【全領域異常解決室(ゼンケツ)】4話のネタバレと感想をまとめています。
エリートサラリーマンが次々と飛び降り自殺をする事件が発生。ヒルコは彼らに“縊鬼”という妖怪を取りつかせたと声明を出す。全決が調査に乗り出すと、彼らにはある共通点があった。それは同じ大学出身ということ以外にも、同じ店のポイントカードを所持していて……。
【全領域異常解決室】4話のあらすじ
大手町のエリートたちが、次々とビルから飛び降りてしまう事件が発生し、ヒルコは堕落したビジネスマンへの天罰として、古来から自殺を誘発する妖怪“縊鬼”を取りつかせたと声明を出す。
全決が調査を開始すると、彼らにはある共通点があることが判明した。1つは同じ大学出身であること。もう1つはみな死ぬ前に縊鬼を見ていたと、遺族が証言していること。そしてどこかのお店のポイントカードを所持していた。
どこの店なのか、興玉雅(藤原竜也)と雨宮小夢(広瀬アリス)が調べていくうちに、キッチンカーでパンを売っているお店だと、柘植朝日(橋本まなみ)が教えてくれた。柘植は一連の事件でパートナーを亡くしたばかりだった。
何の変哲もないキッチンカーだが、この店で売っているのはパンだけではなく……。
【全領域異常解決室】4話のネタバレ要約
DV妻から逃れるように、香取はキッチンカーのマイカに心を寄せたが、それが妻にバレてしまう。
薬物の話をすれば、勝手に組織の人がマイカを始末に行くだろうと思い、あえて薬物中毒で死んだとテレビで言った。
夫に逃げられたと思われたくなかった柘植は、夫の机の中に「あとで話しましょう」と書いたマイカとの盗撮写真を入れる。それを見た夫は自殺した。
【全領域異常解決室】4話の詳細なネタバレ
今回の事件
今回の事件は、香取吉信(吉田宗洋)の奇妙な行動から始まった。彼はぶつぶつと独り言を呟きながら、片手に消火器を握り、足元を確かめるように歩いていた。ふと足を止めると、持っていた消火器を力任せに投げつけ、ガラスを割り、そのまま何も言わず飛び降りていった。彼は、連続自殺事件の4人目の犠牲者となったのだ。
ヒルコからはすぐに犯行声明が出され、世間を騒がせた。「堕落したビジネスマンたちへの天罰」として、古来より自殺を誘発する妖怪「縊鬼」を取り憑かせたと語り、彼らが縊鬼の力で自殺に追い込まれたとヒルコは主張している。ヒルコのこの言葉は、人々の恐怖心を一層煽り立てるものだった。
直毘吉道(柿澤勇人)も捜査会議に参加することとなった。ヒルコの行動が社会現象となりつつあり、リスクフェイズが引き上げられたためだ。その影響力はもはや計り知れず、全国民の96%が存在を認知しており、その知名度は総理大臣さえ上回る数値だった。
今回の連続飛び降り事件の被害者たちは、いずれも国家の未来を担うビジネスパーソンであった。彼らは日本経済の中枢に関わる役職に就いており、直毘はこの事件が「国家の重要人物を狙った連続殺害テロの可能性がある」と判断していた。ヒルコは自殺に見せかけて被害者を殺害しているのではないか、そんな疑念も胸の中で募っていく。
「縊鬼に取り憑かれると、精神を蝕まれてしまい、自殺に追い込まれる」という古い言い伝えも、直毘の考えに拍車をかけた。雨宮小夢(広瀬アリス)が事件の資料に目を通していると、被害者たちの間に奇妙な共通点があることに気付く。
4人はすべて同じ帝都大学の出身で、お互いの連絡先がスマホに残されていたものの、個人的なやり取りは確認されていなかった。さらに、遺留品を見ると、全員が同じポイントカードを持っていたが、それがどこの店のものかはまだ判明していなかった。
被害者の中でも香取だけが、足に不自然なあざを残していたことも気にかかる。ほかの犠牲者には見られない特徴であり、何か特別な意味が隠されているのではないかと推測された。
興玉雅(藤原竜也)と小夢は、香取が亡くなった時の防犯カメラ映像を見返していた。香取と事実婚の関係にあった柘植朝日(橋本まなみ)とは籍を入れていなかったようだが、映像には不審な動きが映っていた。香取が飛び降りた後、職員たちが騒ぎを聞いて現場に集まる中、白い服を着た女性がそっと彼の机に近づいていく姿があった。それは柘植だった。
縊鬼の仕業か?
興玉と小夢は、香取の妻である柘植に話を聞くために彼女の元を訪ねた。彼女が香取のデスクに近づいたのは、彼が飛び降りた直後のわずか1分後だったが、その行動について興玉は問いかける。「何をしていたんですか?」
柘植は少し戸惑いながら答えた。「誰かが飛び降りたと聞いて、不安になって彼の席を見に行っただけなんです。なんとなく、嫌な予感がして……」
その言葉を聞いた興玉は、遺留品のポイントカードを見せると、柘植はそれがパン屋のものだと説明した。「多分、キッチンカーで販売しているパン屋ですね。色々なキッチンカーが集まるところに出店していたんじゃないかと」
興玉はさらに質問を続けた。「犯行声明が出た後、旦那さんに変わった様子はありましたか?」
柘植は眉をひそめながら、ためらいがちに話し始めた。「夫は亡くなる数日前に、『縊鬼に会ってしまった』と言っていました。まるで何かに取り憑かれたような顔をしていて……」
その後、興玉たちは他の被害者の遺族にも話を聞き直した。すると、全員が自殺する前に縊鬼を目撃していたことが判明する。二宮のの子(成海璃子)の調査によると、秋葉明彦(新田健太)は会社の地下駐車場で、寺井厚徳(伊木輔)は会社のトイレで、星健(竹邑貴司)は大手町の地下街で縊鬼を見たと、それぞれ家族に話していたという。柘植が語ったことで、他の遺族たちも口を開き始めたのだ。
一連の奇妙な縊鬼の目撃情報により、事件の真相がさらに深まっていく。縊鬼の影が各被害者にどう影響を及ぼしたのか、その背後にヒルコの手が関与しているのか、興玉と小夢は新たな手がかりをもとに捜査の舵を切る。
薬物中毒
興玉と小夢は、キッチンカーが集まる場所を訪れ、例のパン屋を見つけた。二人は手作りオーガニックパンを買って食べながら、店主のマイカ・バーナル(メラニー)についての情報を収集していた。そこへ芹田正彦(迫田孝也)が現れ、興玉はマイカを内調の手を使って調べていることを小声で告げた。
その矢先、新たな飛び降り事件が発生したとの報せが入った。被害者の遺体は行政解剖に回され、荒波健吾(ユースケ・サンタマリア)の説得によりコカインの陽性反応が確認された。薬物中毒による錯乱状態で飛び降りた可能性が浮上し、事件は新たな局面を迎えた。さらに、被害者の戸塚茂(若林秀敏)も、他の犠牲者と同じく帝都大学出身であることが判明する。
「もしかすると、彼らは皆、薬物中毒に陥っていたのでは?」と推測され、荒波は縊鬼の妖怪の話も、その現実から逃れるために利用したのではないかと考え始めた。
警察が自殺した4人の身辺を改めて調査したところ、香取を除く被害者のロッカーやカバンから、薬物の痕跡が見つかった。組対も含めた捜査会議では、彼らの共通の接点として、違法薬物の取引場所とされるクラブ「VERITAS」の存在が浮かび上がった。このクラブは、自殺した5人の帝都大学卒業生たちが異業種交流会を開いていた場所で、密かに薬物の取引が行われていた可能性が高いとされた。
捜査が進む中、警察はクラブ「VERITAS」にガサ入れを決行し、証拠品を押収することに成功した。クラブで何が行われていたのか、そして縊鬼の噂がどのように広まり、誰が彼らを陥れたのか。次の展開が待たれる中、興玉と小夢は真相に近づいていた。
キッチンカーで取引
興玉は柘植が出てくるのを待ち伏せし、彼女に声をかけた。「香取さんから薬物が出なかったのは、あの日、あなたが彼のデスクへ行き、証拠を回収したからではないですか?」と問い詰めると、柘植の表情にわずかな緊張が走った。
さらに興玉は続けた。「そして他の被害者遺族にも、被害者が違法薬物に手を染めていたと連絡を入れ、口裏を合わせるよう頼んだ。『縊鬼に会った』と証言してもらうよう依頼したんでしょう?」
柘植は少し間を置き、「私からお話できることは、何もありません」と冷たく言い放ち、その場を去っていった。
一方、警察のクラブ「VERITAS」に対する捜索では、違法薬物は見つからなかった。興玉は芹田に違法薬物の流通経路を調べるよう頼み、捜査の網はマイカのキッチンカーに向けられた。彼女の店では、多くの客が電子マネーで決済をしていたが、店には現金の1万円札がキャッシュボックスに入っていることが判明した。興玉は、客がスマホ決済を済ませた後、1万円札をポイントカードに挟んでマイカに渡し、見返りに薬物入りのパケを受け取っていた事実に気づいた。
その後、柘植がテレビの朝の情報番組にリモートで出演し、驚くべき発言をした。彼女は、警察が違法薬物について捜査を進めていることを告げ、香取がその取引に関与していた可能性があると公の場で明かしたのだ。「縊鬼の仕業ではなく、違法薬物によって錯乱状態に陥り、自殺したのだと思います」と涙を流しながら、頭を下げて謝罪する柘植の姿が映し出された。
その放送を見ていた興玉は呆れたように溜息をついた。そして、次に思い至ったのは、危険が迫るマイカのことだった。「マイカさんが危ないかもしれない」と感じた興玉は、迅速に次の行動に移る決意を固めた。
出資の罠
芹田からの電話で、興玉は緊張感を漂わせた。「男たちがマイカさんを連れ去りました…」という報告に対し、興玉はすかさず命じた。「その車を追ってください。あなたなら、追えるはずです。その車の居場所を私に教えてください」
少し考えた後、芹田は自転車を全力でこぎ始め、ようやく男たちの車を発見した。しかし、追いかけているうちに、彼は拉致犯に気づかれ、絡まれる事態に。そこに興玉と小夢が到着し、拉致犯と激しい対峙が繰り広げられた。無事にマイカを救出した後、彼女は警察に引き渡された。
興玉たちは取調室の様子を別室から見守っていた。すると荒波が現れ、マイカの過去について話し始める。「2年前、マイカはバーでバイトしていた。そこで出会ったのが、銀行員の戸塚だった」
戸塚はマイカの夢に興味を持ち、彼女のキッチンカーを出店するために、大学の後輩たちと資金を集めた。集まったメンバーは、今回の連続自殺事件の被害者たち、つまり5人のビジネスエリートたちだった。彼らは出店場所の手配から販売の手伝いまで行い、あたかも親切心から協力しているかのように振る舞っていた。
しかし、それは戸塚たちが仕掛けた罠だった。もともと彼らは半グレのグループと組んで、違法薬物の取引を「ヴェリタス」で拡大させていたが、警察の組対が捜査を強めていたため、新たな販売場所を探していた。そして、彼らの目にとまったのが、マイカのキッチンカーだった。
マイカは薬物の取引を断ったものの、戸塚たちはすでに取引を始めており、マイカを犯罪に巻き込んでしまっていたのだ。興玉はマイカに疑問をぶつける。「香取さんだけが薬物の痕跡が見つからなかったのは、どうしてですか?」
マイカは一瞬戸惑いを見せたが、やがてゆっくりと口を開き、すべての真相が明らかになる瞬間が訪れるのだった。
事件の真相
興玉たちは、柘植のオフィスを訪れ、彼女に改めて話を聞くことにした。柘植は薬物検査で陰性であり、違法薬物の取引にも関与していないことがすでに判明していた。彼女はテレビで夫の関与をあっさりと認めていたが、実際に隠したいのは違法薬物に関する真相ではなかった。
興玉は柘植に、マイカの証言を伝えた。「香取さんは違法薬物を使っていませんでした。私を心配して、助けようとしていたんです」
「ただのいい人だったと思いますか?」と興玉は穏やかな口調で続ける。「人生を棒に振るかもしれないリスクを冒して、薬物に関わる女性を助けるでしょうか?」
興玉は冷静に指摘した。「香取さんの行動は善意ではなく、好意からです。彼はマイカさんを愛していたんですよ」
さらに、香取の足にあったあざについても話が進んだ。興玉はそのあざが、柘植によるものだと告げた。「彼はあなたを怖がり、家に帰ることさえ躊躇していました。マイカさんには、自分のDV妻に怯える生活を全て捨て、彼女の母国に一緒に逃げる計画まで打ち明けていました」
柘植の顔に怒りが浮かび、「そんなことあるはずないわ!薬物を売るような女の言葉を、どうして信じることができるの?」と声を荒げた。
興玉は冷ややかに微笑んだ。「その様子だと、香取さんの本心に気付いていたんですね。異国から来た労働者に夫を取られたなんてことが、死んだ後に知られるのが怖かった。それで、彼が違法薬物の中毒者で自殺したと証言した。そうすれば事実が明るみに出る前に、誰かがマイカさんを口封じしてくれるだろうと」
柘植は笑みを浮かべて、「妄想も大概にしてほしいわ。どうして夫が自殺しなきゃならなかったっていうの?」
興玉はため息をつきながら答えた。「ここからはあくまで推測です。香取さんはあなたのメッセージを見て、死を決意したんじゃないでしょうか?机の引き出しを開けた後、盗撮写真を見つけた…例えば、マイカさんと親しげにしている写真に『あとで話しましょう』とだけ書かれたものが入っていたとしたら、どう思います?」
「あなたと話すことなんて、もう何もないわ!」と吐き捨てるように言う柘植に、興玉は軽く微笑んで応じた。「そうですか。すべてを知ろうとするのは、人間の悪い癖ですからね。失礼します」と言い残し、部屋を出ていった。
一人残された柘植は、ふと机に置かれた夫との写真に目を向けると、それを手に取り、感情をぶつけるように投げ捨てた。
全決の結論
大手町や丸の内のエリート層の逮捕者報道が次々と流れ、違法薬物所持による新たな摘発が話題を呼んでいた。しかし、ネット上ではヒルコの信者たちが未だに騒ぎ続けている。「違法薬物だけで自殺が集中するなんておかしい。腐敗したエリートたちにヒルコ様が天罰を下したに違いない」と荒波はネットのコメントを引用しながら、世間の反応を興玉たちに伝えた。
興玉は麦角アルカロイドが原因の一つであると推測していた。麦角病に感染した小麦に含まれるこの毒素は、体内に入ると幻覚や精神錯乱を引き起こし、さらに循環器系にも深刻なダメージを与え、手足の壊死さえ生じる可能性がある。彼は説明を続け、「中世ヨーロッパでは、この毒素による集団食中毒が頻発していた。狼男や魔女狩りの魔女も、麦角アルカロイド中毒による錯乱状態の患者だったという説もある」と歴史的背景も交えて語った。
「オーガニックパンと聞いたときから、怪しいとは思っていましたが、戸塚さんの指先に見えた斑点を見て確信しました」興玉は自信を持って結論づけた。「麦角アルカロイド中毒と違法薬物による幻覚症状が重なった結果、不可思議な連続自殺が引き起こされたんです。これが今回、全領域異常解決室が導き出した結論です」
北野天馬(小宮璃央)がそこに現れ、戸塚の行政解剖の詳細が報告され、麦角アルカロイドが検出されたと告げた。二宮も結果を確認したが、他の犠牲者からは麦角アルカロイドが検出されず、直毘は戸惑いを隠せなかった。宇喜多民生(小日向文世)は冷静に言い、「丸く収めるのが我々の役目。お役に立てて何よりです」と締めくくり、謎の女については依然確認できていないと告げた。
ヒルコや縊鬼、謎の毒素が絡む事件は一応の結論を見せたが、全てが解明されたわけではなかった。興玉たちはさらなる調査に向けて動き出す準備を整えた。
【全領域異常解決室】4話の結末
小夢はまたも徹夜で調査を続け、マイカの供述書を見返していた。マイカは自店のパンの小麦管理は厳重に行っており、麦角アルカロイドが混入するなどありえないと主張していた。もしも混入させた者がいるとすれば、バイトで雇った女性くらいだ、と供述していたのだ。
さらに調べを進めたところ、その女性の履歴書には嘘が散見され、キッチンカーの防犯カメラ映像では、女性の周囲の映像だけが歪んでいた。「ヒルコです」と小夢は確信を抱く。
小夢は次に、店のガラスに豊玉神社のお札が貼られていたことに気づき、急いで神社に向かった。そこにいた巫女を見て、ヒルコではないかと一瞬疑ったが、違っていた。しかし、普通に豊玉妃花(福本莉子)が立っていた。
「あなたはヒルコなの?」と問いかける小夢に、豊玉は微笑み、「神の存在を信じる?あなたの目の前に神がいると言われたら信じる?」と、不気味な言葉を返した。
「何を言っているの?」と戸惑う小夢に、豊玉は真顔で答えた。「私は神なのよ」
小夢は一歩も引かずに言った。「私が知りたいのは、あなたが連続殺人の犯人、ヒルコなのかということだけ」
豊玉は無言で立っていたが、小夢が彼女の手を掴み、署で話を聞かせてもらうと連れ出そうとした瞬間、豊玉は手をかざし、小夢の呼吸が急に苦しくなり始めた。「そうだよ」とつぶやく豊玉、小夢が気づいた時には、彼女の姿は消えていた。
遅れて駆けつけた興玉が小夢を介抱し、ようやく落ち着きを取り戻した彼女は、今回の遭遇で得た謎の感覚と共に、再び事件の本質に向き合うこととなった。
【全領域異常解決室】4話のまとめと感想
縊鬼の仕業かと思われた連続自殺事件は、薬物と麦角アルカロイドによる幻覚症状が重なった結果という話でした。
自分たちが使用する薬物を最初はクラブで売っていましたが、警察に嗅ぎつかれて別の場所を探します。それが、マイカのキッチンカーでした。彼らはみんなで出資して、キッチンカーをマイカに持たせて薬物を販売します。
マイカを心配した香取は、実はDVな妻がいる家に帰りたくないのもあり、心惹かれていきました。それを知った柘植が怒り、香取を脅して自殺に向かわせます。つまり、柘植は何の罪にも問われないで話は終わります。
ヒルコの仕業であるならば、柘植にも縊鬼を取り付かせておいてあげればいいものを、彼女には夫の心変わりという屈辱を与えたのかもしれません。
豊玉は本当にヒルコなのか?だとしたら、何のためにこんなことをしているのか?謎だけが深まります。