2024年10月8日からフジテレビで始まった【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】1話のネタバレと感想をまとめています。
刑事の墓場と呼ばれる通称“オクラ”に新たにやってきた不破は、早速12年前に起きた女子小学生殺人事件の新たな情報を千寿と共に調べる。やがて容疑者の男を発見するが、既に死期が近かった。そこで千寿はとんでもないやり方で自供を引き出そうとし……。
【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】1話のあらすじ
警視庁捜査一課 特命捜査情報管理室、通称「オクラ」別名「刑事の墓場」と言われる部署に、不破利己(杉野遥亮)は新たに異動になった。
やる気のない刑事たちの吹き溜まりのような場所に、12年前に起きた女子小学生殺人事件の有力な容疑者である矢継周作(黒田大輔)を名乗る人物から、警察にメールが届いた。これがラストチャンスだという言葉が何を意味するのか、部署ではガセネタだと誰も捜査に乗り出そうとしないが、飛鷹千寿(反町隆史)は結城倫子(白石麻衣)を連れて遺体が発見された山中へ向かう。
そこで新たに発見されたノートの中には、被害者の市井葉月(板垣樹)が書いたと思われる文字があった。再び矢継の居所を訪ねようとするが、所在が不明だった。発見されたノートが限定品であったことから、シリアルナンバーを手がかりに矢継の現住所を突き止める。
かつて事件を担当した千寿は、あの時に矢継の部屋に踏み込まなかったことを後悔していた。だが、見つかった矢継は既に末期がんで死期が近づいていて……。
2話→
【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】1話のネタバレ要約
12年前に起きた未解決事件、女子小学生殺人事件の容疑者からメールが届き、捜査を始める。
やがて発見した容疑者は、末期がんで入院していたが、千寿は構わず自供を引き出そうとする。しかし自供は得られずに亡くなったが、発見した証拠から被疑者死亡で書類送検した。
不破は千寿のやり方に疑問を覚えて調べた結果、千寿の証拠捏造が疑われた。
【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】1話の詳細なネタバレ
出会い
2014年、飛鷹千寿(反町隆史)は全速力でペダルを踏んでいた。バイクで逃げる男を追っていた。
乗り捨てられたバイクを発見し、結城真一(平山祐介)と合流した千寿は銃を抜き、目の前にある「赤城印刷」という古びた建物に突入した。
中に入ると、逃げ込んだ男が「俺じゃねえ、俺じゃねえんだ!」と絶叫していた。千寿が男の隠れていた場所を確認し、ビニールシートを払いのけると、そこにはスマートフォンと一緒に不穏な装置が置かれていた。そして、次の瞬間――爆発が全てを飲み込み、千寿と真一はその衝撃で吹き飛ばされた。
それから10年後の2024年。千寿はキャバクラでの無銭飲食で、不破利己(杉野遥亮)に逮捕される。かつては誇り高い捜査官だった千寿の姿はそこにはなかった。
情報管理室はデータ入力が主な業務となっている、いわば刑事の墓場だった。解決の見込みがない案件ばかりが集められ、日々、埃をかぶっている。そんな場所に、不破が室長の幾多学(橋本じゅん)と共に現れ、釈放された千寿と出会う。部署にいるみんなを室長が紹介した。
12年前に起きた事件
情報管理室のパソコンに一通の不気味なメールが届いた。差出人は「矢継周作」。12年前、千寿が担当していた女子小学生殺人事件の、有力な容疑者の名前だった。
メールの内容はこうだ。
「北城山に行って彼女と語り合ってきた。警察よ、これがラストチャンスだ。矢継周作」
彼が語る「彼女」とは、間違いなく市井葉月(板垣樹)、12年前に殺された10歳の少女だ。
2012年9月15日、その日は葉月が母親の芳香(安藤聖)と激しい口論をした日だった。午後1時頃、怒りに駆られた葉月は家を飛び出し、二度と戻ってこなかった。母親が心配して、父親と共に近所を探し回ったが、その日のうちに見つかることはなかった。警察が出動し、誘拐の可能性も視野に入れた捜索が行われたが、手がかりは掴めなかった。
そして、事件から1ヶ月が経過した頃、北城山の雑木林で発見されたのは、悲惨な姿となった葉月の遺体だった。手には「ママ大キライ」と書かれたノートの切れ端を握っていた。検死の結果、彼女の手足には拘束具の跡があり、どこかで監禁されていたことが示唆された。死因は餓死――恐ろしいことに、長期間食事を与えられず命を絶たれたのだ。
事件当時、近所の公園で葉月が矢継周作(黒田大輔)という男に、接触していたという目撃情報があった。矢継は葉月と会ったことは認めたが、その場で別れたと主張し、容疑を否認した。しかし、捜査員たちの誰もが、彼の挙動不審さに不信感を抱いていた。矢継が黒だという確信はあったものの、決定的な証拠がなかったため、逮捕には至らなかった。
そして今、再びその矢継からの挑発的なメールが送られてきた。まるで、12年前の未解決事件を終わらせるための最後のチャンスだと告げるかのように。
部署ではみなガセ情報だと言って、取り上げるつもりはなかった。だが千寿は結城倫子(白石麻衣)を連れて山へ向かうことにした。
手がかり
不破はメールを見た瞬間、違和感と同時に強い確信を抱いた。その理由は二つあった。
まず一つ目は、メールに記されていた「矢継周作」という名前だった。12年前の事件で、矢継は有力な容疑者とされていたが、その名前が公表されたことは一度もなかった。警察内だけで知られている名前が、こうして突然、メールに現れたということは、差出人が矢継本人である可能性が高い。少なくとも、矢継に近しい者でなければ知り得ない情報だった。
そして二つ目、不破が感じたのは、メールの内容があまりにも簡素であるということだった。挑発的なメッセージにもかかわらず、感情的な表現や長い説明が一切ない。それがかえって真実味を帯びているように感じた。無駄な言葉を一切排除した簡潔さ――それが彼を信じさせたのだ。
メールに記されていた「北城山」に、千寿、不破、そして倫子の3人は向かった。葉月の遺体が発見された場所は、今も薄暗い雑木林に覆われており、時間が経った今も重々しい雰囲気が漂っていた。
探索を続けていると、不破がふと目を止めた。切り株の中に黒いビニール袋が無造作に押し込まれていた。不破が近づき袋を取り出すと、中から一冊のノートが出てきた。
ノートには震えるような文字で「死にたくない」と書かれていた。恐らくそれは葉月の手によって書かれたものだと千寿は直感した。
千寿は12年前に見た葉月の遺体のことを思い出した。彼女の手に握られていた切れ端には「ママ大嫌い」と書かれていた。その切れ端の文字と、ノートの文字が同じであることを、千寿は瞬時に悟った。今、彼の中で確信が芽生えた。このノートは、間違いなく市井葉月が監禁されていた場所で書かれたものだ、と。
止まった時間
葉月の母親に会いに行った千寿たちは、想像以上に荒れ果てた光景に言葉を失った。部屋はゴミで溢れかえり、まともに足を踏み入れる場所もない。窓からの光はほとんど遮られ、薄暗く、まるで時間が止まったかのような場所だった。
「直筆の文字が残っていれば、葉月ちゃんの筆跡を確認できるかもしれません」と千寿が声をかけると、母親は疲れた表情でソファーに座り込んだまま、何かを思い出すように目を細めた。
「あの日、葉月はアイドルの養成所に通いたいって言ってきたんです。でも、そんなの無理だって反対したら…喧嘩になって、飛び出していってしまったんです…」
あの事件の後、彼女は夫と別れ、外に出るのが怖くなり、引きこもりの生活を送るようになったという。
千寿たちは家の中を探し回り、ついに葉月の学校のノートを見つけた。そこには葉月の筆跡が残っており、それを筆跡鑑定に回すことに決めた。不破は、母親の無気力な姿に苛立ちを隠せなかった。
「子どもの死を免罪符にして,、甘えているようにしか見えない」と、不破が冷たく言い放つと、母親はうつろな目で「もう、どうでもいいんです」とつぶやくだけだった。
その言葉を聞いていた倫子は、怒りを抑えきれず、不破を外に連れ出した。そして激しい口調で詰め寄った。
倫子には、10年前の痛ましい記憶があった。警察官連続殺人事件で父親を失ったのだ。それは、あの時千寿と一緒に追っていた爆発事件の最中だった。あの瞬間、彼女の世界は壊れ、いまだに犯人は捕まっていない。身内を亡くすことの辛さを知っている倫子は、不破の無情な態度に耐えられなかった。
しかし、不破はまるで関心を示さず、冷静に言い放つ。「だからなんですか?同情なんて捜査には邪魔なだけです」と。
その冷酷さに倫子は言葉を失い、激しい怒りを感じながらも反論できなかった。だが、そのやり取りを聞いていた千寿が、静かに「そんなことはない」と反論した。
その言葉には、長年抱えてきた苦悩がにじんでいた。千寿には後悔があったのだ。それは、12年前に矢継周作の家を訪ねたときのことだった。
あの時、彼は感じていた――あの家の中に葉月ちゃんがいるかもしれない、と。しかし、法律に縛られ、許可なしに家の中に踏み込むことはできなかった。もし法を犯してでもその時踏み込んでいれば、葉月ちゃんを救うことができたのではないか――千寿はそう強く後悔していた。
再捜査の壁
井伏愁(観月ありさ)から連絡が入り、ノートから矢継周作の指紋が検出されたという報告を受けた。倫子はこのニュースを聞き、すぐに加勢英雄(中村俊介)に再捜査を依頼するため、部署へ向かった。
「矢継の指紋が出ました。これで動けるはずです」と倫子は加勢に熱心に訴えた。しかし、加勢は首を横に振り、冷静な声で言った。
「指紋だけじゃ無理だ。もし彼が『12年前に葉月のノートに触っただけだ』と言い訳をしたら、それで終わりだ。反論の余地がない」と。
そんな中、千寿が食い逃げしたキャバクラが摘発された、というニュースが舞い込んできた。裏で振り込め詐欺をしていた場所だと判明した。千寿はその知らせを聞くと、肩をすくめて「偶然だよ」と軽く流したが、その後、どこかに行くと言って一人で先に帰ってしまった。
いつもあんな感じなのかと問いかける不破に倫子は、あれでもやる気を出しているほうだと教えた。10年前、あの爆発で倫子の父親が亡くなった瞬間から、千寿は以前の彼とはまるで別人のようになっていた。捜査に対する執念と後悔が、彼を動かしているようだった。
証拠を発見
千寿は矢継の引っ越し先がデタラメだったことを室長に報告した。「やっぱり奴は逃げているんですよ」と焦りを滲ませながら言うと、室長は少し考えた後、意を決したように頷いた。
「矢継の捜索は我々でやろう。我々にも捜査権はある。寄せ集めなんかじゃない、オクラの意地、見せてやりましょう!」
室長の言葉に一瞬希望が湧いたものの、実際には矢継の手がかりは何一つ見つからなかった。みんな疲れ切った表情を浮かべ、定時が近づくと牧原祈里(青木さやか)は帰る準備をしていた。しかし、ふと葉月のノートに目を留めた。
「あれ…このノート、24エモーションズがライブで配った限定100冊のノートじゃないですか?」
その言葉に周囲がざわめいた。ノートにはシリアルナンバーが付いており、ファンクラブに問い合わせれば持ち主が特定できる可能性がある。不破は冷静に「ファンクラブに小学生が入るなら親の同意が必要だ。もしかしたら葉月のものではないかもしれない」と指摘したが、千寿は矢継の家に同じキーホルダーがあったことを思い出し、ファンクラブにシリアルナンバーを問い合わせることを決断した。
問い合わせの結果、矢継の現住所を突き止めた千寿と不破は、その住所へ向かうことになった。着いた家は古びたアパートで、郵便受けは未開封の郵便物で溢れていた。千寿はすぐに行動に移り、不破に「郵便物を撮って倫子に送ってくれ」と指示を出した。
不破が郵便物の写真を撮っている隙に、千寿は一瞬の迷いもなくドアを蹴り、無理やり部屋に入ろうとした。驚いた不破が慌てて制止しようとするも、千寿は振り向きもせず「本当は12年前にこうするべきだった」と言って、強引に部屋の中に踏み込んだ。
部屋に入ると、目の前に広がっていたのはアイドルグッズが所狭しと並べられた異様な光景だった。壁にはポスターが貼られ、棚には大量のグッズが並べられていた。千寿はその異様な空間を見渡し、「この中に証拠があるはずだ」と言って、手当たり次第に物を漁り始めた。
やがて、キッチンの下にある箱を開けた千寿は、そこでビデオカメラとノートの切れ端を見つけた。緊張した手でビデオカメラを再生すると、そこに映し出されたのは、衝撃的な映像だった。画面の中に映っていたのは、監禁された葉月の姿だった。
千寿も不破も、言葉を失った。その映像は12年間追い続けてきた悪夢が、今まさに目の前で現実のものとなっている瞬間だった。
千寿の執念
病院に急いで向かっていた千寿は、車が渋滞に巻き込まれ、じりじりとした焦りが募っていた。「矢継が肝臓がんで入院中」という情報は、さっき倫子に送った封筒の写真の中にあった上野中央病院の書類から判明した。今朝、容態が悪化したという知らせが入り、千寿はどうしても矢継に自白させるために病院へと急ぐ。
渋滞に我慢できなくなった千寿は、車を降りて走り出した。重い呼吸と共に病院に到着し、矢継が入院している病室のドアを乱暴に開ける。病床に横たわる矢継の姿を見て、「苦しんでいるところ申し訳ないが、お前をパクリに来た」と千寿は言った。矢継は反応しないが、千寿は容赦なく続けた。
その時、後から追いついてきた不破が、千寿を止めようと声をかけた。だが、千寿はまったく聞く耳を持たず、不破を振り払って続けた。千寿は持参したビデオカメラを再生し、矢継に見せつけるようにした。画面に映っているのは、監禁された葉月が苦しむ姿だった。千寿の声は怒りに震えながら、矢継の犯行を次々と語り始めた。
「お前は彼女を自宅に連れ込んだ後、自分の歪んだ性癖を押し付け、暴力を振るい、監禁した。彼女が衰弱していくのを見て、お前は何度も罵声を浴びせ、物を投げ、彼女から生きる権利を奪ったんだ。14日間も、まともな食事も与えず、彼女を餓死させた」その後、矢継が捜査本部の動きが鈍くなるのを待ち、葉月の遺体を山中に捨てたことを千寿は語った。
「お前が罪から逃げている間、葉月ちゃんの母親は自分を責め続けて、前に進むこともできなくなってるんだ。ほんとうは、お前みたいな奴を責めるべきなのに、自分を責めて生きてるんだよ!」千寿の声はますます激しさを増し、とうとう怒りが爆発した。
「捜査に進展がありませんって、何度も報告するたびに、彼女が生きることを諦めていくのを見なきゃならなかったんだ!でも、今は犯行の証拠がある。これでお前を逮捕して、報告できるんだ!」千寿は矢継のベッドに乗り上げ、矢継の顔を間近に見据えながら言葉を絞り出した。
「どんな姿になっても、罪を償わせる。最期くらい、自分を責め続けてる彼女を救ってやれよ!」千寿は矢継に自白を迫った。すると、矢継は意識を取り戻し、わずかに目を開けた。千寿は「俺がわかるか!?」と叫んだ。
しかし、矢継は反応せず、苦しそうに息をするばかりだった。そこへ医者が気付き、急いで千寿を止めに入る。不破はもう少し待って欲しいと医者を抑えた。
「殺したことを認めろ!お前がやったんだろ!」と千寿が迫るが、矢継は何も言わずに千寿の腕を掴んだ。そして静かに笑みを浮かべ、何も語らないまま息を引き取った。
千寿は無力感に打ちひしがれたまま、矢継の冷たくなった手を見つめていた。自白を引き出すことはできなかったが、彼の罪は間違いない。その終焉はあまりにも虚しかった。
事件の真相
矢継の事件が被疑者死亡の形で書類送検されることになり、千寿は葉月の母親のもとへ報告に向かった。矢継が死亡し、法の裁きから逃れる形になったことを伝えると、母親は深い息をつき、「本当に、ありがとうございました…」と涙を浮かべながら頭を下げた。
その後、母親にノートのコピーを千寿は手渡した。それは、葉月が書いていた日記のようなものだと言う。葉月の手に握られていた「ママ大キライ」と書かれていたあの言葉。そのページをもう一度合わせると、そこには続きがあった。
「ママ大キライなんて言ってごめんね。会ってちゃんと謝りたいよ。ママ大好きだよ」と綴られていた。
その言葉を見た瞬間、葉月の母親は声を上げて泣き崩れた。「葉月、ごめんね…ごめんね…」と何度も謝りながら、涙を流し続けた。その姿を見て、千寿も静かに涙をこぼし、立っていた不破はかつての自分の失礼な発言を詫びた。
母親は涙で目を腫らしながら「最期にあの子が何を思っていたのか、それがわかっただけで十分です…今すぐにでも、あの子に会って抱きしめたい」と震える声でつぶやいた。
その言葉に千寿と不破は何も言えず、ただそばで嘆き続ける母親を見守っていた。母親の悲しみと共に、葉月の魂がようやく救われる瞬間だった。二人は彼女の側に寄り添い、静かに時を過ごし、長きにわたる悲劇に幕を下ろした。
【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】1話の結末
葉月の母親の家を出た千寿と不破は、しばらく無言で歩いていた。やがて千寿が「この後一杯どうだ?」と不破を誘うが、今時そういうのは時代遅れだと彼は断った。さらに調べたいことがあると言って、不破はその場を去った。千寿は少し物足りなさを感じつつも、自分の行きつけのバー「THE BASE」に向かうことにした。
バーで一人、グラスを傾けていると、そこに加勢がやってきた。周りには人情味のある刑事だと思われているようだが、そんな善人じゃないだろうと、加勢は千寿を評する。
遅れてやってきた愁とも合流すると、千寿の電話が鳴る。そこには“ルーキー”と表示され、つまり不破の事だった。
千寿が部署へ戻ると、待っていた不破が静かに「矢継はどうしてあのメールを出しのか?」と問いかけてきた。
千寿は一瞬考え込んだ後、「警察を嘲笑いたかったんじゃないか」と答えた。しかし、不破はすでに調べていた新たな情報を話し始めた。
「病院に確認したら、矢継は1か月前から入院していて、ここ数日はネットを使える状態じゃなかった」
不破は吉岡に再度調べてもらった結果を説明した。メールは振り込め詐欺をしていたキャバクラから送られていたという。あの最初に千寿が食い逃げしたキャバクラだ。さらに、メールが送信されたのは、千寿がそのキャバクラに滞在していた時間だったことも判明した。
「スタッフルームに侵入して、店の金を盗もうとしたって話もあるが、実際にはその店のパソコンを使って、矢継を名乗ってメールを送った」と不破は続けた。「振り込め詐欺の件を報告しなかったのは、メールのことを探られたくなかったからだ」と。
千寿は黙って聞いていたが、不破はさらに疑念を投げかける。「そして、ビデオカメラの電源がついていた理由だ。矢継が1か月前から入院していたなら、カメラのバッテリーはとっくに切れているはずだ。それなのに、満タンに近い状態だった。つまり、誰かが先にあの部屋に入って、カメラの電源を入れた」
千寿は少し苦笑しながら「全部憶測に過ぎないな」と言った。
不破は冷静に続ける。「さらに、山で発見されたノートが入っていたビニール袋にも、あなたの指紋がついていた。おそらく、ノートを隠した時に付着したものだ」
千寿はしばらく沈黙した。不破はその沈黙を破るように、鋭い目で千寿を見つめた。死期が迫る矢継をどうにかして法の下に引きずり出そうと、今回の一連の事件を企てたんだろうと不破は結論付けた。
そして「飛鷹千寿警部補。あなたが証拠を捏造したんですね?」と不破は指摘する。その指摘に千寿は短く笑った。
2話→
【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】1話のまとめと感想
12年前の犯人を何とか挙げるため、違法な手段に出ても追い詰めたという話でした。
よくある迷宮入りものの刑事ドラマかと思ったら、最後の最後に汚職刑事というかダークヒーローというか、そんな展開になって驚きました。
不破がなぜこの部署に来たのか、何かしら目的があるはずで、それはまだ分かりません。もしかしたら、監察なのかもしれませんし、何か解決したい事件があって来たのかもしれません。
どうやって千寿がノートやビデオの証拠を入手したのか、不思議です。それこそ捏造したのかもしれませんが、どの部分のことを捏造と不破が指摘しているのかわかりません。また、葉月の母親も引きこもって、どうやって生活していたのかと不思議に思います。
と、細かいところが気になりはしますが、テンポ良く話は進んでいきます。毎回千寿が被疑者を怒鳴って制裁するような話なのか?今後の展開が気になるところです。
2話→