12月11日に放送した【相棒シーズン18】「檻の中~告発」のネタバレと感想、ロケ地などをまとめました。
前回の話の後編となる今回の話は、奇しくもアフガニスタンで活動していた中村哲さんがお亡くなりになられたこともあり、非常に考えさせられる内容となっていました。戦争とは何か?右京さんと冠城が語ります。
【相棒シーズン18】9話のあらすじ
遠隔操作技術の第一人者である大学教授の皆藤(中村育二)は、横領の罪で逮捕されていたが、それは研究の乗っ取りを目論む准教授・佳奈恵(中村優子)がでっち上げた冤罪であることが判明。3000万円の保釈金も戻り、皆藤の保釈も決定的になった。亘(反町隆史)は、旧友で週刊誌記者の桝本(山崎樹範)が、皆藤の保釈を受けて、何か事を起こすのではないかと危惧していたが、本人を問い詰めても軽くかわされてしまう。いっぽう、右京(水谷豊)は、佳奈恵が皆藤を陥れた巧妙な手口を解明したものの、なぜ彼女が危険な橋を渡ってまで皆藤を檻の中に閉じ込めようとしたのか、動機が掴めずにいた。そして、いよいよ皆藤が保釈される。右京と亘が今回の事件の背景にまだ見えていない何かがあると感じ捜査を続ける中、ついに皆藤の恐るべき“復讐計画”が動き始める…。
混沌とする状況の中、未曾有のテロ計画が発動!?
公式HPより
そこには特命係と因縁を持つ権力者の影が…
特命係は真相を突き止め“現代の戦争”を止めることができるのか?
【相棒シーズン18】9話のネタバレ
高瀬が計画した理由
以前交際していた皆藤教授が拘置所から出てきたら、自らのけじめをつけるため、自殺してしまうと思い外に出さないようにしていた。
皆藤教授と桝本がなぜ計画したか?
自分の作った技術がサルウィンでの爆破テロに使用されたことを知り、皆藤教授は愕然とする。研究費の支援をしてくれていたライフケアテクノロジーは、実は軍需産業の会社である東亜ダイナミクスから金を提供されていた。教授は支援してくれる見返りに、一部技術をライフケアテクノロジーに譲渡していた。
その技術を東亜ダイナミクスに横流しし、その結果、ドローン爆弾に技術を転用されサルウィンの爆破テロが起こってしまった。その話を桝本から伝え聞いた教授は責任を感じ、テロの犠牲者たちの追悼式に合わせて告発をすると同時に、ドローン爆弾で自らも死のうと考えていた。
そうすることで、爆弾が調査されてサルウィンで使用されたものと同じだと分かり、表沙汰になるよう計画したのだった。
解決の道筋
高瀬を襲った谷口に話を聞くが、高瀬との面識はまったくなかったことが分かる。高瀬がなぜそんなことをしたのか?分からなかった右京たちだが、横領の濡れ衣を着せるトリックを見破る。それは、鏡で教授のPCの画面を覗き見し、ロボットのアポロが撮影した映像からパスワードを盗んだ。そうして、経理データにアクセスし、数字を書き換えたのだった。
保釈された教授に話をしに行った右京は、2人が交際していた話をする。教授は高瀬への伝言として「申し訳ない」と伝えて欲しいと告げる。伝言を高瀬に伝えた右京は自らの推理を話すが、高瀬は「あなたはまるでわかっていません」と言う。
青木から身元不明の男の正体が東亜ダイナミクスに雇われた男で、サルウィンで傭兵をしていたことを聞かされる。右京たちは桂川と三島の2人を呼び出して、教授の技術を転用していたことを指摘する。
全てを悟った右京と冠城の2人は、それぞれテロを阻止するため動く。右京は高瀬を説得して情報を得ようとし、冠城は桝本を止めに行こうと追悼式会場へ向かう。
告発をしている教授のところへ飛んで来たドローン爆弾、しかし冠城が桝本の手から起爆装置を奪い、爆破は中止された。
【相棒シーズン18】9話の感想
今回の相棒は“戦争”ということを深く考えさせられる内容です。奇しくも12月4日にアフガニスタンで活動をしていた、医師の中村哲さんがお亡くなりになりました。そういったこともあり、余計に考えさせられる内容となっています。
綺麗事といえばそうかもしれませんが、右京さんと冠城の2人のいう言葉は重みがあります。武器を横流しする人たちにどんな大義名分があったとしても、亡くなった人たちは浮かばれません。もっとも、そういったことに鈍感な人だからこそ、そんな商売に携わるのでしょう。ある意味、適材適所なのだと思います。
個人の好き嫌いや信仰の有無に関わらず、人の命を奪う権利は誰にもありません。ましてや金儲けの欲望のために命を奪われてしまうのは、あまりに悲しすぎます。人の幸せのために開発した技術が、自分の預かり知らぬところで人殺しの道具になっていた。そのショックは計り知れません。
今回は事件の全貌と登場人物たちはその後どうなったかについて掘り下げます。
ネタバレの詳細となります。未見の方はご注意ください。
【相棒シーズン18】9話の事件全貌
前編で出てきた謎について、一つずつ回答があったのでまとめます。
謎1:大学で起きる呪い
大学で起きていた呪いはいったいなんだったのか?それに対する答えはこうでした。
呪い1:教授のインタビュー記事の差し替え
ライフケアテクノロジーと東亜ダイナミクスが繋がっていて、技術の横流しをしていたことを告発しようとした。しかし、圧力がかかって差し替えになった。
呪い2:企業からの支援金が急に打ち切られる
告発の動きに気づいて支援金を止めた。
呪い3:教授の横領事件が発生
教授の身を守りたい高瀬がアポロを使ってPCのパスワードを盗み見し、経理データにアクセスして改ざんした
呪い4:研究員の岡田が階段から転落し足を怪我
教授が告発しようとしていたので、東亜ダイナミクスが武田を雇い脅迫や嫌がらせでやった。
呪い5:研究員の鈴木がストーカー被害で辞める
呪い4と同じく東亜ダイナミクスによる嫌がらせ。
呪い6:保釈金強盗
呪い3と同じく教授の身を守るため、高瀬が事前に金を抜き取り、空のアタッシュケースを盗ませた。
謎2:サルウィンでの爆破テロ
結局このテロは何が原因で起きたのか?テロ自体はもちろんテロリストが起こしたものです。ただ、使われたものが何だったのか?それが今回の一番重要なポイントでした。
多額の支援金を受けていた教授は、開発したドローンの技術の一部をライフケアテクノロジーに譲渡していた。その技術を東亜ダイナミクスに横流しし、軍事兵器に転用されてしまった。
兵器を購入したテロリストたちが、サルウィンのキャンプを狙い小型ドローン爆弾を飛ばして爆破した。
元々、ライフケアテクノロジーに金を出していたのが、東亜ダイナミクスでした。最初から軍事技術に転用できそうなものに対して資金援助をしていたのです。
謎3:教授と高瀬や桝本との関係
前回、3人の関係性がよく分からなかったのですが、今回全て明らかになりました。
教授と高瀬:恋人同士だったが教授が研究を選び、高瀬とは別れる。しかし、高瀬は教授を諦められず研究員としてそばにいた。教授も高瀬の手が借りたかったので、そのまま研究室に置いていた。
教授と桝本:恋人を弔いにサルウィンまで行った桝本が、現地で目撃者からドローンが飛んできて爆発したことを聞かされる。日本に戻った桝本は教授にそのことを怒って話すが、教授も技術が転用されているとは知らなかった。
そこで、科学者としての責任を取るため、同じように爆破テロを起こし、ドローン技術が軍事利用されていることを告発しようと手を組んだ。
桝本と高瀬:当初は3人で爆破テロを起こそうと考えていたが、教授を死なせたくない高瀬が裏切り横領事件をでっち上げ保釈金強盗を実行した。
謎4:教授がなぜ早く出たかったのか?
サルウィンでの爆破テロ事件の追悼式典が行われる、11月3日にテロを実行したかったから。
登場人物たちのその後
残念ながら全員分は分かりません。ドラマ内で分かった人物のみ記載します。
- 教授:爆発物取締法違反等の疑いで逮捕
- 桝本:爆発物取締法違反等の疑いで逮捕
- 高瀬:不明
- 武田:伊丹と芹沢により逮捕
- 桂川:右京さんいわく捜査の手が伸びる
- 三島:会社の電話が鳴りまくっていた。恐らく捜査の手が伸びる
- 谷口:高瀬を襲った時点で逮捕拘留、取調べを受けていた
高瀬のみ不明です。ライフケアテクノロジーと桂川のところは、電話が鳴りまくっていました。今後の捜査次第といったところでしょうか。桂川はもう出て来ないのか、片山雛子に便宜を図ってもらえるのか、そこら辺は分かりません。
事件の顛末を伝える番組の最後に出てきた新聞記事を引用します。
【ドローン爆弾は日本製】製造元は東亜ダイナミクス
邦人死亡のサルウィン爆弾テロのものと同型
ライフケアテクノロジーが技術提供に関与科学技術を不正に軍事転用か
3日、テロを画策した疑いで逮捕された東修大学教授皆藤武雄容疑者(65)、出版社勤務桝本修一容疑者(44)両名が使用したドローン爆弾が東亜ダイナミクス社製のものであることが判明した。当局は今回のテロ未遂事件の動機に深くその件が関与していると見て捜査している。警視庁は4日、爆弾の搭載された小型ドローンを所持し、都内上空を飛行させ、東修大学内での爆破を計画していたとして、出版社勤務の会社員、桝本修一容疑者(44)と東修大学教授、皆藤武雄容疑者(65)を爆発物取締法違反の疑いで逮捕した。
事件は、3日に港区桐谷橋の安増寺で行われたサルウィン支援スタッフ追悼慰霊式にて起こった。桝本容疑者が所属している相光書房出版社が発刊する雑誌記事、週刊真相のネット配信動画、週刊真相LIVEにて一般公開されていた皆藤容疑者による中継映像の中で、サルウィン爆破テロ事件の爆弾は、医療機器の販売、製造を行う、株式会社ライフケアテクノロジーへ皆藤教授が提供していた技術を、防衛技術振興協会の副会長を務める桂川宗佐氏が運営するベンチャー企業、株式会社東亜ダイナミクスによって不正転用されたものであると話した。自責の念と同社への摘発のため、実際にテロに使用されたものと同型のドローンを使用して、自爆による公開自殺を図る計画だった。桝本容疑者はドローンを遠隔操作し、皆藤容疑者の自殺幇助の役目を担っていた。
こうして、教授と桝本たちの告発は結果的に成功しました。2人は裁かれるとは思いますが、ライフケアテクノロジーと東亜ダイナミクスはどうなるのかは不明です。
【相棒シーズン18】9話のロケ地
前編に登場したロケ地は省略しています。
増上寺
サルウィン支援スタッフ追悼慰霊式が行われた安増寺
公式HP
【相棒シーズン18】9話のその他気になったこと
- 3000万をその辺に置きっぱなしな高瀬
- 33分と12秒の遅刻と言われる冠城
- ハンシャという言葉に敏感な角田課長
- アポロに「また来たかスギシタ」と言われる右京さん
- サルウィンはどこかの砂浜みたいな場所
- ドローンに“東亜”の文字が書いてある
- 不自然なところにダクトがある研究室
- ドアノブが素手で既に取れかかっている配電室
- 逃げようとしたら「一緒に散歩するか」と言われる武田
- 右京さんが出るのをドア開けて待っている冠城
【相棒シーズン18】9話のまとめ
なかなかに重い話でした。後味が悪いタイプの話ではありませんが、今回は中村哲さんのこともあり、考えさせられる内容でした。
平和を実現するに当たって武力で勝ち取ることの無意味さ、それを右京さんは訴えます。そして科学者としての責務は『技術は人を幸福にするという信念が導く未来を、人々に見せることだ』と教授を諭します。それを自ら諦めてどうするのだと叱責します。
冠城もまた戦争は人の死を数字に変えてしまうと言い、桂川に対して個人名を挙げてよく覚えといてくださいと説教をします。桂川は憂国を訴えますが、冠城や右京さんのように市井の人々に寄り添う人たちには、そんな言葉は通用しません。国を形成するのは一人一人です、それを忘れないで欲しいと冠城は思ったのかもしれません。
ドラマを見ているとしばしば、大義名分を掲げる人ほど個人を蔑ろにする傾向があります。個人個人の小さな活動が広がって平和になる。中村哲さんを始めそういった活動をしている人たちこそ、本当に平和を願って行動している人なんだろうなあと、今回の話を見てよりいっそう感じました。
次回は12月18日21時から放送予定です。右京さんに家庭が?みたいな予告でした。