ドラマ【ファーストラヴ】ネタバレと感想|上白石萌歌の演技が凄い!

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2020年2月22日にNHK BSプレミアムで放送したドラマ【ファーストラヴ】のネタバレと感想をまとめました。

真木よう子さん主演のこのドラマは非常に重い話でした。幸い救いのある話の部分もあるので、見終わった後に嫌な気分にはなりません。しかし、見る人を選ぶ内容となっています。

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【ファーストラヴ】の事件部分のネタバレ

過去に虐待を受けた特に女性の方は、視聴するのが辛くなりそうな内容です。また、自傷行為のシーンなどもあるので、苦手な方は視聴をオススメしません。

由紀と迦葉や我聞の関係が話の合間に入ってくるのですが、そちらに関しては別でまとめました。こちらは事件部分のネタバレとなります。

事件の内容

公認心理士の真壁由紀のところに出版社の辻憲太が来て、話題の事件である女子大生父親殺しのルポを出版したいという。精神科医の芝悟の推薦で由紀がルポを書くことになる。

弁護人は庵野迦葉、由紀の夫である真壁我聞の弟だった。由紀はかつて大学時代に迦葉といい仲になっていた過去があった。それ以来、迦葉とはどこかぎこちない関係だった。

迦葉がいうには被疑者の聖山環菜は動機も事件当時の記憶も曖昧だという。彼女から弁護に有利になることを聞き出して欲しいと言われる。

事件概要

  1. 事件当日午前中にアナウンサー試験のカメラテストを受けていた
  2. 突然倒れてしまい、試験を辞退した
  3. 父親が講師を務める美術学校に行く
  4. 女子トイレで父親の胸を刺して殺害
  5. 自宅に戻るが母親と口論になる
  6. 多摩川沿いを歩いているところ近所の主婦が通報し逮捕

父親とはアナウンス受験に反対され不仲だったが、他に動機らしい動機は見つからない。

女子大生が父親を殺害するが、動機が不明

環菜と初顔合わせ

真っ白な服を着ている環菜と面会する由紀。「正直に言えば私嘘つきなんです」と彼女は言う。週刊誌では「動機を見つけてください」と煽りたてられ、警察への挑戦的な態度だと報じられている環菜。実際は「動機は自分でも分からないから、見つけて欲しいぐらいです」と言っていたのだった。

事件のことを何か教えて欲しいと環菜に聞くと、迦葉の話をし始める。女心に詳しそうだ、女はみんな自分を好きになると思っている、そして迦葉と由紀は似ていると言う。

自分のことを治して欲しい、他人の痛みがわかる、ちゃんと罪悪感のある人間にしてくださいと環菜は願う。由紀はその前にまずあなたのことを知りたいと聞く。私も知りたい私のことをと環菜は言った。

環菜は繊細で賢く勘がいい、同じ親との葛藤を抱えた人間が分かる目を持っていると、由紀は会った印象を迦葉へ伝えた。

環菜は自分で自分を嘘つきだという

環菜の元恋人に会う

webニュースにある記事が掲載される。辻から連絡を受けて見た由紀の目に飛び込んできたのは、環菜が男と二人でベッドに入って写っている写真と共に、環菜の奴隷だったという見出しがついた記事だった。

由紀は環菜に真相を確かめに行く。元恋人の男の名前は賀川洋一、大学に入ってすぐ2年半ぐらい付き合っていたという。出会いのきっかけは前の彼氏のDVを相談しにいったら、そのまま押し倒されたという。

由紀は迦葉と一緒に賀川の話を聞きに行く。賀川が言うには記事は盛っているといい、悪いことしたなと思っているという。その理由は賀川が由紀を振ったというものだった。環菜の浮気性に耐えられず、他に好きな子が出来たから別れたという。

環菜はキレると別人のようになり手がつけられない。また、強姦についても嘘だという。本当に嫌ならその後付き合ったりしないはずだと賀川は主張する。環菜はおかしい、虚言癖があると賀川は言う。

元恋人も環菜は虚言癖があるという

環菜と面会

賀川の話を聞いた由紀は再び環菜に話を聞く。無理矢理ではなかった、押し倒されたときに自分は笑っていたという。しかし、由紀は笑いたいから笑うばかりでもないはずと告げる。

最初は必死に言い寄ってくるのに、最後はみんなから嘘つきだと責められた。今までの男について環菜はそう話す。なぜ嘘をつくのか?と由紀が問えば、つくしかないから。と答える環菜。ではどんな時に嘘をと聞くと、父や母に言ってはいけないと言われていると答えるのみだった。

環菜は父親とは血が繋がってなく、キレた父は事あるごとに「戸籍を抜くぞ」と脅したという。元々、母が別の人との間に自分を身篭った時、親に産むのを反対されていたのだが、学生時代に付き合っていた父が母の子なら綺麗だろうからおろすのはもったいないと言って結婚したという。さらに母は私が嘘をつくことで安心すると言う

環菜は父親の実の子ではない

環菜の母に会う

事件後体調を崩した環菜の母、昭菜は病院にいた。迦葉と共に由紀は話を聞きに行く。アナウンサーになぜ反対していたのか問うと、画家のイメージが崩れるのを嫌ってのことだった。環菜と父親は確かに不仲ではあった。しかし、そんなに嫌なら全寮制の高校でも行ったらと勧めたが、環菜は家に残った。だから、環菜が自分でどうにかするしかないと突き放す。

環菜が夫の実の子でないことは認めるが、戸籍を抜くという話については、環菜の被害妄想であの子は昔からそういうところがあると認めなかった

自宅に戻った由紀は被害者である環菜の父、那雄人の画集を見る。一緒に見ていた我聞はあまり好きじゃないという。リアルに近いのにリアルを肯定せず、対象に愛がない。まるで観察対象としか見ていない冷たい絵だと印象を語った。

由紀は那雄人のことを知る人物にあたり、10年以上前に自宅でデッサン会をやっていた話を聞く。そこで、迦葉と辻と一緒にその当時参加していた人物に話を聞きに行くことにした。

環菜の母親は環菜を守らない

衝撃のデッサン会

南羽澄人という人物に3人は会う。当時の那雄人に対する印象は「対象物をちゃんと見てるつもりなら、その10倍見ろ」と言われたことを思い出す。そしてデッサン会の参加者は全員男だった。書いた絵を見せてもらう由紀たち、静物画などの他に少女と全裸の男が背中合わせにもたれかかっている絵があった

辻は倫理的におかしいと主張する。この姿勢で長時間思春期の女の子が、若い男たちの普段の10倍凝視する視線を浴び続けるなんてと驚く。しかし、南羽は芸術なので普通だと気にもしていなかった。裁判のために貸して欲しいと願うが、そんな話の後では南羽も貸してくれず断った。

あの絵は問題ではないのか?辻と由紀は食事をしながら話す。虐待状態だったと思うと答える由紀、子供は最初分からず不快だと思っているが、大人になって初めてあの時の視線はこういう意味だったと知るという。それは、自分が幼少期に父親から受けた実体験が元だった。

由紀の父親はよく東南アジアに行き児童買春をしていたという。その話を母親から聞かされたのは自分が成人式の朝だった。母は自分に女であることを否定し続けた。女の子らしい洋服は切り刻まれ、アクセサリー類は捨てられた。母は父のことを全部知っていて、由紀を責め続けていた。現在両親とは距離を置いていると由紀は過去を晒した。

東京に戻る前にもう一度由紀たちは南羽の所へ行く。彼女のことをどういう目で見て書いたのか?愛情を持った眼差しの人はいなかったのか?と問うが南羽は答えない。そのデッサンが彼女を救うかもしれないと訴えかけるが、結局南羽はスケッチブックを貸してはくれなかった。

  • デッサン会は環菜が裸の男と一緒にいるものだった
  • 由紀の父親は由紀を性的な目で見ていた
  • 南羽はデッサンを貸してくれない

左手首の傷

由紀は環菜に面会しに行きデッサンのモデルをしていた時の話を聞く。しかし、本当は嫌だったのでは?とたずねても考えたことがないと言い、生徒たちが怖くはなかったのか?と聞いても否定する。

由紀はアプローチの方法を変え、そこにいた人たちのことを一言で言うと?とたずねると、「気持ち悪い」と吐き捨てるように彼女は答えた。だが、彼女は動揺し始め、手首の傷のことを聞いた途端席を立って出て行ってしまった。

間違いなくリストカットをしている、由紀は迦葉に報告する。確かに逮捕当時、彼女は腕に包丁で切った痕があったらしい。そこでもみ合ってできたのか?と聞いたら、違うと環菜は答えた。

母親の昭菜にリストカットのことを今度は聞きに行く。学校で飼っていた鶏に襲われてできた傷であって、単なるケガだと言って認めない。環菜は「私が嘘をつくと母が安心した」と言っていたが、母親はその意味についても分からない。挙句、検察側の証人として出廷するらしい。

小学校を卒業した春休み、母親がいない時に何かがあってリストカットを始めたに違いない。だが、それが父親からの虐待なのか何なのか分からずにいた。

すると迦葉宛に南羽から荷物が届き中を確認したところ、れいのスケッチブックだった。添えてある手紙を読んだところ、環菜にアプローチをしていた男子生徒がいて、そいつが言うには彼女は既に経験済みで彼氏がいて男馴れしているということだった。

  • 環菜は自傷癖がある
  • 南羽からスケッチブックが届く

環菜の初恋

その当時の彼氏とは何者なのか?由紀は環菜に確認する。男はコンビニの店員で21歳のフリーターだった。ケガをしたところ優しくしてくれて、一番いい思い出だと環菜は語る。その彼が初恋だったと、会いたいとも告げた。

小学校を卒業した春休みに母がいないとき、父と二人っきりになった。明け方まで寝ないで父の帰りを待っていたが、少し転寝をしたら昼近くまで寝てしまった。そこに父が怒って戻り、自分を家から追い出してしまう。追い出された環菜は行く宛てもなく、川沿いをどこまでも歩き続けた

転んで膝から出る血を見たらなんだか悲しくなって、泣いていたところコンビニの店員がやってくる。優しくしてくれた彼を好きになっていた。彼の自宅でコーヒーを飲ませてくれて。一緒にテレビゲームをしたりしていたら、ギュっとしたいと言われて付き合うならいいよと答えた

環菜の初恋相手はコンビニ店員

初恋の彼に話を聞く

由紀と迦葉はその初恋の相手という男を探し出して話を聞く。男は小泉裕二という男だった。環菜が言っていることは本当なのか確認すると、人助けのつもりでアパートに連れ込んだと認める。その後、布団の中に一緒に入りじゃれあううちに体に触れたりしたという。

その日の内に別れようと思っていたが、今までしたことは何だったの?と環菜に言われ、どうしたらいいの?と逆に聞いたら、付き合うならいいよと環菜が言った。罪悪感もあってオーケーしたが、付き合うといっても彼女の避難所のようなものだという。

だがある日、大家に「妹さん?」と聞かれてさすがにヤバいと思った。そこで別れを切り出し、警察に捕まってしまうからと説得したら分かってくれた。それが彼女と会ったのは最後だと小泉は言う。強制わいせつ罪に当たるが既に時効を迎えていた。

父親のことを何か聞いていないか小泉に聞くと、絵のモデルをして服を買ってもらったりして嬉しかったけど、誰々にベタベタされるのは嫌だったと言っていた。彼女は言っていることが本当かどうか分からない、遠慮しているのかと思ったら暴れ出したり手に負えなかった。

自分も彼女から逃げたが、環菜だって父親からの逃げ場が欲しくて自分を利用していた。小泉のその言葉に由紀は相手が対等な立場なら成立するが、子供相手にその理屈は通らないと一蹴する。

自分から手を出しておいて別れたのは小泉の方からだった

初恋とは呼べない真実

なぜ環菜はこんな男を大事な人だと思っているのか?相手も自分に愛情を持っていたと思わないと、救いがなくなってしまう。初恋まで悲しい思い出にしたくなかったのではないかと由紀は分析する

環菜に裕二と会った話をし、家庭のことも考えた結果、環菜に会う勇気が裕二にはないと伝える。環菜は裕二が結婚していることに驚き、あんなことした人が普通に結婚とかありえないと言う。その発言に由紀は環菜が本当は何をされたか分かっていて、初恋なんかじゃないと理解していると指摘する

環菜が語る内容はこうだ。「布団に一緒に入ろう」と言われた時、最後までしないっていうから了承した。しかし、それは環菜を気遣って言ったのではないと由紀は言う。誰かにこのことを話したのか?環菜に問うと「分かりたくなかった、本当のことなんて」と言って部屋を出て行ってしまう。

由紀は引っかかっていた。思春期の時期に父親を殺そうと思うならともかく、なぜ今なのか?反対されていた女子アナの試験を受けたりしているのに、なぜ今殺したのか?疑問に思っていた。

環菜は小泉が体目的だと分かっていた

第一回公判

環菜の裁判が始まる。罪状は殺人、控訴事実を環菜は認めていた。早速南羽から借りたデッサンを見せて迦葉は説明する。父親からの虐待があった、情状酌量の余地があると訴える

検察側の証人に昭菜が立つ。環菜は情緒不安定で嘘を言う。裸の男性モデルがいたのは知らなかったし、環菜は生徒たちに頭を撫でられたりして喜んでいたと証言する。事件直後、環菜は「お父さんに包丁が刺さって…」というから、「お父さんを殺したってことよね?」と言ったら外に逃げて行ったと証言する。

嘘とは例えばどういうことかと弁護人に聞かれ昭菜は答える。デッサンの話も大げさに言っていると。家にいなかったのだから知らないはずでは?と弁護人に突っ込まれると、環菜が思い違いをしているだけで、嫌なら自分に言えばいいと突っぱねる。

では、環菜は喜んでデッサンに参加していたのか?昭菜はキレて「気持ち悪い」と言う。虐待虐待と言うが、モデルはほんの数年やっていただけで、バイト代も出ないから働きたくないと環菜がサボって辞めただけだと証言する。

それを聞いていた環菜は「バイト代なんて知らない。言う事全部きいたのに、どうして?」と怒り始める。そして退廷を命じられた。

母親が証言台に立って話す内容に環菜は怒りだす

環菜の本心

由紀は再び環菜に面会する。話を聞きだそうとするが、環菜は「先生のような幸せな人には関係ない」と言って答えない。由紀は自分が両親ともうまくいっていないこと、父親に性的な目で見られていたことを明かす。そして、たとえ醜くても汚くても本当の環菜が知りたいと訴える。

大人の期待に応えないと、そんな声が環菜からは聞こえると由紀は言う。左手首の傷は12歳の春休みからで、母親に小泉のことを話したら「レイプされたわけじゃないわよね?じゃあ、問題ないじゃない」と言われた。言えなかった、恥ずかしくて辛くて、いっそレイプされてたら母は自分を見てくれたかもしれないと環菜は嘆く。

父に謝らされ裕二のほうが優しいからいいと思った。でも最後までできないから、色々させられるようになった。そういうことしたいから自分と会っているのに、ヤバいから別れるとか意味が分からないと環菜は話す。

モデルを辞めたのは父がやらなくていいと言うから辞めた。腕に傷があるから当分できないと父が言った。由紀はそんな嘘に私は騙されたフリなんてしないと、母親とは違うことを示し傷を見せるよう願う。しかし、環菜は分かろうとしないで、本を売りたいだけでしょ。人のことなんてどうでもいいと思っていると言って拒む。

由紀は「どうでもよくない、誰にも分かってもらえずに刑務所にいるなんておかしい。本当の環菜が可哀想でしょ!」と声を荒げる。その言葉に環菜は左腕の傷を見せる。そこには無数の切り傷が刻まれていた

治ったらまら絵のモデルが始まり、男の人に見られて気持ち悪くなる。だからまた切った。切ればモデルをやらないで済むと思い何度も繰り返したと告白する。由紀はそんな環菜に「あなたはお父さんを殺した。でも、その前に沢山の大人が少しずつあなたの心を壊していたんだね」と言葉をかける。

もう頑張らなくていい、嘘なんて必要ない、あなたは自分の本当の人生を生きてと慰める由紀。なぜ父を殺したか改めて聞くと、「何も覚えてないんです」と環菜は答えた。

  • 環菜の腕には無数のリストカットの痕があった
  • デッサンのモデルをやりたくないから自傷していた
  • 父を殺したときのことは何も覚えていなかった

解離状態

強いストレス状態で記憶がなくなったり断片的になったりする状態、それを解離状態という。環菜は殺したことさえよく分かっていないはず。ではなぜ罪を認めたのか?と迦葉が問う。恐らくそう言われたからではないか、状況や証拠がそういってたし警察も母も犯人は環菜だと言うから認めたのだろう。

親の愛に飢えていて、目の前にある好意を失うまいと、その人の望むように振舞っていた。そして我慢が出来ずに本心が溢れ出すと嘘だと思われる。彼女は周囲から“殺人犯”であることを求められ、それを受け入れたのでは。殺意はなかったのかもしれないと由紀は考える

その後、由紀は環菜の事件当日の足取りを辿る。そこで気づいた重大なこと、精神鑑定をする必要はないと迦葉に告げた。

  • 環菜は解離状態だったから覚えていないのかも
  • 殺意はなかった可能性がある

第二回公判:弁護側

父親を殺すつもりはなかった、環菜はそう告げ無罪を争うことに切り替える。あの日、なぜ女子アナ試験会場から去ったのか?デッサン会に似ていた、大勢の男性が一斉にこっちを観察するように見ていた。気づいたら倒れたので、もう試験は駄目だと思って去った。

渋谷の街で衝動的に包丁を買ったのは、自分の手首を切るためだった。腕には32箇所の切り傷があり、そのうち5箇所は事件当日につけたものだと迦葉が補足する。モデルをやりたくないがためにつけたもので、沢山できたらモデルをやらずに済んだ。

包丁を買った後、公園のトイレで左手首を何度か切った。公園のベンチに座っていたら、男の子が絆創膏をくれた。こんな小さな子が自分の心配をしてくれるのに、なぜ父は私の気持ちを分かろうとしないのか悲しくなった。

そこで父親に「あなたのせいで夢を失った。ずっと辛くて痛かった」というのを見せたくて分からせたくて美術学校へ向かった。血だらけの腕を見て父はさすがに動揺した様子だった。女子トイレで洗ってこいと言われ、トイレでまた切った。そうしたら思った以上に血が出てビックリした。そこに父が入ってきた。

「お前がおかしくなったのはあいつのせいだ。母親がしっかり教育しないから」と言い、母親に電話をかけ始める。環菜は母に知られたくなくて電話をやめさせようともみ合いになる。父が床の血で滑り、自分に覆いかぶさるように転倒し、その時包丁が突き刺さってしまった

その後、母親に助けを求めて自宅へ戻る。助けてと伸ばした手は振り払われ、「殺したってことよね?」と言われた。なぜその時否定しなかったのか?母は自分を嘘つきだと思っているし、他の誰も信じてくれないからだった。

カメラテストで意識を失った後、気づいたら父のとこに向かっていた。母は「これからどうすればいいのよ、どうやって生きていけばいいのよ」と言うばかりだった。それから家を出て川沿いを歩いていくうちに、子供ころもこんなことあったなと思い出したら涙も出なかった

検死の結果、事故の可能性が高いと監察医も言っていると迦葉は補足する。

  • デッサン会のトラウマでカメラテストの時に倒れたた
  • 母親には自傷行為を知られたくなかった
  • 検死の結果、事故の可能性が高い

第二回公判:検察側

今度は検察側の質問が始まる。なぜ母親に自傷癖を知られたくなかったのか?「気持ち悪い」と言われたからと環菜は答える。それ以来、環菜は切ったことをいえなかったのだった。検察側は環菜に虚言癖があることを持ち出し、今までのことは全て嘘なのでは?と突っ込む。

揺らぐ環菜は瞳を泳がせ由紀を見る。由紀は頷き環菜の後押しをする。覚悟を決めた環菜は「私が嘘をつくようになったのは、私のためであり母のためであり、家族のためでした」と答える。そして「私の馬鹿な嘘と、それに騙されたフリをした母の嘘で守ってきたんです、家族を。それが壊れるのが怖かった」と告げた。

そんな家族が憎くて殺したのか?と問われ、父を殺す勇気はないしずっと父が怖かった。それ以上に父が怒鳴って母が泣くのが嫌だったと心情を吐く。

では、殺意がなかったのならなぜ救急車を呼ばずに立ち去ったのか?どうしていいのか分からず、母に助けて欲しかったと環菜は言う。そして「でも間違いでした。母は可哀想な人で、私は母に頼らずもっと強く生きなければならなかった」と語った。

昭菜は席を立ち法廷を出る。由紀が後を追いトイレでぼーっと手を洗っている昭菜に声をかける。その腕には無数の切り傷とヤケドの痕があった。慌てて隠す昭菜に由紀は「ご自分のことを気持ち悪いと思わないでください。その傷はあなたが辛い思いに耐えて生き抜いた証です」と声をかけた。

  • 母に「気持ち悪い」と言われたから自傷癖を知られたくなかった
  • 嘘をつくのは自分のため母のため家族のため
  • 昭菜もまた虐待の被害者だった

判決

判決の日、下された刑は懲役8年だった。理由は通報せずに逃走したことは、確信的な殺意があったと認められて有罪だった。しかしこれは当初検察が求刑していた懲役15年の約半分だった。減刑の理由として幼少期の発達に不適切なことがあったということだった。

環菜は退廷する際、口元に笑みを浮かべる。それを見た由紀は涙を流して見送った。

環菜は小泉に何を求めていたのか?親の愛情の代わりを求めていたのだろうと由紀は考えていた。女の子の周りには偽者の神様が沢山いる。自殺する子もいればトラウマを乗り越えて生きる子もいる。本物の愛に気づいて回復していくケースもある。彼女ももう少し待てばもしかしたら、と由紀は語る。

環菜はその後、控訴せずに判決を受け入れる。父親が亡くなったのは事実だし、自分は誰かに好きになってもらいたかった。でも今は私が私を好きになりたいと思うと書かれた手紙が由紀のもとに送られてきた。

由紀は本を出版することを断念する。なぜなら解離状態から記憶が戻っても、その記憶が100%正しいとは言えないからだ。その注釈をつけるのが由紀は嫌だった。環菜の言葉を信じたい、そう思ったからだった。

  • 懲役8年の判決
  • 本を出すのは断念した

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