【MR -医薬情報担当者-】第1話ネタバレ解説|有害事象とは?腎機能障害から見えたMRの仕事

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WOWOWでスタートしたドラマ『MR -医薬情報担当者-』は、久坂部羊さんの同名小説を原作に、向井理さん主演で描く医療ビジネスドラマです。

第1話では、製薬会社の営業所長兼MR・紀尾中正樹が、新人MRの市橋とともに、ある心不全治療薬を服用していた患者の腎機能障害をめぐる問題に向き合います。

見ていてまず気になったのが、「MRとは何をする仕事なのか」「有害事象とは何なのか」といった言葉の説明がそれほど多くないこと。製薬業界に詳しくないと、少し置いていかれる感覚もありました。

そこでこの記事では、第1話の内容を振り返りながら、MRの仕事や有害事象の意味、腎機能障害をめぐる経緯を、図解も交えてできるだけ分かりやすく整理します。

あわせて、自社製品だけを薦めるのではなく、患者にとって何が一番いいのかを考える紀尾中という人物についても見ていきます。

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第1話あらすじ

天保薬品の営業所長兼MR・紀尾中正樹は、新人MRの市橋和巳とともに、心不全治療薬「レジータ」を服用していた患者に起きた腎機能障害への対応にあたることに。

担当医はレジータによる有害事象を疑うが、紀尾中は患者の情報を見直す中で、ある小さな違和感に気づく。

一方、天保薬品では新薬「パンセル」をめぐる大型プロジェクトが進行中。ライバル会社・タウロスのMRであり、紀尾中の元同期でもある鮫島淳も登場し、製薬会社同士の競争も見え始める。

患者のために何ができるのかを考え、自社製品にこだわらない紀尾中。その仕事ぶりは新人の市橋には理想的なMRに映るが、紀尾中の過去について鮫島は不穏な言葉を残し……。

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MRは何をする人?

第1話を見ていて、まず知っておきたいのが「MRとは何をする人なのか」ということです。

ドラマ内では、MRは「メディカル・リプレゼンタティブ(Medical Representative)」の略で、医師や薬剤師などの医療従事者を訪問し、医療用医薬品について情報提供や情報収集を行う仕事だと説明されます。

つまり、単に薬を売り込む営業職というだけではありません。

自社の薬について正しい情報を医師や薬剤師に伝える一方、実際に薬を使った現場で何が起きているのか、有害事象などの情報を集めて会社へ持ち帰る役割も担っています。

第1話で紀尾中が「悪い結果でも、正確な医薬品情報を報告するのがMR」と話していたのも、まさにこの仕事の一面でしょう。

新人・市橋が教わった「病院内のMRルール」

MRの仕事内容以上に印象に残ったのが、新人の市橋が先輩たちから注意されていた病院内での振る舞いです。

  • エレベーターには乗らない
  • 駐車場は離れた場所に止める
  • 院内では端を歩く
  • 靴音を立てない
  • 医師・看護師・患者には道を譲る

市橋はエレベーターに乗ったことで注意され、さらに「一年目だから」は通用しないと叱られてしまいます。

もちろん、これらがすべての病院やMRに共通する正式なルールというわけではなく、ドラマ内で描かれた病院側との関係や慣習です。

それでも、製薬会社の社員でありながら、病院という他者の現場に出入りするMRがかなり気を遣う立場にいることは伝わってきます。

薬の知識だけではなく、医師や病院との信頼関係も仕事の一部。第1話は、市橋を通してそんなMRの立ち位置を見せる回にもなっていました。

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そもそも医薬品業界はどれくらい大きい?

第1話の冒頭では、MRの仕事を説明する前に、日本の製薬業界がどれくらい大きな市場なのかも紹介されます。

ドラマ内のナレーションによると、日本の製薬業界の市場規模は約10兆円。さらに、大手製薬会社トップ3の年間総売上は1兆円を超えるといいます。

薬は大きく、市販されている「OTC医薬品」と、病院で医師が処方する「医療用医薬品」に分けられ、その売上の約9割を医療用医薬品が占めていると説明されました。

こうして数字で見ると、MRが扱っている医療用医薬品は、かなり大きな市場の中心にあることが分かります。

天保薬品が新薬「パンセル」に社運をかけ、国内だけでなく世界販売1000億円を目指しているのも、こうした巨大な市場を舞台にしているからなのでしょう。

ただ、第1話を見ていると、この大きなビジネスの中で「薬を売ること」と「患者にとって正しい情報を届けること」が、必ずしも同じ方向を向くとは限らないことも見えてきます。

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コラム①|「有害事象」って副作用とは違う?

第1話で何度も出てきた「有害事象」という言葉。

見ていると「副作用のこと?」と思ってしまいますが、厳密には少し意味が違います。

有害事象とは、薬を使ったあとに起きた、好ましくない症状や検査値の異常などのこと。ポイントは、その薬が原因かどうかは、この段階ではまだ分からなくても有害事象と呼ぶことです。

一方の副作用は、その薬と起きた症状との間に、少なくとも因果関係が疑われるものを指します。

今回でいえば、レジータを処方された患者に腎機能障害が起きたため、まずは「レジータによる有害事象ではないか?」と疑われました。

しかし紀尾中たちが調べていくと、患者は歯の痛みを抑えるために別の鎮痛剤「ジクロン」を服用していたことが判明。最終的には、レジータと腎機能障害には因果関係がないと判断されます。

今回の流れをかなり大ざっぱに言えば、

薬を飲んだあとに問題が起きた → まず有害事象として調べる → 本当にその薬が原因なのか確認する

ということになります。

専門用語だけ聞くと少し難しいですが、第1話そのものが「有害事象と副作用は同じではない」という違いを、ひとつの出来事を通して見せる話にもなっていました。

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腎機能障害は結局なぜ起きた?

今回の中心となったのが、心不全治療薬「レジータ」を処方された患者に起きた腎機能障害です。

担当医の津田は、ほかに服用している薬もなく、既往歴にも原因らしいものがないことから、レジータによるものではないかと考えます。

しかし紀尾中が気にしたのは、資料にあった「流動食希望」という一言でした。

体調は回復しているのに食事をほとんど取れていない。そこから話をたどると、患者は虫歯の痛みを抱えていたことが分かります。

実際には、患者は歯の痛みを抑えるため、以前処方されていた鎮痛剤「ジクロン」を入院直前まで服用していました。

最終的に、腎機能障害はこのジクロンの服用によるものと考えられ、レジータとの因果関係はなしと判断されます。

ここで面白いのは、紀尾中が特別な検査データから答えを導いたわけではないことです。

一見すると薬とは関係なさそうな「流動食希望」という情報を拾ったことが、原因へたどり着くきっかけになりました。

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紀尾中はなぜ「できるMR」なのか

第1話を見ていると、紀尾中がかなり優秀なMRとして描かれていることが分かります。

ただ知識が豊富というだけではなく、情報の拾い方、人との接し方、そして自社製品との距離の取り方まで含めて、かなり“できる人”です。

小さな違和感を見逃さない

腎機能障害の原因を追う中で、紀尾中が引っかかったのは「流動食希望」という一言でした。

薬の情報だけを見ていたら流してしまいそうな部分ですが、そこから食事が取れない理由を考え、虫歯、さらに鎮痛剤の服用へとつなげています。

目の前にある情報をそのまま受け取るのではなく、「なぜそうなっているのか」を一段掘って考えるところが、紀尾中の強みなのでしょう。

患者に直接聞けなくても、別の方法を探す

MRは患者に直接接触して情報を集めることができません。

そこで紀尾中は、患者によっては医師には話しづらいこともあるのではないかと考え、看護師の白木に聞き取りを頼みます。

その結果、患者は「先生に怒られると思って言えなかった」と、ジクロンを服用していたことを打ち明けました。

相手の立場や性格まで考えながら、必要な情報をどう引き出すかを組み立てているところも、いかにも仕事のできる人という感じです。

自社製品を守ることを最優先にしない

そして一番印象に残ったのが、紀尾中がレジータに問題がある可能性を最後まで否定しなかったことです。

疑念が残るなら使用を中止しても構わない。その場合に患者の治療が滞らないよう、他社製品の候補まで用意していました。

普通に考えれば、自社の薬を使い続けてもらいたいのが製薬会社側の立場です。

ところが紀尾中は、自社製品を守ることよりも患者の治療を優先する。

さらに、真相が明らかになったあとも津田を追い詰めず、自分たちの調査で混乱させたと頭を下げ、相手の面子まで保ちました。

知識だけでなく、情報収集や人間関係まで含めて考えられるところに、紀尾中のMRとしての強さが見えます。

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コラム②|「保険の窓口」のようなMRがいたら?

第1話を見ながら少し思ったのが、MRは製薬会社とは別の、第三者の立場で存在したほうが患者のためになるのではないか、ということでした。

たとえば「保険の窓口」のように、複数の会社の商品を横断して比較し、その人に合うものを考える立場です。

製薬会社に所属している以上、MRにはどうしても自社製品を使ってもらいたいという立場があります。もちろん最終的に薬を選ぶのは医師ですが、情報を届ける側に会社ごとの思惑が入る余地はあります。

もし製薬会社から独立した立場で、複数社の医薬品を比較しながら情報提供できる人がいたら、もっと患者本位に近づくのではないか。そんなことを考えました。

ただ、紀尾中はすでに少しその立場に近い人物にも見えます。

自社製品より患者の治療を優先し、必要なら他社製品も選択肢に入れる。だからこそ紀尾中は、この業界の中ではかなり珍しいMRとして描かれているのかもしれません。

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「いい薬ならライバルなんて存在しない」

第1話では、天保薬品が新薬「パンセル」に社運をかけていることも描かれました。

パンセルは、ライバル会社・タウロスの「グリブ」と競う立場にある薬です。会社として見れば、どちらがより多くの病院で使われるかは大きな問題でしょう。

ところが紀尾中は、鮫島について市橋から「ライバル会社の人ですよね」と聞かれた際、「どちらもいい薬なら、ライバルなんて存在しない」という考えを口にします。

この一言は、第1話で描かれた紀尾中の姿勢をかなり端的に表しているように思います。

製薬会社の社員である以上、自社製品が売れることは当然重要です。それでも紀尾中は、「自社か他社か」よりも、その薬が患者にとって良いものかどうかを先に考えている。

会社の利益と患者の利益がぶつかったとき、紀尾中がどちらを優先する人物なのか。それがよく分かる言葉でした。

ただ、第1話の最後では、そんな紀尾中にも過去に何かあったことが示されます。

今の「患者ファースト」ともいえる姿勢は、もともとの信念なのか。それとも、過去の出来事をきっかけに身についたものなのか。

そこが今後の紀尾中を見るうえで、かなり気になるところです。

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完璧なMRには、何か理由がある?

新人の市橋にとって、第1話の紀尾中は「患者ファーストの完璧なMR」に映っていました。

ところが物語の最後、鮫島はそんな紀尾中について、市橋に意味深なことを告げます。

紀尾中は過去に、患者を死なせたことがある――。

詳しい事情はまだ分かりません。

ただ、ここまで徹底して患者のことを考える紀尾中を見せたあとに、この過去が明かされると、今の彼の姿勢にも別の見え方が加わってきます。

「悪い結果でも正確な医薬品情報を報告する」「いい薬ならライバルなんて存在しない」という考え方も、もともとの信念なのか。それとも、過去の経験からたどり着いたものなのか。

第1話は、紀尾中がどれだけ優秀なMRなのかを見せたうえで、その“完璧さ”には何か理由があるのではないか、という疑問を残して終わりました。

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まとめ|第1話は「紀尾中というMR」を知る回だった

第1話は、MRという仕事を紹介しながら、紀尾中正樹がどんな人物なのかを見せる回だったように思います。

専門用語が次々と出てくるため最初は少し分かりづらいところもありましたが、有害事象や腎機能障害の一件を整理すると、MRが単に薬を売る仕事ではなく、医療現場から情報を集め、薬が適切に使われるよう支える役割も持っていることが見えてきました。

そして何より印象に残ったのは、製薬会社の社員でありながら「自社の薬を売ること」だけを最優先にしない紀尾中です。

そんな現在の紀尾中と、「患者を死なせたことがある」という鮫島の言葉。その間に何があったのか。

紀尾中の患者ファーストともいえる姿勢の理由が、次回以降どのように明らかになっていくのか気になります。

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