『さよならノワール』第5話では、元暴力団員の高坂卓也が、勤務先の工場で起きた300万円の盗難事件をめぐり、同僚から激しい暴行を受けます。
高坂は自ら金を盗んだと認めましたが、実際に事件を仕組んだのは工場を経営する一丸社長でした。高坂は真相に気づきながら、自分を受け入れてくれた一丸親子を守るため、罪をかぶろうとしていたのです。
しかし、その行動は恩返しであると同時に、「自分などどうなってもいい」という自己否定でもありました。幼い頃から居場所を得られず、暴力団を家族のように感じていた高坂は、組を抜けた後も過去に縛られ続けていました。
一方、夏海は山崎が失踪した夜に娘を一人にし、事故に遭わせてしまった過去を絵梨子に明かします。さらに終盤では、山崎に似た男が横浜のカジノで目撃されたという情報も浮上しました。
この記事では、高坂がなぜ罪をかぶり、泉に反撃せず、絵梨子を人質にしたのかを整理しながら、山崎生存説や五十畑の不審な言動についても考察します。
この記事でわかること
- 高坂が300万円を盗んだと嘘をついた理由
- 高坂が泉に反撃せず、絵梨子を人質にした目的
- 一丸社長が盗難事件を自作自演した真相
- 山崎が横浜で生きている可能性
- 五十畑が絵梨子と夏海の接近を警戒する理由
『さよならノワール』第5話のあらすじ
元暴力団員の高坂卓也が、勤務先の一丸自動車で同僚の泉から鉄パイプで殴られ、全治3週間のけがを負った。
工場では300万円が盗まれる事件も起きており、泉は高坂が犯人だと疑っていた。夏海と絵梨子が支援に入るなか、高坂は突然、自分が金を盗んだと認める。しかし、金の使い道についての説明は曖昧で、夏海は誰かをかばっているのではないかと疑う。
その後、一丸社長は、工場の経営難を隠すために盗難事件を自作自演したと告白。高坂は以前から会社の苦境に気づいており、自分を受け入れてくれた一丸社長と娘の栞里を守るため、窃盗の罪をかぶろうとしていた。
追い詰められた高坂は、絵梨子をナイフで人質に取り、自分を逮捕させようとする。しかし夏海は、高坂が本当に望んでいるのは罪を重ねることではなく、恩を返すことだと見抜いて説得する。
夏海から、過ちをかばうのではなく、立ち直った経験を使って一丸社長を止めることこそ恩返しだと諭された高坂は、「まだ間に合いますか」と涙を流した。
一方、夏海は山崎が失踪した夜、娘を一人にして事故に遭わせてしまった過去を絵梨子に打ち明ける。さらに終盤では、山崎に似た男が横浜のカジノで目撃されたという新たな情報が浮上した。
第5話の3行まとめ
- 高坂は、一丸社長と栞里を守るため、工場から300万円を盗んだ罪をかぶろうとしていた
- 一丸社長による盗難事件の自作自演が明らかとなり、夏海は高坂に、罪を背負うのではなく過ちを止めることが恩返しだと伝えた
- 山崎に似た男が横浜のカジノで目撃されたという情報が入り、失踪事件が再び動き始めた
高坂はなぜ300万円を盗んだと嘘をついたのか
高坂が300万円を盗んだと認めたのは、本当に窃盗をしたからではありません。一丸社長が仕組んだ盗難事件の真相に気づき、自分が犯人になることで一丸親子を守ろうとしたためです。
一丸社長が盗難事件を自作自演した
工場から盗まれたとされていた300万円は、最初から存在していませんでした。
一丸自動車は経営難に陥っており、社員の給料を支払うために街金から借金を重ねていました。しかし、銀行からも新たな融資を受けられず、返済の利息にも苦しんでいたのです。
追い詰められた一丸社長は、工場の金庫から300万円を盗まれたことにすれば、盗難保険を受け取れると考えました。そのため、実際には起きていない窃盗事件を警察へ届け出ていたのです。
一丸社長は自分の利益のためではなく、社員の給料を守ろうとしていました。しかし、どのような事情があっても、保険金を得るために存在しない事件を作れば犯罪になります。
社員を助けようとした善意が、追い詰められた末に保険金詐欺へ変わってしまったのでした。
高坂は保険金詐欺に気づいていた
高坂は一丸自動車の経営が悪化していることを、以前から察していました。
工場には筋の悪い金融業者が出入りしており、一丸社長の娘・栞里からも、両親が離婚するかもしれないことや、会社の経営が苦しいことを聞かされていました。
また、高坂は暴力団にいた頃、保険金を目的とした同様の手口を耳にした経験があります。そのため、経営難の工場に300万円もの現金が保管されていたという話を、最初から不自然に感じていたのでしょう。
一丸社長が病院を訪れた際、高坂の手を握りながら、自分は高坂を疑っていないと伝えました。しかし、その手は冷たい汗をかき、震えていました。
高坂はその反応から、一丸社長が事件の真相を隠していることを確信したと考えられます。
一丸親子を守るために罪をかぶった
高坂にとって、一丸社長は単なる勤務先の経営者ではありませんでした。
暴力団を抜けた高坂を雇い、過去で判断せず、ほかの社員と同じように接してくれた人物です。高坂は一丸社長を「オヤジ」、栞里を妹のように感じていました。
そのため、一丸社長が罪に問われれば、工場も一丸親子の生活も壊れてしまうと考えたのでしょう。元暴力団員である自分が犯人になれば、周囲も簡単に信じると分かっていました。
高坂が罪をかぶったのは、自分を受け入れてくれた二人への恩返しのつもりでした。
しかし、それは一丸親子を救う方法ではありません。一丸社長の過ちを隠し、自分の人生まで投げ捨てようとする行為です。
高坂は一丸親子を家族のように大切に思う一方で、「自分のような人間はどうなってもいい」と考えていました。罪をかぶるという選択には、恩義だけでなく、自分自身の価値を認められない高坂の自己否定も表れていたのです。
高坂はなぜ泉に反撃しなかったのか
高坂は泉から鉄パイプで激しく殴られても、ボクシングの構えで身を守るだけで反撃しませんでした。
それは、単に暴力を我慢したからではありません。自分から手を出さず、窃盗犯として疑われ続けることで、一丸社長を守ろうとしていたためだと考えられます。
ボクシング経験者が手を出す重さを知っていた
高坂はかつてプロボクサーを目指していました。しかし、喧嘩を起こしたことでジムを追い出され、そこから人生を大きく踏み外しています。
その経験があるからこそ、高坂は自分の拳が再び人生を壊しかねないことを、誰よりも理解していたのでしょう。
元暴力団員であり、ボクシング経験者でもある高坂が泉へ反撃すれば、たとえ先に襲われていたとしても、周囲からは「やはり暴力的な人間だった」と見られる可能性があります。
高坂にとって拳を振るうことは、目の前の相手を倒すだけではなく、これまで積み上げてきた更生まで失う行為でした。
反撃しないことが社長を裏切らない選択だった
高坂は一丸社長による盗難事件の自作自演に気づいていました。
自分から泉へ反撃すれば、傷害事件の捜査が進み、高坂の言動や工場の事情まで詳しく調べられる可能性があります。それによって、盗難事件の不自然さが明らかになることも考えられました。
そのため高坂は、泉に殴られても抵抗せず、自分が窃盗犯として疑われる状況を崩さなかったのでしょう。
高坂にとって反撃しないことは、更生を守る行動であると同時に、一丸社長を裏切らないための選択でもありました。
暴行被害によって窃盗の疑いを強めようとした
泉は高坂が300万円を盗んだと決めつけ、金を取り戻すために襲います。
高坂がそれに反撃せず、一方的に殴られたことで、周囲からは「盗んだ後ろめたさがあるから抵抗しなかった」と受け取られる可能性があります。
実際、高坂はその後、自分が300万円を盗んだと嘘の自供をしました。暴行を受けても反撃しなかった行動と、自ら罪を認めた言葉は、一つの筋書きとしてつながっています。
高坂は自分を窃盗犯に見せるため、泉の暴力さえ利用しようとしていたのでしょう。
しかし、その方法は一丸社長を救うどころか、泉には傷害事件を起こさせ、自分も再び犯罪者として扱われる危険を高めるものでした。
誰かを守るために自分だけが傷つけばよいと考える高坂の行動は、恩義の深さを示す一方で、自分の人生をあまりにも軽く扱っていたことも表しています。
高坂はなぜ絵梨子を人質にしたのか
高坂が絵梨子を人質にしたのは、自分を逮捕させるためです。
一丸社長の自作自演が明らかになれば、窃盗犯として罪をかぶることはできません。そこで高坂は、新たな事件を起こし、自分が社会へ戻る余地のない人間だと警察へ見せつけようとしました。
自分を救いようのない悪人に見せようとした
高坂は果物ナイフを手に取り、絵梨子を人質にすると、夏海へ携帯電話を置くよう命じました。
その後、絵梨子を解放したにもかかわらず、鴨居には「この女を殺そうとした」「ナイフで刺そうとした」と訴え、自分を逮捕するよう求めています。
しかし、絵梨子はすぐに、高坂の言葉を否定しました。高坂は本当に自分を殺そうとしたのではなく、手のつけられない悪人であるかのように見せようとしただけだと見抜いていたのです。
窃盗の罪をかぶれなくなった高坂は、今度は人質事件を起こすことで、自分を一丸親子から切り離そうとしたのでしょう。
芝居であっても絵梨子を傷つける危険はあった
高坂の行動には、自分を逮捕させるための芝居という面がありました。
実際、夏海の説得に応じると、高坂は絵梨子を解放し、ナイフを夏海へ渡しています。最初から絵梨子を傷つけることが目的ではなかったと考えられます。
ただし、刃物を持って人質を取った以上、完全に安全な演技だったとは言えません。
高坂は追い詰められ、自分の人生を投げ捨てようとしていました。夏海の説得が届かず、警察が強引に制圧しようとすれば、混乱のなかで絵梨子を傷つけてしまう可能性もあったでしょう。
高坂自身も、どこまで冷静さを保てるのか分からない状態だったのではないでしょうか。だからこそ夏海は、すぐに鴨居を入れず、高坂が自分からナイフを手放すまで言葉をかけ続けました。
高坂は自分を犠牲にする以外の方法を知らなかった
高坂は一丸親子を守るために、自分が犯罪者になればよいと考えました。
そこには恩義だけでなく、幼い頃から誰にも守られず、自分の価値を認められないまま生きてきた過去が影響しています。
高坂にとって、誰かの役に立つ方法は、自分が傷つくことや、自分の人生を差し出すことでした。一丸親子と一緒に問題へ向き合うのではなく、自分だけが消えればすべて収まると考えてしまったのです。
しかし、絵梨子を人質にしたことで、高坂は守ろうとしていた相手とは無関係な人まで危険にさらしました。自己犠牲は本人だけの問題ではなく、周囲を新たな事件へ巻き込む可能性があります。
高坂の行動は、一丸親子への思いの強さを示す一方で、自分を大切にできない人が、他人を正しい方法で守ることも難しいという危うさを表していました。
「まだ間に合いますか」が示した高坂の本心
夏海から、自分を犠牲にすることは恩返しではないと伝えられた高坂は、「まだ間に合いますか」と涙を流しました。
この言葉には、一丸親子を守りたいという思いだけでなく、本当は自分自身もやり直したいという願いが表れています。
一丸社長への恩返しは自己否定でもあった
高坂は自分を受け入れてくれた一丸社長へ、いつか恩を返したいと考えていました。
しかし、高坂が選んだ方法は社長の罪を止めることではなく、自分が代わりに犯罪者になることでした。
それは一丸社長への恩義の表れである一方、「自分の人生なら捨てても構わない」という自己否定でもあります。
高坂は幼い頃から、母親の交際相手に暴力を振るわれ、誰にも守られずに育ちました。プロボクサーを目指していたものの、喧嘩をきっかけにジムを追われ、その後は暴力団だけが自分を人間として扱ってくれる場所になりました。
組を抜け、一丸自動車で働き始めても、高坂の中には、自分は普通の人生を送る資格のない人間だという感覚が残っていたのでしょう。
だからこそ、誰かを守るためなら、自分が再び犯罪者になってもよいと考えてしまったのです。
過去を消すのではなく経験を生かすべきだった
夏海は高坂に、一丸社長の過ちに気づいたのなら、どうして止めなかったのかと問いかけました。
高坂は一度道を外れた後、そこから這い上がることがどれほど難しいかを知っています。元暴力団員という過去を抱えながら働き、周囲の疑いに耐え、それでも社会へ戻ろうとしてきました。
だからこそ、一丸社長に対して、罪を隠せばさらに深い場所へ落ちてしまうと伝えられたはずです。
高坂の過去は、消すべき汚点であるだけではありません。過ちを犯した人間が、もう一度立ち上がるために何が必要なのかを知る経験でもあります。
自分が罪をかぶるのではなく、その経験を使って一丸社長を止めることが、高坂にしかできない恩返しだったのでしょう。
夏海は高坂に別の「男らしさ」を示した
高坂は自分が罪をかぶることで一丸親子を守り、「男になろう」としていました。
しかし夏海は、過ちを犯した人をかばい、自分を犠牲にすることが男らしさではないと伝えます。
どん底から這い上がり、過ちを乗り越えようとしてきた自分の経験を使って、相手を正しい方向へ戻すこと。それこそが、高坂にできる本当の恩返しであり、夏海が示した別の「男らしさ」でした。
その言葉を受けた高坂は、初めて「まだ間に合いますか」と尋ねます。
この問いは、一丸社長を救うことだけを意味していたのではないでしょう。自分もまだ社会へ戻れるのか、もう一度やり直してよいのかを確かめる言葉でもありました。
高坂は最後まで、自分には価値がないと思い込んでいました。しかし夏海は、過去を抱えたままでも、誰かを止め、自分も立ち直ることができると伝えたのです。
夏海はなぜ山崎失踪を引きずっているのか
夏海が山崎失踪を引きずっているのは、元上司の行方が分からないからだけではありません。
山崎に呼び出された夜の判断が、娘の事故や離婚につながり、今も「あの時どうすべきだったのか」という答えの出ない後悔を残しているためです。
山崎に呼び出された夜、娘を一人にした
山崎が失踪した前夜、夏海のもとへ本人から電話がありました。
山崎は「お前にだけ話したいことがある」「信用できるのはお前だけだ」と告げ、時間がないため今すぐ来てほしいと夏海を呼び出します。
当時、夫は地方へ出張しており、夏海は娘の夕夏を家に残したまま外へ出ました。山崎の話を聞けばすぐに戻るつもりでしたが、約束の場所に山崎は現れませんでした。
夏海はそのまま山崎を必死に捜し続け、帰宅が遅くなります。
山崎が何を伝えようとしていたのかは分からず、夏海に残ったのは、娘を一人にしたという事実と、山崎を見つけられなかった後悔でした。
娘の事故が離婚と異動につながった
一人で家に残された娘の夕夏は、夏海を捜すため外へ出て、車にはねられました。
命に別状はなかったものの、夏海にとっては、自分の仕事上の判断によって娘を危険にさらした事故でした。
夫からは「娘より仕事を取る女とは暮らせない」と告げられ、離婚することになります。
さらに山崎失踪については、警察本部が調査を担当し、夏海たちには関わらないよう命じられました。山崎と長く行動していた夏海は、何かを隠しているのではないかと疑われ、暴力団対策係から犯罪被害者支援室へ異動しています。
山崎失踪は夏海から上司だけでなく、娘との生活、結婚、刑事としての立場まで奪った出来事でした。
そのため夏海は、山崎の行方を知りたいと思いながらも、自分があの夜に家を出た判断は正しかったのか、今も決められずにいます。
絵梨子は「これから正しい答えにすればいい」と伝えた
夏海は山崎の呼び出しに応じたことが正しかったのか、娘を置いて出るべきではなかったのか、何度考えても答えが出ないと語りました。
それに対して絵梨子は、過去の判断が正しかったかどうかではなく、これから夏海自身が正しい答えにしていけばよいのではないかと伝えます。
娘との関係は終わったわけではなく、山崎の事件もまだ解決していません。どちらも取り返しがつかない過去として閉じたのではなく、今後の行動によって意味を変えられる余地が残っています。
この言葉は、高坂に向けられた「まだ間に合う」という考え方とも重なります。
夏海は高坂に、過去を理由に自分を捨てる必要はないと伝えました。そして絵梨子は、同じ言葉を別の形で夏海へ返したのです。
第5話では、高坂だけでなく夏海もまた、過去に決着をつけるのではなく、これからの行動によって答えを作り直せると示されました。
山崎は横浜のカジノで生きているのか
第5話の終盤、高坂は夏海に、山崎に似た男が横浜のカジノで目撃されたという情報を伝えました。
山崎の生存を示す新たな手がかりではありますが、目撃したのは高坂本人ではなく、昔の知り合いです。現時点では、山崎が本当に生きているのか、なぜカジノにいたのかまでは分かっていません。
高坂が伝えた目撃情報
高坂は被害者支援センターへ引き継がれる直前、夏海だけを外へ呼び出しました。
そして、昔の知り合いが横浜のカジノで山崎に似た男を見たと伝えます。
山崎は約1年前から行方不明となっており、これまで生死さえ分からない状態でした。今回の情報が事実なら、少なくとも失踪後も生きていた可能性が浮上します。
ただし、高坂自身も「俺にはもうよく分かりません」と話していました。本人を確認したわけではなく、似た人物を見たという伝聞にすぎません。
そのため、山崎の生存が確定したのではなく、夏海が改めて行方を追うきっかけが生まれた段階と考えるべきでしょう。
カジノにいたとしても悪事の証拠ではない
高坂の話を聞いた夏海は、山崎が闇へ落ちたのかと尋ねました。
しかし、横浜のカジノにいたというだけでは、山崎が犯罪に関わっていた証拠にはなりません。客として出入りしていた可能性もあれば、誰かを監視していた可能性もあります。
山崎には以前から、警察の捜査情報を暴力団へ流していたのではないかという噂がありました。ただし、それも裏付けの取れていない情報です。
今回の目撃証言だけを理由に、山崎が警察を裏切った、あるいは犯罪組織へ加わったと決めつけることはまだできません。
山崎が潜入捜査を続けている可能性
山崎は失踪する直前、夏海へ「信用できるのはお前だけだ」「時間がない」と伝えていました。
この言葉からは、山崎が重大な秘密をつかみ、警察内部を含めて周囲を信用できない状況に置かれていた可能性が考えられます。
そのため、山崎は何者かに消されたのではなく、自ら身を隠して捜査を続けているのかもしれません。
横浜のカジノが暴力団や犯罪組織と関係する場所なら、山崎が身分を隠して潜入していた可能性もあります。
もっとも、これは現時点で示された情報から考えられる一つの可能性です。山崎が失踪後も警察官として動いているのか、警察とは別の目的を持っているのかは、まだ判断できません。
不二は山崎の行方を知っているのか
祥仁會会長の不二は、これまでにも何度か山崎の話題を持ち出しています。
第5話でも夏海の前に現れ、「山崎さん、生きてんのかね」と探るような言葉を残しました。
この発言は、祥仁會も山崎の行方を知らず、夏海から情報を得ようとしているようにも見えます。
一方で、自分たちが山崎の所在を知っていることを隠し、夏海がどこまで把握しているのか確かめた可能性も否定できません。
不二は高坂が入院したことも把握しており、夏海の動きを追っていたと考えられます。山崎について触れたのも、単なる世間話ではなく、夏海の反応を見るためだったのでしょう。
山崎が本当に横浜にいるのなら、不二や祥仁會がその動向に関わっている可能性があります。ただし、現時点では不二が味方なのか、山崎失踪に関わる側なのかも明らかになっていません。
コラム|五十畑はなぜ絵梨子と夏海の接近を警戒するのか
五十畑は支援室を訪れた際、貴子に絵梨子の様子を注意して見ていてほしいと頼みました。
表向きは、絵梨子が危険な方向へ踏み込みやすいことを心配しているように見えます。しかし、夏海との距離が近づくことまで警戒していた点には、少し引っかかるものがあります。
五十畑は貴子に絵梨子を見張るよう頼んだ
五十畑は絵梨子が支援室で役に立っているか、夏海とうまくやっているかを貴子へ確認しました。
さらに、絵梨子は興味を持つと危険なほうへ進みがちであり、夏海と近づくことで何かに巻き込まれないか心配だと話しています。
単に教え子を案じているだけなら不自然ではありません。ただ、本人へ直接注意するのではなく、貴子に見守るよう頼んだことで、五十畑が絵梨子の行動をかなり強く警戒していることが伝わります。
絵梨子が危険へ踏み込むことを恐れている
絵梨子は相手を理解したいと思うと、その人が抱える問題へ深く入り込む傾向があります。
これまでも、夏海が山崎失踪や娘の事故について苦しんでいると察すると、自分に相談してほしいと踏み込みました。さらに、山崎失踪を扱おうとした記者の記事まで五十畑から見せてもらい、事件への関心を強めています。
五十畑は、絵梨子のそうした性格をよく知っています。
山崎の失踪には暴力団との関係や、警察内部の事情が絡んでいる可能性があります。絵梨子が夏海を助けようとして事件を調べ始めれば、危険な人物へ近づいてしまうことも考えられます。
そのため五十畑は、絵梨子が夏海の問題へ深入りする前に、貴子へ注意を促したのでしょう。
山崎事件とのつながりはまだ見えない
五十畑の言動には怪しさが残りますが、現時点で山崎失踪との直接的なつながりは示されていません。
五十畑が事件の秘密を知っているから絵梨子を止めようとしているのか、それとも教え子を危険から遠ざけたいだけなのかは判断できません。
また、五十畑自身が山崎と面識を持っていたという情報もなく、警察や祥仁會との接点も明らかになっていません。
したがって、今の段階で五十畑を山崎事件の関係者と決めつけるのは早い気がします。
ただし、なぜ絵梨子と夏海の接近をそこまで気にするのかという疑問は残ります。五十畑の警戒が単なる保護者的な心配なのか、それとも今後の展開につながる伏線なのか、引き続き注目したいところです。
第5話で残された謎
第5話では高坂をめぐる事件には決着がつきました。一方で、山崎失踪を中心とした話には、新たな手がかりと疑問が残されています。
山崎は本当に横浜のカジノにいるのか
高坂は昔の知り合いが横浜のカジノで山崎に似た男を見たと夏海へ伝えました。
ただし、目撃したのは高坂本人ではなく、「似た男を見た」という伝聞にすぎません。山崎が本当に生きているのか、目撃された人物が本人なのかは確認されていません。
今回の情報は生存を確定させるものではなく、夏海が山崎の行方を追うための新たな入口になったと考えられます。
山崎が夏海に話そうとしたことは何だったのか
失踪前夜、山崎は夏海に「お前にだけ話したいことがある」「信用できるのはお前だけだ」と伝えていました。
さらに「時間がない」とも話しており、山崎が差し迫った危険に直面していた可能性があります。
暴力団に関する捜査情報なのか、警察内部の不正なのか、それとも山崎自身に関わる問題だったのかは分かりません。
山崎がなぜ夏海だけを頼ったのか、その内容が失踪とどうつながっているのかが、今後の大きな焦点になりそうです。
不二は山崎の生死を知っているのか
不二は第5話で、夏海へ「山崎さん、生きてんのかね」と問いかけました。
本当に行方を知らず、夏海から情報を得ようとしたとも考えられます。一方で、自分が何かを知っていることを隠し、夏海の反応を確かめた可能性もあります。
不二は高坂の入院まで把握しており、夏海の動きをかなり早くつかんでいました。
山崎の行方についても何らかの情報網を持っているのか、それとも祥仁會も山崎を捜しているのかは、まだ明らかになっていません。
五十畑は何を警戒しているのか
五十畑は、絵梨子が夏海へ近づくことで危険なことに巻き込まれるのではないかと心配し、貴子へ注意して見ていてほしいと頼みました。
絵梨子が興味を持つと深く踏み込みやすい性格を知っているため、教え子を守ろうとしただけとも考えられます。
ただし、夏海との接近を具体的に警戒していた点には疑問が残ります。
五十畑が山崎失踪について何か知っているのか、それとも単に絵梨子の性格を案じているのか。現時点では接点が見えないため、今後の言動を見ながら判断する必要がありそうです。
まとめ|社会からこぼれ落ちた人を、最後の場所で引き止めた第5話
第5話は一度道を外れた人がそこから社会へ戻ろうとしても、過去によって何度も押し戻される苦しさを描いた回でした。
高坂は幼い頃から誰にも守られず、認められずに育ちました。プロボクサーを目指していたものの、喧嘩をきっかけにその道を失い、皮肉にも自分を人間として扱ってくれた暴力団を居場所にすることになります。
その後、組を抜けて一丸自動車で働き始めても、元暴力団員という過去は消えませんでした。金がなくなれば真っ先に疑われ、本人もまた「自分のような人間はどうなってもいい」と思い込んでいました。
だから高坂は、一丸社長の罪を止めるのではなく、自分が代わりに罪をかぶろうとします。それは恩返しであると同時に、自分自身の存在を否定する行為でもありました。
夏海が高坂に伝えたのは、過去をなかったことにする方法ではありません。どん底から這い上がった経験を使って、同じように過ちへ進もうとする人を止めることでした。
『さよならノワール』は、被害者や周囲の人が抱える怒り、憎しみ、差別、自己嫌悪を隠しません。むしろ一度それを表に出し、吐き出させたうえで、これ以上深い場所へ落ちる前に誰かが手を伸ばします。
今回も、高坂を善人として美化したわけではありません。人質事件まで起こした危うさを描きながら、それでも完全に見放すのではなく、まだ戻れる場所があると示しました。
社会からこぼれ落ちた人を、存在しないことにしない。もっと酷い場所へ落ちてしまう前に、最後のところで引き止める。
第5話はそんな『さよならノワール』らしさがよく表れた回だったと思います。
