して実現しようとする内容になっています。

それぞれみな、心に傷を負った人たちが集まって四重奏を演奏する。奏でるために心を一つにし、協力し合うという展開かと思われます。

霊が見えるだとかそういった要素がでてきたりはしますが、それを前面に押し出した感動物語ではなさそうです。

なぜなら、りらは「なんで一人だけ、なんで大人だけが悲しんでると思ってるの?なんでうちらは何も感じてないと思ってんの?」と言います。新しい世代の人たちは、震災とどう向き合っていくのか、そういったことも今回のドラマには含まれている気がします。

曲を演奏することでそれぞれがカタルシスを得る。そして視聴者も曲を通じて癒しを得る。そのためには一体どんな四重奏になるか、後編が楽しみです。

後編のネタバレ→

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