今回のラジエーションハウスでスポットライトが当たったのは悠木でした。今まで悠木はあまり目立たない存在でしたが、今回で彼がどういう人なのかが少しわかります。といってもメインの話としては、杏とラジエーションハウスのメンバーの絆が強まるといった話です。
ラジエーションハウス概要
月曜21時からフジテレビ系で放送している「ラジエーションハウス」は、放射線技師という立場から「視えない病」を見つける医療ドラマとなっています。
キャスト
- 五十嵐唯織(窪田正孝)
- 甘春 杏(本田 翼)
- 広瀬裕乃(広瀬アリス)
- 軒下吾郎(浜野謙太)
- 威能 圭(丸山智己)
- 悠木 倫(矢野聖人)
- 黒羽たまき(山口紗弥加)
- 小野寺俊(遠藤憲一)
- 辻村駿太郎(鈴木伸之)
- 鏑木安富(浅野和之)
- 大森 渚(和久井映見)
スタッフ
- 原作:「ラジエーションハウス」(原作:横幕智裕・漫画:モリタイシ)
- 脚本:大北はるか
- 音楽:服部隆之
- 主題歌:MAN WITH A MISSION 「Remember Me」(ソニー・ミュージックレコーズ)
- プロデュース:中野利幸
- 演出:鈴木雅之・金井紘・野田悠介・関野宗紀
6話ゲスト
伊藤ゆみ・伊藤正之・足立学・安藤聖・中島琴音
甘春正一(佐戸井けん太)
前回はこちら
あらすじ
唯織(窪田正孝)は、杏(本田翼)と辻村(鈴木伸之)がある小説の話で盛り上がっているところを目撃する。その小説とは、鏑木(浅野和之)が取材協力した医療小説だった。さっそくその小説を読み始める唯織。
同じころ、鏑木は、院長の渚(和久井映見)に会い、放射線技師の役割を超えた唯織の行為は医師法に抵触する可能性があり、憂慮すべき事態だと告げる。それに対して、唯織は技師としての所見を述べているに過ぎない、と返す渚。そこで、問題が起きた場合は渚が責任を取るという言質を得た鏑木は、軒下(浜野謙太)に接触し、唯織の行動を監視するよう命じる。
そんな折、公園で遊んでいて手すりから落下し、腹部を強打した女の子・沙里が救急搬送されてくる。腹部CTの依頼を受ける小野寺(遠藤憲一)や、たまき(山口紗弥加)たちラジエーションハウスの面々。CT画像を見た杏は、脾臓の出血を確認し、将来、傷口が目立たなくて済むように画像診断装置で患者の体の中を透かして見ながら治療を行うIVR<画像下治療>による止血を提案する。裕乃(広瀬アリス)達も沙里への負担が少ないIVRを期待していた。ところが鏑木は、IVRではなく開腹手術をするよう命じ……。
公式HPより
感想
順番にラジエーションハウスのメンバーにスポットライトが当たる話となっているので、残るは悠木と軒下の二人で今回は悠木の回でした。といっても技師長やたまき、裕乃の回のように深く掘り下げられませんでした。
悠木 倫とは?
今回初めてわかったことがいくつかありました。
- IVRに憧れている
- そのためにカテーテルの勉強もしてた
- どうやら最先端の技術を使いたい
- IVRの知識なら誰にも負けない
せっかくIVRで治療ができるチャンスがあったのですが、患者の命を優先という鏑木の判断によりやらせてもらえません。そのことを「医療技術が進歩したって、現場の人間がリスク恐れてそれを使わないんじゃ、意味ないじゃないですか」と憤ります。どちらの言っていることも間違っていないのですが、判断は医師が出すものなので仕方がないとなります。
なぜ彼がこんなにIVRにこだわるのか?そのことについては触れられていないのでわかりません。今回の話で見た限りだと、単に最先端技術かぶれなのか、これを習得して成し遂げたい何かがあるのか、そのどちらでも取れるような状況でした。ここら辺に何か動機付けがあったりすると、悠木のキャラもより立った気がします。
甘春正一とは?
前院長で杏の父親です。詳しくは語られませんが、どうやら病気で院長を引退したようです。冒頭で杏に「お父さんを別の病院に連れていってみます」と母親からメッセージが届きます。どんな人物だったのでしょうか?
- 放射線科医
- 謙虚でおおらかで部下思い
- 病院中のスタッフみんなに慕われていた
- IVRの腕もピカイチ
- 杏は父親のようになりたいと思っている
非の打ち所がない人物のようです。そんな前院長の病とは果たしてなんなのか?難病なのか?別の病院に連れて行くといっているので、何かしらあるのだとは思います。
今回院長に「でももし、あなたの目の前に本当に治療を必要とする患者が現れたとき、あなたは何もしないでいられるのかしら」と唯織は言われます。これは恐らく唯織は何かをするのフラグにも聞こえるので、その可能性があるのは杏関係なのではと思っています。それがこの父親の件なのか、杏自身に何かが起きるのか、注目していきたいと思います。
「外科医六人と金閣寺の松」とは?
鏑木先生が取材協力をした本となっています。帯には“医療現場の最前線 感動の長編小説 甘春総合病院 鏑木医師監修”と書いてあります。どうやら鏑木は度々こういった本に協力しているようです。そしてこの本の中にある一文が面白いように今回の話に絡んできます。
多くの人々は金閣寺の壮麗さに目を奪われ、その参道の脇にある陸舟の松の存在に気付かない。
金閣寺のそばにあるこの松は実は樹齢600年の京都三大松といわれ、素晴らしい松なのだといいます。この目立つものに目を奪われて、その周りにあるものに気づかないという例えがドラマで度々出てきます。
- 患者の出血原因を大腸に囚われていたが、実は小腸に原因があった
- 外科医ばかりが注目を浴びるが、その裏では素晴らしい仕事をしている放射線科の人々がいる
- 父という大きな背中ばかり見ていて気付かなかったが、自分の周りにも信頼できる人たちがいる
どんだけ金閣寺と松なのかと印象を植え付けてきます。鏑木先生が書いたこの本は、もしかすると寓話的な話なのか?そんな気すらしてきました。
ラジエーションハウスメンバーの掛け合い
それぞれがそれぞれセリフを言っていくという演出が何回か出てきます。
杏について
たまき「プライド高くて当然なのかもね。そうでもしなきゃ立ってられないくらい、大きなものを抱えてるのかもね」
軒下「生まれたときからこの病院のお嬢さまなんて、プレッシャー 半端ないだろうな」
悠木「そういえば昔ばあちゃんが言ってたな。人が威張るのは自信のなさの表れだって」
威能「医師免許を持つということは、同時にそれだけ 大きな責任を、背負うってことなんでしょうね」
裕乃「確かに私たちは直接患者さんを、助けてあげることはできないかもしれません。でも患者さんを救おうとする、先生たちの手助けをすることはできますよね?」
→結果みんなで残業する
杏を後押しする時
軒下「あの口うるさい鏑木先生の下で、たくさん経験積んできたんだよな」
たまき「大丈夫じゃない?あんた気強いんだからさ」
悠木「IVRの知識なら、僕誰にも負けないんですけどね」
威能「われわれの画像があれば、失敗のしようがありませんよ」
小野寺「カテーテルってのはよ、何か細過ぎちゃって、もうやりづらいったらありゃしねえんだけどな」
裕乃「技師長しっかりしてくださいよ」
小野寺「はいよ~」
裕乃「だそうです。甘春先生」
→「IVRは私が行います」と杏が決心する。
1人ずつセリフを言っていくという演出が、臭いといえば臭いのですが、このドラマの場合それがいい味付けになっている気がしました。原作未読ですがマンガでコマ割ってそれぞれ描かれているような、そんな絵まで浮かんできます。
その他気になったこと
- 同じクラスって年齢が違いすぎと、小野寺に突っ込まれるたまき
- 鏑木に置いていかれて怒る美女
- 美女と牡蠣を棒に振って後悔する鏑木
- 唯織に文句言おうと思ったが、褒められて言えない鏑木
- ラスト一人ずつ横切っていくシーンを、スローモーションにする演出
ドラマの補足
IVRとは?
“Interventional Radiology インターベンショナルラジオロジー”の頭文字を取ってIVRです。日本語だと劇中でもいっているように“画像下治療”となります。レントゲンやCT、超音波などを使って画像診断装置で撮影しながら、カテーテルや針などを入れて治療をしていきます。
外科手術のような負担がなく、器具を入れる穴も小さいので患者の負担が非常に少なく済む治療法となります。劇中では傷が残らないで済む女の子や、心筋症の合併症がある患者に使おうとしました。完全にラジエーションハウスのメンバーの力量が問われそうな手術です。逆に言うとこの手術があるから、ラジエーションハウスのメンバーが余計に重宝されるのかもしれません。
医療費も高額な治療法というわけでもないようです。そしてX線撮影する際も低い放射線量で最近は撮影できるようですが、被爆の危険性は医師から聞いた上で本人が判断することになっています。今回のドラマを見てもし何かあった時この治療で治せる場合は、選択肢の一つに入れておくのも悪くない気がしました。
京都三大松
ドラマで金閣寺の陸舟の松は京都三大松と紹介されてましたが、残る二つはどこでしょうか?
- 善峰寺の遊竜の松
- 宝泉院の五葉松
- 金閣寺の陸舟の松
この三つで京都三大松と呼ぶそうです。
善峰寺の遊竜の松は樹齢600年で、国指定天然記念物に指定されています。
宝泉院の五葉松は樹齢700年で、京都市の天然記念物に指定されています。
金閣寺の陸舟の松は樹齢600年で、同じく京都市の天然記念物に指定されています。
まとめ
メンバーの掘り下げとしては甘い回でしたが、話としては技師の人たちが杏のことをバックアップして、一回り成長させるという話で見終った後、スッキリしました。杏の父親のことが少しわかった回でもありました。そして、鏑木先生がちょっと可愛らしく感じる回でもありました。次回は残る軒下にスポットライトを当てる回になります。