【地震のあとで】3話のネタバレと感想|祈る意味と心の役割

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【地震のあとで】3話「神の子どもたちはみな踊る」のネタバレと感想をまとめています。

神の子として育てられた善也は、東日本大震災に直して信仰を捨てる。ある日偶然見かけた男の特徴から、自分の父親ではないかと思って後をつけていくが……。

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【地震のあとで】3話のあらすじ

2011年3月。東日本大震災が発生し、教団は東北へ支援物資を届けに向かうことになった。神の子として幼い頃から母親(井川遥)に育てられた善也(渡辺大知)は、自分が生物学的な意味で誰の子なのか母にきくが教えてくれない。そこで善也が「今日から信仰を捨てる」というと、母は生まれる前の話をした。

2020年3月。コロナ禍により、誰もいない電車に一人だけ座る男がいた。彼の耳を見た善也は、その特徴から自分の父親ではないかと思い後をつけていくが……。

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【地震のあとで】3話のネタバレ

母は若い頃、産婦人科医と交際していた。完璧な避妊をしたにもかかわらず、母は善也を身篭る。浮気を疑った産婦人科医は母に辛くあたり、苦しさから母は子ども共々死のうと考えていた。

そんな時に田端に出会い、母は信仰を始める。そして善也をこの世に遣わされた神の子と思いながら育ててきた。

東日本大震災を機に信仰を捨てた善也は、偶然母が言っていた産婦人科医の耳の特徴に合致する男を見かける。父親かもしれないと思いながら後をつける善也だが、途中で見失ってしまった。

ある日、田端ががんに冒され、死ぬ前に伝えたいことがあると善也を呼び出す。信仰について善也が田端に疑問をぶつけるが、田端はそれでも揺ぎ無い信仰を持っていた。

田端は死に際、善也の母親を性的な対象として見ていたと懺悔する。それを聞いた善也は田端の手を握りながら、心について語り彼のために祈った。

神の子

2020年3月、善也(渡辺大知)は田端(渋川清彦)の遺影に花を供える人々を遠くから見ていた。以前、田端から「君がしたことは、お方を試す行為だ。正しいことじゃない」と諭されたことを思い返し、葬式に出ずそのまま会場を後にした。

その夜、善也はディスコへ向かい、踊り続けた。そこでミトミ(木竜麻生)から声をかけられ、「僕のことはかえるくんって呼んでよ」と言い放った。踊る姿が雨の中のかえるのようだと評されたからだと説明した。

ミトミは善也が以前付き合っていた人と別れた理由をきく。

「僕は神様の子どもだから、誰とも結婚することができないんだ。だから別れた。信じる?」

善也は笑いながら告げた。

翌朝、母(井川遥)から田端のお別れの会に行ったことと、田端と何か話したのかとと電話できかれる。善也は以前に田端と話したことがあると答えた。

「これからまた、何か起きるかもしれない。だから気を付けて」

母はそう告げ、電話を切った。

捨てた信仰

2011年3月。善也はベッドの中で母と向き合った。翌朝、母は東北の被災地へ行くと言い、善也は行きたくないと反発した。母が救ってあげたいと思わないのかと問うと善也は反発した。

「救ってあげるなんて傲慢だって。テレビ見たでしょ?あんな光景を見た後で、僕らに何ができるの?」

母は世界は人間の悪意に満ち、その悪意がみんなを傷つけると語り、田端と知り合い神の御心に救われたことを話した。

「善也は現世でたった一人、神様の子どもなんだから。困ってる人を助けないと」

真顔で告げる母に対し、善也が本当の父親を尋ねると、お方こそがあなたの父親だとだけ答えた。

教えてくれない母に苛立った善也はベッドを飛び出す。

「東北には行かない。行けるわけがない。今日から信仰を捨てる」

善也が言い放つと母は呼び止めた。

「あなたがどう生まれたのか、知っておいてほしい」

2020年3月11日。善也はそんな夢を見て目を覚ました。会社に行くと誰もおらず、ミトミに今日から自宅作業になったと言われた。昨日のことを覚えているかと問われ、善也は覚えていなかった。

「もっと大変な事態になるかもしれない。またね、かえるくん」

ミトミは先に帰った。善也は一人残り、ウェブの記事を見ながらあの日のことを思い返した。

祈る意味

高校生だった善也は、東北への物資を積んでいた田端に声をかけられた。田端はなぜ信仰をやめると言ったのかと問い、善也は僕は普通の子どもだと否定した。

善也は子どものころ、外野フライを取れずに神に祈ったが願いは届かなかったと打ち明けた。田端は祈ること自体は間違いではないが、神を試す行為は正しくないと諭し、もっと広い願いを捧げるべきだと助言した。

さらに田端は、善也が神戸の地震直後に生まれたことを挙げ、その出来事も含めて神が善也をこの世に遣わせた証だと告げる。

「君はお母さんと一緒にあそこで祈るべきだ」

田端は善也の肩を叩いて諭す。

「嫌だ!こんな気持で行けるわけないだろ。僕は神様の子どもじゃないんだって!」

善也は逃げ出して嫌がった。

「今はまだよく分からないのかもしれない。だけど君のお父様であるその御方は、いつか君だけのものとして、姿をお見せになる。予想もしない時間と場所で、君はそのお方に巡り会えるはずだ

田端は予言をした。

母の告白

コロナ禍で誰もいない地下鉄に乗った善也は、車内にただ一人座っている男を見つけ、思わず足を止めてそのそばに腰を下ろした。電車の照明が何度も点滅し、そのたびに男の姿がちらつく。ふとその男の耳を見た善也は、あることに気づいて驚いた。

善也の脳裏に、かつて母から聞いた告白がよみがえった。10代の頃、母は深い闇の中で生き、何人かの男と愛のない関係を持った。高校2年のときに最初の妊娠を経験し、堕胎手術を受けた。その後、避妊していたにもかかわらず、再び妊娠し、さらに半年後には産婦人科医と交際するようになった

その医師は右の耳たぶが欠けており、幼い頃に犬に噛みちぎられたのだという。母はその耳を、何かの印のように感じていた。

やがて母は三度目の妊娠をした。医師は母を責め、他の男との関係を疑った。その悪意に引き裂かれ、母は絶望し、腹の中の善也とともに死のうと思ったという。そんな彼女に声をかけたのが田端だった。

本当の父親がその医師なのかと善也がきくと、母はそれをきっぱり否定した。

「それは違う。完璧な避妊をしていた。善也はね、天のご意志によって、この世界に遣わされた子どもなんだよ」

予期せぬ出会い

善也は向かいに座る男の耳がちぎれていることに気づき、衝動的に男を追った。地下鉄を降りた男はタクシーに乗り込み、善也も前のタクシーを追ってほしいと頼んで後続のタクシーにに乗った。

住宅街に到着すると男は降りて暗い路地を歩き出し、善也はそっと後をつけた。角を曲がった先で姿を見失ったが、目の前に開いたフェンスの扉を見つけ、恐る恐る中へ入った。

雷鳴が轟く中、灯りのともるグラウンドへ向かい、掛けられたはしごを登って場内に足を踏み入れる。そして、誰もいないグラウンドに向かって「あの!」と声をかけた

神との対話

数日前、善也は歩行も困難なほど衰弱した田端を訪ねた。田端は尿道がんを患い、最後に善也と話がしたくて呼んだという。

境内では信者たちが布に包まれた何かを埋めており、善也が尋ねると「誰かが捨てた猫だ」と教えられた。善也がここを訪れるのは約十年ぶりだった。

田端は、この十年のあいだにも道を失った人々が多く訪れ、その苦しみに寄り添い続ける必要があると語った。そしてその役目を善也にも手伝ってほしいと切に願い、最後にどうしてもそれを伝えたかったと言った。

「すみません。僕には田端さんの代わりなんてできません。僕は平凡な人間なんです。外野フライが捕れなかったあの頃のままです」

「それは違う、君はお方が遣わせた子どもだよ」

田端は明確に否定した。咳き込む田端に水を差し出しながら、善也は問いを重ねた。苦しいときに神に祈って助けを願ったことはないのかと田端に問いかける。

「ないよ。人生はつかの間の苦しい夢に過ぎない。この苦しみも死後の救いのため、試されているだけだ」

「そんな不公平なことってありますか?神は人を試すのに、どうして人は神を試したらいけないんですか?田端さんは、神様を疑ったことはないですか?

納得いかず、善也は問いかける。田端は一度もないと信仰に迷いはなかった。善也は引き下がらずに続けざまに質問を重ねる。

世界が悪い方向へ進んでも祈り続けるのかと問われれば田端は「もちろん」と言い、誰にも見られずとも荒れ地に水をまくように祈り続けられるかと追及されても「お方はずっと見ておられる」と静かに告げた。

「どうして神様は悪くなる世界を救えないんですか?どうしてずっとこの冷たい石のように、静かに見ているだけなんですか?猫だって助けてくれない。男の暴力から母を守ってもくれない。あなたの病気だって治してくれない

「だとしても、私たちは祈り続けるしかないんだよ。いつか世界が良い方向へ向かうように」

田端は視線をそらさず、善也をずっと見つめたまま静かに諭した。

「僕だって祈ってますよ。だけど、僕にとっては今の田端さんや、母さんのほうが大事なんです。遠い未来の救いなんて、僕には分からない」

善也は思わず声を荒げてしまう。田端は無言で聞いていた。はっと我に返った善也は、田端に謝罪した。そして幼少期から変わらず自分を見てきてくれた彼に感謝した。

「今の僕は田端さんにはどう映りますか?」

「私にとっては何も変わらないよ。あのころのまま、変わるはずもない」

「僕と田端さんは何が違うんだろう…」

田端と自分の違いに思わず善也がつぶやく。

「私は、神と出会えて幸せだった。それだけだよ」

静かに田端は告げた。

踊る神の子

暗いグラウンドを一人歩きながら善也は考えていた。マウンドに立ち、空を見上げる。お方様はいつも見ているという言葉がよみがえったが、それがいったい何を意味するのか分からなかった。

「見るなら見ればいい」と内心でつぶやき、空に向かってボールを放った。落ちてきたときの感覚を確かめるように受け止めると、善也はふらふらと踊り始めた。倒れても地を這い、また起き上がっては飛んだり跳ねたりと、誰もいないグラウンドで踊り続ける。

踊りながら、ミトミとのあの場面が頭をよぎる。あのとき「信じる?」と問いかけた後、ミトミは笑った。

「君がかえるの子でも、神様の子どもでも、そんなの関係ないんじゃない?」

そっとミトミは善也の手を握った。

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【地震のあとで】3話の結末

マウンドで振りかぶって投げる仕草をしたあと、踊り疲れた善也はそのまま倒れ込んだ。死の間際、ベッドに横たわる田端が言った言葉を思い出していた。

「善也君に、一つだけ言っておきたいことがあるんだ」

田端は自分が善也の母に抱き続けていたよこしまな感情──神に仕える身でありながら、頭の中で彼女の肉体を激しく求めたこと──を謝罪する

「僕はこの気持ちをずっと…抱えていたんだ」

田端は救いを求めるように、宙に手を伸ばす。その手を善也はぎゅっと握り返した

田端が「神様…」とつぶやきながら涙を流す中、善也も涙を流しながら語りだす。

「僕らの心は石ではないと思います。石はいつか崩れ落ちるかもしれない。姿形を失うかもしれない。だけど心は崩れません。だからこそ僕達は、その形のないものを、いいものもたとえ悪いものでも…どこまでだって伝え合うことができるんだと思います

善也は祈りを捧げ、田端はそのまま静かに眠りについた。

しばらくして起き上がった善也は、「神様…」とつぶやき、マウンドを後にした。

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【地震のあとで】3話のまとめと感想

信仰を捨てた宗教二世が、宗教家の死に際に祈る意味を問い、そして最後に祈りを捧げたという話でした。

前2話よりも少し分かりやすい話でした。祈るとは何なのか?その意味について善也は田端に問い続けます。宗教について考える際、確かに誰しも抱く感情だと思います。同じく神は何も救ってくれないという気持ちも分かります。

震災で大勢の人が亡くなり、神がいるならなぜ助けてくれないのか?善也は恐らくそんな気持ちを抱いたことでしょう。さらに身近にいる母や恩師を助けてもくれない神。ますます信仰する気持ちになれず、田端に問いかけ続けます。

やがて田端が実は母に対して抱いていた気持ちを聞かされ、善也はようやく気付きます。心とは善悪とかそういうことではないのだと、ただ“伝え合う”ためのものなのだと。そして田端のために祈りを捧げることもできました。

その一方で『かえるの子はかえる』と言ったメタファーが込められているような、母が性に奔放だったように善也もまた性に奔放であの晩、ミトミと関係を結んだのではないか?と想像を掻き立てられます。

見返りがないと何も信じられない、自分が何者かでないと何もできない。そんなことは全て関係ないのだと、考えさせられる回でした。

【地震のあとで】3話のいいセリフ

人生はつかの間の苦しい夢に過ぎない

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