【能面検事】3話のネタバレと感想|府警本部の不祥事が招いた悲劇

2025夏ドラマ
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【能面検事】3話のネタバレと感想をまとめています。

不破は府警本部絡みの事件の証拠が消えていることに気付き、地検の事務官に指示して所轄を一斉調査する。その結果、重大な問題があったことが判明した。それは本来起きるはずのなかった、事件の引き金となり……。

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【能面検事】3話のあらすじ

アルツハイマーを患う吉野康介(日野陽仁)が、階段から田中俊哉(吉野晃弘)を突き落とした容疑で逮捕され送致される。不破(上川隆也)が聴取をするが康介は何も覚えていない様子だった。事件の目撃者である孫の佑真(楽駆)に話をきくと、祖父は何もしていないという。

同時に不破は榊(寺脇康文)に証拠品遺失の件で、所轄への一斉捜査の許可を願い出たが榊は却下した。しかし構わず不破は全ての所轄に事務官を派遣し、一斉捜査を始めた。

その結果、大量の証拠品や資料の遺失が明らかになる。その中には、佑真の母である吉野涼子(日野綾子)が亡くなった、交通事故に関してのものもあった。証拠のない事件の解決に向け、不破が再び動き出す。

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【能面検事】3話のネタバレ

吉野佑真の母・涼子は交通事故で亡くなり、その時の被疑者が田中俊哉だった。しかし、証拠のドライブレコーダーのデータが紛失したため、起訴されずに田中は釈放された。

事件のあった日、ゴミを捨てに階段へ出た佑真は、田中が母が死んだ事故のことを話しているのを聞いてしまう。佑真は田中に食って掛かり、階段でもみ合いになる。その結果、田中は転落して死亡した。

それを佑真に傘を届けに来た祖父の康介が目撃してしまう。アルツハイマーを患ってはいるものの、時々以前と変わらない様子を見せる康介は、佑真のことをかばって自分がやったことにする。

しかし不破に真実を見抜かれた佑真は、病に冒されながらもかばう祖父の姿を見かねて、自分がやったと自白した。

記憶のない容疑者

不破俊太郎(上川隆也)は榊宗春(寺脇康文)に対し、大阪府警管轄の警察署を巡回すると告げた。証拠保管庫の状況を調べ、他の署でも資料紛失が起きているのであれば、早急な対応が必要だと指摘したが、榊はあまりいい反応を見せなかった。

同時に不破は、傷害致死の容疑で送致された吉野康介(日野陽仁)の聴取に臨む。事件は6月30日深夜0時ごろ、枚方市藤宮の雑居ビル2階から、田中俊哉(吉野晃弘)が転落して死亡した。その場にいたのが康介だった。

当夜は大雨で、駆けつけた警官に対し康介は「雨で濡れた階段で足を滑らせ、勝手に落ちた」と証言。しかし供述には曖昧な点が多く見られた。康介は2年前からアルツハイマー型認知症を患っており、事故当時の記憶も不確かなものと思われた。

康介によれば、事件当日、雨が降ってきたため、孫の佑真(楽駆)が働く雑居ビルに傘を持って迎えに行ったという。そのビルには居酒屋と同じ階にバーもあり、バーの客は「亡くなった田中が誰かと言い争う声を聞いた」と証言している。

不破が「言い争っていたのはあなたか?」と尋ねると、吉野は「覚えていない」と答えた。さらに「何を覚えているのか?」と問うも、「わからない」と返されるばかりだった

孫の供述

不破は吉野の孫・佑真にも聴取を行う。佑真は事件当日も居酒屋で働いており、表にあるゴミ捨て場に出た際、偶然事故の現場を目撃したという。

ゴミを捨てに外へ出た瞬間、大きな音が聞こえたため様子を見に行くと、階段下に男性が倒れていた。顔を上げると、階段の上に祖父・康介が立っていた。佑真によれば、祖父は階段の2階部分にいたとのこと。

なぜそこにいたのかと問われると、佑真は「雨が降ると傘を持ってきてくれる。昔からの習慣で、それを忘れない。来なくていいと言っても忘れてしまう」と説明した。

事故の直前、祖父が誰かと口論していたかという質問には「いいえ」と答えた。亡くなった田中と祖父の面識についても「全く知らない人。酔って絡んできて、足を滑らせた」と説明。ただし、実際に田中が落ちた瞬間は見ていない。しかし、「じいちゃんは何もしていません」と祖父の潔白を訴えた。

佑真は現在、祖父と2人で暮らしており、2年前に母親を事故で亡くしている。不破はそこに着目した。

聴取を終えた不破に対し、惣領美晴(吉谷彩子)は母親を亡くしたことが事件と関係あるのか尋ねる。佑真は母と祖父との3人家族で、母・涼子(日野綾子)は2年前、交通事故で亡くなっていた。

惣領は事件性が低いのではと懐疑的な姿勢を見せる。だが不破は静かに言い返した。「思い込みを捨てられない人間は、この仕事に向いていない」

仁科の過去

惣領は喫茶店で前田拓海(大西流星)と話していた。不破に言われた言葉が正しかったと認め、そのことに気づいて自分自身に苛立っていると吐露する。

それを聞いた前田は「不破検事付きの事務官なんて羨ましい」と言い、地検内には隠れた不破ファンが多いことを明かす。惣領は「正しいからこそ、傷つくことってあるじゃないですか」とつぶやく。

前田は話題を変え、仁科睦美(観月ありさ)も仕事には厳しい人だと語る。彼女はかつては刑事部の検事だったが、母親がアルツハイマーを発症したことをきっかけに異動し、現在は総務課の事務官として働くようになった。

定時で帰れる部署を希望したのは、介護のためだった。今ではその母親もすでに亡くなっている。

一斉調査

榊は不破に対し、所轄に対する捜査は今はできないと伝える。警察との関係が悪化するのを避けたいというのが理由だった。

しかし不破は、「検察は警察のために存在しているのではありません。法の秩序を守るために存在しています」と静かに反論。検察と警察の馴れ合いは慎むべきだと話し、所轄署に直接出向く意思を示す。そして惣領に、仁科と特捜部への連絡を頼んだ。

不破が向かったのは枚方北署。刑事課長の白川直樹(ラブ守永)が現れ、不満をぶつけてくるが、不破は構わず一斉調査を宣言し、資料室の確認に入る。リストに該当する案件を洗い出し、23年6月17日に枚方で発生した交通事故の記録を探す。

そこへ署長の坂東浩一(宮本大誠)が現れ、抗議を始める。不破は、該当する事件の捜査資料が見当たらないと伝える。白川は「事件は未解決だ」と釈明するが、不破は「証拠物件はいったん所轄に戻されるはず」と指摘。さらに、すでに解決済みの2年前の交通事故の資料も見当たらないと告げた。

紛失している資料はいずれも、府警本部との合同捜査が行われた事件ばかりだった。不破は今日付けで府警本部をはじめとする66の所轄に、地検の事務官を同時に派遣したことを明かす。

箝口令

不破は行動を起こす前に、事務官たちを集め、あらかじめ調査対象となる資料をリストアップしていた。そして、各所轄の捜査資料と証拠資料が適切に揃っているかを確認してほしいと依頼する。前田らも調査に加わり、各署へと向かっていった。

不破はすでに、他の署でも資料の紛失が起きていると踏んでいた。そして実際に訪れた枚方北署の倉庫を見て、不自然さに気づく。資料棚の最上段に積まれた段ボールにすら埃ひとつなく、過剰に整理されていた。不破は「最近府警本部からの通達があって、慌てて整えられた形跡がある」と見抜く。

署長の坂東は通達の存在を認める。本部から、大量の資料散逸が報告されたことを受け、該当する事件を担当した所轄に対して、速やかに証拠保管庫を点検するよう通達があったという。しかも、府警本部長自らが直接電話をかけてきたのだと明かした。

紛失の経緯

不破、榊、府警本部長の柳谷泰典(大河内浩)の三人が集まり、府警本部による調査結果について話し合う。柳谷は結果を認め、200件を超える事件に関して捜査資料の一部、あるいは全てが紛失していると明かした。

経緯について問われると、「着任したころには証拠保管庫はすでに飽和状態で、セキュリティの甘い場所に保管されたものもあった。ゴミと一緒に誤って廃棄された可能性も否定できない」と説明。さらに、明日にも記者会見を開く予定だという。

ここで榊が提案を持ちかける。今回の発覚は、阿倍野南署の件を受けて所轄が自主的に資料を点検した結果とすればどうかと。責任の取り方こそが重要であり、発覚の経緯にはこだわらない姿勢を示す。

不破はこれに「構わない」と応じ、自身の判断で捜査を続けるだけだと語る。「今後、自分の捜査を妨げないのであれば、どう発表しようと判断は任せます」と言い残し、その場を後にする。

しかし惣領は納得がいかず、「府警本部に貸しを作るための一斉捜査だったんですか?自分たちの下仕事がなかったことにされている」と憤る。不破はそんな惣領に「感情を表に出しすぎだ」と注意し、話を切り上げて転落事故の捜査に戻るとだけ告げた。

聞き込み

不破は惣領と共に、再び事件現場を訪れる。佑真が働く居酒屋のある雑居ビルにはエレベーターが備え付けられており、階段は裏手に離れて設置されている。惣領は疑問を口にする。「足の悪い状態の康介さんがが3階の居酒屋に行くなら、当然エレベーターを使うはず。なのに、帰りはなぜわざわざ裏の階段を使ったんですか?

不自然な行動を確かめるため、二人は防犯カメラの映像を確認する。すると、事件時刻のエレベーター映像に康介の姿は映っていなかった。

さらに、佑真が働く居酒屋の店長・三谷(井上智之)にも話を聞く。佑真は高校時代からこの店で働いており、今年で3年目。定休日以外は毎日勤務していたという。康介には一度だけ挨拶を交わしたことがあった。康介はまだら認知で、佑真はけっこう振り回されていたとも語った。

また、同僚の井上(池田永吉)にも話を聞く。井上は「最近、佑真がバイトに来なくなった。何かやったんじゃないか、もしかして金を盗んだのか?」と不審を口にする。佑真が金に困っているように見えたと証言し、余った料理などを頻繁に持ち帰っていたことも明かした。

消えない思い

不破と惣領は団地を訪れ、管理人(池浪玄八)から話を聞く。佑真の母親は看護師で、シングルマザーとして働いていたという。佑真の面倒は、当時から祖父の康介がよく見ていたらしい。

しかし最近は二人の姿を見かけることがほとんどなくなった。母親が亡くなってから、めっきり外に出なくなったようだと住人は語る。現在住んでいるのは団地の1階だが、もともとは4階に住んでおり、母が事故に遭った道路が見える部屋を避けるために、移り住んだのではないかという声もあった。

かつて暮らしていた上階の部屋を訪ねてみると、佑真が「ヤングケアラー」であったことが浮かび上がってくる。母を亡くしたあと、バイトで生計を立てながら、祖父の介護を一人で担っていたのだ。

不破と惣領がベランダに出ると、目の前には交通事故が起きた道路が見下ろせる。そこで惣領は、ふとこぼす。

「認知症になっても、悲しみや怒りは消えないんでしょうか」

謝罪会見

本部長が記者会見を開き、大阪府警における大量の捜査資料紛失について謝罪した。表向きには、警察内部の自浄作用が働いたかのように語られたが、高峰仁誠(竹財輝之助)はテレビを見てすぐに気づいていた。これは不破の行動によって明るみに出たことだと。

一方、惣領たちは喫茶店で会見の様子を配信で見ていた。会見では大阪地検の名も出され、「不祥事の連鎖」という扱いがされていた。惣領が「昔、何があったんですか?」と口にすると、仁科が説明する。

「文書改ざん事件のことよ」その言葉を聞いた前田は、明らかに動揺した様子で席を立った。

15年前、大阪地検の特捜部に所属していた検事による証拠文書の改ざん事件が発覚。当時の特捜部長、副部長、そして検事本人が逮捕されるという前代未聞の事態となった。さらに、責任を取って当時の検事総長が辞任するなど、大阪地検の歴史に刻まれる大事件だった。

不起訴の理由

不破は佑真の母が命を落とした、交通事故の現場を訪れる。事故は仕事を終えた看護師が、信号のない道を渡ろうとした際、車にはねられて死亡したというものだった。車は現場から逃走し、当初はひき逃げ事件として、大阪府警本部と枚方署が合同で捜査を開始していた。

運転手は事故をニュースで知り、自ら出頭。「急に何かが飛び出してきた。人間だとは思わなかった」と証言している。警察は現場周辺で目撃情報を募ったが、有力な情報は集まらなかった。

車両のドライブレコーダーが押収され、映像を検証した結果、運転手にも一定の過失が認められた。だが、送致された時点でその映像データが紛失しており、公判を維持するのは困難と判断され、起訴は見送られた

その事故で亡くなったのが、佑真の母だった。そして、事故を起こした運転手こそが、今回の転落事件の被害者・田中俊哉だった

「康介さんは、娘さんの敵を討ったんですか?」と惣領が疑念を口にするが、不破は静かに答える。「証拠がない以上、供述をとるしかない」

その後、不破は仁科のもとを訪れ、アルツハイマーについて意見を求める。仁科は答える。「アルツハイマーの患者でも、感情はちゃんとあります。悲しみや怒りが消えるわけじゃない」

憎しみの感情

不破は佑真と康介を事件現場に呼び出し、話を始める。田中俊哉は、佑真が働く居酒屋の隣にあるバーの常連客だった。そこで不破は問いかける。

「田中さんのことを、知っていたのではありませんか?」佑真は「知りません」と否定し、人身事故を起こしていたことすら知らなかったと答える。

しかし不破は言う。田中は酔うと決まって、「車を運転していたら急に人が飛び出してきてひいてしまった。でも無罪になった。悪いのは飛び出した方だ」と話していたと。彼の傲慢な態度は、周囲でも知られていた

さらに不破は、今回紛失した資料の中に、田中が起こした交通事故に関する証拠データも含まれていたことを告げる。ドライブレコーダーの映像が紛失していたために起訴は見送られた、と。

それを聞いた佑真は激しく怒りを露わにする。「ふざけんなよ。向こうの弁護士は、うちの母は子供と父親の世話に疲れて、自殺願望があったんじゃないかって言ってきた。そんなわけあるか。飛び出したなんて、嘘に決まってる!」

その言葉を聞いた不破は、静かに言う。「やはり、知っていたんですね。田中さんが、君の母親の事故の加害者だったということを」

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事件の真相

不破の捜査により、佑真にも康介にも動機があったことが明らかとなる。しかし、エレベーターの防犯カメラには、佑真がゴミを捨てに行く姿も、康介が迎えに来た姿も映っていなかった。どちらもエレベーターを使用していないのに、互いにその位置が入れ替わっているように見えた。

不破は指摘する。「2階で田中さんと口論していたのは佑真さんで、下から見上げていたのが康介さんだったのでは?」

その問いに佑真は「違います」と否定するが、次の瞬間、康介がゆっくりと車椅子から立ち上がった。足を引きずりながら前に進み、やがて倒れ込んでも地面を這って進もうとする。そして呻くように言った。

「じいちゃんがやった……じいちゃんのせいや」

その姿に、佑真は思わず駆け寄り、祖父を抱きしめて泣きながら止める。そして、不破に向き直った佑真は、静かに告白する。

「検事さん、僕がやったんです。僕がやりました」

事件の夜、佑真はゴミを持って踊り場に出た。そこで田中が電話をしている姿を目撃する。「酔っていても運転は大丈夫、あの時だって大丈夫だった」と、まるで武勇伝のように語っていた。

その言葉を聞いた瞬間、佑真の中で怒りが爆発する。「田中……俊哉。母ちゃんに謝れ……謝れ!」と詰め寄り、胸ぐらを掴んだ。しかし、掴んでいた手を離した瞬間、田中はバランスを崩し、そのまま後方へと転落した

慌てて階下に駆け下りた佑真の前に、傘を持った康介が現れる。康介は佑真にそっと傘を差し出し、微笑んで言った。「じいちゃんが……やった」そして、優しく肩を叩きながら、静かに語りかける。「大丈夫や。大丈夫」

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交通事故の真相

佑真は祖父がたまに昔のように戻ってくることがあり、それを利用したんだと自責した。それを聞いた不破は、病状については後ほど検査が行われるだろうと語った。しかし、ひとつだけ確かなことがあると不破は言う。

記憶が消えても、感情は残ります。孫を守りたいという思いは、康介さんの中に今でも変わらずにあるんです」

不破は、最初から真実を語るべきだったと佑真に諭す。そして、「謝る相手がいるとすれば、違うはずだ」と言うと、佑真は静かに祖父の前に膝をつき、泣きながら謝罪した。

そのとき、不破はもうひとつの事実を語る。母・涼子の命日には、毎月事故現場に花が供えられていた。その花を供えていた人物は、あの日涼子が助けた犬の飼い主だったという。

涼子は事故当日、道路に迷い込んで立ち往生していた犬を救うために車道に飛び出したのだった。そして、道路の反対側で犬を探していた飼い主は、事故の瞬間を目撃していた。しかし、遺族に顔向けできず、名乗り出ることができなかったという。

「ドライブレコーダーのデータさえ失われていなければ、真実は明らかになり、田中俊哉は起訴されていたはずです」不破の言葉に、佑真は「そんな…」と悔しさをにじませる。

不破は続ける。「過去は変えられません。でも、あなたのお母さんがどんな人だったかは、これからも変わることはありません。自ら命を絶つような人ではないし、小さな命を見過ごせない、責任感の強い、優しい人だったのでしょう」

その言葉に、佑真は再び静かに涙を流す。惣領は黙って、康介を支えながら起こすのを手伝った。そして、不破は深く一礼し、「無理をさせてしまい、申し訳ありませんでした」と告げて去っていった。残された惣領に、佑真はひとつだけお願いがあると静かに頼んだ。

その後、佑真は康介を車椅子に乗せ、ゆっくりとある道を歩いていく。「この道、好きなんです」そこは、かつて康介が乳母車に乗せた幼い佑真を押して歩いてくれた思い出の道だった。康介も穏やかな表情を浮かべ、昔の記憶に包まれているようだった。そんな光景に、惣領は思わず涙をこぼす。

佑真は母が亡くなった事故現場に花を供える。その裏側には、ひときわ目立つ立派な百合の花が供えられていた。気付いた惣領は、きっと不破が供えたのだろうと悟った

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【能面検事】3話の結末

資料紛失問題の責任者として、警察は97名の関与を公式に発表。処分対象は70人以上に及び、その多くが懲戒処分となる前代未聞の事態となった。

そんな中、不破は本部長とすれ違いざまに会釈を交わす。本部長はその場に立ち止まり、不破に声をかけた。「76人もの処分者が出た。誰も違法行為をしたわけでもないのに……お前は何も感じないのか?」

本部長の言葉に対し、不破は一切の感情を交えず答える。「私は、自分の仕事が誰にどんな影響を及ぼすかには、まったく興味がありません」

だが、不破は続けてこう指摘した。「ただ一つだけ。府警本部は、大きな山ばかりを見ようとして、市井の事件に目が届いていないのではありませんか?」

表情を一切変えずに不破は続ける。「一つ一つは小さな事件かもしれない。けれど、どの事件にも被害者がいて、どの被害者にも家族がいる。被害者の最期を知るすべを失った家族の中には、その後の人生を大きく狂わされる者もいます

そして静かに言い放つ。「あなた方が紛失したのは、そうした重さを持ったものです」そう言い残し、不破は背を向けて去った。

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【能面検事】3話のまとめと感想

母親をひき殺した男を殺害してしまった孫を、祖父が認知症でありながらも必死にかばったという話でした。

実際アルツハイマー型認知症の人が、康介のようにかばったりできるのかは分かりません。ただ、今回の話では、例え認知症になったとしても、孫を守りたい気持ちがあったということでした。

結局佑真はどんな罪になるのか?そもそも送検されるのか?など、気になりますが、結果は分かりません。そういえば不破は検事なのに、法廷に立っている姿が出てきません。できればリーガルドラマなので、裁判の結果が知りたいものです。

判決がないがせいか、上川さんが演じているせいか、今回の話は『遺留捜査』でもありそうな話だなと感じました。祖父役の日野さんが、車椅子から立ち上がって歩き出すシーンはかなり印象的でした。

最後の本部長と不破のやりとりが痛快です。本部長は組織を優先しますが、不破は法を優先します。本来警察の人も法を優先して欲しいものですが、ドラマで見る限り、大体組織を優先するようです。もっとも、地検も不破以外は組織を優先しているので、似たり寄ったりです。

次回からは違う話にガラッと変わるようです。不破を撃った犯人が捕まる話は出てくるのか?気になります。

あなた方が紛失したのは、そうした重さのものです。

【能面検事】3話のいいセリフ

あなた方が紛失したのは、そうした重さのものです。

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