『大追跡~警視庁SSBC強行犯係~Season2』第3話では、公園でホームレスの石原慎也が死亡し、第一発見者の小木星矢と、現場付近の防犯カメラに映っていた宇田川謙介が犯人候補として浮上します。
しかし、2人はどちらも犯人ではありませんでした。
この記事では、小木と宇田川がなぜ疑われたのか、ネット上の情報が捜査にどのような影響を与えたのか、そしてホームレス死亡事件の真相を整理します。
3行まとめ
- 公園でホームレスの石原慎也が死亡し、第一発見者の小木星矢と、現場付近にいた宇田川謙介が犯人候補となる。
- しかし、2人とも石原を殺しておらず、ネット上の情報によって疑いが強まっていた。
- 真相は、ダンプカーから落下したコンクリート片が石原を直撃した事故だった。
『大追跡 Season2』の各話のあらすじや犯人、デジタル捜査、ゲスト出演者については、全話まとめ記事で随時更新しています。
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第3話「大炎上…暴走する正義」のあらすじ
水天公園で、ホームレスの石原慎也が頭から血を流して死亡しているのが見つかる。現場には血と髪の毛が付着したコンクリート片が落ちており、警察は殺人事件として捜査を開始。
第一発見者の小木星矢は、コンクリート片から指紋が検出されたうえ、遺体を発見したことを友人とのグループチャットに投稿していた。その内容がネットへ流出し、名前や住所、顔写真まで拡散されたことで、小木は犯人扱いされる。
一方、防犯カメラには、以前石原と口論していた宇田川謙介の姿も映っていた。宇田川もネット上で特定され、第二の被疑者として疑われたが、スマートフォンの記録などから容疑は晴れた。
小木にも宇田川にも殺害の動機が見つからず、捜査を最初から見直した結果、石原の死は殺人ではなかったことが判明。橋の上を走っていたダンプカーからコンクリート片が落下し、ガードレールに当たったあと、公園にいた石原の頭を直撃していた。
2人の被疑者を追っていたはずの捜査は、最終的に「そもそも犯人は存在しない」という結論へたどり着いた。
ホームレスの遺体が発見される
水天公園でホームレスの石原慎也が、頭から血を流して死亡しているのが見つかりました。第一発見者は、友人と遊んだ帰りにバイクで公園付近を通りかかった小木星矢です。
遺体のそばには、血と髪の毛が付着したコンクリート片が落ちていました。警察はこのコンクリート片が凶器として使われた可能性があると考え、殺人事件として捜査を開始します。
石原が最後に目撃されたのは午後10時50分頃で、小木が遺体を発見したのは午後11時30分頃でした。しかし、その間に公園へ出入りする不審な人物は、防犯カメラには映っていませんでした。
小木星矢はなぜ犯人と疑われたのか
小木星矢が最初に疑われたのは、石原慎也の遺体を発見した第一発見者だったからです。八重樫は第一発見者が事件に関わっている可能性を考え、小木を捜査対象にします。
さらに、凶器と思われたコンクリート片から小木の指紋が検出されます。小木は遺体を発見した際、足元にあったコンクリート片につまずき、それを拾い上げたと説明しましたが、指紋の存在によって疑いは強まります。
また、小木は遺体を発見した直後、友人とのグループチャットに「死体見つけちゃった」と投稿していたことが判明。その内容がネット上へ流出し、名前や住所、顔写真まで拡散されたことで、警察の捜査とは別に、ネット上でも犯人扱いされていきます。
その後、小木が自宅から姿を消したことで、警察は逃走したと判断。しかし、小木が向かったのは、自分の情報をネットへ流した友人の前田悠真のもとでした。
第一発見者、コンクリート片の指紋、遺体発見後の投稿、そして失踪。小木には怪しく見える材料がそろっていましたが、いずれも殺人を示す決定的な証拠ではありませんでした。
情報をネットへ流したのは誰だったのか
情報をネットへ流したのは、グループチャットのメンバーである前田悠真でした。
小木は遺体を見つけた直後、友人たちとのチャットにそのことを書き込みます。前田はその内容を外部へ流し、小木が第一発見者だと広まってしまいます。
やがて、小木の名前や住所、顔写真まで特定され、自宅には人が押しかけるようになりました。小木は情報がどこから漏れたのかを確かめるため、前田のもとへ向かいます。
小木が姿を消したのは、殺人を隠して逃げたからではなく、自分を売った友人を問い詰めるためでした。
前田は誰でも同じことをすると開き直り、小木も遺体を見つけたことを面白がっていたと反論します。しかし、軽い気持ちで流した情報は、小木を殺人事件の被疑者として世間にさらす結果になりました。
宇田川謙介はなぜ第2の被疑者になったのか
宇田川謙介が第2の被疑者として浮上したのは、事件の約1週間前に石原慎也と口論していたことが分かったためです。
宇田川は酒に酔い、石原が集めていた空き缶を蹴り散らしていました。さらに、事件当日の午後11時頃、現場付近を歩く姿が防犯カメラに映っていたことから、警察は石原の死亡に関わった可能性を疑います。
その映像がネット上へ流れると、宇田川の名前や顔写真まで特定され、自宅には大勢の人が押しかけました。石原と揉めていたこと、現場付近にいたこと、顔が防犯カメラに映っていたことが結びつけられ、犯人であるかのように扱われたのです。
しかし、宇田川は自分の店を閉めたあと、いつもの道を歩いて帰っていただけでした。スマートフォンの記録などを確認した結果、石原を殺害した事実はないと分かり、容疑は晴れます。
宇田川もまた、小木星矢と同じように、断片的な情報を組み合わせたネット上の推測によって被疑者に仕立てられた人物でした。
2人はどちらも犯人ではなかった
小木星矢と宇田川謙介には、それぞれ犯人に見える材料がありました。しかし、どちらにも石原慎也を殺す明確な動機はなく、調べを進めても殺害を裏付ける証拠は見つかりませんでした。
捜査はネット上の情報に引っ張られていた
小木が疑われたきっかけは、第一発見者だったことやコンクリート片から指紋が出たことでした。そこへグループチャットの内容が流出し、名前や住所まで拡散されたことで、「小木が怪しい」という見方が一気に強まります。
宇田川も同様に、石原と口論していたことや現場付近の防犯カメラに映っていたことから疑われました。しかし、彼の名前や顔がネット上で特定されたことで、警察も世間も、断片的な情報をつなぎ合わせた物語に引っ張られていきます。
捜査はいつの間にか、「小木か宇田川のどちらが犯人なのか」という2択になってました。
「犯人がいる」という前提が間違っていた
伊垣は小木にも宇田川にも動機がないことから、捜査の大前提を見直す必要があると考えます。
名波も「犯人は小木でも宇田川でもない」と指摘しました。2人のどちらかを選ぶのではなく、そもそも石原が誰かに殺されたという前提自体を疑ったのです。
現場に血のついたコンクリート片があり、第一発見者の指紋も出ていたため、警察は最初から殺人事件だと考えていました。しかし、その思い込みこそが真相を遠ざけていました。
現場に凶器らしきコンクリート片があり、疑わしい人物も2人いたことで、警察は「殺人事件である」という前提そのものを疑えなくなっていました。
しかし、小木も宇田川も犯人ではありません。さらに言えば、この事件には最初から犯人そのものが存在していなかったのです。
死亡事件の真相
石原慎也の死に犯人がいないと考えた伊垣たちは、事件現場を改めて調べ直します。すると、石原が倒れていた公園の真上にある道路のガードレールに、不自然な傷が残っていることに気づきました。
ガードレールに残る傷
事件当日の防犯カメラを確認すると、午後10時50分頃、廃材のコンクリートを積んだダンプカーが橋の上を通過していました。
さらに後続車のドライブレコーダーには、ダンプカーの荷台からコンクリート片が落下し、ガードレールにぶつかる様子が記録されていました。現場に落ちていたコンクリート片と照合した結果、同じものだと判明します。
つまり、コンクリート片は誰かが凶器として持ち込んだのではなく、橋の上を走っていたダンプカーから落ちたものでした。
防犯カメラの音声が事故を証明した
決め手となったのは、公園西側に設置されていた防犯カメラの音声です。
午後11時12分頃の記録には、車の走行音に続いて、コンクリート片がガードレールへ衝突する音、その後に石原へ直撃した音と、うめき声が残されていました。
コンクリート片はダンプカーの荷台から落下し、ガードレールにぶつかったあと、橋の下にある公園へ落ちて石原の頭を直撃していたのです。
小木星矢が石原を発見したのは、その約15分後でした。石原の死は殺人ではなく、ダンプカーから落下したコンクリート片による事故だったのです。
コラム|ネットの誤情報はなぜ真実のように広がったのか
ネット上の誤情報は、最初から完全な嘘として広がったわけではありませんでした。小木星矢が第一発見者だったこと、宇田川謙介が石原慎也と口論していたこと、防犯カメラに宇田川の姿が映っていたことなど、拡散された情報の一部は事実です。
しかし、その断片に「だから犯人に違いない」という推測が付け加えられたことで、誤った物語が作られていきました。
「第一発見者が怪しい」という推測が事実に変わった
小木について最初に広まったのは、「第一発見者が一番怪しい」という投稿でした。
第一発見者が捜査対象になることはありますが、それだけで犯人だと決まるわけではありません。ところが、現場作業員であることや、遺体発見を友人へ伝えていたことまで明らかになると、推測は次第に事実のように扱われていきました。
さらに、コンクリート片から小木の指紋が検出されたことで、ネット上では「やはり犯人だった」という筋書きが完成します。
実際には、指紋は小木が現場でコンクリート片を拾った際についたものでした。しかし、後から判明した事情よりも、先に広まった疑いのほうが強く残りました。
本物の映像にも間違った説明は付けられる
宇田川は、事件当日に現場付近を歩く姿が防犯カメラに映っていました。その映像自体は本物です。
しかし、宇田川が石原と口論していたという情報と結びついたことで、「事件現場から立ち去る犯人」の映像として受け取られてしまいました。
宇田川は自分の店を閉め、いつもの道を歩いて帰っていただけです。映像が本物でも、その前後関係や意味づけが間違っていれば、誤情報は簡単に作られます。
第3話では、防犯カメラが真実を映す道具である一方、見る側の解釈によっては、誤った結論を補強する材料にもなることが描かれていました。
投稿者は真実よりも拡散を優先した
小木の家へ押しかけた泉克典は、自らをフリージャーナリストと名乗っていました。しかし、彼が求めていたのは事件の真相ではなく、注目を集めることでした。
情報が正しいかどうかは関係なく、話題になればよい。間違っていても、拡散されれば自分の利益になる。そうした姿勢によって、確認されていない情報が次々と広がっていきます。
また、小木の友人である前田悠真も、グループチャットの内容を軽い気持ちで外部へ流しました。本人にとっては一時的な話題でも、小木は名前や住所を晒され、自宅へ人が押しかける被害を受けています。
情報を流した側の軽さと、晒された側が受ける被害の大きさは、まったく釣り合っていませんでした。
警察もネット上の物語に影響された
ネットの誤情報に振り回されたのは、一般の人々だけではありません。
警察も小木か宇田川のどちらが犯人なのか、という考えに引っ張られていきました。2人に疑わしい点があったことは事実ですが、捜査は次第に、ネット上で作られた「2人の容疑者」という構図に近づいていきます。
伊垣が「大前提から考え直す必要がある」と気づくまで、誰も石原の死が事故である可能性を本格的に考えていなかったのです。
ネット上の誤情報は、捜査の外で騒ぎを起こしただけではありません。警察の視野まで狭め、真相から遠ざける力を持っていたのです。
誤情報が訂正されても被害は消えない
最終的に石原の死は事故だったと判明し、小木も宇田川も犯人ではないことが明らかになりました。
しかし、一度ネット上に広まった名前や顔写真、住所まで完全に消えるとは限りません。訂正の記事よりも、最初に拡散された刺激的な投稿のほうが、多くの人の記憶に残ることもあります。
第3話が描いたのは、誤情報が広がる速さだけではありません。真実が判明しても、傷つけられた生活や失われた信用は簡単には元に戻らないという怖さでした。
石原は本当に「運が悪かっただけ」なのか
今田賢治は、石原慎也について「本当にただ運が悪かっただけだ」と語っていました。
石原は東日本大震災で妻と子どもを亡くし、その後も新型コロナウイルスの影響で仕事を失い、ホームレスになっていました。そもそもホームレスになったこと自体が、運が悪かったと今田は言います。それでも周囲の人を励ます優しい人物だったといいます。
そんな石原が、たまたま公園にいた時に落下してきたコンクリート片に直撃されて亡くなったのだから、今田が「運が悪かった」と受け止めたくなるのも無理はありません。
しかし、石原の死は、完全な偶然だけで起きたとは言い切れません。
コンクリート片は、橋の上を走っていたダンプカーの荷台から落下していました。警察は事故の判明後、積載方法や積載量が法令に適合していたかを確認するため、運転手から事情を聴いています。
適切に固定されていなかった廃材が落下したのであれば、殺意を持った犯人はいなくても、事故を防げなかった責任は残ります。
石原は誰かに狙われて殺されたわけではありませんでした。しかし、「事故だった」という言葉だけで、その死を単なる不運として片づけてよいわけでもありません。
第3話は真犯人が存在しない結末を描く一方で、殺意がなくても人の命が失われること、そして事故にも原因と責任があることを示していました。
まとめ|2人の被疑者を追った先で、殺人事件そのものが消えた第3話
第3話では、ホームレスの石原慎也が公園で死亡し、第一発見者の小木星矢と、現場付近にいた宇田川謙介が容疑者として浮上しました。
小木にはコンクリート片の指紋、宇田川には石原との口論という疑わしい材料があり、ネット上では2人の名前や顔写真まで拡散されます。警察もまた、「小木か宇田川のどちらが犯人なのか」という考えに引っ張られていきました。
しかし、2人には殺害の動機も決定的な証拠もありませんでした。捜査の前提を見直したことで、石原は誰かに殺されたのではなく、ダンプカーから落下したコンクリート片に直撃されて亡くなったことが判明します。
今回の真相は、真犯人が別にいたというものではありません。最初から犯人そのものが存在せず、殺人事件だと思われていた出来事が事故へと変わったのです。
同時に第3話は、事実の一部と推測が結びつくことで、ネット上にもっともらしい誤情報が作られていく怖さも描きました。2人の被疑者を追った先で消えたのは殺人事件だけではなく、ネットで作られた「犯人」という物語でもあったのです。
第4話以降の事件や犯人、各話で使用されたデジタル捜査については、Season2全話まとめ記事で更新していきます。
