【明日、輝く】のネタバレと感想|第48回創作テレビドラマ大賞を映像化

スペシャルドラマ
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2025年3月17日にNHK総合で放送された【明日、輝く】のネタバレと感想をまとめています。

第48回創作テレビドラマ大賞に輝いた作品を映像化。元駅伝ランナーの主人公は出会った少女に「誰かを恨んだことはないのか」ときかれ、脳裏にある男の顔が浮かび……。

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【明日、輝く】のキャストとスタッフ

キャスト

  • 新野亮介(にいの りょうすけ)…井上祐貴
    元駅伝ランナー。現在はコンビニ「なごみマート」で働く
  • 矢沢心海(やざわ ここみ)…具志川莉央
    家出少女。ダンスが大好き
  • 堂前一輝…佐藤寛太
    新野のライバル。オリンピックの有力候補
  • 沖悠太…本多力
    「なごみマート」店長
  • リリア…希咲うみ
    「なごみマート」に頻繁に訪れる客
  • 矢沢真人…横田栄司
    心海の父

スタッフ

  • 作:竹上雄介
  • 音楽:yutaka hirasaka
  • 演出:板垣麻衣子(NHKエンタープライズ)
  • 制作統括:須崎岳(NHKエンタープライズ)、本木一博(NHK)
  • 公式HP
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【明日、輝く】のネタバレ

家出少女・心海に新野は復讐したい人はいないのかを問われ、ケガで陸上を引退するきっかけを作った、堂前のことが頭によぎった。心海は復讐するよう勧めるが、新野はそのつもりはなかった。

心海は父に暴力をふるわれ家出していた。彼女が殺したいのは父親と自分だった。父にナイフを向ける心海だが、刺す事はできずに逃げ出す。そして交差点に行き、迷惑も顧みずその場で心行くまでダンスを踊る。そんな彼女の踊りを見ていた子どもが拍手すると、彼女は嬉しげに笑った。

一方、偶然コンビニの店頭で堂前に遭遇した新野は、彼と話しているうちに激しい憎しみを抱く。だが、堂前も空しさを感じていることを知り、怒るのをやめ手にしていたナイフを落とした。

心の底から恨む相手

コンビニ店員の新野亮介(井上祐貴)は、店内で菓子を万引きする少女を目撃する。店長の沖悠太(本多力)に報告すると、彼女を追いかけるよう指示された。

新野は少女の背後から「ねえ、盗ったよね?」と声をかけ、肩を掴んで振り向かせるが、彼女は「セクハラ」と叫ぶ。さらに「一緒に警察に行こう」と言い、少女は「嫌なら泊めて」と持ちかけてきた。彼女は家出中で、所持金は百円しかないと見せて、新野に宿泊を求める。しかし、新野が断ると突然泣き出し、周囲の人々の視線が彼に向けられる。仕方なく、新野は彼女を自宅へ連れて帰った

新野が名前を尋ねても、少女は答えない。「簡単に男の家に上がらないほうがいい」と忠告するが、彼女は動じない。新野が家出の理由を聞いても、少女――矢沢心海(具志川莉央)は具体的なことを明かさず、「やり返さないと気が済まないほどの恨みがある」とだけ語る。そして新野に「恨みのない幸せな人?心の底から誰かを憎んだことはないの?」と問いかける。その言葉に、新野の脳裏にはある人物の姿がよぎり、彼は言葉を失った。心海は「話を聞いてあげる」と言うが、新野は黙ったままだった。

心海は勝手に部屋を物色し、新野が表紙を飾る雑誌を手に取る。それを見た彼女は「これからは亮ちゃんって呼んであげる」と言い、新野は「勝手に見るな」と雑誌を奪い取ろうとする。その雑誌には「学生最強ランナー・堂前一輝(佐藤寛太)に競り勝った新星・新野亮介。大学対抗駅伝のアンカー対決が予想される」との記事が載っていた。

新野の脳裏に、かつてのレースの記憶がよみがえる。ゴール直前、彼は堂前にぶつかり、そのまま転倒したのだ。心海は「本当にわざと倒されたの?」と問いかける。新野は「絶対にわざとだ」と憤るが、陸上競技連盟は単なる事故と判断した。しかし新野は納得していなかった。転倒による怪我のせいで、今も全力で走ることができないのだ。

話を打ち切ろうとする新野に、心海は「それで終わっちゃダメ。復讐しないと」と言い放つ。「そいつのせいで全部壊されたんでしょ?」そう言いながら、首にかけたネックレスを取り出す。その先には二つの折りたたみナイフがぶら下がっていた

「私なら、右足を狙うかな」そう言いながら、心海は雑誌の堂前の写真をナイフで傷つける。「復讐しないと、恨みは消えないよ?」と心海は告げた。

2つのナイフ

翌朝、心海は新野のベッドで眠っていた。その後、新野は心海を公園へ連れ出し、牛乳とアンパンを手渡す。「これを食ったら帰れ」と告げ、立ち去ろうとする。しかし、心海は「このままでいいの?今頃オリンピック選手を目指していたかもしれないのに」と呼び止めた。

「何が言いたいんだ?」と新野が問い返すと、心海は「堂前に会いに行けば?」と提案する。「あのときはごめんって謝るかもしれないよ?もし謝ってきたら許せるの?それで恨みは消える?」そう問いかけられ、新野は何も言い返せなかった。

「早く復讐しろ」と焚きつける心海に、新野は苛立ち、「そっちは復讐するつもりなのか?何の恨みがあるんだ?」と問いただす。すると心海は「殺したい人が2人いるから、ナイフを2つ持っている」と言いながらも、すぐに「嘘だよ」と誤魔化した。そして、「1つ貸すから堂前をやれ」と煽るが、新野は拒否する。

「全力で走ったら、私の恨みを教えてあげる」と誘う心海。しかし、新野は「走れない」と言って断った。

すると心海は突然、新野の前で踊り出す。「ダンス部に入っているの?」と尋ねる間もなく、彼女は楽しげに踊り続けた。新野は、彼女の軽やかな動きに思わず見とれてしまう。しかし、途中で靴が壊れ、心海は踊りを止めた。

「ダンサーを目指してるのか?」と新野が尋ねると、心海は不機嫌そうに「せっかくいい気分だったのに」とつぶやき、そのまま去っていった。その後、心海は天沢高等学校へと向かう。

ダンス部の生徒たちが練習しているのを、遠くから眺めながら一人で踊る。憧れるように「かっけー…」とつぶやくが、彼女はダンス部の部員ではなかった。ふと、自分の壊れた靴を見つめ、落胆する。そして、持っていた薬を取り出し、無言のまま大量に服用した。

現実逃避

心海は若い女の子たちが集まる広場へと向かい、そこで盗んだお菓子や薬を彼女たちに配った。その後、スマホの充電が切れたことを理由にホテルへ向かおうと歩いていると、一人の男に声をかけられる。「お金をあげるから」と囁かれた心海は、自分の壊れた靴を見下ろし、しばし考え込んだ

一方、新野の働くコンビニには、少女・リリア(希咲うみ)が訪れ、何かを探している様子だった。気になった新野が後をつけると、彼女は心海がいた広場へと向かった。そこには数人の少女たちが集まっていた。そして、ちょうど戻ってきた心海を見つけた新野は、「何をしてるんだ」と声をかける。

心海は「ここでいつもダンスの練習をしてるの」と答えた。そして、「窓越しじゃなくて、大勢の人の前で踊ってみたいな」と呟く。その言葉に新野は「なんで家に帰らないんだ?」と尋ねるが、心海は何も言わず黙ってしまう。その沈黙を察し、新野は「ごめん」とだけ言い、それ以上は聞かなかった

気を取り直したように、心海は「よし、行くよ!」と新野を誘い、ゲームセンターへ向かう。クレーンゲームでぬいぐるみを取ろうとするが、なかなかうまくいかない。二人で何度も挑戦し、いつの間にか夢中になっていた。そしてようやく取れたが、気づけば3000円もかかっていた。

その後、二人で歩いていると、警察官が巡回していた。新野は職務質問を受けるのが面倒だったため、関わらないように目を逸らし、何事もなかったように通り過ぎようとする。

すると、心海がふと「いっそ誘拐してくれてもいいよ」と呟いた。しかし、すぐに「なーんてね」と笑って誤魔化した。

心海の恨み

街を歩いていた新野は、ふと街頭ビジョンに映る堂前のインタビューを目にする。「マラソン界の超新星」と紹介され、自己ベストを更新したことが報じられていた。堂前は記者の質問に対し、「ライバルはいませんね」と笑顔で答えていた。

気分の悪さを感じながら店に戻ると、リリアが大量の風邪薬を購入しようとしていた。しかし、店長に止められ、身分証の提示を求められると、リリアは何も買わずに店を後にする。「オーバードーズだね」店長がぽつりと呟く。「一時的な解放感を求めて、市販の風邪薬なんかをがぶ飲みするんだ。最近、若者の間で流行ってる」

そして、店長はさらに「橋の向こうの広場って見たことある?」と新野に問いかける。「すごい世界だよね。体を売って小銭を稼ごうとする女の子たちが立ってたり、SNSで知り合った子たちがホテルの鍵をシェアして共同生活してたり…」そして「今日みたいな日はどうするんだろうな?」という店長。天気予報は大雨警報が出ていた

広場にいる心海のことが気になった新野は、バイトを終えるとそのまま向かった。そこでは、心海が新しい靴を履いて踊っていた。「新しい靴を買ったから、今はめっちゃ踊りたい」と嬉しそうに言う。「別に今じゃなくてもいいだろ。いつでも踊れるんだから」と新野が言うと、心海は突如として声を荒げた。「いつでも踊れないよ!いつでも踊れないんだよ!」

突然不機嫌になった心海は、「亮ちゃんってさ、すぐリアルに戻してくる。ウザい!」と吐き捨て、そのまま走り去ってしまう。驚いた新野が追いかけると、目の前で心海が車に轢かれそうになるのが見えた。とっさに新野は全力で駆け出した。「……てか、できんじゃん。全力疾走」無事だった心海はそんな新野を見て、少しだけ笑った。

やがて、雨が降り始め、二人は橋の下で話す。心海はぽつりぽつりと「中1のとき、母親が死んだ。自殺だった。原因は父の暴力」と話し始めた。母がいなくなってから、父の標的は自分になった。それでも行きたい高校があったから、耐えて暮らしていた。しかし、父は母が貯めてくれていた入学金を、見ず知らずの女に使い込んでしまった

「現実の世界の大人たちは、何もわかってくれない。でも、あそこにいる人たちは違う。話がかみ合うの」心海は続ける。「でもね、一つうまくいかないことがあると、あいつの顔が頭によぎるの。現実が襲ってくるの。だから、やっぱり復讐しないと」と父への復讐を誓う。

「はぁ……私の人生、ほんとムズすぎ。絶対誰もクリアできない」苛立ちを募らせた心海は、「ウザい、ウザい」と連呼しながらかんしゃくを起こした。そして「もう、こんな人生ジ・エンドだよ」そう呟くと、心海は持っていた薬を取り出し、一気に飲もうとする。新野が「馬鹿なことやめろ!」と止めに入ると、心海は離せと新野を突き飛ばした

父親に向ける刃

心海はこっそり自宅に戻り、金を探した。しかし、見つからず母の写真を見つめていると、玄関のドアが開き、父・真人(横田栄司)が帰ってきた。目の前にいる心海を見つけるなり、父は怒鳴りつける。

心海は何も言わず、手元にあったナイフを握りしめる。そして、その刃先を父へ向け、低い声で言った。「死ね。全部、お前のせいだ」父は鼻で笑いながら「俺を刺したら、高校どころかどこにも行けなくなるぞ」と脅す。

しかし、心海は表情一つ変えず、静かに答えた。「別にいいよ。お前を殺して、アタシも死ぬから。それが、アタシがずっと殺したかった二人だから」 父が手を伸ばし、心海を掴もうとした瞬間、彼女は反射的に身を引き、怯えてナイフを取り落とした。刃が床に落ちる音が、静かな部屋に響く。心海はもう何も言わず、そのまま家を飛び出していった

車道へふらりと足を踏み出し、心海は交差点の真ん中へと向かった。そして、その場で踊り始める。困惑する運転手たちは車を止め、クラクションを鳴らす。通行人たちも「危ないから戻りなさい!」と声を掛ける。だが、心海は誰の声も聞かず、ただ踊り続けた。

やがて、踊り終えた彼女に向かって、運転手たちは怒鳴った。「邪魔だ、どけ!」心海は急いで車道から離れた。そのとき、近くで見ていた小さな子どもが、小さな手でぱちぱちと拍手をした。その音に心海は驚き、そして嬉しそうに笑った

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【明日、輝く】の結末

コンビニでゴミ袋を交換していた新野は、ふと足元に落ちているものに気づいた。拾い上げると、それは空の小瓶と心海が持っていたナイフだった。そのままぼんやりと手に取っていた新野は、店から出てきた客に挨拶をする。しかし、その客の顔を見て驚いた。それは堂前だった

堂前は軽く新野を見やり、「陸上やめたって聞いたけど、そっか。じゃあな」とだけ言い、そのまま歩き去ろうとする。新野の脳裏に、心海の言葉がよぎった。「ちょっと待てよ」思わず声をかける。「……3年前のことだけどさ。あれ、わざとだろ?」堂前は一瞬表情を変えたが、すぐに平然とした態度で答えた。「わざとじゃない」

しかし、新野が食い下がる。堂前は短く息をつき、少し苛立ったように言った。「ああ、そうだよ。わざとだ。だったらどうした?」新野は息を呑む。堂前は続ける。「怪我させようとは思っていない。あの日お前に絶対に負けるわけにはいかなかった。だから勝負に出た。俺とお前、たとえどっちかが転んだとしても、勝つか負けるかの勝負に

「その勝負の結果、俺は引退して、お前は次のオリンピック候補ってわけか。……大したもんだな」そう言う新野に、堂前は皮肉げに笑った。「そうだな。俺が次の代表だよ、間違いない。お前にも見せてやりたかったよ。楽勝すぎてさ」 その言葉に、新野は無意識にナイフを握る手に力を込めた。しかし、堂前はふと虚ろな表情を見せ、ため息混じりに呟く。

つまんねえ……俺、なんで走ってんだろう。何が楽しくて走ってんだろうって思うよ。……お前にだけは負けたくなかった。でも、今は勝ちたいって思う相手すらいねえし」その言葉に、新野は呆然と立ち尽くす。堂前は新野を一瞥し、「お前、いつまでくすぶってんだよ」とだけ言い残し、通り過ぎていった。

新野の手から、ナイフがぽとりと落ちた。堂前の背中を見送りながら、新野の目には涙が浮かんでいた。

コンビニに、再びリリアが現れた。彼女はまた風邪薬を求めていた。購入せずにこっそり万引きを試みようとする。しかし、新野に気づき、慌てて逃げた。新野はリリアを追いかけ、手に持っていたプリンを差し出した。「これ、プレゼントです」リリアは警戒するように新野を見つめる。「こっちのほうが、甘くて美味しいから。だから、食べてください」リリアは「意味わかんないんだけど」と呟きながらも、プリンを受け取った

ふと、上を見ると街頭ビジョンに映し出されたCMが目に入った。そこに映るのは、ゲームセンターで心海と一緒に取ったぬいぐるみのキャラクターだった。そのキャラクターは敵キャラではなく、実はヒーローだったことが明らかになった。

新野は思い出す。以前、心海と「もしこいつがヒーローだったら、どちらも丸坊主」と冗談を言い合っていたことを。「……マジかよ」思わず苦笑いする新野。すると、ふと視界の端に動く影があった。心海だった。2人は互いに顔を見合わせ、そして、どちらからともなく笑った。

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【明日、輝く】のまとめと感想

憎い相手に復讐しようと考えていた2人が、相手と向き合った結果、復讐はしないで終わったという話でした。

前日の『どうせ死ぬなら、パリで死のう。』同様に、結局何が言いたいのかはっきり分かりません。復讐はやめましょうというわけでもなく、前向きに生きましょうというわけでもありません。ただ、なんとなく前向きに終わります。

父との折り合いがつかず家出した少女・心海と、ケガで夢途絶えた新野が出会い、逃げていたことと向き合います。新野は乗り越えた気がしますが、心海はあの後、父親のいる家に戻るのか?謎です。

思春期の少女特有のなんとも危うい感じが、見ていてやきもきします。そんな心海を今回ドラマ初出演という具志川さんの、飾らない感じがドラマをよりリアルに感じさせてくれました。

【明日、輝く】のいいセリフ

お前を殺してアタシも殺すから。それがアタシがずっと殺したかった2人だから。

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