WOWOWのドラマ【トッカイ~不良債権特別回収部~】2話のネタバレと感想をまとめています。
今回も前回同様にトッカイで活動する前の話でした。住専問題の裏側に隠された思惑、それに翻弄された人たち。責任は誰にあるのか?そしてどう責任を取るのか?登場人物一人一人の心に様々な思いがくすぶり始めます。
【トッカイ】2話のあらすじ
古賀(緒方直人)の葬儀で責任の擦り付け合いをする上層部を見た柴崎(伊藤英明)は怒った。上がちゃんとしていれば、古賀は死なずに済んだのではないか、と。バブル崩壊後、きな臭い事件が起き始める。住専はいよいよ危なくなり、各社に勤める社員たちも沈む船から逃げ始めていた。
柴崎は大阪支社へ異動になり、不良債権を回収する部署に回される。銀行は住専が潰れるまで、ただのポーズとして回収をしているだけだと柴崎は思っていた。
国では住専8社を何とかして救おうと官房長官の不破(団時朗)は、大蔵省の二階堂(佐野史郎)に方法を模索するよう命じる。その裏側には党としての思惑が隠されていた。
やがて、国会で公的資金導入の法案が可決される。国民の怒りの矛先をかわすため、国は住専経営陣と債務者への追及をした。そして、金丸(イッセー尾形)のところにも大阪地検が現れ……。
【トッカイ】2話のネタバレ
2話のネタバレは3つです。
- 沈む船
- 国の思惑
- ドラマの結末
結論から言うと、大口債務者の金丸が逮捕され仁科は海外へ逃亡します。
トッカイとしての活動はまだですが、住専問題に対する国の対応の酷さが分かる回です。
1.沈む船
住専各社がいよいよ危ないとなった時、堂々と会社で転職先を探す人たちもいた。日国住宅ローン・大阪支社に勤める葉山は、それでもまだ融資先を探して奔走していた。だが、上司は転職先でも探せと融資の許可が下りることはなかった。
第一ローンサービス・梅田支店に勤める多村は、大手外資に転職する同僚たちに自分も紹介してくれないかと頼む。だが、彼らは多村に永久就職(=結婚)でもしたらいいと、セクハラまがいのことを言う。そんな彼らに「万が一結婚するにしても、自分の会社が沈みかかっていると分かった途端に、さっさと逃げ出すような男は絶対NGですから」と言い返した。
あおば銀行・大阪支社で柴崎は調査部とは名ばかりの、不良債権回収の仕事をしていた。「銀行は潰れそうになったら国が助けてくれるからいい、それに引き換えうちは潰れそうになったらハエも寄り付かん」と、回収に向かった町工場の社長に言われてしまう。
柴崎が会社に戻ると頭取が激励に来ていた。住専が責任取って潰れるまでの間のポーズだけだと柴崎は部下に言う。そもそもなぜ、こんな状況になってしまったのか。柴崎が部下へ説明する。
- 住専8社は貸金法の規制から外れていた
- 銀行がたちの悪い業者を沢山紹介し、紹介融資をしていた
- 住宅ローンで行き詰っていた住専は、ヤクザだろうが金丸のような金の亡者だろうが貸しまくった
- バブル崩壊後、それらが不良債権になった
銀行にとっては都合がいい融資先、それが住専だった。そして住専はバブル景気の後押しもあり、どんな相手だろうが貸しまくった。その結果、大量の不良債権だけが残った。無理に関係を断ち切ろうとすれば、古賀のような目にあってしまう。もはや住専は八方塞の状況だった。
住専問題は銀行にも責任があった
2.国の思惑
官房長官の不破は大蔵省官僚の二階堂と話をしていた。住専7社を見殺しにすれば、農林系金融機関が多額の損害を被ってしまう。公的資金の導入をするように、農協には傷をつけるなと命じた。議員たちからも問題視する声が上がり、不破に文句を言いに行く。不破は住専と農協が潰れたら選挙に勝てない、と訴えを退けた。
やがて住専問題処理法の骨子が発表される。
- 6兆7800億円の穴埋めは、母体行と一般行・農林系金融機関がそれぞれ債権放棄を分担
- 6850億円の公的資金を導入
- 住専8社のうち全農住宅ローンを除く7社は倒産
という内容だった。
柴崎の妻、麻子は言う。日本の人口を1億2千万人だとしたら、1人あたり5708円の負担だと。その中には生まれたばかりの赤子まで含まれている計算だった。だが、法案は成立した。国民の怒りが紛糾する。葉山の勤める会社には連日右翼が街宣車で乗りつけて仕事にならない。多村も隠れるように銀行へ行った際、会社の名前では呼び出さないで欲しいとお願いした。
住専問題の国民の怒りの矛先をそらすため、国は債務者や住専経営陣への追求を強める。やがて、金丸の元にも大阪地検がガサ入れに入り、金丸は強制執行妨害ならびに所得税法違反の容疑で逮捕された。
一方、仁科は慌てていなかった。金丸のような俗物と自分は違う、いざとなれば海外へ高飛びすればいいと考えていた。そして「さえのぼる 月にかかれる浮雲の 末ふきはらへ四方の秋風」と織田信長の句を詠み余裕を見せた。
金丸逮捕を受けて住専各社にもガサ入れが入る。葉山のところにも地検が現れ、事情聴取を受けることになった。上に言われたから融資したという葉山に、担当の検事は「事の重大さ分かってるのか!あんたらが湯水のように貸しまくった大金が焦げ付いて、国民の血税で穴埋めされようとしてるんだぞ」と怒りをぶつけた。
国は選挙地盤の農林系金融機関を救うため、血税を導入する法案を通した
3.ドラマの結末
1996年6月26日、住宅管理機構が設立。東坊が社長として就任した。テレビのインタビューを受ける東坊は語る。政治決着でうやむやにされそうになっている。自分の責務は罪なき人を罰せられることにないようにすること、さらには二次損失を国民に負担させないようにすることだ。と就任した理由を語った。
葉山が金丸興産の対応に追われているうちに、社員たちはみな辞めていた。行き場のない彼に上司は人事部からこんな通知があったと、住管への就職希望者を募る知らせが書かれた紙を見せた。
塚野は上司から頼み込まれ、住管へ渋々異動することになった。岩永は最後の住専会で乾杯の音頭を取り、住管へ就職を決めたことを仲間に報告する。多村は結婚式を挙げる新郎新婦を横目に、住管の説明会へと向かった。柴崎は上司に文句を言いに行くと、住管へ異動を勧められた。仁科はその頃、既に国内を離れカナダのバンクーバーにいた。
1996年9月3日新宿区四ツ谷。住管の説明会に彼らは集い、長き戦いがここから始まる。
思惑をそれぞれ抱え、住管が始動する
【トッカイ】2話のまとめと感想
住専倒産から住管発足までの流れの話でした。前回と同様のトッカイ前日譚となります。
いつトッカイでの活躍が見れるのかとやきもきしますが、退屈さを感じさせない前日譚です。登場人物それぞれのバックボーンを丁寧に掘り下げていきます。例えば柴崎なら後にドラマの中で、古賀の話が出てきたりするのでしょう。そのための伏線だと思われます。
このドラマは実在の人物を元に作られています。不破という当時の官房長官が誰なのか?非常に気になったので調べました。1996年の1月22日から6月19日までの第136回国会で、住専の法案が成立します。その時官房長官だったのは梶山静六氏となります。団時郎さんの配役もあいまってか、なかなかに凄みがある人物として描かれています。
誰もが納得しない血税の投入ということが決定づけられ、不良債権の回収先はヤクザまがいの人たちという最悪な状況です。集まった社員たちは再就職ができなかったような住専組や、上に言われて渋々来ている腰掛気分の行員たちです。まとまるはずもないような社員たちがどうまとまるのか?そして、最悪からのスタートをどう切るのか?この先の展開も衝突必至でしょう。
今のところ展開が速いドラマを求めている人にはオススメできませんが、じっくりと丁寧に描かれたドラマが好きな人にはオススメなドラマです。