2025年5月31日にフジテレビ放送された【世にも奇妙な物語 35周年SP~伝説の名作 一夜限りの復活編~】の4話目、妻夫木聡さん主演の『美女缶』ネタバレと感想をまとめています。
隣の住人の部屋から若い美女たちが、次から次へと出てくるのを見た雄太はその秘密を探りに室内へ侵入する。そこには『美女缶』なる缶詰があり、雄太は缶を使って美女を誕生させるが……。
ネタバレ
春子が出張でいない間、雄太は自分が生み出した美女・藤川サキと楽しい日々を過ごす。一緒にあった彼女の設定DVDを見た雄太は、彼女の生い立ちや好きなものを知る。そして彼女の好きな海へデートに誘った。
互いの距離が徐々に近づき、美容学校に通うサキは雄太の髪を切ってあげたりする。雄太はサキが欲しがっていたネックレスを買ってあげたいと思っていた。DVDの続きを見た雄太は、サキに品質保持期限があることを知る。それは4月15日のことだった。
4月12日、サキは設定DVDを見つけてしまい、自分が生み出された存在だと気付いてしまう。プレゼントのネックレスを買って戻ってきた雄太は、DVDがテーブルに置かれていたのを見て、急いで彼女を探しに行こうとする。
しかし、春子がちょうど出張から戻ってきた。何とかごまかして出て行こうとする雄太、着替えている彼の腰にも品質保持期限が刻まれていた。それは今日、4月12日までだった。
雄太は少しだけ出ると言って結局部屋を出て行く。春子は彼を追う事はしなかった。
雨の中、デートで行った海岸にサキの姿を見つける雄太。彼女にプレゼントのネックレスを渡そうとした。
謎の美女
冨岡冨士夫(小沢喬)というアパートの住人のもとに配達員(小花幸彦)が訪れた。届けられた箱には「艶モノ注意」と書かれたシールが貼られていた。それを通り過ぎた内尾雄太(妻夫木聡)は気になってその様子を見ていた。
部屋に戻ると、毛利春子(唯野未歩子)が隣に変なおじさんが引っ越してきたと話す。若い女の子と一緒に暮らしているらしく、不倫ではないかと疑っていた。
その夜、春子は突然泣き出した。明日から急な出張になり、週末まで会えないことが寂しいという。
翌朝、雄太が春子を見送ると、冨岡が美女と一緒に姿を現す。二人はなぜか大量の空き缶を持っていた。
美女缶
家の外に出た雄太は、見知らぬ外国人女性に声をかけられた。二人は短いやり取りの後、そのまま去っていった。
その直後、冨岡の部屋から次々と若い女の子たちが現れた。その数の多さに、雄太もさすがに驚きを隠せなかった。しばらくして冨岡が戻ってくると、彼女たちは一斉に喜びの声を上げた。冨岡が「じゃあみんな、いってらっしゃい」と声をかけると、彼女たちは「いってきまーす」と元気よく返し、それぞれ出かけていった。
その光景を、雄太は呆然と見つめていた。
やがてゴミ捨て場へ向かうと、「美女缶」と書かれた缶が大量に捨てられているのを目にする。そのうちの一つを手に取ってみると、そこには先ほど廊下で見かけた外国人女性と思しき特徴が記されていた。
偵察
自室で履歴書を書いていた雄太は、ふと例の女の子たちの姿を思い出した。隣の家の様子が気になり、ベランダからそっと中へ入り込む。
部屋の中はピンク色の光に満ち、ギラギラとした装飾が施されていた。テレビがつけっぱなしになっており、壁には女の子たちの名前が書かれたホワイトボードが掛けられている。それぞれの予定が記され、室内には携帯電話やメイク用品が無造作に散乱していた。
突然、携帯の着信音が鳴り響き、誰かが戻ってくる気配がした。雄太はとっさに『美女缶』とDVDの説明書を手に取り、慌ててベランダへと逃れた。
缶を使用
缶には「藤川サキ 20歳」と書かれた説明書きが添えられていた。雄太がその缶についていたDVDを再生すると、美女の誕生方法が映し出される。
まず、缶の上部にある名前欄に自分の名前を記入する。生まれてきた美女は、その名前で呼んでくれるという。次に、缶の中に入っている赤色のゼリーを、40度のお風呂のお湯にゆっくりと入れる。その際、必ず蓋を閉めなければならない。蓋をしないと、美女は恥ずかしがってうまく生まれてこないらしい。
浴室の扉を閉めたら、外で30分間待つ。その間に部屋の掃除をしたり、エッチなビデオを隠したり、口臭対策をしたり、眼鏡からコンタクトに変えるなど、身だしなみを整えて美女を迎える準備をするよう指示されていた。
雄太は慌てて、春子との写真や服などを片付け始める。
映像の最後には、美女はあなたを無条件に恋人だと信じ込むという説明があった。ただし、彼女たちは非常に繊細で傷つきやすいため、安易な性の対象とせず、心を通わせる共同生活を目指して「素敵な美女ライフ」を送ることが推奨されていた。
美女誕生
風呂場から「冨士夫さん、バスタオル取ってくれる?」という女性の声が聞こえてきた。雄太はそれを聞き、美女が本当に生まれたことを悟る。動揺しながらもタオルを手に取り、風呂場へ向かった。
やがて、藤川サキ(臼田あさ美)はタオルを体に巻きながら風呂場から現れた。その姿に雄太は改めて現実を認識し、さらに困惑する。
サキはさっそく携帯を手に取り、何やら操作を始めた。相方にメールを送っているのだという。どうやらルームシェアをしているらしい。
一体どんな設定なのか、と雄太は頭を抱えた。
喧嘩
サキはメールを終えると、そのまま眠ってしまった。雄太は衝動的に彼女に抱きついたが、目を覚ましたサキはいきなりそれを嫌がった。
「だって、そういうことじゃないの?」と困惑する雄太に、サキは「女の子がみなそうじゃないよ」と言い残し、部屋を出ていった。
雄太は慌ててサキを探しに出かける。しばらくして、証明写真機の中に座っているサキを見つけた。雄太は「さっきはごめん」と謝り、着ていた上着を脱いで彼女に差し出した。「もうなにもしないから」と言うと、サキは黙って上着を受け取り、雄太と一緒に帰宅した。
翌朝、サキはナポリタンを作って雄太にふるまった。雄太は「うまいよ」と言って食べ始めたが、テーブルの上でチーズを大量にかける姿を見て、サキは不機嫌になる。
その後、サキは「いってくるね」と言い残し、学校へと出かけていった。
彼女の設定
サキが出かけたあと、雄太は改めてDVDを再生した。そこにはサキの学習ビデオが収録されており、彼女の生い立ちが紹介されていた。
サキは1984年、愛知県半田所市の海辺の町で生まれた。すると突然、画面が切り替わり、「ステファノンのプレイボーイアドバイス」が挿入される。「サキは海辺で育ったから、海が好きなんだ。デートに誘ってあげよう」と唐突な助言が始まり、雄太は思わず「なんだこれ」とつぶやいた。
両親が営む喫茶店「ミャー」で、サキは子供の頃から店の手伝いをしていた。高校卒業を控えた彼女は進路に悩んだ末、美容師の道を選び、上京して専門学校に入学する。
入学して半年が経ったころ、サキは友人とルームシェアを始めたという。
初めてのデート
サキが部屋に戻ってくると、雄太は慌てて再生中のDVDを停止した。気まずさをごまかすように、雄太はすぐにサキを海へ誘った。
二人は海へ出かけ、楽しい時間を過ごした。浜辺でのんびりしながら、穏やかなひとときを重ねた。デートは終始和やかで、サキはすっかり雄太になつき、二人の距離は自然と縮まっていった。
帰り道、サキは店先でネックレスを見つけ「かわいい」と目を輝かせたが、雄太が値札を見ると「冗談、冗談」と笑ってその場を離れた。
やがてサキは雄太の髪を切ってあげたりした。雄太はそんなサキと過ごす時間が嬉しかった。
品質保持期限
サキが風呂に入っている間、雄太は再びDVDを再生した。
映像では、サキが上京して半年後、友人とルームシェアを始めるという設定が語られていた。ある日、ルームメイトと喧嘩をして家を飛び出し、雨宿りをしていたサキは、そこで“あなた”と出会う──それが物語の始まりだという。
「ここまでがサキの設定です。このあとは、あなたと思い出を作ります」と、ステファノン(Gregory)が締めくくった。
しかしその直後、画面には「品質保持期限:2005年4月15日」と表示された。雄太はその意味に戸惑いを覚える。
ふと部屋に目をやると、サキがベッドで静かに眠っていた。その腰には、DVDで見たとおりの品質保持期限とバーコードが記されていた。
雄太はそっと彼女に寄り添い、優しく抱きしめた。
ドラマの結末
4月12日。サキはナポリタンを作りながら、自分には才能がないのかもしれないと悩んでいた。粉チーズを探しているうちに、偶然「美女缶」のDVDを見つけてしまう。
その頃、雄太はサキが以前ほしがっていたネックレスを買いに出かけていた。プレゼントを手に戻ってくると、部屋にサキの姿はなかった。テーブルの上には見覚えのある「美女缶」のDVDが置かれていた。
その瞬間、雄太は何かを察し、慌てて部屋を飛び出そうとする。ちょうどそのとき、春子が帰ってきた。雄太はとっさにDVDを隠す。春子は雄太の髪が切られていることに気づき、どこか様子が変わっていることに違和感を抱く。
「雨に濡れてるんだから、着替えたら?」と促され、雄太が服を脱ぐと、腰には日付とバーコードが記されていた。
そこに刻まれていた期限は、今日2005年4月12日だった。
着替えを終えた雄太は、「すぐ戻るから」とだけ言い残し、外へ飛び出していった。激しい雨の中を走りながら、必死にサキの姿を探し続けた。
やがて、海岸にたたずむサキを見つける。ずぶ濡れのままベンチに腰掛けている彼女のもとへ、雄太はそっと近づいた。
波の音がふと消え、静寂のなかで時計の秒針だけが時を刻んでいた。雄太はサキの隣に立ち、買ってきたネックレスを差し出そうとする。サキはその気配に気づき、顔を上げて雄太を見つめた。
『美女缶』のまとめと感想
初回放送2005年の恋愛系の話です。雄太が缶から美女を生み出すように、雄太もまた缶から生み出された存在でした。恐らく春子が生み出したものと思われます。
最初は雄太が生み出された人物だと分からず、最後の頃になってそれが判明します。しかも雄太のほうがサキよりも先に、品質保持期限を迎えます。期限を過ぎた後どうなるのか分かりませんが、品質が悪くなるということであれば、どんどん腐り始めるのかもしれません。
このドラマは文字だけでも切なさが通じるかもしれませんが、最後のシーンは実際に見るとかなり胸を締め付けてきます。静寂だけが残り、時が止まったように2人だけの世界になる余韻が余計に切ないです。