NHK BS【令和元年版 怪談牡丹燈籠】の第3話は、新三郎とお露の物語が終焉し、お国と源次郎の悪巧みにより孝助と平左衛門が悲しいことになります。次回最終回となる物語、どうやって終わりを迎えるのか?その転機となる回です。
【令和元年版 怪談牡丹燈籠】3話のあらすじ
新三郎の下男・伴蔵が見たお露は世にも恐ろしい化け物だった。このままでは新三郎は取り殺されてしまうという高僧の忠言を受け、護符を家中の入り口に貼り、読経をして幽霊たちを寄せ付けないようにした。
公式HPより引用
しかしなんとしても新三郎に会いたいお露とお米は、伴蔵夫婦にお札をはがしてくれるよう頼むが、強欲なお峰は、暮らしに困らぬだけの礼をしてもらわなくては聞けぬ頼みだと開き直る。
するとお米は明晩百両を差し上げようと提案。欲に目がくらんだ伴蔵たちはお札をはがしてしまう。一方お国は飯島家を源次郎が相続するという偽の遺言状を用意し、平左衛門を殺す計画を実行しようとする。
【令和元年版 怪談牡丹燈籠】3話のネタバレ
- お露が新三郎の家を訪ねるが護符が貼ってあって入れない。お米は案があるといい一旦今日は帰ることにする
- 孝助とお徳は祝言を挙げる前に、親子の契りを交わす。だが、平左衛門が心配な孝助は、祝言を挙げるまで飯島家にいたいといい許される
- お国と源次郎は孝助を討つため、お徳を狙っていた男、倉田正四郎をけしかけ闇討ちしようと画策する
- 伴蔵の家にお米はやってきて護符を剥がすよう命じる。妻のお峰が百両くれるならやってもいいといい、明日持って来ると約束した
- 夜道を歩く孝助を正四郎たちが待ち伏せていた。孝助は刀の柄で一撃食らわせて、ひるんだ隙に逃げていく
- お国は偽の遺言書を偽文師に書かせて金を支払う。だが、偽文師はもっと金を寄越せとせびり、源次郎に切り捨てられる。そして遺体を川に沈めた
- 泳ぎが苦手な平左衛門と釣りに出かけて船の底にしてある栓を抜き、そのまま沈めて殺害する計画をお国たちは考えていた
- 釣りに行く前日から家に泊まるよう、平左衛門は源次郎を家に呼び寄せる
- お露たちは飯島家の金蔵から金を盗み、伴蔵の家に約束の百両を持ってくる。さらに頼まれていた仏像を新三郎の家から盗み、護符を剥がして入れるようにしてやった
- 部屋に入っていったお露は新三郎に会えて喜ぶ反面、心変わりしたことを恨んで噛み付く。だが、新三郎はもはや経も唱えずお露に会いたかったといい「私を殺してくれ」と願う
- 一方源次郎は夜中にこっそりとお国のいる寝所へ向かう。見張っていた孝助は刀を抜き、源次郎と誤って平左衛門を突き刺してしまう。お国は今日は離れで寝ていたのだった
- 主人を刺して慌てる孝助に平左衛門は言う。お前の父を殺したのは自分だと、そして本物の遺言状を持って若年寄の家と新五兵衛の家へ走れと命じる。平左衛門を案じて拒む孝助だが、自分がお国と源次郎を討つと言う。平左衛門は剣の師匠としての言葉を伝え、それを聞いた孝助は文を手にして走る
- 平左衛門は傷付きながらお国の寝所に踏み込み、源次郎の足を突き刺す。逃げる源次郎を追って刀を振り下ろそうとした瞬間、刃は鴨居に当たって振れずその隙に源次郎に刺されてしまう
- 平左衛門を殺したお国と源次郎はそのまま姿を消すべく逃げていく
- 新三郎の家を朝覗くと、お露の亡骸を抱いたまま死んでいる姿が発見される。仏像がないことを勇斎に指摘された、伴蔵とお峰はバレる前に百両と仏像を持って逃げ出す
- 孝助は新五兵衛のところに文を入れ、平左衛門の元に急いで戻る。平左衛門の亡骸を囲む中に源次郎の父である宮辺がいた。憤る孝助に宮辺は「お国と源次郎の仇を討て」と命じる
【令和元年版 怪談牡丹燈籠】3話の感想
現代劇としてやっても面白そうな回です。結局、これからを生きるよりも新三郎は愛を貫きます。
また、孝助の父の仇である平左衛門は、それを知りながらも孝助が可愛かったと言い、剣の師弟愛を抱いて散ります。
さらに、地獄まっしぐらなお国と源次郎は、破滅的なカップルが出てくる映画の主人公のようです。
伴蔵とお峰の夫婦は、幽霊に協力して一攫千金というような話が作れそうです。
一人の主人公視点で話が進むわけではないので、誰を主人公にするかでこの物語は違います。お露を主人公にすれば悲恋でしょうし、孝助を主人公にすれば仇討ち、お国を主人公にすれば破滅的な愛となります。
それぞれ一つの話だけでも一本のドラマが作れそうなものを、複数入れて構成されています。【牡丹燈籠】は贅沢な物語だったんだなと、今回初めて知りました。
今回はお露と新三郎の物語の詳細と、お国たちの策略と孝助・平左衛門の関係などについてまとめました。
ネタバレの詳細となります。未視聴の方はご注意ください。
お露と新三郎の愛の終わり方
お露が幽霊だと分かって護符を貼り、仏像を置いてお経を唱え撃退しようとしていた新三郎ですが、いざお露が来ないと寂しくなってしまいます。さらにお米が新三郎の長屋に住む、伴蔵とお峰に頼み交渉をします。その結果、どうなったのか?
- 新三郎が心変わりしたと悲しむお露
- お米は伴蔵のところに行き護符を剥がせと命じる
- お峰が新三郎が死んだら生活できないといって拒む
- そこでお露が百両の金を持ってくる約束をする
- お米はさらに仏像を取り除けとも言う
新三郎が雇い主なので伴蔵とお峰としては、死んでもらっては困ります。だから、幽霊に協力することを最初は拒みます。
しかし、百両の金をチラつかされるとその気になります。ましてや金でできた仏像も手に入れられるとなれば、仮に幽霊が約束を反故にしたとしても、自分たちは損をしないと言います。
義理堅い幽霊なお露は飯島家の金蔵から百両を持ち出します。幽霊が金を掴めるのか、運んで来れるのかについては謎です。とにかく約束を守り百両の金を持ってきます。
それを見た伴蔵たちは協力しないと、自分たちが今度は殺されるとなり、護符を剥がしてしまいます。仏像はもちろん既に盗んでいます。
二人はこうして新三郎が仮に幽霊に殺されたとしても、金に困ることはなくなったどころか大金持ちになります。
実はそもそもこんなことをしなくても、新三郎は既にお露を待ちわびていました。
- 下駄の音が聞こえないと「なぜ来ぬ」零す
- 道端にある仏像に会えない辛さを零す
- 自ら護符を剥がしていた
- お経も唱えずに夜を待っていた
- お露が来た時に再会を喜ぶ
- 「私を殺しておくれ」と願う
最初の一日目はちゃんとお経も唱えていました。日が経つに連れてやっぱり会いたいらしく、来ないことが寂しくなります。
お露が伴蔵たちの力を借りて入って来た日、お露は心変わりした新三郎を恨めしく思い噛み付きます。その場で殺そうと考えていたのでしょう。
ですが、新三郎はお露に会えたことを喜び、「私はお前が来るのを待っていた。怖いながらも待ち焦がれていた」と言います。やっぱりお露が好きでしょうがなかったのです。
覚悟を決めた新三郎はもう生きることよりも、お露のいる死の世界に連れて行ってもらうことを願います。そうして二人は朝まで寄り添い、部屋を確認しに来た時には新三郎は死に、お露の骸を抱いていました。新三郎は生よりも愛を選んだのです。
お国と源次郎の悪巧み
孝助と平左衛門、その2人がいたのでは家の乗っ取りはできないと、なんとかこの2人を排除する策を考えます。まずは孝助を次に平左衛門を、着々と準備は進められていました。
孝助暗殺計画
孝助はお徳と結婚し相川家に婿養子として迎えられます。それを面白く思っていない人物が源次郎の友人にいました。倉田正四郎という旗本の四男坊で、お徳のことが好きだったという人物です。
恋の恨みだけではなく、相川家に婿養子として入るということも取られ、自分が路頭に迷うことに関しても恨みます。その人物を使い、孝助を待ち伏せして闇討ちしようと2人は考えました。
しかし、孝助は平左衛門に鍛えられたため、剣の腕はちゃんとあります。狭い路地で待ち伏せていた正四郎は、一人ではなく仲間を引き連れて来ています。
路地で挟み撃ちにして逃がさないように近づく相手へ、孝助は一歩も引かず受けて立つといいます。持っていた提灯の明かりを消し、真っ暗になった矢先、持っていた刀の柄で正四郎のみぞおち辺りを突いて体勢を崩させます。そして、その隙に孝助は無事逃げて行ってしまいます。
孝助の姿を自宅で見たお国は、闇討ちが失敗したことを知ります。
偽遺言状作成
以前もお国たちは言っていましたが、偽の遺言状を作成させます。その内容は以下の通りです。
娘が身罷りし今、直系の後嗣これなく、血縁たる宮辺家次男源次郎を飯島家の養子といたし。三河以来武勇の家を継がせたく望み候。
この文を書いてもらった偽文師に元々3両だったところ、色をつけて5両お国は支払いをします。するともう5両欲しいと言い出し、仕方ないのでお国は追加でもう5両渡します。ここで終わりにしておけばいいものを、さらに口止め料として10両寄越せとせびります。
そばで聞いていた源次郎がキレたのかは分かりませんが、偽文師は源次郎によって斬られ川に沈められました。
平左衛門暗殺計画
剣豪で名が知られている平左衛門を剣で殺すのは無理ですし、毒殺は以前お毒見役をやっていた関係上難しいと言います。そこで源次郎が考えたのが釣りに行った先での事故を装う作戦です。
平左衛門は剣の腕は立ちますが泳ぎは苦手だといいます。逆に源次郎は泳ぎは得意なため、船ごと沈めて自分だけは泳いで帰り、後で助けようと思ったが無理だったとお上に報告する作戦を立てます。
朝から釣りに行くために源次郎を前日から泊めたらいいと、平左衛門はお国に提案し前の晩から源次郎は家に来ます。殺されずに難を逃れた孝助は、源次郎が家に来るとあって警戒します。
夜中に起きてお国の部屋に向かう源次郎、その姿を見た孝助は大胆な行動に憤ります。そして戸を開けるなり刀でそこにいた人物を突き刺します。しかし、それは源次郎ではなく平左衛門でした。
お国は今日は離れで眠っていて、策略にとっくに気付いていた平左衛門は偽の遺言状を見つけに部屋に来ていました。それを知らぬ孝助は姿も確認せずに刺してしまいます。
平左衛門はこのことを知られないよう声を潜めながら、孝助に自分が父親の仇であると告白します。孝助に討たれてようと思っていた時もあったが、日に日に孝助のことを愛が強くなってしまったと言います。
元々書いておいた若年寄内藤様宛の書状と、新五兵衛宛の書状の2通を持って走れと伝えます。それは本物の遺言状だからと。さらに新五兵衛のところにしばらく身を寄せて、事の成り行きを見守れと言います。
当然、平左衛門を案じる孝助は拒みますが、剣の師としての言葉を伝えます。
進退窮まれば退くべからず。退くに利あらず、臆して退かば討たれ、火中に飛び込むとも進めば本望を遂ぐ。
言葉を聞いて孝助も言われた通りに文を届けに走り、平左衛門はお国と源次郎を討ちに向かいます。
結果、源次郎が平左衛門を返り討ちにし、お国と一緒に逃げます。
【令和元年版 怪談牡丹燈籠】3話のその他気になったこと
- 外を覗いたら幽霊と目が合う恐怖
- 幽霊とも交渉をするしたたかなお峰
- がっつきすぎな偽文師
- ちゃんと自分の家から金百両持って来る律儀なお露
- ぼーっと生きてるとお峰に怒られる伴蔵
【令和元年版 怪談牡丹燈籠】3話のまとめ
それぞれの愛がなんとも切ない回です。お露と新三郎は結局幸せなのだと思いますし、お国と源次郎も恐らく一緒にいれればそれで幸せなのだと思います。
ただ、孝助と平左衛門の師弟愛は非常に物悲しい終わり方をします。仇であるのに日に日に息子のように思い、平左衛門は孝助を可愛がってきました。孝助に刺された時でさえ、自らの業と平左衛門は運命を受け入れます。
実の息子が平左衛門を討ったと知る宮辺は孝助に「平左衛門の仇を討て、遠慮はするな」と言います。孝助は今後、平左衛門の仇を討ちにお国たちを追いかけるでしょう。仇を討つことができるのか?次回、最終回が今から楽しみです。
次回は10月27日22時から放送予定です。