WOWOWドラマ『MR -医薬情報担当者-』第2話のネタバレを含む解説です。
今回は、糖尿病治療薬「パンセル」をめぐり、製薬会社同士の争いが激化。ライバル会社のタウロスは、パンセルの評価を落とすため、ある策略を仕掛けます。
その背景には、診療ガイドラインの「A判定」をめぐる競争だけでなく、医師同士の過去の確執もありました。
なぜ講演会で発表されたデータがコンプライアンス上の問題になったのか。紀尾中はどのように不正を見抜いたのか。
第2話で描かれた妨害工作の仕組みや人物関係を、図解を交えながら整理します。
第2話あらすじ
天保薬品は、糖尿病治療薬「パンセル」が診療ガイドラインのA判定を得られるよう、準備を進めていた。紀尾中(向井理)は、判定に大きな影響力を持つ乾(升毅)を訪ね、パンセルの有効性を説明する。
一方、ライバル会社タウロスの鮫島(要潤)は、乾に恨みを持つ八神(酒向芳)と手を組み、パンセルの評価を落とそうと画策。東都医科大学病院の医師・堂之上(松尾諭)を巻き込み、ある罠を仕掛ける。
やがてパンセルの講演会で、承認されていない効能に関するデータが発表され、SNSで問題視される事態に。天保薬品はコンプライアンス違反を疑われ、パンセルの採用を取りやめる病院まで現れる。
紀尾中は、講演資料の不自然な点や堂之上とタウロスの関係を調べ始める。果たして、仕組まれた妨害工作を暴き、パンセルの信用を守ることができるのか。
診療ガイドラインのA判定とは? なぜ製薬会社は獲得を目指すのか
第2話では、糖尿病治療薬「パンセル」が診療ガイドラインのA判定を得られるよう、天保薬品が動き出します。しかし、なぜ製薬会社にとってA判定がそれほど重要なのでしょうか。
その理由を知るには、まず診療ガイドラインの仕組みを理解する必要があります。
診療ガイドラインとA判定の意味
診療ガイドラインとは、各疾患の専門学会などが、科学的な根拠に基づいて診断や治療の指針をまとめたものです。医師が患者に適した治療法を選ぶ際の参考となります。
ドラマでは、診療ガイドラインに掲載される治療法には推奨度が設定され、その中でも「A判定」は強く推奨されるものと説明されています。
A判定を得た薬は、全国の医師が治療薬を選ぶ際の有力な候補となり、処方される機会が増える可能性があります。つまり、製薬会社にとっては売上を大きく伸ばすチャンスとなるのです。
ただし、実際の診療ガイドラインは疾患や作成団体によって評価方法が異なり、必ずしもA・B・Cという推奨度で統一されているわけではありません。また、ガイドラインは医師の判断を支援するものであり、特定の薬の処方を義務づけるものではありません。
パンセルとグリブ、A判定をめぐる競争
天保薬品がA判定を狙っているのは、新たな糖尿病治療薬「パンセル」です。
パンセルは10年の歳月と500億円の開発費をかけた新薬で、天保薬品は世界売上1000億円規模の「ブロックバスター」に育てることを目指しています。その実現に大きく関わるのが、次の診療ガイドライン改定です。
しかし、ライバル会社のタウロスも、競合する糖尿病治療薬「グリブ」を有利な立場に押し上げようとしていました。
天保薬品には、東都医科大学病院の名誉教授・乾肇(升毅)という有力な協力者がいました。乾は紀尾中正樹(向井理)の患者第一の姿勢を高く評価しており、パンセルにも好意的でした。
一方、タウロスのMR・鮫島淳(要潤)は、乾と過去に確執のある八神功治郎(酒向芳)と手を組みます。
こうして、製薬会社同士の競争に、医師たちの個人的な対立まで絡むことになったのです。
【図解①】A判定が製薬会社にとって重要な理由

A判定を得られれば、薬の処方が広がり、大きな利益につながる可能性があります。そのため製薬会社にとって、診療ガイドラインの改定は重要な意味を持ちます。
第2話で起きた妨害工作も、このA判定をめぐる争いが発端となっていました。
パンセルを陥れる策略の全貌!鮫島と八神の狙いとは?
パンセルをめぐる争いは、単なる新薬同士の競争ではありませんでした。
そこには、グリブを有利にしたいタウロス側の思惑に加え、乾と八神の過去の確執も絡んでいたのです。
乾と八神の確執が生んだ対立
八神功治郎(酒向芳)は、東都医科大学病院の名誉教授・乾肇(升毅)に強い対抗心を抱いていました。
八神がアメリカから帰国する際、東都医大に招聘される話が進んでいたものの、最後に反対したのが乾だったことが明かされます。八神にとって乾は、自分の立場や評価を妨げた相手でもありました。
そのため八神は、乾が好意的に見ているパンセルの評価が下がれば、乾の立場も悪くなると考えていたようです。
一方の乾が高く評価していたのは、紀尾中の患者第一の姿勢でした。
過去に紀尾中は、自社の薬に疑いがある段階で継続使用を求めるのではなく、他社薬への切り替えまで提案していました。そうした姿勢が、乾の信頼につながっていたのです。
つまり今回の争いには、製薬会社の利益だけでなく、医師同士の個人的な感情も大きく影響していました。
鮫島・八神・堂之上、それぞれの思惑
今回の妨害工作で中心となったのは、タウロスのMR・鮫島淳(要潤)です。
鮫島の目的は、グリブを有利にするため、パンセルの評価を落とすことでした。そこに、乾への対抗心を持つ八神が協力します。二人の利害が一致したことで、パンセルを陥れる策略が動き出したのです。
そして、その実行役となったのが堂之上彰浩(松尾諭)でした。
堂之上はタウロスから多額の講演謝礼を受け取っており、八神からは教授職への推薦も持ちかけられていました。さらに、父親が残した医院の借金問題も抱えていたため、金銭面でも立場の面でも断りにくい状況だったと考えられます。
その結果、堂之上は講演会で問題のある発表を行い、天保薬品をコンプライアンス違反の疑惑に巻き込む役割を担うことになります。
【図解②】妨害工作に関わった人物相関図

相関図で整理すると、今回の妨害工作には大きく二つの対立があったことが分かります。
一つは鮫島と紀尾中の対立。もう一つは八神と乾の過去の確執です。
この二つの対立に堂之上が巻き込まれ、それぞれの思惑が重なった結果、パンセルを陥れる策略が実行されたのです。
講演会で何が起きた?コンプライアンス違反が問題になった理由
第2話で大きな騒ぎになったのが、パンセルの講演会で発表された内容でした。
問題だったのは、堂之上が発表したデータが「パンセルの承認されていない効能」に関わるものだったことです。
未承認の心血管保護効果を発表したことが問題に
講演会で堂之上が発表したのは、パンセルに心血管保護効果があることを示唆する非臨床データでした。
このデータはマウスを用いた実験結果であり、パンセルの承認された効能には含まれていませんでした。
つまり、研究によって効果の可能性が示されていたとしても、それをあたかも承認された効能であるかのように発表することには問題があったのです。
医薬品の広告では、承認された効能・効果の範囲を超える表現が規制されています。未承認の効果を販売促進につながる場で強調すれば、医師に実際よりも薬が優れているような印象を与えかねません。
ただし、未承認の効果について研究したり、適切な形で学術的な情報を発表したりすること自体が、直ちに違反となるわけではありません。
今回問題になったのは、製薬会社が関わる講演会で、承認されていない効果を宣伝したと受け取られかねない発表が行われたことでした。
そのためSNSでは講演内容が問題視され、瞬く間に炎上してしまったのです。
なぜ天保薬品が責任を問われる可能性があったのか
今回、実際に発表したのは堂之上でした。それなのに、なぜ天保薬品まで責任を問われる可能性があったのでしょうか。
それは、この講演会が天保薬品の関わる、パンセルについてのものだったからです。
たとえ登壇したのが医師であっても、製薬会社が関係する講演会で問題のある内容が発表されれば、会社が内容を把握していたのか、適切に確認していたのかが問われる可能性があります。
劇中でも、堂之上が資料を郵送で送っていたことや、自分で画像を用意していたことが不自然な点として描かれていました。今回の策略は、講演資料の管理の隙を突き、天保薬品側にも責任が及ぶように仕向けたものだったと考えられます。
実際、SNSで問題視されたことをきっかけに、パンセルの採用をやめてグリブに切り替える病院まで現れました。
ただし、この時点で天保薬品の違反が確定したわけではありません。あくまで、コンプライアンス違反を疑われる状況に追い込まれたのであり、その背後に意図的な妨害工作があったことを紀尾中が突き止めていきます。
【図解③】講演会で起きた問題の仕組み

今回の問題は、未承認の効能に関するデータが発表されたことから始まり、医薬品広告規制に抵触するおそれ、SNSでの炎上、そして天保薬品の信用低下の危機へとつながっていきました。
鮫島たちは、こうした事態を引き起こすことでパンセルの評価を落とそうとしていたのです。
紀尾中はどうやって不正を暴いたのか?
講演会での問題を受け、紀尾中は堂之上とタウロスの関係を調べ始めます。
そこで浮かび上がってきたのが、不自然な回数の講演依頼と多額の謝礼でした。
42回の講演と336万円の謝礼に隠された不正
紀尾中の指示を受けた山田麻弥(武田玲奈)は、タウロスが公開している医療従事者への報酬支払情報を調べます。
そこで判明したのが、堂之上に対して年間42回の講演依頼があり、合計336万円もの謝礼が支払われていたという事実でした。
教授でもない医師が、通常の診療を続けながら年間42回もの講演を行うのは不自然です。紀尾中たちは、実際には講演を行っていないにもかかわらず、謝礼だけが支払われているのではないかと疑います。
いわゆる「カラ講演」によって、タウロスから堂之上へ金銭が渡っていた可能性が浮かび上がったのです。
なお、八神にも前年、タウロスから1000万円の謝礼が支払われていたことが判明しています。
ただし、講演回数や謝礼の金額が多いだけで、不正と断定できるわけではありません。紀尾中が注目したのは、その講演が行われたとされる日時でした。
水曜日の予定から見抜いた堂之上の嘘
堂之上の講演記録を確認すると、42回のうち半数以上が水曜日の午後に集中していました。
しかし紀尾中は、以前堂之上から聞いた話を覚えていました。堂之上は、長野で医院を営む父親が体調を崩したため、診療を手伝っていたのです。
そこで紀尾中は乾を訪ね、堂之上が大学側に提出していた講演の届け出を確認しました。
堂之上は、大学での勤務時間中に講演を行ったことにはできないため、勤務から外れる水曜日の午後に講演日を集中させていたと考えられます。
ところが、堂之上はその時間帯に父親の医院を手伝っていたことがあり、講演記録との矛盾を疑われる結果になったのです。
【表】堂之上の講演記録と実際の行動
| 調査項目 | 判明した内容 |
|---|---|
| 講演回数 | 年間42回 |
| 謝礼総額 | 336万円 |
| 講演日時 | 半数以上が水曜午後 |
| 水曜午後の行動 | 長野の父親の医院を手伝っていた |
| 紀尾中の疑い | 実際には行っていない講演への謝礼 |
講演記録だけでは分からなかった不正の疑いを、紀尾中は過去の何気ない会話と結びつけることで見抜きました。
乾への直談判と堂之上への説得
紀尾中は講演記録を確認するため、乾のもとを訪ねます。
しかし乾は、患者第一を貫いてきた紀尾中が、今回は会社の利益を守るために動いていることを残念がり、最初は協力を断りました。
そこで紀尾中は、パンセルが10年と500億円を費やして開発された新薬であり、多くの患者の治療に役立つと信じていることを伝えます。
さらに、タウロスと八神による意図的な不正行為だと確信しており、そのような方法でパンセルが貶められることは許せないと訴えました。
普段は冷静な紀尾中が、今回は「手段を選ばない」とまで宣言します。その強い決意を聞いた乾は、協力を決めたのでした。
その後、紀尾中と麻弥は堂之上を訪ね、講演記録と水曜日の行動について問いただします。
堂之上は毎週長野に行っていたとは限らないと否定しますが、紀尾中は感情的に追及することなく、以前聞いた父親の医院の話を持ち出しました。
そして、休みの日まで患者のために働いてきた堂之上を尊敬していること、医療に関して嘘をつくような人物ではないと信じていることを伝えます。
紀尾中が求めたのは、厚労省のヒアリングで真実を話してほしいということだけでした。
結果として堂之上は、ヒアリングで講演資料の提出に関する自身のミスを認め、天保薬品に過失がないことを説明しました。さらにSNSにも謝罪コメントを投稿したことで、天保薬品への批判は収まっていきます。
ただし、堂之上はタウロスや八神の関与までは明かしていません。紀尾中はパンセルをめぐる危機をひとまず回避しましたが、妨害工作の全貌が公になったわけではありませんでした。
堂之上はなぜ不正に加担した?最後に下した決断
パンセルを陥れる策略に加担した堂之上ですが、そこには金銭的な事情と、自身の将来に関わる問題がありました。
しかし紀尾中の言葉を受け、最後には自ら八神との関係を断ち切る決断を下します。
父親の病院の借金と教授への推薦
堂之上が不正に加担した背景には、父親が残した医院の問題がありました。
長野で医院を営んでいた父親は、前年に亡くなっていました。地域で唯一の医師として住民から頼りにされていた父親の医院を、堂之上は何とか残したいと考えていたのです。
しかし、後を継ぐ医師は見つからず、父親が借金を抱えていたことも判明します。医院を存続させたくても、簡単にはいかない状況でした。
そんな堂之上に、タウロスからは実際には行っていない講演への謝礼が支払われ、八神からは芦屋医大の教授職への推薦が持ちかけられていました。
病院の借金という経済的な問題に加え、教授になれるかもしれないという期待も、堂之上が誘いに乗った理由だったのでしょう。
ただし、事情があったからといって不正が許されるわけではありません。堂之上自身も、それを理解していたはずです。
紀尾中の言葉で取り戻した医師としての誇り
厚労省のヒアリングを終えた堂之上は、鮫島と八神が食事をしている店を訪れ、二人の前で土下座をして謝罪します。
ところが八神は、堂之上の頭から酒を浴びせ、役立たずだと罵倒しました。さらに、約束していた教授職への推薦も取り消すと告げます。
それまで黙って耐えていた堂之上でしたが、ここで態度を一変させます。
実は紀尾中は、不正を追及した際、堂之上に医療への信頼を損ねるような人たちとは関係を断つべきだと伝えていました。
そして堂之上は、八神に対して、出世できない医師のままでも構わないと反論します。
さらに、自分たちがしようとしたことは間違っていたと認め、実際には行っていない講演の謝礼も、適切な手続きを踏んで返還すると宣言しました。
教授になれるという約束も、多額の謝礼も失うことになります。それでも堂之上は、これからは患者のために働くと決意したのです。
この場面で印象的だったのは、紀尾中が堂之上を単なる不正に加担した医師として扱わなかったことです。
父親の医院を守ろうとする思いや、地域の患者を大切にしてきた姿勢を理解したうえで、医師としての良心に訴えかけました。
堂之上が最後に八神へ反論できたのも、紀尾中の言葉によって、自分が本来何のために医師になったのかを思い出したからなのかもしれません。
こうして堂之上は、出世や金銭よりも、患者のために働く医師としての道を選び直したのでした。
ノベルマの薬害疑惑と咲子の急変!第3話への伏線
パンセルをめぐる騒動がひとまず収束した一方で、第1話から続く「ノベルマ」の薬害疑惑にも動きがありました。
第1話では、ノベルマを使用した後に体調が悪化し、亡くなったという訴えがSNSに投稿されていました。しかし、病院から天保薬品への有害事象の報告は上がっておらず、薬との因果関係も明らかになっていません。
第2話でも、紀尾中は一人でその投稿を確認していました。パンセルの問題が解決した後も、ノベルマの件が気にかかっているようです。
そしてラストでは、東都医科大学病院に入院している吉野咲子(森田想)の容体が急変します。
咲子は肺がんを患う小学校教員で、第1話から父親の輝久(野添義弘)とともに登場していました。第2話では突然、息ができないと苦しみ始めます。
そのとき、咲子にはノベルマの点滴が行われていました。
SNSに投稿された薬害疑惑と、ノベルマを投与されていた咲子の急変。この二つの出来事に関連があるのか、気になるところです。
ただし、現時点では咲子の急変がノベルマによるものなのか、それとも病状の悪化など別の原因によるものなのかは分かっていません。
さらに第1話のラストでは、鮫島が紀尾中について、過去に患者を死なせたことがあると市橋和巳(正門良規)に告げていました。
紀尾中の過去に何があったのか。その出来事と現在の薬害疑惑はつながっているのでしょうか。
また、鮫島は今回の妨害工作が失敗した後も、すでに次の手を打ってあると余裕を見せていました。
ノベルマをめぐる問題が今後どのように展開するのか、第3話で明らかになる事実に注目です。
第2話の感想とまとめ
第1話では薬の副作用をめぐる問題が描かれましたが、第2話では製薬会社同士の競争や、医師との関係が中心となりました。
特に興味深かったのは、診療ガイドラインのA判定をめぐる争いです。薬の評価が製薬会社の売上に大きく関わることや、その裏で医師たちの思惑まで絡んでくる様子は、MRという仕事の難しさを感じさせるものでした。
今回も印象的だったのは、紀尾中の患者第一という姿勢です。自社の薬であっても問題があれば他社製品を薦める一方、正当な評価を受けるべき薬が不正によって貶められようとすれば、強い態度で立ち向かいます。
また、堂之上が最後に八神へ反論する場面も見どころでした。金銭や出世のために不正に加担してしまった医師が、患者のために働くという本来の姿勢を取り戻す展開には、紀尾中の言葉の重みが表れていたように思います。
ただ、鮫島はすでに次の手を打っているようです。さらに、ノベルマの薬害疑惑や咲子の急変など、新たな問題も浮かび上がってきました。
パンセルをめぐる騒動はひとまず収束しましたが、紀尾中の過去も含めて、まだ多くの謎が残されています。今後、それぞれの出来事がどうつながっていくのか気になるところです。
