【ゼイチョー~「払えない」にはワケがある~】3話「シングルパパの闇…公務員、頼って下さい。」のネタバレと感想をまとめています。
今回の滞納者は2人の子どもを育てるシングルファーザーの父親。1人で何でも抱えすぎてしまう彼を、なんとか助けてあげられないかと増野が奮闘する。一方、理想のシングルファーザーとしてSNSで人気の人物には、偽装離婚の疑いがあり……。
【ゼイチョー】3話のあらすじ
今回の滞納者である契約社員のシステムエンジニア・木下裕介(小関裕太)は、住民税を滞納していた。木下は1年前に妻を病気で亡くし、3歳と2歳の2人の子どもがいるシングルファーザーだった。年収は450万ぐらいあるにも関わらず、なぜか税金を納めていなかった。
さらに保育料も滞納していたため、百目鬼華子(山田杏奈)は保育課と一緒に協力したらどうかと提案する。そこで、増野環(松田元太)は、保育課の担当者である板谷奈々(中田クルミ)と一緒に木下の家に向かう。
郵便物のチェックもままならいぐらい、子育てと仕事の両立で疲弊している様子の木下は、その場でとりあえずの金を渡す。増野は何か手伝えることはないかと木下に言うが、役所の人間を頼るつもりはないと断られてしまった。
一方、百目鬼華子は窓口にやってきた、出渕恵美(大西礼芳)の相談に乗る。恵美は1年前に夫と離婚して、夫婦それぞれで長女と長男の1人ずつを引き取っていた。現在は無職のシングルマザーの恵美は、生活保護にひとり親控除などを申請してきた。さらに住民税を滞納しているので、停止処分をして欲しいという。
申告制ではなく停止を検討するか審議してからだと説明する華子に恵は、地方税法を持ち出して論破する。その様子を饗庭蒼一郎(菊池風磨)は何か裏があるのではないかと見ていた。
増野はその後も木下の家に行って、何とか助けようと子育て支援のパンフレットをポストに投函する。そこに子どもが駆け出して出てきたのを見て木下に事情を聞くと、亡き妻との間にした約束を守るため、彼は1人で育てることを決めていたことが分かる。
やがて納税課から木下の家を捜索するよう命令されてしまい……。
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3話のネタバレ
3年前
奥林が飛び降りた後、饗庭蒼一郎(菊池風磨)と相楽義実(本郷奏多)は病院の待合室にいた。手術を終えて出てきた医者に話を聞くと、何とか一命は取り留めたが目が覚めても能に障害が残ると言われる。
ショックを受けて落ち込む饗庭だが、相楽はその場を離れていこうとする。饗庭は相楽に掴みかかり、あの時、奥林と何を話していたのか詰め寄った。
今回の対象者
増野環(松田元太)が担当する木下裕介(小関裕太)は、住民税を27万円滞納していた。木下は契約社員のシステムエンジニアで、妻を1年前に病気で亡くして以来、シングルファーザーとして3歳の碧(渋谷そらじ)と2歳の彩(國谷茉楠)を育てていた。
年収は450万円ぐらいあり、納付はできるはずなのに督促状も留守電も無視し、臨宅しても会えない状況だった。そこで百目鬼華子(山田杏奈)が、保育課と協力するのはどうかと提案する。
そこで饗庭と一緒に増野は保育課の課長・町田孝二(坂田聡)に会いに行く。木下は保育料も滞納していることが分かったため、保育課の担当者・板谷奈々(中田クルミ)と一緒に保育園の迎えに来るタイミングを狙うことにする。
保育園に行くと木下の娘が熱を出したため早退していた。保育士の話では木下は仕事と子育ての両立が限界なのではないかという。一方同じシングルファーザーでも瀬戸知宏(見津賢)は、仕事も子育ても完璧でSNSではそのことを書いた人気で、理想のシングルファーザーと呼ばれていた。
奈々の話では男性の1人親は弱みを見せたがらない人が多く、市のひとり親支援を木下は全て受けれるのに、自己申告制のため案内できていない状況だった。知らないと損するのは、税金と同じだと饗庭は言い、臨宅には行かず役所に戻った。
増野の志望した課
増野と奈々の2人で木下の家を訪問したところ在宅していた。部屋は散らかり郵便物のチェックすら木下はままならず、取りあえずの納付としてその場で現金7万円を渡した。ひとり親支援制度の案内をしたいという奈々に、増野も何か手伝えることはないかと申し出る。しかし木下は「結構です」と即答し、役所の人間に頼る気はないと追い返した。
何もできない無力さと、納税吏員の嫌われ具合に職場に戻った増野は落ち込む。元々納税課志望ではなく、保育課を増野は志望していた。子どもたちに公務員として、何かできればと思っていたからだった。それだけに今回の対象者を何とかしてあげたい、増野の思い入れは強かった。
怪しいシングルマザー
一方、華子は窓口にやってきた出渕恵美(大西礼芳)の対応をしていた。彼女は1年前に離婚し、夫婦それぞれで長女と長男の1人ずつを引き取っていた。離婚後に体を壊して働けなくなり、現在は無職のシングルマザーで夫も今はシングルだった。
申請してきたのは生活保護、ひとり親控除、児童扶養手当だった。別の課を紹介しようとした矢先、恵美は住民税を滞納していると督促状を取り出す。そして停止処分をお願いしてきた。
差し押さえられる財産がない場合は、たちかに滞納処分の執行を停止することもあり、生活保護の受給者も対象になるが、滞納者の申請に基づくものではないと華子は説明する。
そもそも停止を検討するかどうかも、こちらで審議してからだと華子の説明を遮るように恵は、地方税法に停止処分の規定があると言い、ちゃんと審議をして欲しいと頼んできた。
呆気にとられる華子だが、饗庭はそのやり取りを聞いて裏があると感じていた。
木下の事情
増野は再び木下の家に行って、子育て支援のパンフレットをポストに投函する。そこへ駆け出してきた碧を見て、どうしたのかと木下に事情を聞く。家で仕事をしていた木下に、碧は絵本を読んで欲しいとせがんできた。今はできないと断ったら駄々をこねた碧は「ママは読んでくれたのに、パパなんか大嫌い!」と言って家を飛び出したという。
自分はダメな父親だと消沈する木下は、こんなはずじゃなかったのにと零す。増野がよければ話してくれないかと言うと、木下は身の上話を始める。
妻は気付いた時にはもう手遅れで、入院してから最期まで子どもたちの心配をしていた。妻の実家からは時々電話がかかってきて、子育てを分担しないかと言われたが、妻と1人でやり切ると約束をしていたので断ったという。実の両親は地方に住んでいたので、最初から頼る気もなかった。
1人では大変だと言う増野に木下は、瀬戸は自分以上にできているからこの程度で音を上げてられないと、あくまで誰かを頼る気がなかった。それでも増野はひとり親支援制度を申請してくれないかと言い、木下から言ってくれないと対応のしようがないと頼んだ。
偽装離婚
華子と饗庭は恵美の元夫が瀬戸だと書類を見て分かった。夫は理想のシングルファーザーで妻は生活保護申請するほどの困窮者、その上マイナーな法律まで知っているあたり怪しいと饗庭は睨んでいた。
生活状況を確認しに行ってみたところ、離婚後も同じマンションに住んでいるようだった。さらに家族4人でレストランで食事をしていた。そのレストランを見た饗庭は、保育園で見た瀬戸の息子である陸(廣瀬樹季)の描いた絵を思い出す。絵を保育園で確認してみると、さっきのレストランの看板が描かれていた。
偽装離婚をしている可能性が高いと、係長の橘勝(光石研)に報告をする。ひとり親は行政から様々な支援を受ける事ができるため、それを不正に得るために結婚生活を続けたまま、離婚届だけを提出するのだと鷺沼宏樹(猪塚健太)が説明した。
不正受給は詐欺罪で犯罪だと華子は憤るが、饗庭は恵美の娘である桜(佐藤恋和)は偽装離婚を何となく理解していて、親に口止めをされていたのではないかという。弟があの店を絵に描いてしまったのを見て、やばいと思って絵を破ったのかもしれないと、ハロウィンイベントで起きた出来事を振り返る。きっと子どもなりに証拠を隠そうとしていたのだろうと。瀬戸は理想のシングルファーザーでも何でもなかったのかと、増野はつぶやいた。
饗庭と華子は直接、瀬戸と恵美のところへ聞き込みに行く。単刀直入に偽装離婚ではないかとたずねるが、2人はきっぱり否定した。キッチンには4人分の食器もあるし、どうみても一緒に暮らしていると華子は指摘する。だが、瀬戸は娘たちも時々遊びに来るので食器は必要だと譲らない。
レストランに話を聞いたところ、毎週通っていると言っていた。さらに自宅でも食べるのかと華子は食い下がる。すると役所は会う頻度まで口出しするのかと、瀬戸は開き直った。
訪問を終えた華子は、2人のまるで悪気のない態度が気に入らなかった。饗庭は子育て支援の本が沢山あの家にはあったといい、行政の支援について相当勉強したのだろうと考えていた。瀬戸は元々所得も高く、家の中もお金に困っている様子はなかった。なぜ彼らは不正受給をしているのかが分からない。
すると饗庭の電話に増野から連絡が入り、2人は急いで病院へ向かった。
家宅捜索の命令
木下は過労で倒れてしまい、病院に運ばれていた。増野は奈々から連絡を受け、饗庭たちに連絡した。奈々は保育園から木下がいつまでたっても迎えに来ないのを心配し、連絡をしても繋がらないため奈々に連絡が入った。幸い木下は入院はしないで済んだ。
義母の穂木頼子(栗田よう子)がやってきて、子どもたちの面倒を手伝わせて欲しいと木下に頼む。しかし木下は1人で大丈夫だといって断ってしまう。増野は理想のシングルファーザーと言われていた瀬戸も、本当は1人で子育てをしていなかったと教える。だからもっと周りの人を頼って欲しいと言うが、それでも瀬戸は頼らずに自宅へ戻った。
職場に戻ると徴税課の課長である北沢敬之(六角慎司)が、木下の家に家宅捜索をするよう命じる。彼は納付の意思がないわけではないと華子は猛反対した。そこに日比野みのり(石田ひかり)が割って入り、徴税強化対策の一環だと言い出す。
なぜ木下なのか、他にも滞納者はいるのに不思議に思った饗庭が問うと、保育課に木下が子育て支援の申請に来たからだという。木下はあの後、窓口を訪れて申請に来ていた。しかし、保育課の課長が住民税を払っていないから受理を迷い、納税課に連絡してきた。
まずは滞納分を原ってもらうのが先だ、税金を滞納しながら支援を受けようなんて厚かましいと、みのりは言い切る。滞納しているからこそ手を差し伸べるべきだと華子は反論した。
饗庭は今まで起きたことを考えた結果、華子に瀬戸の家に行こうと誘った。
偽装離婚の真実
保育課の奈々のもとに饗庭たちはやってきた。木下への支援を全部通して欲しいと増野は頼む。そして瀬戸夫婦が偽装離婚ではないかと問題になっている話もした。そこへ課長の町田が来ると、彼らがなぜ偽装離婚しなければならなかったのかを説明する。その理由は育休退園にあった。
2人目が生まれた親が、育児休業を取得すると家庭で保育できるとみなされ、上の子が退園させられることがある。瀬戸家は姉が退園させられてしまい、その頃夫が育休を取ることができず、子育ては妻1人でやっていた。保育園をいくら探しても空きが出ず、育休を延長するのも限界で妻は結局退社することになった。
保育園に入れないなら割り切って、子どもと一緒にいる時間を大切にすることだってできた。でもあの時は育休退園なんていうおかしな制度に振り回されたのが本当に悔しくてと恵美は言う。その後、何度も保育課に相談しても相手にされなかった。その時の担当者が奈々だった。
そこで夫婦が考えたのが偽装離婚による入園だった。みゆきの市では入園審査に点数制を導入していた。申し込みする保護者の大半は、両親共にフルタイムで働いているなど、家庭の条件が似ていたため、点数にほとんど差がない状況だった。
偽装離婚によって、書面上はシングルになることで点数を稼ぎ、子どもたちを入園させることにした。どうせなら市の制度を徹底的に使おうと考え、住民税の停止処分を恵美は訴えたという。制度を知らずに届出を出せなかった木下とは、まるで正反対の家庭だった。
諸悪の根源
全ての指示は町田課長によるものだった。町田は待機児童の数を減らすことにむきになり、数字の上だけで減っているようにしていたのだ。
指摘された町田は仕方がないと逆ギレする。保育士の数が少なくて限界なのに、市長は子育ての街としてPRしようとしている。みゆきの市に待機児童なんていてはならないと開き直った。それを聞いた増野は「課長は誰のために仕事をしているんですか。保育科の職員なのに、子どもたちを見ていないなんて…」憤る。
一度愚痴を言い始めた町田の文句は止まらない。そもそも保育課になんてきたくなかった、自分勝手な親が無茶な要求ばかりしてくるから嫌だった。公務員になったのも安定した職場だったからで、定年まで上の機嫌を損ねず仕事をしようと思うのが当然だと言い出す。
それを聞いた華子は「最低ですね」と軽蔑した。さらに饗庭は市役所に来る人たちは何かしら困っていることがあって来ている。そんな人たちに寄り添えない職員が1人でもいれば、役所全体の信頼が失われ、本来頼るべき人を遠ざけてしまう。せっかく徴収した税金を、届けるべき人に届けられなくなってしまうといい、公務員ナメないでくださいと畳み掛けた。
3話の結末
増野は保育園に行き、木下にひとり親控除の説明をし、住民税が30万円控除されることを教える。さらに園の送り迎えや、個人宅で預かってくれるサポートもあるから、何でも相談して欲しいと伝えた。増野はありがとうございますと深く感謝した。
そこに瀬戸夫婦もやってきて、2人の子どもが退園日だという。あの後、奈々に相談したら沢山調べてくれて、2人で揃って通える認可外保育園が運よく見つかったという。保育料は高くなるが、その分また働きたいと考えていると恵はいう。瀬戸は再び籍を入れて、これからは夫婦で子育てをしていくと語った。
増野は木下にもう1人で頑張らないでください。何か困っていることがあったら、僕たちを頼ってください。僕たちは公務員ですからと励ました。そこへ木下の義母が子どもの迎えにやってくる。これからは分担することにしたので、妻もきっと安心してくれますと木下は笑った。
昼食休憩中、増野が急にやる気スイッチ入ったとみんなで笑いながら語っていた。瀬戸のことは警察に相談しないとならないのかと気を揉んでいた華子に、饗庭は既に優秀な弁護士に任せていると教えて安心させた。
浜村宰(白州迅)がみのりに「ちょっとお時間よろしいですか?」と声をかけ、2人で何か話そうとする。
一方、華子と饗庭は市長に今回の問題について直談判しにいこうとしていた。廊下で遭遇した相楽は華子に自ら納税課を希望するなんて、母親のこともあるのに悪趣味だと嫌味を言う。何も言えずに黙っていた華子だが、市長に何かを言いに来たことを察した相楽は「話があるなら俺が聞くぞ。華子」と言った。
【ゼイチョー】3話のまとめと感想
制度を知らないために1人で抱え込んでいたシングルファーザーと、育休退園をきっかけに偽装離婚した夫婦の話でした。
まるで役所の啓蒙ドラマのようにも見えますが、『シッコウ!』と同じくドラマを通じて分かりやすく知らなかったことを色々知れるのはいいことだと思います。実際の現場はもっと大変で複雑でしょうが、それでも何も知らないよりは知っていたほうがいざという時に役立ちます。
今回、木下と瀬戸夫婦という2組の登場人物が出てきます。木下は制度を何も知らないがゆえに過労で倒れてしまう一方、瀬戸夫婦は制度をフル活用するために離婚までしました。極端な2組をあえて対比で出し、共に正常な状態に饗庭たちが戻す手伝いをしました。
本来もっと国の制度や金融関係のことを、私たちは積極的に知る必要があるのだと思います。しかし、学校では詳しく教わらないので、知らないまま生活しているのが現状です。それを補う意味で漫画やアニメやドラマなどで、こうやって分かりやすく啓蒙してくれるのはありがたいと感じました。
単なる啓蒙ドラマに終わらず、エンターテイメント性もあるので、毎週楽しく見れるドラマです。