【法廷のドラゴン】5話のネタバレと感想をまとめています。
老舗和菓子店の人気商品が、通販サイトで販売されるが味が違うという。なぜ同じレシピで作っているのに違うのか?竜美はその謎を解くため、聞き込みを続ける。 裁判には家を出てしまった和菓子店の長男が出廷することになり、父と息子のバトルが白熱するが……。
【法廷のドラゴン】5話のあらすじ
老舗和菓子店「雁湖庵」の人気商品・一徹餅を、通販サイト「クイーンマルシェ」がネットで販売することになるが、クイーンマルシェの一徹餅を食べた常連が「なんか味が違った」という。
店主の熊倉英和(角野卓造)も食べてみたところ、自分の作ったものとは違うと憤る。そしてその勢いのまま、クイーンマルシェのサイトのコメント蘭に実名で「ニセモノだ」と書き込みをした。
書き込みがクイーンマルシェの社長・加賀春隆(矢崎広)の目に留まり、契約違反だと謝罪を求め英和は訴えられてしまった。
工場で作ったものと店で作ったものは、成分鑑定結果は全く同じだった。しかも向こうの証人として、英和の息子でクイーンマルシェ社員の和輝(草川拓弥)が出廷するといい……。
【法廷のドラゴン】5話のネタバレ要約
職人気質の父のもとで修行していた和輝だが、母親がそんな父の犠牲になって倒れたと思い、家を飛び出して大学の先輩である加賀の会社・クイーンマルシェに勤める。
母が法廷で一徹餅の食べ比べをし、店のものを難なく当てる。それは求肥の違いでわかった。
裁判で証言台に立った和輝は、竜美に餅に使う求肥の練り上げる工程時間が、実際は何分だったのかをきかれる。
父にずっとついてきたそんな母だからこそ、当てることができたのだと竜美に言われ、父を超えたいという気持ちから効率を優先した和輝は考え直す。
そして正直に工程時間を証言し、レシピどおりに作られていないことを証明することとなった。その結果、竜美は和解に持ち込むことができた。
和輝は父に謝罪し、今度は店で販売担当として商品開発などに携わることとなった。
【法廷のドラゴン】5話の詳細なネタバレ
今回の依頼
中学生の頃、虎太郎(高杉真宙)は父・羊次郎(藤井隆)が裁判で話す姿を傍聴席から見ていた。当時を思い返しながら、乾利江(小林聡美)は羊次郎が本当に優れた弁護士だったと語り、それを竜美(上白石萌音)が感慨深く聞いていた。
その時、利江が「虎太郎先生ももう少し頑張ってもらわないと」と言っているところへ、ばつが悪そうな表情の虎太郎が帰ってきた。彼の手には「雁湖庵」という店の一徹餅が入った手提げ袋があった。
それを見た竜美は大興奮。一徹餅は今年の名人戦のおやつに選ばれたことで大人気となり、入手困難な幻のお菓子だった。
そんな中、虎太郎は亀田先生から被告側の代理人を依頼されたことを報告する。その訴訟の原因は、なんと一徹餅だった。
ニセモノの味
虎太郎と竜美は雁湖庵を訪れ、事情を聞いた。訴えを起こしたのはネット通販サイトのクイーンマルシェで、店のスタッフである熊倉美鈴(大後寿々花)が経緯を説明する。
3か月前、クイーンマルシェ側からネット販売の提案があり、社長の加賀春隆(矢崎広)が契約している工場で雁湖庵と全く同じ製法で作ると約束されたため、一徹餅を販売するライセンス契約を結んだ。最初は評判も良く、売上も大きく伸びた。しかし、クイーンマルシェ版の一徹餅を食べた常連客の丹羽克治(外山誠二)から「味が違う」と指摘が入り、店主の英和(角野卓造)も「うちのものとは別物で、とんだまがいものだった」と憤る。
怒った英和は、クイーンマルシェのサイトのコメント欄に実名で「偽物だ」と書き込んだ。この書き込みがクイーンマルシェ社長・加賀の目に留まり、名誉毀損および契約違反として正式な謝罪を求める訴訟が起こされた。話を終えた英和は「和輝を信じたのが間違いだった」とこぼしながら席を立った。
父と息子
虎太郎と竜美は、美鈴から和輝(草川拓弥)について話を聞いた。和輝は現在クイーンマルシェに勤めており、美鈴の兄でもある。かつては和菓子職人を目指し、父・英和に弟子入りしていたが、職人気質で口が足りない英和との関係がうまくいかず、5年前に家を出た。その後、大学の先輩だった加賀を頼り、クイーンマルシェに入社したという。話を終えた美鈴は、「裁判のこと、よろしくお願いします」と言い、店へ戻っていった。
その後、歩きながら契約書を確認する竜美。ライセンス契約の条項には、雁湖庵がクイーンマルシェの利益を害するような行為をしないことが明記されていた。今回の裁判における戦略を考えながら、虎太郎とともに矢本製菓へ向かう。矢本製菓は、一徹餅の製造を委託されている工場だった。
到着すると、工場長の矢本彰一(兒玉宣勝)から一徹餅の成分鑑定結果を見せられる。専門の研究機関による分析の結果、雁湖庵の一徹餅とクイーンマルシェで作られた一徹餅は、成分も味覚分析のデータもほとんど同じだった。
竜美は、この状況を10手先まで読むような周到な戦略と捉え、今回の対局で先手が選んだ戦型が銀冠穴熊であると確信した。
銀冠穴熊
事務所に戻った竜美は、早速銀冠穴熊について説明した。普通の穴熊よりもさらに守りが堅く、通常の穴熊が弱点とする端攻めにも強い構造になっており、金銀の連結もより強固になっている。竜美は「これは苦戦必至の戦型だ」と警戒を強めた。
さらに、原告側の証人が熊倉和輝、つまり英和の息子であることが判明する。そのとき、美鈴から突然の電話が入った。兄の和輝が家に戻り、父と大喧嘩になっているという。虎太郎と竜美は急いで店へ向かった。
幸い、大事には至らなかったが、和輝は父に和解提案書を持参してきたという。その内容は、加賀社長に訴えを取り下げてもらう代わりに、雁湖庵のすべての和菓子のレシピをクイーンマルシェに提供し、独占販売契約を結ぶというものだった。当然ながら、英和はこの提案を拒否した。
「こうするしかない」と言う和輝に対し、英和は「職人が長年培った苦労を掠め取る、成金の商売だ」と激しく糾弾する。さらに「お前も言いなりになっているだけで、ただの成金になっていると気づかないのか」と厳しく指摘したことで、親子の口論は激しさを増し、大喧嘩に発展した。
親子決別
竜美たちは和輝の住居を美鈴に聞き、直接会いに行った。和輝は、雁湖庵を離れた理由の一つとして、昔ながらの職人のやり方が嫌だったことを認める。しかし、それだけではなかった。
5年前、母の柚子(かとうかず子)が倒れた。当時、店の経営はどん底だったにもかかわらず、父は伝統的な手間のかかる製法を頑なに守り続けた。そのしわ寄せはすべて母にのしかかっていた。
母は昼間は店に立ち、夜は遅くまで経理の仕事をこなし、さらに家事のすべてを一人で担っていた。その無理がたたり、ついに倒れてしまったのだ。幸い命は助かったものの、家族にとって大きな出来事だった。
病院に駆けつけた和輝は、遅れて到着した父に「何をしていたんだ」と怒りをぶつける。しかし、父は「職人だから菓子を作っていたに決まっている」と平然と答えた。その言葉に和輝は堪えきれず、「そんなに職人が偉いのかよ!だったら俺は、職人なんかならない」と叫び、そのまま家を出たのだった。
父親を超える
和輝の母は元々心臓が弱く、今でも入退院を繰り返している。そのことがきっかけで、和輝は和菓子職人の道を諦め、加賀社長のもとで働くことになった。そして、業績を上げられるようになり、今の自分の選択は間違っていなかったと語る。
その言葉を聞いた竜美は、思わず「成金になった」と口走ってしまう。すると、和輝は「成金のどこが悪いんですか?」と反論した。悔しいが、父は本当にすごい菓子職人であり、自分がどれだけ努力してもあの境地にはたどり着けない、と正直な思いを口にする。その言葉を聞きながら、虎太郎は自分の境遇と重ね、バツの悪い表情を浮かべていた。
それでも和輝は、父のやり方が時代遅れだと考えていた。必要以上に時間をかけなくても、雁湖庵の味は守れるはずだと主張する。
「和菓子の世界では半人前かもしれないが、なんとか一人前のビジネスマンにはなれた」と語る和輝。そして最後に、「成金と呼ばれたって、それで父を超えられたんなら後悔はしていません」と言い切った。
ショックを受ける虎太郎
事務所に戻った竜美は、利江と話しながら、虎太郎の様子を振り返った。和輝の話を聞いた虎太郎は、どこか落ち込んでいるようだった。
「父親とは違う道を選び、それでも父を超えようとする和輝さんの姿が、自分自身に返ってきてしまったんでしょうね」と竜美は推測する。
その後、竜美は単刀直入に虎太郎へ問いかけるが、虎太郎は「悩んでいるわけじゃない」と答えをはぐらかす。
そんな虎太郎に、竜美は「なぜ私がこの事務所を選んだか、話してませんでしたね」と話し始める。実は名前で選んだのだと、事務所名に「歩」の字が入っていたため、即決したのだという。
そして「虎太郎先生は、たとえ今は『歩』だとしても、いつかお父さんに負けない立派な弁護士になれると思っています」とまっすぐに伝えた。
虎太郎は「気を使ってくれてありがとう」と言い、少し微笑んだ。そして「今日はもう帰るよ」と言い残し、事務所を後にした。
味の違い
竜美は実家で家族と話をしていた。父・辰夫(田辺誠一)は「歩田先生は確かに立派な弁護士だ。一度だけ担当したことがあるが、その弁舌は見事だった」と語る。その言葉を聞き、虎太郎に自信を取り戻させるためにも、この裁判には負けられないと竜美は気合を入れる。そして、父の話からあるひらめきを得た。
翌日、竜美は一徹餅の味の違いを突き止めると宣言し、常連客の丹羽に会いに行く。丹羽は、味の違いに気づいたのは柚子だと話す。入院中の彼女のもとへ、話のネタとしてクイーンマルシェ版の一徹餅を持って行った際、彼女が「何かが違う」と指摘したのだという。
そこで竜美たちは、柚子に会いに病院へ向かった。柚子は「美味しくないわけではないのよ。でも、どこか味が違うなぁと思った」と語る。そして、ふと思い出したように、「一度、同じ味の一徹餅を食べた記憶がある」と言った。
それは、5年前に入院していたとき、誰かが持ってきてくれた一徹餅だったという。その味が、クイーンマルシェ版とまったく同じだったのだ。
裁判開始
裁判が始まり、証人として柚子が法廷に立った。証言の中で、竜美は3つの一徹餅を並べ、柚子に食べ比べてもらうよう依頼する。柚子は慎重に味わいながら、それでも迷うことなく1つを選び、それが本物の雁湖庵の一徹餅であると正しく判別した。
さらに残りの2つについても、「どちらもクイーンマルシェのものではないか」と推測する。実際、1つは通販で購入したクイーンマルシェの一徹餅だった。しかし、もう1つは美鈴が作ったものだった。実は竜美は事前に、美鈴にレシピのうち1点だけ変えて作るよう頼んでいた。その違いとは、求肥にかける時間だった。
続いて、竜美は和輝の尋問に移った。彼に対し、雁湖庵からクイーンマルシェに提出したレシピの一部を読み上げるよう求める。その内容は求肥にかける時間についてだった。
雁湖庵では、求肥を低温で最短でも3時間、職人がつきっきりで練り上げて作る。しかし、美鈴が作った一徹餅は、本来3時間以上かかる工程を圧力釜を使って30分に短縮していた。そして驚くことに、その短縮版の一徹餅はクイーンマルシェのものと同じ味だった。
そこで竜美は、クイーンマルシェで求肥を練り上げる時間が本当は何分だったのか、和輝に問い詰める。和輝は一瞬ためらうが、社長とそのことについて話したときのことを思い出す。社長は工程を短縮する方針を優先し、「お父さんを超えたいんだろ?」と促していた。
和輝は考え込んだ。こだわり続けた父と、その父についてきた母だからこそ、母は違いに気づいたのだろう。そんな2人のためにも、真実を答えてほしいと竜美は語りかける。覚悟を決めた和輝は、「30分。蒸練機で30分です」と正直に証言した。そして「これでは偽物だと言われても仕方ない」と認めるように頷いた。
その場で原告側の代理人が和解を申し出る。竜美もそれに応じ、裁判は終結した。
裁判後、和輝は社長から「情に流されてビジネスを忘れるとは。君にはつくづく失望したよ」と冷たく告げられる。和輝は何も言わず、深々と頭を下げた。
そして、法廷を出る前に、竜美は熊倉家の家族に向かって、「みんなに聞いてほしい話がある」と切り出した。
感想戦
竜美たちは店で話をしていた。実は、求肥を短時間で作る一徹餅は、以前英和自身が作っていたことが明らかになる。
5年前、妻が倒れて入院したとき、英和は妻のために大好きな一徹餅を作った。一刻も早く届けたいという思いから、本来3時間かかる求肥を圧力釜を使って短時間で仕上げ、病室へ持って行った。妻は「なんだか微妙に味が違うな」と思ったものの、それを黙って受け取ったという。
その話を聞いた和輝は、「あのとき、そういえばいいじゃないか」とぼやく。「親父はいつも職人ぶって、肝心なことは言わないんだから」と苦笑した。
竜美はそんな和輝に、「和輝さんも同じですよ」と指摘する。「角が成っていたら私たちは負けていました。でも、成らなかったから投了に追い込めた」と説明した。「雁湖庵が勝てたのは、普通成るはずの駒が、あえて成らなかったからだ」と虎太郎も補足する。
もし和輝が本当に雁湖庵や和菓子と縁を切り、成金として生きる道を選んでいたのなら、求肥にかけた時間について証言を拒否することもできたはずだった。でも、和輝は成ることをせずに、正直に話してくれた。
「和輝さんの心は、今もまだこの雁湖庵にある。そう信じて、この一手にかけました」と竜美は語る。
すると、母は静かに話し始めた。「和輝は、お菓子を食べて喜ぶ人の顔を見るのが好きだった。もっと多くの人に食べてもらいたい、そう思っていたのよ」と。 だからこそ、和輝は通販を考えた。全国どこでも雁湖庵の味を届けることができるからだ。
「成金だとか、歩だとか、人からどう思われようと関係なく、自分の信じたやり方を貫いて、この店の味を大切にしようとした。それが和輝さんの棋風だったんですね」と竜美は微笑んだ。
そのとき、美鈴がふと口を開いた。「お兄ちゃん、うちに戻ってこない?お菓子はお父さんと私が作るから、お兄ちゃんはそれをたくさんの人に届ければいい。だって、その道のプロなんだから」と。
和輝はしばらく黙っていたが、やがて改まり、父の目をまっすぐ見つめて言った。「親父……いや、親方。今まで悪かった。この店の販売、俺に任せてもらえないか?これまでの雁湖庵の味だけじゃなくて、通販専門の新しい和菓子のアイデアもあるんだ。もし親父がよかったら、それを作ってもらえないか……」
父は何も言わずに立ち上がると、そのまま歩き出した。そして、背中越しに一言だけ言った。「職人だから菓子を作る。それ以外何ができる。作ってほしかったら、作業場へ来い」そう言い残し、上着を脱いで作業場へ向かう。美鈴が「お兄ちゃん」と声をかけると、和輝はしっかりと頷き、すぐに父の後を追いかけた。
ドラマの結末
居酒屋で、竜美たちが杯を交わしながら語り合っていた。その中で、虎太郎はぽつりと呟いた。「竜美先生に……救われた気がする」
彼は和輝に向けた竜美の言葉が、実は自分に言ってくれたのではないかと問いかける。「親父を超えなきゃいけない」とずっとプレッシャーを感じていた自分に対しての言葉だったのではないか、と。
「超えるとか、超えないとか、成るとか成らないとか……そんなことに焦る必要はないんだよね」虎太郎はしみじみと語る。「僕は僕自身が信じられる弁護士になればいいんだ。それが僕の棋風なんだって、ようやく分かった気がする」そんな話をしている横で、竜美はまたもや酔いつぶれていた。
その後、虎太郎は竜美を家まで送り届ける。そこで、彼は竜美の親友について話を聞くことになった。母・香澄(和久井映見)はふと、「竜美、まだ兎羽ちゃんのことを引きずっているのね」と呟いた。
駒木兎羽(白石麻衣)は奨励会の同期で、竜美より3つ年上の女性だった。彼女は親友であり、同時に良きライバルでもあった。そして母は、静かに言った。「竜美が、彼女から将棋を奪ったの」
【法廷のドラゴン】5話のまとめと感想
裁判で息子が正直に証言したことで、先方と和解することができ、息子は再び店に戻ったという話しでした。
成分は同じだけど味が違う。不思議に思いますが、その工程に違いがありました。コスパやタイパを優先したことで、味が本家と比べて落ちてしまっていたのです。本来手間隙かけて作っているものを、無理に大量生産するとこういうことが起きがちです。
今後一徹餅を工場で作り続けるのかは分かりません。ただ、評判を落とさないためにも、工場で作るのは別の商品にしたほうが無難な気がしました。
タイパやコスパを優先して、金に目がくらんだ人たちを成金と、ドラマの中では指摘します。和輝が金に成らなかった、つまり最後の最後で金ではなく正直に証言したから勝てた、というのが今回の将棋になぞらえた部分でした。
これぐらいの規模感が丁度よく、このまま民事裁判メインでいってもらいたいものです。次回は兎羽が登場するようです。あちらも弁護士とかで、今度は法廷で対決するとかだと面白そうですがどうなるか?