NHK【ペペロンチーノ】のキャストとネタバレ感想|草彅剛主演の宮城発地域ドラマ

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2021年3月6日にNHK BSプレミアムで放送された、宮城発地域ドラマ【ペペロンチーノ】のキャストとネタバレ感想をまとめました。

草彅剛さんが東日本大震災で店を失った料理人を演じ、人々と出会うことで再生していくまでを描いたドラマです。ラストは意外な展開に……。

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【ペペロンチーノ】のキャストとスタッフ

キャスト

  • 小野寺潔…草彅剛
    レストラン「Paradiso」のシェフ
  • 小野寺灯里…吉田羊
    潔の妻
  • 佐々木春文…國村隼
    被災地支援で来た医師
  • 阿部より子…矢田亜希子
    潔の同級生で美容師
  • 阿部蒼…蒼波純(幼少期:古川凜)
    より子の娘
  • 高橋友作…一色洋平
    養殖業を営む漁師
  • 高橋なたね…富田望生
    友作の幼馴染で妻
  • 庄司結衣香…齋藤夢愛
    ウェブマガジン編集者

スタッフ

  • 脚本:一色伸幸
  • 音楽:世武裕子
  • 演出:丸⼭拓也
  • 公式HP
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【ペペロンチーノ】のあらすじ

2011年3月11日東日本大震災。小野寺潔の営むレストラン「Paradiso」は津波で流された。以来、潔はアルコールに溺れ、荒んだ生活を送り料理もやめてしまった。

それから10年後、招待状を潔は送った。新しく建てた「Paradiso」で宴を行うために。集まった人たちとの関係性を紐解いていくことで、震災から10年の間、それぞれの胸に刻まれた思い出が蘇り……。

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【ペペロンチーノ】のネタバレ

ネタバレは以下の6つです。

  1. ドラマの時系列
  2. 佐々木との出会い
  3. より子との再会
  4. 高橋夫妻との出会い
  5. 結衣香との出会い
  6. ドラマの結末

それぞれの人と出会っていく過程を描いていきます。そして結末は驚きの展開に。

1.ドラマの時系列

「Paradiso」再建の道のり
  • 2011年3月11日
    東日本大震災発生

    「Padadiso」が津波で流される

  • 2013年夏
    断酒の誓い

    潔がバイク事故を起こして病院へ運ばれ、佐々木医師と出会う

  • 2014年春
    料理の意欲が湧く

    より子と再会し娘の蒼の食べる姿に、再び料理への意欲が湧く

  • 2015年冬
    漁師の仕事を始める

    高橋夫妻と出会い漁師の仕事を始める

  • 2016年夏
    「Paradiso」再建

    復興住宅へ移り料理の腕を磨く

  • 2018年春
    再建した「Paradiso」が繁盛

    TVや新聞の取材も受け、店は客で賑わうほどに

  • 2020年4月
    緊急事態宣言発令

    閑散とした店に結衣香が取材に来る

2.佐々木との出会い

震災後、仮設住宅に移り住んだ潔は毎日酒びたりの生活を送っていた。ある日バイクで出かけた時に事故を起こしてしまう。救急搬送された先で治療に当たる佐々木医師は風変わりな医者だった。

入院している間、酒が飲めずにいるのが苦しく、潔はアルコールを含んだ脱脂綿を盗んだ。佐々木が酒瓶を相手に落語を話していると、潔に気づいて声をかける。佐々木もまたアルコール依存だった。彼は元々東京で医者をやり家族もいたが、酒でやらかして以来、いづらくなり被災地支援でこっちにきて居ついた。

潔の血液検査の結果から潔がアルコール依存だと知った佐々木は、「俺はお前が嫌いだ」といって潔の頬を叩いた。なぜなら潔は何年か前の自分だったからだ。何度も潔の頬を叩く佐々木は「いちばんお前を殴りたいのは、お前なんじゃないか?」と諭した。

そして酒瓶を手に取り中身を流しに捨ててしまう。酒を欲する潔に向かい「2021年にもう一度会おう」と告げ、震災から10年酒を辛抱したら打ち上げをしようと約束をした

今回の宴は断酒から10年目の約束を果たした記念だった

3.より子との再会

仮設住宅に住む潔の隣の部屋から、母娘が争う声が聞こえた。大騒ぎになっているのを知り、潔は止めに入った。母親は高校の同級生のより子だった。より子は夫を震災で亡くし、娘の蒼と2人暮らしだった。

潔は蒼の顔色が悪いのを見て、ロクなものを食べていないことに気づいた。そこで、家にある簡単なものでペペロンチーノを作ってあげた。蒼とより子は何度も「おいしい」と言って喜んで食べた。蒼が食べている顔を見ているうちに、またレストランがやりたいと潔は思った

より子は震災の後、避難所を回ってボランティアでヘアカットをしていた。町の人も支援の人もみんな口を揃えて、より子はすごい、より子は強いと言った。しかし、より子はそう言われると、そう振舞わないといけない気がしてずっと無理をしてきた。潔の髪を切りながらより子はそう語って涙を流す。あの日以来、初めての涙だった。

10年後、今回の宴にやってきた成長した蒼に潔は語る。蒼のお陰で初めてやりたいことが見えた。おなかより、心を満腹にする。そういうレストランを作りたくなったと感謝した。

潔は蒼の食べる姿を見て、再びレストランをやりたいと思った

4.高橋夫妻との出会い

この宴に集まった人は、自分を今日に連れてきてくれた人たちだと潔は言う。しかし、友作となたねは自分たちは何もしていないと言う。潔は2人に初めて会った日のことを語り始めた。

2015年冬、潔はParadisoのあった場所へ足を運んだ。割れた皿の破片を手にした潔の耳に、どこからともなくピアノの音が聞こえてくる。潔は音に誘われてある倉庫の中を覗いた。

ピアノを弾いていたのは友作だった。とてもきれいな曲だった。そばでなたねがその演奏を聞き、終えると拍手をしていた。そして友作はなたねにプロポーズをした。だが、2人はまだ交際もしていなかったため、なたねは侮辱されていると感じて怒った。

2人のやり取りを外から見ていた潔は、積み上げられた荷物を倒して大きな音を立ててしまう。音に驚いた友作が怯えていると、なたねは昔を思い出して笑い出した。子どものころ、一緒に迷子になったとき、友作はなたねの手を握って離さなかった。なたねは友作と手を繋いでいれば、どんなところも怖くないと思ったという。そして今度はなたねからプロポーズをした

友作は元々公務員になれと親に言われていた。しかし、津波が天地をひっくり返した。安定なんてどこにもない、それなら好きなことをいっぱいしたい。そう思って漁師になった。仲間がたくさん死んだ、その人たちの分まで楽しむ義務があると友作は言った。

潔は友作となたねに出会ったことで海の仕事を始めた。養殖の魚に餌をあげたり、見たこともない食材を調理した料理に感動した。何にもない町だと思っていたが、目の前に宝箱があったと気づいた。作りたい料理がどんどん浮かび、レストランもまたやりたい。彼らのお陰だと潔は感謝した。

海の仕事を始めて新たな食材と出会う

5.結衣香との出会い

復興住宅に移り住み、海の仕事で知った様々な食材を試しに料理した。そして、ペペロンチーノに納得できたとき、潔は動き始めた。レストラン再建のため、商工会で補助金を申請したり、足りない金は親や親戚を頼って集めた。

やがて完成した新しいParadisoは海を食べる店なので、以前の店よりももっと海に近い場所に建てた。テレビや新聞の取材も受け、連日客で賑わい盛況となった。だが、2020年4月に緊急事態宣言が発令されると、客足はぱったり止まってしまった

自暴自棄になった潔は店のワインボトルに手をかける。封を開けて飲もうとした瞬間、結衣香が店にやってきた。潔はボトルを置いて料理を作り始めた。彼女はParadisoの取材に来た、ウェブマガジンの編集者だった。

潔がウェブで店の記事を確認すると、店を飛び出して彼女の会社へ向かった。突然訪れた潔に驚く結衣香、潔は彼女の書いた記事に感謝をした。なぜなら“震災”や“復興”という言葉が一つも使われていなかったからだった。

潔の店に取材に来る記者は、みんな揃って潔が被災者だと書いた。それを書くためにやってきた。だが、結衣香の記事にはそんな言葉は一行もなかった。普通のレストランとして褒めてくれた。潔はそのことに感激し、直接礼を言いに来た

宴にやってきた結衣香もまた潔に感謝をした。やる気をなくしていたところ、こうして声をかけてくれる人がいるならもっと頑張りたいと思ったと。

緊急事態宣言で破りそうになった約束を、結衣香のお陰で守り抜いた

6.ドラマの結末

やがて宴に佐々木が遅れてやってきた。改めて乾杯をする潔のグラスを見た佐々木は、彼が酒を飲んでいないことに気づいた。なぜ飲まないのかと問うと、潔は「区切りをつけたら、いなくなってしまうかもしれない」と言う。潔の妻、灯里はここにはいなかった。彼女は震災の時、津波で流されて行方不明になっていた

ここにはいない、でもいるんだ。いつでもそばにいてやると約束したと潔は言う。いなくてもいるものはいる、友作はそう告げ、潔の向かい側の席に置かれたグラスにより子はワインを注いだ。まるでそこに灯里がいるかのように。その後も宴は続いた。

妻の灯里は震災の時に亡くなっていた

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【ペペロンチーノ】のまとめと感想

津波で店を失った料理人が、人々と出会い立ち直っていく姿を描いたドラマでした。

妻の灯里は普通にドラマ内に登場し、それぞれの出会いにも顔を出します。ただ、どこか遠巻きに立っていたり、口数が少なかったりします。潔は当たり前に妻に語りかけ、試作品の料理を食べさせたりします。そのため、実は亡くなっていたというのが最後にならないと分かりません。

思えば潔が自暴自棄になり酒に溺れたのは、店を失った以上に、妻を失ったからだったのでしょう。妻が実は亡くなっていたと分かった後、今まで妻が登場していたシーンが、彼女のいないシーンに変わります。試作品を誰もいないのに差し出したり、隣に誰もいないのに話しかけたりします。

ドラマのセリフが時々詩的な表現をするのが印象的でした。さらに主役の草彅さんの気だるげで、どこか陰のある演技がドラマにマッチし、主人公は心に大きな傷を負った人物だと感じさせてくれます。

タイトルがなぜ『ペペロンチーノ』なのか?ドラマを見るといくつか考えられる理由があります。1つは蒼が食べたことで再建へ進むきっかけとなった料理です。もう1つは、ペペロンチーノという料理がいちばん簡単でいちばん難しいという、まるで震災からの10年間の日々のようなものだったのではと考えられます。

潔は確かに店も再建し前を向くことができました。しかし、妻の存在は忘れずいつまでもそばに思います。前を向いているけど過去は忘れない。日々生きることはいちばん簡単だけど、いちばん難しい。たかが10年、されど10年。被災者であることをダシに使われたくない、だけど自分は被災者だという事実。人は相反する思いを胸に生きていく、そんなことを考えさせられるドラマでした。

【ペペロンチーノ】のいいセリフ

俺は被災者じゃない。俺は料理人です。

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