先週に兵藤院長が自殺したことで、隠ぺい工作をしていたことが今週明らかになります。25年前に起きた医療ミスが引き起こした現在起こった事件と、法医学研究院の成り立ちは密接な関係がありました。最終的に柚木の下した決断は?
【サイン ―法医学者 柚木貴志の事件―】5話のあらすじ
25年の時を経て浮上した「慶徳小笠原病院」の現院長・小笠原達三(篠井英介)による医療ミス疑惑および、「日本法医学研究院」の元院長・兵藤邦昭(西田敏行)の解剖結果ねつ造疑惑。さらにここに来て「慶徳小笠原病院」の医師2人が同時期に遂げた不審な死、そして兵藤の突然すぎる自殺…。得体の知れない闇が渦巻く中、解剖医・柚木貴志(大森南朋)は兵藤が自殺する前に伊達明義(仲村トオル)と会っていたことを知る。兵藤は柚木にとって、かけがえのない恩人。その兵藤がなぜ死を選ばなければならなかったのか…。そもそも、兵藤は本当に自殺したのか…。とてつもないショックを受けると同時に、事の経緯が解せない柚木は伊達を追及する。だが、伊達からは答えを得られず…。
公式HPより
そんな中、失踪していた「慶徳小笠原病院」の元看護師が遺体となって見つかった。しかも、先だって亡くなった医師2人と同様、目立った所見はなく、解剖した柚木も心不全との診断しか下せない。だが、警視庁捜査一課の管理官・和泉千聖(松雪泰子)はこれを疑問視。亡くなった医師たちが死ぬ直前に小笠原と会っていたこともあり、事件性を怪しむ。かたや、柚木も毒殺の可能性を捨てきれないでいたが、血液検査で毒は検出されておらず…!? その矢先、小笠原の医療ミスが疑われる25年前の手術に、死亡した3人が立ち会っていたことが判明。さらに追い打ちをかけるように、新たな死者が出てしまう!
混迷を極める事態…。やがて、同じく25年前にこの世を去った柚木の父の死因に関する“衝撃の真実”も明らかに! この真実が、柚木の確固たる信念に揺さぶりをかけ…!?
【サイン ―法医学者 柚木貴志の事件―】5話のネタバレ
毒殺:馬場誠二、柳輝久、長谷部麗子、門田康則、安本健一医療ミス:安本祥子
小笠原達三
動機
過去の医療ミスを隠ぺいしたにも関わらず、ネットの書き込みを見て誰かがもらしたと疑い、その当時の関係者と遺族を紅茶にアンチモンを混ぜて殺害。
柚木啓介殺害犯
小笠原達臣・達三親子
動機
隠ぺいしたことに気づき告発しようとしたため、アンチモンを紅茶に入れて殺害。
小笠原達三殺害犯
安本健一
動機
医療ミスで娘は殺されたとずっと思っていて、その関係者が死んでいくのを見てミスはあったと確信した。娘が死んだ時に自殺しようと持っていた青酸カリをティーポットに入れ、小笠原も道連れにした。
【サイン ―法医学者 柚木貴志の事件―】5話の感想
さすがに人死にすぎじゃないかというぐらい、バッタバッタと死んでいきます。隠ぺいするにしろやり過ぎ感はありますが、逆に振り切っていて酷い事件だと印象づけられました。
柚木が最後、どう決断するのか?それが今回一番の見どころになっています。法医学研究院の成り立ち、兵藤に父の死が事故だと教えてもらった恩、一緒に生活して一人前の法医に育ててもらった恩、それら全てがグルグル柚木の頭の中を巡ります。
その結果、柚木は隠ぺいを選択しました。そばにいた景も警察も憤りますが、柚木は「俺には無理だった」と負けを認めます。これがさらなる悲劇を生むとも知らず、愚かな選択をします。
今回の事件のおさらい
前回死んだ二人に加え、行方不明だった麗子の遺体が今回発見されます。三人の事件状況はこんな感じとなります。
馬場誠二(54歳)
- 港区レストラン「トロッコ」3階階段にて発見
- 死亡推定時刻は7月29日午後5時頃
- 外傷なし 内出血
- 内臓・脳ともに異常なし
- 事件当日も勤務していた
- 退勤前に院長室に寄っている
- 看護師をしつこく飲みに誘ったりを繰り返し、病院内での評判は悪いが、院長・外科部長からは信頼されていた様子
柳輝久(52歳)
- 新宿区西新宿路上にて倒れる
- その後、死亡を確認
- 死亡推定時刻は7月29日午後5時頃
- 外傷なし 内出血
- 内臓・脳ともに異常なし
- 事件当日も勤務していた
- 退勤前に院長室に寄っている
- 飲みの席で看護師にボディタッチを行う等病院内での評判は悪いが、院長や外科部長からは信頼されていた様子
長谷部麗子(51歳)
- 8月2日午前8時頃、多摩川河川敷にて死後3日ほど経った状態で発見
- 外傷なし 胃粘膜に若干の炎症
- 慶徳小笠原病院で看護師をしていたが退職(1994年7月)
- 柳輝久、馬場誠二の行きつけの店、bar麗を経営(1997年3月~)
- バーの経営は良好で、トラブルも無かった
安本祥子(当時17歳)
- 慶徳小笠原病院に入院していた患者
- 1994年6月12日に肝血管腫瘍摘出手術を受けた
- 手術の執刀医は小笠原達三
- 術後、容態が悪くなり死亡
- 死因は肺動脈塞栓症
- その後遺族の希望により解剖を行ったが、異常なし
- その時の解剖医は兵藤邦明
柚木が千聖に安本祥子のことを調べるよう言います。そして、その時のカルテを見るとあることが判明します。
- 執刀医:小笠原達三
- 第一助手:門田康則
- 第二助手:馬場誠二
- 麻酔医:柳輝久
- 看護師:長谷部麗子
死んでいる三人はこの手術の時の関係者だったことがわかります。
ネットに“慶徳小笠原病院で過去に医療ミス。法医学研究院が解剖結果をねつ造”という書き込みがありました。小笠原は関係者の誰かがネットに書き込んだと思い、一人ずつ殺害していったのでは?推理します。
ただ、死因がわからない上に毒物検査をしても検出されず、証拠がない状態です。麗子の通信履歴が7月23日が最後だったことがわかります。季節柄死後10日経っていたら、こんな綺麗な状態ではないはずとなります。
そこで、美晴が水銀化合物の一種かもと呟きます。水銀化合物の中には強い脱水作用を持つものがあり、水分がなくなった遺体は腐敗の進行が遅れると。ここで柚木が閃きます。水銀化合物の一つに“アンチモン”というものがあると。このアンチモンは法医学研究院の機器では検査ができません。
アンチモンとは?
実在するもので、主に工業材料として使用されます。かなり昔から知られているもので、レアメタルの一種となります。
アンチモン(独: Antimon、英: antimony、羅: stibium)は原子番号51の元素。元素記号は Sb。常温、常圧で安定なのは灰色アンチモンで、銀白色の金属光沢のある硬くて脆い半金属の固体。炎色反応は淡青色(淡紫色)である。レアメタルの一種。
急性アンチモン中毒の症状は、著しい体重の減少、脱毛、皮膚の乾燥、鱗片状の皮膚である。また、血液学的所見では好酸球の増加が、病理的所見では心臓、肝臓、腎臓に急性のうっ血が認められる。このほか、アンチモン化合物は、皮膚や粘膜への刺激性を有するものが多く、日本では毒物及び劇物取締法及び毒物及び劇物指定令によりアンチモン化合物及びこれを含有する製剤は硫化アンチモンなど一部の例外を除いて劇物に指定されている。
wikipediaより
致死量がどれぐらいなのかはわかりませんが、ドラマでは紅茶に混ぜて飲ませていました。即死するようなものでなく、しばらくしてから死ぬようで、ドラマ内では飲んだ後、ある程度の時間が経ってから死亡していました。
法医学研究院設立の闇
なぜ兵藤が隠ぺいに関わったのか?そこには法医学研究院をどうしても設立したいという、兵藤の強い願いがあったからです。
- 法医学研究院設立に向けて、厚生大臣を味方につけた
- 厚生大臣と小笠原家は深い関係があった
- 小笠原達三の父達臣が息子の医療ミスを隠ぺいしようと大臣に頼む
- 大臣から兵藤に結果ありきの解剖を頼む
- やってくれれば法医学研究院の件は今までどおり進める
非常に兵藤は悩み葛藤したそうです。言うことを聞いて嘘の所見を書くか、聞かずに法医学研究院設立を諦めるか。結果、この時の解剖結果をねつ造します。だから、法医学研究院はできました。
柚木は尊敬していた兵藤がねつ造をしていたことにショックを受けます。さらに自分の父も実はアンチモンで殺されていたのに、兵藤は“事故”という解剖結果にしました。混乱する柚木に伊達はこう言います。今真相を暴けば兵藤の過去も公になり、法医学研究院の信頼も失墜する。法医学の未来のためだと。
柚木はそんなのは未来じゃないと、この時は真実のために突き進む覚悟でした。だが、一通の手紙を見て揺れます。それは兵藤の死後、柚木の家へ届いた手紙でした。
貴志へ
私は自分が犯した過去を後悔している。
だがあの時の私は、法医学研究院を諦め切れなかった。
お前に本当の事を話そうと何度も考えたが、
どうしてもできなかった。お前と共にした二十年間は
人生で一番幸せな時だった。それが壊れるのが恐かった。
この愚かな決断を許して欲しい。
お前はこれからも遺体から真実のサインを聴いてくれ。
柚木に向けた兵藤の遺書です。柚木との関係が壊れるのが恐くて、結局何も言わずに自殺を選んだということになります。ですが、柚木には“真実のサイン”を聴いて欲しいと願います。柚木はこの手紙を見て、当時の兵藤のように葛藤します。
柚木の最終的な決断は“隠ぺい”でした。その選択がどんなに愚かなものか、この後思い知ります。
一つの医療ミスが生んだ悲劇
医療ミスの隠ぺいが全ての始まりでした。最初にミスで亡くなった祥子も含め、今回の事件に関与したせいで死亡した人たちを一覧にしました。
被害者 | 死因 | 殺害理由 |
---|---|---|
安本祥子 | 医療ミス | なし |
柚木啓介 | アンチモンによる毒殺 | 隠ぺいに気づき告発しようとしたから |
馬場誠二 | アンチモンによる毒殺 | ネットに書き込んだと思われた |
柳輝久 | アンチモンによる毒殺 | ネットに書き込んだと思われた |
長谷部麗子 | アンチモンによる毒殺 | ネットに書き込んだと思われた |
門田康則 | アンチモンによる毒殺 | ネットに書き込んだと思われた |
兵藤邦明 | 自殺 | 真実を語ることができなかった |
小笠原達三 | 青酸カリによる毒殺 | 祥子父の復讐 |
安本健一 | アンチモンによる毒殺 | 口封じに殺される |
ミスで亡くなった祥子の祟りかと言わんばかりにみんな死にます。正しいことをしようとした柚木の父も実は殺害されていました。兵藤は“自殺”で処理しろと上から命じられます。しかし、貴志が絶対自殺じゃないと言っていたのを聞いてか、せめてもの償いとして“事故”にします。
柚木の愚かな選択のせいで、死ななくてもいい人が死にます。祥子の父です。法が裁けないなら俺が道連れにすると言わんばかりに、ティーポットに“青酸カリ”を入れて小笠原を死に巻き込みます。
これが兵藤が望んだ法医学の未来なのか?祥子の死をあの時、隠ぺいしなかったら、確かに法医学研究院は設立できなかったでしょう。隠ぺいをしない法医なので、柚木の父の解剖の指名もされないし、柚木と出会うこともなかったかもしれません。
ですがあの時、隠ぺいをしなかったらこれだけの人が死ぬことはなかったと思いたいです。そもそも小笠原がミスをしなければ良かった、確かにそうです。でも、ミスが起きた時にどう対応するのか?そこが大事だと思います。
【サイン ―法医学者 柚木貴志の事件―】4話のまとめ
一つの医療ミスから発生した連続殺人事件という話でした。嘘をつき通すために、どれだけの人が犠牲になったのか、終わってみればとんでもない事件です。柚木もその流れにハマり、自分の嘘でさっそく二人死んでしまいます。
初回の事件を覚えている人は想像つくかと思いますが、恐らく今後、北見永士の事件について明かす話が出てくると思います。その時、柚木はもう迷わないでしょう。真実だけを見ると。研究院がなくなろうが、兵藤の過去が明らかになろうが、それこそ知ったことかという感じで突っ走ると思います。そうでなければ、今回の話の教訓が生かされないので。
真実を隠すことは物事が解決せず、問題を先送りにしているだけだと思いました。そして先送りになった問題は、その時以上の問題となって降りかかります。それがどんなに受け入れがたいものだったとしても“真実”から目を背けてはダメだと、今回の話を見て改めて思いました。
次回は景の妹を襲った犯人の話のようです。勧善懲悪な話になるのか?また隠ぺいものか?どちらにしても視聴したいと思います。