【相棒シーズン22】18話「インビジブル~爆弾テロ!最後のゲーム」のネタバレと感想をまとめています。前回から続いた話が今回で完結します。
自ら出頭してきた連続爆破事件の犯人だが、犯行動機を語る事はなかった。ただゲームを楽しむような犯人に、右京は亀山と協力して事件の解明に努める。やがて全ての事件はこの署に集約されていると右京が気付き……。
【相棒22】18話のあらすじ
連続爆弾事件の犯人として、城北中央署に出頭してきた山田(中川翼)は、杉下右京(水谷豊)以外とは話さないといい、右京が取り調べをすることになる。
なぜこんなことをしたのかと右京が訊くが山田は一切答えず、取り調べが勝負だと言ってまるでゲームを楽しむような態度だった。
亀山薫(寺脇康文)は何とか手がかりを探そうと署内を歩いていると、人事課である情報を小耳に挟む。
それは金森翔吾(井上拓哉)という新人巡査が、爆破事件の被害者である牧野文雄(山形匠)が退職する1ヶ月ほど前に自殺していたという情報だった。
亀山は金森の自殺が、山田の犯行動機なのではないかと考える。同じ時期に柿沼勇作(横山涼)という巡査も退職していたため、右京は伊丹憲一(川原和久)に話を聞いてきて欲しいと頼む。
すると突然爆発音が響き渡り、職員寮のゴミ置き場で爆弾が爆発する。さらに山田は最後の爆弾が16時に爆発するというが、場所については一切語らない。
連続爆破事件の背後に隠された“インビジブル”の意味とは……?
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【相棒22】18話のネタバレ
爆弾事件の共通点
城北中央署の職員寮のゴミ置き場で爆発が起き、杉下右京(水谷豊)と亀山薫(寺脇康文)は、犯人として出頭してきた山田(中川翼)と再び話す。
ゴミ収集が午後になることを計算に入れていたのだろうと、右京は山田に問いかける。
一番最初の爆弾である、市長の家に送った時も、死傷者が出ないように事前に電話をして避難を命じていた。
牧野に爆弾を送った時も、金属片を入れずに大怪我で留めた。それぞれの爆弾から殺害する意図が感じられなかった。
3つの爆弾に共通するのは、城北中央署の関係者だということ。1年前に自殺した金森翔吾(井上拓哉)巡査との関係性を問うが、山田は何も答えなかった。
ただ、最後の爆弾は16時に爆発すると告げた。亀山は共犯者の事を訊くが、山田はやはり何も答えない。だが右京は必ず止めてみせると宣言した。
自殺の理由
右京に頼まれて伊丹憲一(川原和久)と芹沢慶二(山中崇史)は、金森の死後、退職した同僚の柿沼勇作(横山涼)の自宅を訪ねる。
あれはパワハラというレベルではないと語る柿沼。牧野は独身寮の主だった。上には媚びへつらうくせに、下の人間には厳しい人物だった。
みんな色々やられていたが、金森だけが牧野に抗議をした。それ以来、金森は牧野に目をつけられてしまう。
ある日、牧野が金森に土下座を強制している現場に柿沼は居合わせる。「親の教育を受けてない奴はこれだから」と、施設出身の金森の事を牧野は罵った。
そんな事が毎日続き、次第に金森の心は折れていった。決定的に折れたのは、署長の山田正義(金井浩人)のせいだと柿沼はいう。
耐えかねた金森は署長に直談判しに行く。すると署長は「君は施設で育ったっていってたね。だから常識がないんだね」と告げて取り合わなかった。
その後、金森の遺体の第一発見者となってしまった柿沼は、きっとその一言で絶望したのだろうと想像した。
柿沼が報告に行くと遺書がなかったのをいい事に、署長はパワハラを隠蔽してしまう。それを聞いた柿沼も「あそこには正義はなかった」と絶望して退職した。
“インビジブル”の意味
右京は金森が児童養護施設出身と知り、園長の加藤静子(島かおり)に話を聞く。金森は親の虐待を受けていたため、5歳の時に入所した。
とても正義感の強い子供だった金森は、警察官になるという夢を叶えるが、たった1年もたたないうちに亡くなる。
18歳になったら子どもたちはみな、施設から離れて生きていかなくてはならなくなる。施設育ちという偏見と戦いながら、全て自己責任で生きていかなくてはならない。過酷な話だと静子は嘆いた。
「彼らの抱えている苦労や悩み、本当の姿は世間の人の目には見えないんですよ」と語る静子。外国では世間から見放された人々の事を、“INVISIBLE PEOPLE”と呼ぶ人もいるという。
金森が弟のようにかわいがっていた子達がいるといい、3人が写る写真を静子は右京に見せる。
写真には山田もいて、下の名前を訊いたところ、「希望」と書いて「のぞみ」と読むのだと右京に教える。
もう1人の少年は本城卓(吉田日向)といい、建材の会社に就職したが金森の葬式の後に辞めていた。
今思うと葬式の時に2人とも様子がおかしかったと静子はいい、それからしばらくして2人とも連絡がつかなくなった。
事件の真相
伊丹は柿沼から聞いた話を右京に伝える。今回の一連の事件は復讐で、恐らく2人に宛てた遺書があったのだろうと右京は考える。
自分が本城なら向かう場所は1つあると右京は言い、伊丹たちにその場所に行ってもらうことにする。
亀山から現在の本城の仕事を聞いた右京は、警察署に来ていた電気設備の車を思い出して亀山に指示を出す。
本城は16時に爆破を実行するため、突如会社を辞めて向かった先は、金森の眠る共同墓地だった。しかしそこで待ち構えていた伊丹たちに捕まる。
山田はやってきた右京に、最後の爆弾はこの警察署に仕掛けてあると言う。しかし遅れて入ってきた亀山が、爆弾処理班によって解除されたと教えた。
送られてきた遺書には、金森の無念が綴られていた。山田と本城は金森の葬式の日に復讐を誓う。
城北中央署の崩壊を人々に見せ付けることが、2人の最終目的だった。だから建物に自由に出入りできる設備業者に本城を就職させた。
右京は疑問の思っていたことが1つあった。牧野と署長はともかく、なぜ市長の家に爆弾を送ったのかということだった。
だがそれも山田の生い立ちを知って分かった。山田は生まれて間もなく、施設の前に置き去りにされた。
その場合、戸籍法に基づき、当該地方自治体の首長が命名することが定められている。山田の名付け親、それは東都市長の山田征志郎(升毅)だった。
征志郎は名前をつける際、悩んで直接子供を見に行った。そして自分の名字の山田と、希望と書いてのぞみと名づけた。
山田は「絶望しかなかったのに。自分の名前大嫌いです」と言い、市長の実子である署長の名前が「正義」と書いて「まさよし」と読むことを笑った。
「僕が希望であいつが正義。罪深いと思いませんか?すぐに捨てられるなら、生まれなきゃよかった」という山田の手首には、無数のためらい傷があった。
山田はその才能ゆえ、クラスメイトからも教師からも気味悪がられ、学校に居場所が全くなかった。「僕にもう1つ親がいないというハンデがあった。人間って、なんで人を差別するんでしょうね」と山田はつぶやく。
本城は幼い頃体が弱く、施設育ちの2人はいつもいじめの標的にされていた。だがいつも金森が助けに来てくれて、2人はそんな金森を慕っていた。
自殺未遂をするたび金森に説教をされたという。「命を大切にしろ。希望を持て。自分はあんなふうに死んでおいて…あの強い人ですら、生きられないんです。この世界は」と嘆いた。
牧野を殺害しなかったのは、怪我を負わせて一生自分の犯した罪を、後悔させ続けるためだったと山田は語った。
【相棒22】18話の結末
最後の爆破計画が失敗に終わったかに思えた山田だが、不意に立ち上がると改造銃を取り出して右京たちに向ける。
どこからそんなものがと驚く出雲麗音(篠原ゆき子)は、ふと山田がトイレに立った時のことを思い出す。銃は事前に本城がトイレのタンクに隠していたものだった。
「ここまでが僕の計画です」と言って山田は銃口を自分のこめかみに当てる。右京は怯まずに銃を下ろすよう告げると、銃口を右京へと向ける。
「罪を償えば、必ずやり直せます」と言う右京に山田は「ああ、がっかりだな。杉下さんもそんな綺麗事いうんだ」と呆れる。
右京は「綺麗事でも信念を伝えることは、大人の責任です!」と声を荒げ、「君の未来に希望はあります」と言いながら山田に近付いていく。
「希望はあります」と何度も言いながら右京は、山田が持っていた銃をゆっくりと取り、そして最後に抱き寄せて「希望は…あるんですよ」と言って慰める。山田は泣きながら右京にもたれかかった。
その後、署長の所へ右京と亀山は向かう。帰ろうとする署長に亀山は「今回の事件が起きたのはあんたのせいだ!あんたの薄汚い隠蔽工作を調べるために、もうすぐおっかない監察官が来る。首を洗って待ってろ!」とすごんだ。
山田市長は息子である署長のパワハラを隠蔽したことが、今回の爆破事件の引き金になった責任を取って辞職した。署長もパワハラの隠蔽指示をしたことで処分された。
亀山は角田六郎(山西惇)が部署にコーヒーを取りに行こうとするのを見て、右京をしばらく1人にさせてあげて欲しいと言って制す。
右京は1人で物思いに耽るようにチェスを指していた。窓の外を見ると、雪が降り始めていた。
【相棒22】18話のまとめと感想
パワハラが原因で自殺した人物のために、復讐をしていたという話でした。
インビジブルとは、世間に見捨てられた人々のことを指していました。つまり山田や本城のように、施設で育った人たちの事を今回は指しています。
才能があるゆえに気味悪がられた山田、正義感が強いゆえにパワハラされた金森、体が弱いゆえにイジメられた本城。
3人共ただでさえ妬まれたり疎まれたりするのに、さらに施設育ちということがイジメに拍車をかけます。なぜ人は人を差別するのだろうか、山田はあまりに理不尽な世界に絶望します。
しかし山田の才能はあまりに凄すぎて、親がいようがいなかろうが、イジメの対象になりかねません。仮に人は差別をしなかったとしても、恐れはするでしょう。
中々に重いテーマの話でしたが、事件の内容的にはそう複雑な話ではありません。次回も前後編に分かれている話になります。