Netflixドラマ『俺のこと、なんか言ってた?』第3話「部屋を借りる大物俳優」のネタバレ解説と感想をまとめました。
今回は、映像業界の過酷な労働環境や大物俳優のわがままなど、華やかな世界の裏側が描かれる一方、高瀬川玄の女性関係や過去の問題も明らかになります。
かつての自分と向き合いながら、俳優として、そして1人の人間として再出発しようとする高瀬川。少しずつ見えてきた彼の変化についても考察していきます。
第3話「部屋を借りる大物俳優」あらすじ
誰からも忘れ去られてしまった元大物俳優・高瀬川玄(役所広司)は、かつての付き人・大森直人(上川周作)と再会。しかし、そこで突きつけられたのは、自分が過去に行ってきた数々のパワハラだった。
一方、撮影現場ではチーフ助監督の川島一機(松山ケンイチ)が倒れ、現場は大混乱。高瀬川はその経験を生かして撮影を手伝うことになるが、主演俳優・壬生大也(浜田雅功)のわがままに振り回されるうちに、かつての自分の姿を重ね合わせる。
その後、別居中の妻・マチ子(江口のりこ)を訪ねた高瀬川は、忘れられていたはずの過去を知ることに。次々と明らかになる女性問題や家族への仕打ちによって、改めて自分が失ったものの大きさを思い知らされる。
俳優としても、1人の人間としても、ゼロからやり直すことになった高瀬川。果たして、彼は本当に変わることができるのか?
第3話ネタバレ解説
大森との再会で明らかになる高瀬川のパワハラ
サウナ「白樺」で、かつての付き人・大森直人(上川周作)と再会した高瀬川玄(役所広司)。大森から嫌いだと言われても、誰からも忘れられてしまった高瀬川は、自分を覚えている人間がいたことを喜びます。
しかし、大森は高瀬川から受けた仕打ちをボイスメモに残していました。車内でセリフ合わせをさせられ、発音が悪いと座席を蹴られるなど、何をしても文句を言われていたのです。さらに、パワハラやモラハラだけでなく、博多出身であることを馬鹿にする「博多ハラ」まで受けていたといいます。
それでも大森が耐えていたのは、高瀬川と一緒に演劇の本場・ロンドンで学べると思っていたからでした。しかし、高瀬川は一人でロンドンへ行くと告げ、大森を置いていったのです。
現在の大森は、芸能事務所の社長の計らいで俳優・松島の付き人をしています。松島は大森にも優しく接しており、かつての高瀬川とは対照的でした。
高瀬川は土下座して謝罪しますが、その直後に自分を事務所に売り込んでほしいと頼みます。当然、大森は拒絶。二度と高瀬川には手を貸さないと言い残して去っていきました。
川島が倒れた撮影現場と壬生との衝突
そんな中、チーフ助監督の川島一機(松山ケンイチ)が倒れてしまいます。病院では骨に異常はないものの、腎機能が低下しており、医師から入院を勧められました。
川島の不在で撮影現場が混乱する中、高瀬川が現場を仕切り始めます。助監督の経験はありませんが、長年俳優として活動してきた高瀬川は、俳優が何を求めているのかを熟知していました。椅子を勧めるタイミングから話しかけるべき瞬間まで見極め、撮影を円滑に進めようとします。
ところが、主演俳優の壬生大也(浜田雅功)が撮影に納得せず、通称「壬生打ち」でなかなか先へ進みません。壬生はセリフの言い回しや動き、相手の芝居など、少しでも気に入らないことがあると撮影を止めてしまう繊細な俳優でした。朝風呂の客までやって来る中、現場はますます混乱していきます。
ついに高瀬川は、スタッフ全員が必死に働いていることを訴え、壬生が自分の意見を通そうとするのは、主役としてのエゴではないかと指摘します。そして、役者は自我を捨て、なぜその役が立ち、叫ぶのかを考えて演じるべきだと説きました。
言い過ぎたと反省する高瀬川でしたが、壬生の姿を見て、かつての自分も同じだったことに気づきます。主役としての振る舞いしか知らず、自分を中心に現場が回っていなければ不安になる。壬生もまた、そんな俳優だったのです。
その後、壬生は撮影に戻り、高瀬川もスタッフとして現場を支えます。すると、撮影中であることを忘れて高瀬川が発した言葉まで、監督たちから評価されました。しかも、その芝居は「普通」だったといいます。カメラを意識せず、助監督の仕事に没頭していたことで、思いがけず自然な芝居ができたのでした。
撮影後、壬生とビールを飲む高瀬川。壬生は、さまざまな職業の人物を演じながらも、自分自身には何もないように感じており、いつか世間から忘れられるのではないかと恐れていました。そんな壬生に対し、高瀬川は、誰もがあなたのことを知っているのが羨ましいと話します。
一方、ヨウコ(吉田羊)の事務所では、高瀬川の過去の出演作品を確認していました。映像にもクレジットにも高瀬川は存在しているのに、誰も彼を思い出せません。ヨウコはその芝居を、主役芝居というか「トゥーマッチ」だと評価し、事務所への所属を見送ることにしました。
英語の「too much」で、過剰、やりすぎという意味。今回の場合は、高瀬川の芝居が大げさで、主役としての自己主張が強すぎるという評価だと考えられる。
川島が抱える映像業界の過酷な労働環境
その後、高瀬川は川島のカバンを届けるため、自宅を訪ねます。川島はヘルニアも抱えており、撮影現場の過酷な労働環境について打ち明けました。
映像業界でも働き方改革が進められていますが、例えば2か月で撮影していた作品を3か月かけて撮るようになっても、その分だけ報酬が増えるわけではありません。むしろギャラを値切られるため、空いた時間に別の仕事を掛け持ちし、結局は休めなくなってしまうのです。川島自身もコロナ禍には1年間仕事がなく、収入もありませんでした。
高瀬川は少し休んではどうかと勧めますが、川島はお金がなく、自分がいなければ現場も回らないと話します。後輩を育てれば、今度は自分に仕事が回ってこなくなるかもしれません。入院するお金すらない川島について、高瀬川は今の状況を渋滞に巻き込まれた車にたとえました。
上の道も下の道も混んでいて、迂回路は工事中。車を降りて歩くこともできず、ただ乗り続けるしかない。そもそも車に乗ったことが間違いだったのかもしれないと、川島は自嘲します。高瀬川が、このままでいいのか、どこに向かっているのかと問いかけたときには、川島は眠ってしまっていました。
「日本映画制作適正化認定制度」の通称。映画制作現場の労働環境や取引の適正化を目指す制度で、撮影時間や休息時間などに関する基準が設けられている。
妻との再会で明らかになる高瀬川の女性問題
川島の家を出た高瀬川は、そろそろ住む場所を探そうと不動産屋を訪ねます。しかし、66歳の俳優では部屋を借りられず、そこで自分に家があったことを思い出しました。
再び別居中の妻・マチ子(江口のりこ)のもとを訪れると、今度は家に入れてもらえます。マチ子は戸籍を取り寄せ、高瀬川玄と結婚していることを確認していました。しかし、夫の顔も結婚生活もまったく思い出せません。
そこで高瀬川は、2人の出会いから話し始めます。15年前、パリへ向かう国際線の機内で、客室乗務員だったマチ子は高瀬川と出会いました。直前に観劇したミュージカル『レ・ミゼラブル』の主演俳優だったため、思わず声をかけたのです。
当時、高瀬川はヨウコと離婚し、その後マチ子にプロポーズ。7年前には息子のツトム(永瀬矢紘)が生まれました。しかし、高瀬川は育児に積極的ではなく、子どもが泣くと怒ることも。
なぜ家族を捨てたのかと問われた高瀬川は、叶えたい夢があり、退路を断つ必要があったと説明します。そして、今は誰からも忘れられてよかったとさえ思っており、マチ子さえ理解してくれれば、ほかには何もいらないと訴えました。
ところが、マチ子は高瀬川が大嘘つきだと分かったと返します。実は、高瀬川が訪ねてくる前に、大森から過去の女性問題を聞かされていたのです。
高瀬川とマチ子の関係は、もともと不倫から始まっていました。高瀬川はマチ子の名刺を車内に置き忘れ、不倫が発覚しそうになると、大森がナンパした女性だと嘘をつかせていました。それが大森にとって、付き人としての最初の仕事だったといいます。
さらに、高瀬川はヨウコと別れると言いながら離婚を引き延ばし、マチ子と結婚してからも女性関係を改めませんでした。芝居の稽古やワークショップを口実に外出し、複数の女性と関係を持っていたのです。そのたびに大森が隠蔽工作を任され、女性の家やホテルを行き来させられていました。マチ子とツトムを実家に帰らせ、その留守中に別の女性を自宅へ連れ込むこともあったといいます。
しかも、問題が発覚しそうになると、大森が自分の責任として引き受けていました。高瀬川は仕事だけでなく、私生活でも大森を振り回していたのです。そして、ロンドンへ旅立つ際も、マチ子に謝罪することはありませんでした。マンションを譲り、名義も変更したこと、今後のことは弁護士に連絡させることだけを一方的に告げ、そのまま家族のもとを去っていったのです。
すべてを知った高瀬川は、自宅から自分に関するものが消えていた理由を理解します。謝罪してツトムにも声をかけますが、息子は逃げてしまいます。マチ子からも帰るように告げられ、高瀬川は涙を浮かべながら家を後にしました。
誰も知らない世界で始まる新生活
サウナ「白樺」で、1人泣きながら食事をする高瀬川。そんな彼を、岡本哲(賀来賢人)とチヂミ(坂井真紀)が歌で慰めます。
その後、高瀬川は川島が入院している間、彼の部屋を借りることになりました。新しい部屋に飾ったのは、マチ子とツトムとの家族写真、そしてヨウコとエマとの家族写真でした。誰も自分を知らない世界で、高瀬川はここを新たな出発点とすることにしたのです。
一方、岡本は高瀬川をモデルにした芝居を書くことを思いつきます。自分を大物俳優だと思い込んでいる妄想癖のある男という設定でしたが、高瀬川も劇団の稽古場を見に行くことになります。
こうして再び舞台に近づく機会が生まれた高瀬川。しかし、その帰り道、男性と一緒に歩いている娘のエマ(河合優実)を目撃するのでした。
第3話の考察

高瀬川は本当に反省しているのか?
今回、高瀬川の過去が明らかになりましたが、想像していた以上にひどい人物だったことが分かりました。
大森へのパワハラだけでなく、女性関係もかなり奔放で、家族を大切にしていたとは到底いえません。しかも、問題なのは、本人がそのことを十分に理解していないように見える点です。
マチ子に対しても、自分には叶えたい夢があった、退路を断つ必要があったと説明していました。本人としては事情を説明しているつもりなのでしょうが、結局は自分の行動を正当化しているようにも聞こえます。家族を捨てたことよりも、自分が夢を追いかけたことを理解してほしい。そんな気持ちが、まだ残っているのではないでしょうか。
一方で、高瀬川がまったく反省していないとも思いません。大森には土下座して謝罪しましたし、マチ子から過去の女性問題を突きつけられたときも、言い返すことはできませんでした。
ただ、大森への謝罪の直後に仕事を紹介してほしいと頼んでしまうあたり、まだ自分本位なところが抜けていないようにも見えます。おそらく、高瀬川は今、ようやく自分がどんな人間だったのかを知り始めた段階なのでしょう。
周囲から拒絶されることで、これまで自分がしてきたことの重さを、少しずつ理解しているように思います。だからといって、過去の行動が許されるわけではありませんし、謝罪したからといって相手が許してくれるとも限りません。
今後、高瀬川が本当に変わることができるのか。そして、彼を恨んでいる人たちとの関係がどうなっていくのかも、気になるところです。
高瀬川という人物の死と再生
第3話を見ていて感じたのは、この物語が単に、忘れられた大物俳優が再び成功するまでを描いた作品ではないのかもしれない、ということです。
高瀬川は俳優としての名声だけでなく、人間関係も失っています。かつての付き人には嫌われ、妻からは拒絶され、息子にも逃げられてしまいました。元妻のヨウコも、俳優としての彼を評価していません。
それでも高瀬川は、もう一度俳優として生きようとしています。ここで重要なのは、誰も高瀬川玄という人物を覚えていないという設定。
過去の名声が通用しないだけでなく、これまで築いてきた人間関係さえ失われている。ある意味、高瀬川玄という人物は、皮肉にも本人がロンドンに行く前に記者会見で言ったように、一度死んでしまったようなもの。
しかし、高瀬川自身には過去の記憶が残っています。自分がどんな俳優だったのか、誰を傷つけてきたのか。そして、どんな家族がいたのか。それらをすべて忘れて、新しい人間として生き直すことはできません。
だからこそ、川島の部屋に2つの家族写真を飾った場面が印象に残りました。高瀬川は過去を捨て去るのではなく、失ったものを忘れずに、そこからもう一度始めようとしているように見えました。
ここまでの変化を整理すると、次のようになります。
| 比較項目 | かつての高瀬川 | 現在の高瀬川 |
|---|---|---|
| 俳優として | 主役として目立つ芝居 | 自然な芝居の可能性が見え始める |
| 周囲への態度 | 自分中心で人を振り回す | 他人の立場を理解し始める |
| 女性関係・家族 | 自分の都合を優先する | 過去の行動と向き合い始める |
| 社会的な立場 | 名声のある大物俳優 | 誰からも知られていない存在 |
| これから | 過去の成功に頼っていた | ゼロから再出発する |
もちろん、まだ高瀬川が生まれ変わったとはいえません。反省も十分ではありませんし、周囲からの信頼を取り戻せたわけでもありません。それでも、壬生の姿にかつての自分を重ねたり、家族の写真を新しい部屋に飾ったりする姿からは、少しずつ変化が生まれているように感じます。
高瀬川玄という人物を一度死なせたうえで、俳優としても人間としても再生させていく。そんな物語なのかもしれません。ただし、再生することと、過去の過ちを許してもらうことは別です。高瀬川がこれからどんな人物になっていくのか。そして、俳優として再び舞台に立つことができるのか。第3話は、その出発点となる回だったように思います。
第3話で気になったこと
劇中の小ネタや演出
今回も、映像業界に関する言葉や小ネタがいくつか登場しました。
『仁義なき戦い 広島死闘篇』のポスターとレコード
川島の部屋には、映画『仁義なき戦い 広島死闘篇』のポスターが貼られており、同シリーズのサウンドトラックのレコードも置かれていました。
忙しくて自分が関わった作品さえ見ていないという川島ですが、部屋には映画に関するものがいくつもあります。もともとは映画が好きで、この世界に入った人物なのだろうと思わせる小道具でした。
高瀬川の父親が出演した『鬼平次』シリーズ
川島の部屋には、高瀬川の父・萬漫太郎が出演した『鬼平次』シリーズもありました。
「半か丁か」「三点買い」といった、ギャンブルを連想させるサブタイトルが気になります。実在の時代劇『鬼平犯科帳』を思わせるタイトルですが、劇中ではどんな作品という設定なのか?
こうした架空の作品にも、細かな遊びが盛り込まれているようです。
「ケンチャナヨ」の意味
サウナで落ち込む高瀬川を慰める場面では、岡本とチヂミが前回出てきた歌『ア・タ・シ ケンチャナヨ』歌を歌っていました。
そこで登場した「ケンチャナヨ」は、韓国語で「大丈夫です」「問題ありません」といった意味の言葉です。高瀬川の境遇を考えると、なかなか味わい深い選曲でした。
芸能事務所での「天龍源一郎」発言
高瀬川の過去の出演作品を確認する場面では、大森が事務所名と高瀬川の関係を尋ねると、ヨウコが真顔でT&Gは「天龍源一郎です」と返すやり取りもありました。
シリアスな展開の合間に、こうした妙な会話が挟まれるのも本作らしいところです。しかも、ヨウコがあまりにも普通の顔で答えるので、余計におかしく感じられました。
第3話まとめと感想
第3話は、前半で映像業界の闇、後半で高瀬川の女性問題が描かれ、これまで以上に彼の過去が明らかになる回でした。
大森へのパワハラも相当なものでしたが、女性関係については、さらにひどかった……。自分の都合で周囲を振り回し、問題が起きれば付き人に責任を押しつける。家族に対しても誠実だったとはいえず、正直なところ、よくここまで好き勝手に生きてこられたものだと思います。
ただ、そんな高瀬川が、今では誰からも忘れられてしまっているわけです。かつて自分が周囲にしてきたことが、今になって別の形で返ってきているようにも見えました。
一方で、壬生との衝突を通じて、自分の過去を客観的に見ることができたり、助監督の仕事に没頭したことで自然な芝居ができたりと、少しずつ変化も見られます。とはいえ、まだ完全に反省したとは思えません。自分の過ちを認めることと、相手の気持ちを理解することは、また別の話なのでしょう。
それでも、高瀬川がこれからどう変わっていくのかは気になります。
今回、川島の部屋に2つの家族写真を飾った場面が印象的でした。誰も自分を知らない世界で再出発することになっても、高瀬川自身は過去を忘れていません。俳優としての再起だけでなく、1人の人間としてどう生き直していくのか。そこが、この作品の大きな見どころになっていきそうです。
そして最後には、娘のエマが男性と歩いているところを目撃しました。次回はエマとの関係にも動きがあるのか?高瀬川の過去がさらに明らかになるのか?それとも新たな問題か。続きが気になります。
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