【アンチヒーロー】8話「真実」のネタバレと感想をまとめています。
志水の冤罪を生んだ原因は明墨にあった。明墨は緋山に頼み、証拠を持つ人物の行方を捜してもらう。全ては志水の無罪を証明するため、再審の望みをある映像に託すが……。
【アンチヒーロー】8話のあらすじ
明墨正樹(長谷川博己)は牧野紗耶(近藤華)に全てを話す。父親の志水裕策(緒方直人)が本当は無実であることを、そして死刑に追い込んだのは自分だったことを。
一方、赤峰柊斗(北村匠海)は緋山啓太(岩田剛典)に、事件の真相について話を聞く。そして明墨が緋山を無罪にした理由は、志水が無罪であることを証明できる映像の存在があったからだった。
その映像はかつて緋山が闇バイトで、江越から請け負った盗撮の仕事で撮影したものだった。糸井一家殺人事件が起きた時刻、動画の公園に志水の姿が映っていた。
明墨は何としてでもその動画を江越から入手するため、緋山に江越を捜させていたのだった。
ようやく江越と接触が図れた明墨は、映像を渡してもらうよう交渉するが……。
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【アンチヒーロー】8話のネタバレ
冤罪が生まれた理由
赤峰柊斗(北村匠海)はあの時、ゴミの山から作業着を回収していた。緋山啓太(岩田剛典)は観念して、赤峰を部屋に招いた。
明墨正樹(長谷川博己)は牧野紗耶(近藤華)に全てを話すことに決めた。「君のお父さんである志水裕策さんは無実だ」と伝えた。
紫ノ宮飛鳥(堀田真由)が見た明墨が持っていたファイルは、かつての同僚である桃瀬礼子(吹石一恵)が残したものだった。桃瀬が最初に志水裕策(緒方直人)が冤罪ではないかと気付いたのだと、青山憲治(林泰文)は紫ノ宮に言う。
志水には殺害に至るまでの大きな動機があった。会社の金を横領をしていたのだ。しかし千葉県警は、横領の決定的な証拠を手に入れられなかった。その矢先に糸井誠(尾関伸次)が死んだので、疑いの目は志水に向けられた。
警察は糸井の自宅から、志水が横領に関与していた証拠を発見した。検察は志水の取り調べを開始し、それを担当したのが、さいたま地検から応援で来ていた明墨だった。
志水はずっと殺人を否定していた。事件があった時間は、娘に頼まれてうさぎのぬいぐるみを捜しに公園に行っていたという。
しかし明墨は、「あの時の私は検察の正義を盲信し、彼が犯人だと疑わなかった」と述べた。何度も否定する志水に対し、「捜していたんじゃなくて、殺してたんだろ!」と明墨は恫喝した。
そして娘を連れて家を出ていく妻の写真を志水に見せ、「これ以上、家族を苦しめ続けるのか!」とさらに恫喝した。その後、志水の妻は交通事故で亡くなり、紗耶は児童養護施設に保護されたと明墨は教えた。
「本当なら、違う人生があっただろうに」と明墨に言われ、志水は慟哭した。やがて憔悴した志水は「私がやりました」と認めてしまう。こうして明墨は志水に自白をさせた。そして、瀬古が死刑判決を下した。
「お父さんを死刑に追い込んだのは私だ」と紗耶に涙を流して告げ、「申し訳なかった」と謝罪した。自分の罪に気づいたのは、裁判が終わって6年たってからだったと明墨は語る。桃瀬から紗耶が保護犬施設にいると聞き、明墨は様子を見に行った。その時、この子から大切な父親を奪ってしまったのだと後悔したのだ。
緋山の事件の真相
桃瀬は志水の冤罪の可能性に気づき、調査を続けていた。しかし、病気が見つかり、志半ばで諦めざるをえなかった。そのファイルを明墨に託したのだ。
当時千葉県警の警察官が、志水のアリバイを証明する動画を見つけていたという内容が、そのファイルにあった。それを隠蔽したのが、紫ノ宮の父である倉田功(藤木直人)と伊達原泰輔(野村萬斎)だった。明墨が調べ始めると、突然地方への異動を命じられる。伊達原が裏で手を回したのだ。明墨はその動画を捜していた。
緋山の自宅で赤峰は話を聞いていた。1年前、緋山の母親が亡くなった。中学の時に父親が亡くなり、それからは母が女手一つで緋山を育てた。
母が危篤の時、緋山が社長の羽木朝雄(山本浩司)に帰りたいと言うと、「帰れば?そのかわりクビね」と言われた。今思えば無視して行けばよかったと緋山は振り返る。しかし、その時は、せっかく得た正社員の仕事を失うのが怖くて帰らなかった。
事件の晩、羽木は緋山に「助かったな、死んでくれて。これでもうずっと働けるもんな」と暴言を吐いた。「母さんの死を侮辱するな!取り消せよ!」と胸ぐらをつかむ緋山。
羽木が突き飛ばして転倒した際、置いてあった工具が散らばった。その中にあった腕時計が床に落ち、羽木がそれを踏みつけてガラスにひびが入った。その腕時計は母親が、就職祝いにと貯めた金で買ってくれたものだった。
将来、いい仕事につくためにと、身体が弱いのに無理して働いて、大学に行かせてくれた母親。しかし、就活に失敗したと言えず、仕事が決まったと嘘をついたら母はすごく喜んだ。
その思いをぶち壊されたと思った緋山は、床に落ちていたハンマーを手に取り、「…殺す」と言って背後から羽木を殴って殺した。
再審の希望
捕まって拘置所にいるとき、緋山は人を殺したのだからもうまともには戻れない、ここで死んでもいいと思っていた。
そこに明墨が面会にやってきて、12年前のことを覚えているかと聞いた。女性を盗撮している動画が、闇サイトにあがっていたという。
就職が決まったと言った手前、母親に金の心配をさせたくなかった緋山は、闇サイトを管理する江越を紹介された。サイトには色々な仕事があり、その中にあった盗撮の仕事を緋山は請け負った。
その時近所の公園で撮った動画に、志水が映り込んでいた。動画が撮影されたのは、2012年の3月4日午後7時半ころ、糸井一家殺人事件が起きた同時刻。志水が糸井家で人を殺していたはずの時間に、彼は実際にはまったく別の場所にいたことになる。
「その動画は志水さんの無実を証明するための重要な証拠になるんです」と明墨は説明した。闇サイトに動画があがっていたとき、「ケイ」という名前で登録されていたことが分かった。
「ケイは俺です。確かに俺が撮りました」と緋山は認めた。しかし、江越に送ったら仕事は終わり、動画は持っていないと緋山は言った。
明墨は緋山に江越を捜してくれないかと依頼した。捕まっているから無理だというと、明墨は「ここからはよ~く考えてください」と言い、人を殺したかどうかを尋ねた。
緋山は動画を見つけたら自首するつもりだと言った。「でも…俺が動かなければ、志水さんはいつ死ぬか分からない。こんな俺でも、まだ人を助けることができるなら、何でもしたい」と思い、明墨の手伝いをしていた。
緋山から全てを聞いた赤峰と、青山から全てを聞いた紫ノ宮は、明墨の事務所で話し合った。全ては緋山の話がきっかけだった。志水の再審の手がかりを見つけたからこそ、明墨は動いたのだ。検察や警察、そして瀬古判事の不正を暴いたのも、志水の冤罪に加担した証言をさせるためだった。
二人は協力すると言い、赤峰はこの件が終わったら必ず緋山に罪を認めさせることを条件とした。明墨が約束をすると赤峰は信じて、緋山の作業着を明墨に預けることにした。
「私があの二人にしてしまったことは、償いきれることではない。それでも…志水さんを必ず、紗耶の元へ返す」と明墨は誓った。
父娘の再会
江越の連絡先はもう使われていなかったが、当時の闇バイトで使われていたメーリングリストに連絡してみると、その中に江越を知る人間がいた。江越は今も表に出てこないまま、投資詐欺をしていた。
青山はその人物に、投資に興味を持っているいいカモがいると伝えておいた。待ち合わせた喫茶店に、江越はやってきた。赤峰がカモ役をして話を聞き、青山が江越の尾行に向かった。
白木凛(大島優子)がなぜこの事務所を選んだのかと紫ノ宮が尋ねると、白木は「きっともう、先生も忘れてるんじゃない」とつぶやいた。すると事務所に紗耶がやってきた。
戻ってきた明墨は紗耶と話を始める。紗耶は「なぜずっと黙っていたの?優しくしてくれてたのは、ただの罪悪感?」と尋ねた。明墨は優しくしていたのは、心の底で後ろめたさがあったからだと認めた。
しかし「でも、紗耶のためにできることがあるなら、何でもしたいと思った」と続けた。「絶対に、無罪にできるんだよね?」と紗耶が確認すると、明墨は「ああ」と答えた。それを聞いて紗耶は「パパに会わせて」と願った。
明墨は紗耶を連れて2人で志水の面会に行く。やってきた志水は、紗耶の姿を見て感極まった。「パパ…誰も…殺してないの?」と紗耶が尋ねると、「殺してない」と即答する志水。ただ、横領をしたことは認めた。
「よく頑張ったな、ずっと一人で…」と志水が言うと、「何それ…簡単に言わないでよ、バカじゃないの?」と紗耶は怒った。そして「私はずっと、ずっとずっと寂しかった!ほんとは犯罪者でも何でもいいから、ずっとパパといたかった」と最後は泣きながら語った。
「先生がパパを助けてくれるって約束してくれた。大丈夫、絶対に大丈夫」と紗耶。「明墨先生…私は紗耶と…」と志水が言いかけると、明墨は「志水さん。私にあなたの無実を証明させてください」と言った。志水はそれを聞いてゆっくりとうなずいた。
罠
江越の正体が分かったと青山が事務所で報告する。江越は偽名で、本名は後藤秀一(迫田孝也)と言い、妻と2人の息子と共に港区のタワーマンションに住んでいた。勤務先はウィンダムシステム、43歳、東大卒である。
緋山の家の前に車を停め、菊池大輝(山下幸輝)検事が監視していた。恐らく緋山と志水の関連性に気づいただろうが、江越にはまだたどり着いていないだろうと推察した。明墨は緋山と赤峰に菊池を釘付けにしておくよう頼んだ。緋山の家に赤峰が行き、案の定、菊池はその様子をうかがっていた。
明墨は江越の勤務先に行き、ホテルで待ち合わせることにした。約束の時間に明墨が待っていると、江越がやってきた。
明墨は緋山の代理で来たと話し、動画を全て渡して欲しいと頼んだ。江越が帰ろうとするのを引き留め、取引がしたいだけだと話す。痕跡を全て渡して欲しい、そうすれば相応の金を渡すと言う。もし断ればどうなるかと聞く江越に、「あなたが総崩れするだけです」と明墨は答えた。
江越は先客がいて、自分の手元にはもう動画がないと告げた。会話を録音していた江越は、そのまま電話で話し、脅迫はされなかったと報告した。
するとそこに菊池が電話をしながら現れた。中継動画を見ていた赤峰が外の車を確認すると、誰も乗っていなかった。菊池は脅迫されなかったのであれば、この場で逮捕はできないと言い、撤収することにした。「皆さん、ご苦労さまでした」と声をかけると、客のふりをしていた捜査員たちが一斉に立ち上がって帰った。
菊池は伊達原に明墨は脅迫はしなかったと報告すると、「そこまで馬鹿じゃないよね」と伊達原は言った。伊達原の手元に動画はあった。その動画には志水が確かに映っていた。
「盗撮なんて許せないよね?」と言いながら、伊達原はハードディスクを初期化した。そしてそのハードディスクを「天は正しい方に味方する」と言って床に叩きつけて破壊し、何度も足で踏みつけ高笑いした。その様子を見た緑川歩佳(木村佳乃)は思わず驚いた。
実は伊達原は江越を先に見つけていた。江越のしてきた犯罪を見逃す代わりに、動画を手に入れたのかもしれないと青山は推測した。明墨が会社に行った時、江越はすぐに例の弁護士が来たと菊池に報告していた。菊池は伊達原に待ち合わせの場所と時間を報告し、伊達原は私服警官を配備した。菊池は隙を見て車から出て現場に向かった。
【アンチヒーロー】8話の結末
ミルが吠えたと思ったら、花束を抱えて伊達原と緑川が事務所にやってきた。伊達原は弁護士事務所のお祝いに来たというが、「弁護する人間は考えて選んだほうがいい。事務所、潰れちゃうよ」と皮肉を言った。
伊達原が赤峰たちを検事に勧誘すると、明墨は「彼らは渡さない」と言って伊達原を追い返そうとした。「こう呼ぶのが最後でないことを祈っていますよ。明墨弁護士」と嫌味を言う伊達原は、無理やり花を置いて帰った。困惑しながら緑川も帰った。
明墨は花束を手にして自室に一人で向かった。タクシーの中で伊達原は、緑川に明墨は検事の素質がある男だったと話した。「明墨君は私にどこか似ていたんだ。だから彼が考えそうなことは、手に取るように分かる。正義の弁護士には向いていないんだ」と伊達原は語った。
明墨はもらった花束を握りしめ、悔しがりながら証拠が失われたことに憤って部屋をぐちゃぐちゃにした。
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【アンチヒーロー】8話の謎とわかったこと
今まで分かった謎とまだ分かっていない謎をまとめています。
分かっていない謎
- 明墨が語った事例の人物は誰なのか?(1話)
- 小国智浩とは誰なのか?(1話)
- 明墨はなぜ検事から弁護士になったのか?(3話)
- 倉田は何を隠蔽したのか?(4話)
- 白木はなぜこの事務所を選んだのか?(8話)
分かった謎
- 赤峰が会いに行った人物は誰なのか?(1話)→松永理人
- 獄中で絵を描いている男性は誰なのか?(1話)→志水裕策
- 紗耶は誰の娘なのか?(1話)→志水裕策
- 赤峰がノートに書いていた事件は何なのか?(2話)→松永理人の冤罪事件
- “REIKO MOMOSE”とは誰なのか?(2話)→桃瀬礼子はNPO法人「わんはっぴー」の職員。2018年に亡くなっている
- 獄中の男になぜ明墨は手紙を出し続けるのか?(2話)→弁護を引き受けるため
- 紗耶は児童施設になぜいるのか?(2話)→母親が死んでしまったため
- 緋山の動機は何なのか?(2話)→母を侮辱されたため
- 志水が収監された理由は何なのか?(3話)→糸井一家殺人事件の犯人
- 明墨は緋山に何を頼んでいたのか?(5話)→江越の居場所
- 江越とは何者なのか?(6話)→緋山に闇バイトをやらせていた
【アンチヒーロー】8話のまとめと感想
志水の無罪を証明する映像を入手しようとするが、伊達原に先を越されて証拠隠滅されたという話でした。
ここに来て真相が次々と明らかになってきました。志水の自白を強要したのは明墨で、冤罪に気付いたのは桃瀬だと分かります。さらに緋山は母を侮辱されたことにキレて、社長を殺害したということも分かりました。
志水が無罪であると分かる映像があり、それを偶然撮っていたのが緋山でした。しかし証拠は伊達原に渡ってしまい、隠滅されてしまいます。
ドラマの結末が志水が無罪になって釈放されるのであれば、証拠の映像は恐らく紫ノ宮の父がどこかに隠し持っている可能性がありそうです。それを紫ノ宮が説得して入手するのかもしれません。
明墨の最後の狙いは伊達原なのか?自分と一緒に地獄へ引きずりこみそうな、そんな明墨の強い覚悟を感じます。
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