今回で最終回となる【神の手】は白川が病院を辞めた後、どんな選択をするのか?そして最大の謎だったセンセイの正体は誰か?そういったことが全てわかります。
WOWOWドラマ【神の手】最終回5話のあらすじ
病院を辞めた白川は医師・大塚(井上肇)から終末期医療に向かうある患者の相談を受けるが断わってしまう。一方で、すべてを裏で動かしていた佐渡原により安楽死法案も可決される中、ジャモ会長・新見が何者かに殺害され遺体となって発見される。そんな中、白川は晶子に呼び出され康代の事務所であるものを見せられるのだった……。安楽死、終末期医療をめぐる問題の渦中で患者のため、自分のために白川が導き出した答えとは。
公式HPより引用
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WOWOWドラマ【神の手】最終回5話のネタバレ
- かつて反対の立場にいた大塚と白川は会って話をする。白川は病院を辞め医者自体も辞めていた。大塚は自分の病院に来てくれないかと、現在取り組んでいる終末医療のパンフレットを見せる。だが白川は即答しかねていた。
- 都内の公園で新見の死体が発見され、警察がJAMOへ事情を聞きにやってくる。新見の死因は不明で、原因不明の心停止ということだった。柴木は殺されたに違いないと考える。
- 白川は大塚の病院に行って畠中という末期がんの患者と面会する。自宅で死にたいという畠中だが、自宅そばには診療所もない場所だったため大塚は反対する。白川を見た畠中は安楽死させるつもりかと皮肉を言う
- 山名は病院も辞め、新見が亡くなった跡を継いでJAMOの会長になる。そしてベッドに寝たきりの佐渡原に会いに行き、新見をなぜ殺したのかと問う。しかし佐渡原は答えず「もう一つだけ仕事をして欲しい」と言う。
- 白川は康代の事務所で晶子と三人で章太郎が生前スマホで撮ったという動画を見る。章太郎は「安楽死を希望している」とはっきり言い、康代と晶子の二人に向けて感謝の気持ちを伝える。さらに白川へも「感謝しかない」とメッセージを残していた。
- 白川は再び畠中の病室に向かい話を聞く。こないだは悪かったと詫びる畠中は、やはり自宅で死にたいと願う。“死”というものに対して向き合っている畠中へ、白川はなぜ章太郎が自分に対して“感謝”をしたのかわからないという。すると畠中は白川先生はきっと悩んで考えてくれて、最後まで寄り添ってくれる気がしたのではと答える。
- 白川は本村へ電話して「ようやく君に向き合えそうだ」と話す。安楽死に答えはない、患者一人一人が答えを見つけるものだと導びいた答えを伝える。畠中の自宅で在宅医療をする考えを告げ、その時は力を貸して欲しいと願う。
- 山名に佐渡原のところへ連れて行かれた白川は、ラミエルを使って安楽死処置をして欲しいと願われる。しかし白川は本当に死を望んでいるのか?と問い、佐渡原は容態が急変して呼吸停止となる。心臓マッサージをして蘇生をする白川に山名は死を望んでるのだから死なせるべきでは?というが、「人はどんなに苦しくても、命を見つめる時間は失ってはいけないんだ」と答える。
- 誰もいなくなった部屋に転がるラミエルを拾い上げるのは、仁武レジェンド製薬の村尾だった。彼女が“センセイ”だった。村尾は拉致した新見をラミエルで殺害していたのだった。
- JAMOのオフィスに安楽死法を巡る贈収賄で家宅捜索が入る。逮捕された山名は全てを話し、入院中の佐渡原まで関与の可能性もあり、安楽死法案は見直されることになったとニュースで報じられていた。
- 山名に面会しに行った白川は、現在山梨で在宅治療をしていて忙しいと話す。自分はもうおしまいだという山名に、やれることはある、むしろやれることをするんだと励ます。
- 畠中は白川と本村、そして家族に見守られながら自宅で息を引き取る。「ありがとうございます」と白川は畠中の遺体に向かって感謝をした。
WOWOWドラマ【神の手】最終回5話の感想
【神の手】の最終回は“死”とは何か?その答えを白川と一緒に考えるような回でした。白川が導き出した答えは、死は患者一人一人が考えるものであって、答えなんてないというのが答えでした。答えがないのが答えというと意地悪く聞こえますが、答えは一つではないということです。人の数だけ死がある、その答えを患者と一緒になって寄り添いながら医者も考える。少なくとも白川はそう考えます。
白川は章太郎にちゃんと寄り添い、患者の家族とも(康代は滅多に来ませんでしたが)話し合った末、いよいよこれはマズいというタイミングで安楽死処置をしました。最初から治らないので安楽死しますではありませんでした。
畠中という末期がんの患者と話したことで白川はようやく気づき、迷いが吹っ切れます。患者の気持ち、医者の気持ち、それぞれ思惑はあると思いますが畠中は「自分の死に場所ぐらい自分で決めさせてください」といい、「死ぬってことだけに関しては、医者も患者もまだまだシロウトなんですかね」と言います。
誰も死んだことがないのだから、“死”に関しては誰もが一生シロウトです。生きている人の話をどんなに聞いても、死んだことがないのだから、自分勝手な解釈になるのは仕方ありません。だからこそ、“死”を目前にした時、その人の尊厳を守るのが安楽死だったり、終末期医療なのかもしれないと思いました。
安楽死の可否
山名に連れられ白川は佐渡原の家に行きます。安楽死を望む佐渡原ですが、白川は処置しません。なぜか?章太郎の場合と比較してみました。
章太郎 | 佐渡原 |
---|---|
自分がみてきた患者 | 自分の患者ではない |
元気な時に安楽死の意思を聞いている | 死の間際に言ってきてる |
家族とも話し合っている | 家族と話はしていない |
ラミエルのような薬は使用していない | ラミエルで殺して欲しいという |
最後の最後に安楽死の決断をした | 安楽死に何か別のことを求めている |
そもそも自分の患者ではないというのが一番大きいと思います。いきなり来て殺せと言われても戸惑うばかりです。その上佐渡原は安楽死をそれこそセンセイにでも頼めば良いのに、わざわざ白川にやらせたがります。なぜか?それは、安楽死法のヒーローだから、その白川にやらせることで“象徴的な儀式”となるとセンセイが言っているからです。
佐渡原は「国民の全てに生活の保障をする。最大のプレゼントがラミエル」だといいます。誰も成しえなかった偉業だと自分の功績に酔います。だから、安楽死法を通した自分が、安楽死法のきっかけとなった白川に殺してもらいたい。要するに“死”すらも演出したいわけです。
さすがに白川でなくても利用しようとしているのはわかります。それだけに白川は本当に死にたいのか?と問い、心停止した佐渡原を蘇生させます。このまますんなり死なせてなるものかと意地になったに違いありません。
センセイの正体
佐渡原が救急車で運ばれた後、誰もいなくなった部屋に転がるラミエルを拾う人物が現れます。その正体は仁武レジェンド製薬の村尾でした。飛行機で発作を起こした佐渡原に適切な処置をしたのは村尾だったのです。その後、佐渡原は村尾をセンセイと呼び慕います。
村尾はそこで「安楽死についてどうお考えですか?」と問います。佐渡原は特に何か答えず村尾が言いくるめるのか、安楽死法をとにかく通すことに躍起になります。なぜ村尾はラミエルを作りたかったのか?理由は説明されません。想像に頼るしかないので、勝手に想像します。
- 高齢化社会で需要がありそうだから
- 他の製薬会社に作られる前に作り、市場を独占したい
- 歴史に名を残すような薬を作りたかったから
名誉と利権が欲しかったのか、ラミエルを作りたいと願う気持ちはこんな感じかと勝手に考えました。前回あんなに張り切ってラミエルを自分の体で実証しようとしていた村尾です、何が何でもこの薬を発売したかったのだろうと思われます。
何気に軽く流して終わりにしていますが、村尾は実は結構怖いことがわかります。前回終わりに拉致されたJAMO会長の新見が遺体で発見されますが、死因がわからないという不審な死を遂げます。どうやって殺されたのか?それは、拉致し拘束された状態の新見に、村尾がラミエルを打って殺害します。村尾に関して逮捕されたとかそういうシーンは出てきませんでした。
WOWOWドラマ【神の手】の総評
“安楽死”というテーマのドラマのため、どうしても重い話になるかと思ったら、そこまで重く感じずに見ることができました。それは、話が医者と患者と遺族だけの話だけでなく、政治や利権などを絡めた話の部分があったからだと思います。
ただ、やはり“死”を取り扱っていますので、死とはどういったものか?というものを考えたりはします。白川の出した“答えなき答え”に同意できない人には納得いかないドラマですが、同意できる人にはそれなりに納得できたのではないでしょうか。
WOWOWで放送するドラマは基本的にミスキャストにならず、良い配役をしてくることが多いです。今回のドラマも主役の椎名さんや、遺族の坂井さん、鈴木さんを始めとして、その人に合った役だったと思いました。話の展開も各回ごとにヤマ場があり、中だるみすることなく5話できっちりまとめています。10話とかあるとたるみそうですが、5話という長さが丁度良かったと思いました。
話が重くならないため印象に残りにくい反面、その時の気分に関係なく見れるので良かったです。