WOWOWで放送していた【鉄の骨】も今回で最終回となります。地下鉄工事の入札はどこが落とすのか?そして、検察はどこまで踏み込んでいくのか?怒涛の最終回のネタバレと感想をまとめました。
【鉄の骨】最終回のあらすじ
東京地検は城山(西岡德馬)の金の流れを把握し、強制捜査へ向けて着実に証拠固めをしていた。
一方、平太(神木隆之介)たちは再び調整の条件変更を持ち掛けられる。猪田組が関わっていた工事が、立ち消えになったことで瀬戸内橋梁にJVとして参加させて欲しいというものだった。これを聞いた尾形(内野聖陽)は一切耳を貸す必要はないといい、平太を交渉の場に送り出す。
尾形からのいわれたとおり、平太は譲歩せずにすべて突っぱねる。その結果、再び今までとおりの条件での調整に参加することになった。
入札当日、各社が札を入れ終え落札した会社が決まった瞬間、東京地検が会場にやってきて捜索を始める。平太たちの運命は?
【鉄の骨】最終回のネタバレ
今回の内容は主に入札前の問題発生と、入札後の検察の捜索で構成されています。登場人物たちがその後どうなったのか、分かった範囲でまとめました。
【鉄の骨】最終回のネタバレ(クリックでジャンプ)
1:城山の金の流れ
東京地検はつかんだ城山の金の流れを検事正に説明し、強制捜査への許可をもらう段階にまで来ていました。前回分かったことにプラスして、官製談合であると証明する金の流れの部分が加わります。
改めて金の流れについてこちらでも説明します。
トキタ土建 地下鉄工事落札
300万 ↓ ↑ 談合の口利き
三島クリエイト
300万 ↓
総一コンサルタント
総額3億6千万 ↓ ↑ 競走馬
十勝ランドファーム 資金洗浄の終点
300万 ↓
八村産業 城山のファミリー企業
ここまでが前回分かっていたことです。今回さらに決定的な証拠が出てきます。
芝浦興産という会社に500万円を、十勝ランドファームから振り込まれていました。この会社は都知事の義理の父親の会社だということが分かります。
要するに城山は都知事から落札価格を聞いていて、500万円はその情報料ではないかと検察は疑います。城山が仕組んだ官製談合事件だと結論付け、検事正は強制捜査のゴーサインを出しました。
平太たちにも捜査の手が伸びるのか?入札はどうなってしまうのか?
検察が強制捜査に動く
2:問題発生
検察の状況を知らない平太たちは、新たな問題が発生します。その内容はこうです。
- 横浜百貨店が博多駅周辺で開発していた、ショッピングエリアを猪田組が請け負っていた。
- 横浜百貨店が倒産し、開発工事が宙に浮く
- 損失は数百億円にのぼる
- だから、猪田組を瀬戸内橋梁工事にJVで参入させて欲しい
また条件の変更を持ち掛けてきました。これを聞いた尾形は受けるつもりがないことを伝えます。話し合いの場に平太を一人で送り込み、誰が何といっても拒絶しろといいます。
猪田組が危ないなら、真延建設か山館組が穴を埋めればいい。うちが面倒みる義理などないと、断固とした態度で臨むよう命じます。命じられた平太は一人、交渉の場へ向かいます。
猪田組が再びゴネる
2-1:平太の名シーン
このシーンの平太は非常に格好いいです。神木さんの迫真の演技が炸裂します。
平太だけしか来ないので、真延の長岡と猪田組の岸原はさっそく不機嫌です。どういうことなんだ?といわれた平太は、「尾形がわざわざ出向くほどのものではないという判断です」と答えます。
――尾形常務が来なきゃ話にならない
変更についてはお断りします。
――一方的な話があるか
一方的なのはどっちですか。一度決めた条件を変えろといってくるほうが一方的だ。
――非常事態だからこそ、すり合わせをお願いしている
横浜百貨店の問題は御社の問題であって、うちの問題ではありません。
――尾形常務はどう考えているんだ?
尾形の考えは今申し上げたとおりです。条件変更は受け入れられません。
キッパリと尾形に言われたとおり突っぱねます。見かねた三橋が改めて平太にたずねます。
――横浜百貨店は粉飾決算をしていた。猪田組がたまたま被害を受けた。何とかできないか?
会社を経営している以上、予期せぬ損失が発生するのは当然のことです。
誰が何といっても拒絶しろ、それを忠実に守ります。談合なんかしているから、他人の迷惑までこうむることになっているわけです。
平太は一歩も譲らない
2-2:問題の結末
平太たち三人をいったん部屋から出して、三橋は一人でどうするか考えます。そうして導き出した結論はこうです。
- 猪田組は公正入札で参加する
- 真延建設ももう一度入札金額を練り直す
- その代わり猪田組には、今後公共事業に関する情報は一切出さない
そもそも猪田組がゴネた結果の再交渉なので、もう好きにさせることにします。その代わり、情報はもう今後教えないよという取引です。それが嫌なら今回の損失は自分のところでかぶれ、そういう結論を出しました。
大手のためだけの調整ではない。下請け孫請け、関連会社、その人々を守るための調整だ。肝に銘じておけ。と、三橋は突き放しました。
三橋は猪田組を救わない
3:運命の入札
散々揉めた調整ですが、猪田組はあの後、社長が三橋に詫びます。その結果、調整に参加し条件は今まで通りでいいということになりました。
入札当日、朝早くから来ている業務部の面々にそのことが伝えられます。しかし、自分たちも調整に参加しているので、なんとも微妙な気分です。
平太は尾形から入札の札を預けられ、会場の都庁へ向かいます。箱に札を投函し開票が始まりました。その結果はこうです。
- 山館組JV:1870億
- 猪田組JV:1720億
- 真延建設JV:1680億
- 池松組:1570億
なんと、談合を破って池松組が落札します。
何が起きたのか分からない平太は上の空の状態で、積算内訳書を持っていこうとします。その瞬間、東京地検特捜部が会場になだれ込み、強制捜査が始まります。
池松組が落札するが、検察に踏み込まれる
3-1:それぞれの捜査
検察は入札が終わった段階で捜査するよう、各ゼネコンや関係企業に捜査員を配置していました。もちろん城山のところへも踏み込みます。
- 総一コンサルタント:茂原が資料を食べ始める
- 城山の事務所:捜査と同時に任意で城山を同行させる
- 入札会場:平太も任意同行になる
慌しく捜査員たちが奔走する中、会場に来ていた三橋を尾形は見つめ、三橋は尾形の策だったと分かったのか、最後は笑みを浮かべます。
4:検察庁での取り調べ
平太は任意同行され、検察庁で北原から聴取を受けます。
談合に関与していたという意識はあったのか?
平太:はい、ありました。
談合だとわかっていて、三橋らとの話し合いの場に行っていたのか?
平太:そのとおりです。
談合の交渉に行くことを断ることもできたのでは?
平太:断ることはできたかもしれません。でも、私はそうしませんでした。
なぜ?
平太:池松組の一員です。この会社以外、居場所がないからです。
居場所がない。そう告げた平太を驚いて嶋野は見ます。そして北原は平太を解放します。てっきり逮捕されるものだと思っていた平太はビックリしますが、決定権がないということを他の人間も証言しているからと告げました。
平太は逮捕されなかった
4-1:萌の謎行動
平太と別れた萌ですが、園田に専業主婦でいて欲しいことを願われ、なんか違くない?と思い始めます。平太のほうがやっぱり良かったと思ったのか何なのか、思いも寄らぬ行動に出ます。
なんと、談合で摘発されたニュースを見た萌は、検察庁から出てくる平太のことを待っていました。
バツの悪い平太ですが、萌のいったとおりにやっぱりなった、萌は凄いといいます。萌は自ら別れを切り出したのにも関わらず、平太に抱きついて「ばか…」といいます。意味不明な女性です。
平太も困ってしまい抱き返すのも戸惑いながら、「まき込みそうになってごめん」と詫びて離れます。今後どうなるかわからないという平太に、無事でよかったと萌は告げて別れます。
結局離れるならなぜ抱きついたのか?平太の心を弄ぼうとしているのか天然なのか、いずれにしても迷惑な女性です。
5:最終回の結末
各ゼネコンにも捜査の手が入り、池松組も社長や尾形を始め兼松や西田も任意で話を聞かれます。事件は結局どうなったのか、番組内の新聞記事を引用します。ただ、一部見えない部分がありました。
山館組など5社 都が指名停止に
地下鉄談合 期間3~12ヶ月東京都は、都発注の地下鉄工事をめぐる談合事件を受け、公正取引委員会が刑事告発した山館組など3社と池松組を指名停止にした。
指名停止を受けたのは、山館組、真延建設、猪田組、青川建設、池松組の5社。指名停止期間は山館組が12ヶ月、真延建設、猪田組、青川建設が9ヶ月、刑事告発(されない)池松組は3ヶ月とした。
また、都は契約内容に従い、刑事告発を受けた3社に工事契約額の10~15%に相当する損害賠償を請求する考えを明らかにした。
今回の措置は4月に行われた都発注の地下鉄工事の入札において談合が行われたとして、公正取引委員会が、独占禁止法違反(不当の取引制度)を認めて排除措置命令を出したのを受けた。
刑事告発された3社は恐らく山館組、真延建設、猪田組と思われます。青川建設と池松組は告訴をされていないようです。
池松組が告訴されていないと思われる理由が、いくつかあります。まず1つが松田社長が尾形に「逮捕されちゃうのかな…」と語ると「ご心配なく、それはありません」と言い切ります。恐らく尾形は内部告発を条件に、告訴しないということを取りつけたのではないかと思われます。
また、平太が無事手術が成功した母親と会話するとき、指名停止にはなったけど他より期間短いからと、特に心配した様子がありませんでした。
よって、池松組から逮捕者は出ていないと思われます。
5-1:尾形の狙い
あのタイミングで検察が来たのは偶然なのか?西田は尾形が内部告発したに違いないと予想します。
- 尾形常務は何としても地下鉄工事が取りたかった
- そこで池松組が最大限利益が取れる作戦を練った
- 一社単独入札もその1つ
- もう1つは競争相手を談合で潰すこと
- 池松組だけ生き残って地下鉄工事を請け負えばいいと考えた
- ライバルが指名停止を食らっている間がチャンス
元々談合に反対だったこともあり、なんとか落札するための手段を模索した結果、検察に内部告発をしたのではないか。西田も兼松もそう考えていました。恐ろしい人だと西田はそんな尾形を評しました。
5-2:平太の存在意義
無事再入札で地下鉄工事を落札した池松組ですが、平太は自分が何のために業務部にいるのか悩みます。西田や兼松や柴田は、どんな理由で呼ばれたとしても立派な業務部員だと励ましたり、ここに必要な人間だ、仲間だといってくれました。
でも、平太の中ではもやもやしたものがあって、尾形に呼び出されたときに話をします。永山が現場に戻せといっているから、平太は現場に戻れと尾形はいいます。平太はこれに噛み付きました。
- 自分はもう利用価値がないということか?
- 三橋顧問に取り入るためだけに呼んだんでしょ
- 道具のように扱われて愉快なわけがない
と、今まで抱えていたもやもやを尾形にぶちまけます。尾形は平太を利用したことを認め、会社の利益になることは何でも使うのは当然だといいます。さらに平太が入社面接でいったことを引き合いにだし、平太という人物が与えた影響について次のように語ります。
- 面接のときに若造のくせにうまいこというと思った
- 平太なら期待以上の働きをするかもしれないと思ったし、その通りになった
- こういう結果になったのも、きっかけは平太の言葉だった
平太が以前「こんな理不尽な調整を受け入れるなんて間違っている」といったとき、尾形は今回こうしようと腹が決まったといいます。平太のお陰で談合をやめれたということです。
5-3:今後の池松組
談合をやめた池松組の今後はどうなるのか?尾形はこう予想します。
- 業界内で必ず孤立する
- JVを組んでくれるところもないだろう
- 自分たちで道を切り開いていくしかない
- 公正入札でも利益が出るところを見せていくしかない
掟破りをしたのだから、当然周りからはそっぽを向かれるでしょう。しかし、それでもやっていけるところを見せれば、一社、また一社と談合をやめる会社も増えるはずだと考えます。談合が完全になくなるのかは、池松組の今後次第です。
平太は現場には戻らず、業務部で仕事を続けることを選択しました。その後の入札会場でも、平太が札を入れにいってました。
5-4:登場人物のその後
ドラマ内ではすべての人がその後どうなったかは分かりません。検察がらみの話は捜査次第という感じです。分かった人のみ記載しています。
- 富島平太:逮捕されず。変わらず業務部
- 尾形総司:逮捕されず。常務
- 西田吾郎:逮捕されず。業務部
- 野村萌:園田についていかずに銀行に残る
- 三橋萬造:逮捕
- 園田俊一:単身ニューヨークへ異動
- 柴田理彩:逮捕されず。業務部
- 永山徹夫:平太を呼び戻そうとするが、平太は現場に戻らず
- 兼松巌夫:逮捕されず。業務部
- 松田篤:逮捕されず。社長のまま
- 岸原貴之:猪田組は刑事告訴される
- 長岡昇:真延建設は刑事告訴される
- 富島八重子:手術が成功して退院
- 城山和彦:家宅捜索を受ける
- 茂原通彦:総一コンサルタントを家宅捜索される
池松組からは逮捕者は一人も出ていません。その後の再入札で無事、地下鉄工事を落札できました。
刑事告発された真延建設や猪田組にいた、長岡や岸原が逮捕されたかどうかは分かりません。他社は社長や幹部クラスが50人ほど呼ばれているというので、恐らく聴取は受けているはずです。
また、城山についても逮捕されたのかは分かりません。ただ、三橋はわりと早い段階で逮捕されます。
萌は園田についていかず、銀行に残って仕事をしていました。結局何がしたかったのか謎な女性です。平太とよりを戻したとか、そういう話も特にありませんでした。
6:【鉄の骨】最終回の要約
【鉄の骨】最終回の感想
何度となく調整の条件が変わり、ここにきてまた条件変更を持ち出されどうなるのかと思ったら、検察がなだれ込んでくるという怒涛の展開でした。
結局、池松組が一番得をして終わります。それもこれも平太の訴えで腹を決めた、尾形の策略だったというオチです。最小限の被害で済ませ、最大限の利益を生み出すやり方は痛快でした。“池松組に尾形あり”は伊達じゃありません。
今回平太が単身三橋のところに行って交渉するシーンは、個人的に全話通して一番好きなシーンです。据わった目をしているときの平太の迫力は、恐ろしさすら感じさせるいい表情でした。神木さんだからこそできる演技です。
ただ、最後城山がどうなったのかとか、そこまでの結果は分からないのが残念でした。国会議員を逮捕告訴したのかどうか、そこは今後の捜査次第となってしまいます。
一応勧善懲悪で、痛みを伴う改革といった終わり方です。しかし、萌だけは結局何がしたかったのか、謎な女性でした。
【鉄の骨】の総評
談合をテーマにそれが必要悪なのか、それともないほうがいいものなのか。それぞれのメリットとデメリットを挙げていきながら、最終的にどうするのかということを描きます。
談合自体、元々は互助の精神で始まったものだったのかもしれません。しかしいつしか、私腹を肥やすための手段になり、ぬるま湯に浸かっているがゆえに技術衰退を引き起こしました。
人間は頑張っても頑張らなくても仕事があるなら、やっぱり頑張らなくなる生き物です。年がら年中競争するのは疲弊しますが、危機感がないと何も進歩しないということも分かります。
度々平太がいっていた「企業努力をせずに安易な談合に走る」会社が生まれます。そして「会社を経営している以上、予期せぬ損失が発生するのは当然のこと」なのに甘えます。
これはコロナ禍の現在になると、会社も個人も身にしみて分かります。融資で設備投資をしまくったり借金で家を建てるなど、そもそも危険だったのです。真っ当な生き方とは常に努力をし、予期せぬ損失に備えておくことだと教えてくれます。
今回ドラマでやっていた談合は、結局誰もハッピーにならないおかしな談合でした。強いていえば城山だけが得をしていたようなものです。それもこれも企業努力を怠ったツケという、因果応報の話でした。それを打破する尾形の奇策が面白いドラマです。