【悪の波動 殺人分析班スピンオフ】の最終回は、井口と野木の対決に終止符が打たれます。そして吉佳との関係も終わりを迎えます。最終回は【石の繭】への始まりとなりました。
【悪の波動 殺人分析班スピンオフ】最終回のあらすじ
野木は井口に用心するよう吉佳に伝えようとするが、井口は既に吉佳に接触していた。野木は吉佳の身を案じ、自宅アパート前で待ち伏せする。野木は井口と対峙するが、スタンガンで攻撃を受けて気を失ってしまう。目が覚めると野木は監禁されており……。井口は、捜査が自分の思惑通りにうまく運んだと意気揚々と捜査本部に返り咲く。そこへ1本の電話が入り……。
公式HPより引用
【悪の波動 殺人分析班スピンオフ】最終回のネタバレ
- 野木は吉佳の部屋に急いで行くが、既に井口と一緒に移動してしまっていた
- 警察では供述からくびくくり事件の真犯人は、香水に強い執着心を持っていて、それで女性を選んでいる。40代前後の男性が容疑者と思われ、野木はまた容疑者から外れる
- 野木が外に出ると花壇のところで井口と会う。井口は三人目の被害者と野木がいた時、離れるのを待って近づいた。その後、どこかに女を隠して野木の部屋を訪ねた。だから香水の匂いが井口からしたという話を野木はする
- 今時の若い女性でkanaを使っている人は珍しく、そのkanaを使っている女を選んでいたのだろうと野木は言う
- 吉佳がどこにいるのかと問うと、今会わせてやるから一緒に来いと井口はいう。そして野木が人を殺したくて仕方がない欲求を抱えるのは、誘拐犯への復讐心からだと言い、警察を無能呼ばわりするのは未解決で終わっているからだと言う
- 野木にスタンガンを当てて気絶させ、警棒で殴打した後、井口は野木を連れ去って監禁する
- 拘束された野木の前にあるモニターには、井口と吉佳が会話している映像が映し出されていた。吉佳は野木について兄のこともあるので、用心棒的な存在にしか思っていなかったことが分かる
- 吉佳は井口にスタンガンを当てられて気絶させられ、その後、自ら首を吊らせるようロープに頭を入れることを命じられる。ぐらつく足元が崩れ、吉佳は自ら首を吊って死ぬ。それを野木は画面で見ていたが、吉佳の気持ちを知った今ただ笑っていた
- 井口は自宅で祝杯をあげ豪勢な食事を堪能していた。仏壇には母の遺影があり、香水と食事も供えられていた
- 吉佳の遺体が発見され、手についていた毛髪が野木のものだと分かる。警察は野木を逮捕に向けて動き出し、井口もその捜査に加わっていた。だが肝心の野木は逃げ出していて、どこにいるか不明だった
- そこに野木から連絡が入り井口と話をする。既に井口の部屋に来ていた野木は証拠を探していた。井口は慌てて自宅へ戻る
- 室内に入るが野木の姿はなく、井口は隠していたSDカードを母親の遺影の入る写真立てから取り出す。その背後に野木がいて応戦しようとするが体が思うように動かない。室内には笑気ガスが野木の手によって充満していたのだった
- ガスマスクをしていた野木が、井口の首にロープをかける。最初の殺人は難しいぞという井口に対し、もう一人やっている、父親をと答える野木。ロープを引いて井口の首を絞めて殺害する
- 警察が井口の家に踏み込んだ時、井口は母親の仏壇に手を合わせるような形で首を吊って死んでいた。遺書が発見されPCを確認したところ、井口が各犠牲者を殺害している映像が映し出された
- 一年後、野木はカフェで働いている。そこに塔子がやってきて、コーヒーを出して微笑んだ
【悪の波動 殺人分析班スピンオフ】最終回の感想
【石の繭】の前日譚なので当然逮捕されるとか、そういった終わり方はないとは思います。この終わり方だからこそ次に繋がるという終わり方です。吉佳と野木の関係がもっとピュアなものかと思っていたら、吉佳がとんでもない女でした。女心の複雑さを改めて感じます。
井口と野木、似たような人物として描かれます。ただ、井口の犯罪は母親がどういうことで死んだのか、具体的な説明がないので復讐の意味があるのかは分かりません。殺人の衝動に駆られているというところでは、共通点はあるのかもしれません。
井口の母親の事件とはどういったものだったのかと、吉佳が野木に対して抱いていた感情について掘り下げます。
ネタバレの詳細となります。未見の方はご注意ください。
井口の母親の事件について考察
前回、井口の母親はあまり良い死に方をしていないと、警察関係者の口から伝えられます。しかし、それが具体的にどういった内容だったかは、最終回でも分かりません。ただ、セリフから少し見えてくることがあったのでまとめました。
- 井口の母親の事件も未解決である
- 香水は母親がつけていたものである
- 最初の殺人は大変だ
- うまくやらないと、一生トラウマにつきまとわれてボロボロになる
警察を野木が無能呼ばわりする理由は、事件が未解決だからだという指摘をし、そのことについて理解を示します。よって、自分の母親の事件も未解決であることが考えられます。
殺人の欲求があるが快楽を知らないと野木に対して井口は言います。ということは、井口は既に殺人が快楽になっているということが分かります。
井口は自宅の仏壇に母親の遺影が飾ってあり、そこにあの香水kanaが置いてあります。そこから考えられるのは、kanaは母が使っていた香水だということが分かります。
最初の殺人は大変だと言い、うまくやらないと一生トラウマにつきまとわれてボロボロになると井口は言います。ここから考えられるのは2つあります。
- 母親を殺害したのは井口
- 母親を殺したと思われる人物を殺した
トラウマになるというぐらい、最初の殺人は大変だったようです。ボロボロというのは心身がボロボロということか、とにかく辛い状況なのだろうとは想像できます。母との関係性がどういうものなのかは分かりません。
仮に母との関係が悪かったので殺してしまい、その後、母のような女性、母と同じ香水をつけている女性を見ると殺害したくなる。または、母を殺したと思われる人物を殺害し、その後、母の面影を探しては同じ香水をつける女性を殺害してしまうという方向か。などを思いつきました。
いずれにしても、人殺しの気持ちは人殺しが分かるのか、野木を見て自分と同じ匂いを感じ取ったようでした。
吉佳の野木に対しての思い
積極的にアプローチしたり野木のことが好きなのかと思っていた吉佳ですが、実は好きという気持ちではなかったことが分かります。彼女が井口と交わしていた会話から、その気持ちを紐解いていきます。
- 自分より可哀想な人だから一緒にいられる
- 母が殺されたことをいつまでも引きずっている人だ
- 野木は遠くに行きたいという妄想を信じている
- 野木は色々普通じゃない。怖い
- 可哀想だと思うから優しくした
- 兄のこともあるし隣にああいう人がいると助かる
- 自分には害がないと思っていた
“好き”という感情で一緒にいたわけではないということが分かります。じゃあなんで近づいたのか?それは、兄のことがあったので隣にいたら安心と思っていたということです。色仕掛けで迫り自分には害を及ぼさないようにしていた、助けてくれたお礼に食事を振舞ったりしていた、そんな打算的な姿が見え隠れします。
吉佳が連れて行かれた時、野木は当初助けようと思っていました。しかし、この話を聞いてからは裏切られた気分になり、吉佳が首を吊らされたのを見て大笑いします。死んでも悲しみの感情が湧かなかったのです。
この2人の関係がこんな関係で終わるのは何だかなと思いますが、野木の非情さを形成するために必要な経験だったのでしょう。ますます殺人の衝動が抑えられなくなり、人間不信にもなったきっかけの話という感じです。
結論
吉佳が野木と一緒にいたのは、好意ではなく憐れみ
吉佳にとって野木は用心棒的存在だった
【悪の波動 殺人分析班スピンオフ】最終回のまとめ
野木と井口の対決は野木の勝利で終わります。【石の繭】の前日譚という触れ込みで始まった作品なので、野木の死や逮捕はないことが最初から分かっています。今回のドラマはトレミーを形成するための、殺人衝動や人間不信といったきっかけの一つとなる話でした。
吉佳と関係が別に恋愛話でもなく、野木と視聴者だけがそう思っていたという、何ともやるせない終わりです。結局連続くびくくり犯は井口で、なぜか野木に罪を着せようとムキになります。野木以外の人に着せれば巧くいったかもしれませんが、野木は殺人を躊躇わない男です。返り討ちにあった形となります。そういう部分でダークヒーロー的な話でもありました。
トレミーという人物が殺人鬼であるにも関わらず、どこかカッコイイと思わせる部分があるのを、今回の話でもよく分かります。
11月17日から【殺人分析班シリーズ 蝶の力学】が放送開始します。そちらも楽しみに視聴したいと思います。