第3話「視線」
キャストとスタッフ
- 新谷杏奈…池田エライザ
大学に通う文学部4年生 - 城 琢磨…醍醐虎汰朗
杏奈と同じ大学の法学部4年生 - 新谷さよ子…宮村優子
杏奈の母 - 新谷香織…川田秋妃
杏奈の姉 - 新谷杏奈(8歳)…沖田紘乃
- 脚本:エバラコウキ
- 演出:松木 創
あらすじ
続いては池田エライザさん主演の『視線』👁️👁️大学生の杏奈(池田エライザ)は授業中、大教室にいる全員の視線が自分に向けられていることに驚く。困惑する杏奈だったが唯一、自分から視線を外す城琢磨(醍醐虎汰朗)を見つけ…#世にも奇妙な物語#池田エライザ pic.twitter.com/UrL4wDxI8q
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新谷杏奈(池田エライザ)が授業中に目薬をさした途端、なんと全員が自分を見ていた。通り過ぎる人も誰もが杏奈を見ている。なぜみんな自分を見ているのか?悩んだ杏奈は、同じ目薬の持ち主である城琢磨(醍醐虎汰朗)からその理由を聞かされ…。
ネタバレ
新谷杏奈(池田エライザ)は大学の授業中に目薬をさす。すると、突然周りの人々が杏奈を見つめてきた。杏奈が止めて欲しいと頼んでも聞いてくれず、結局杏奈は教室を飛び出して逃げてしまった。通り過ぎる人たちも彼女を見つめていたが、なぜ見るのかたずねると、見ていないと答えた。
杏奈は叫びながら自宅に戻り、テレビをつけてドラマを見始めた。すると、彼らもまた杏奈を見ていた。やがて電話が鳴り、面接の結果が不採用だと告げられる。杏奈は数々の面接に挑戦しては落ち続けていた。
大学に行っても相変わらず人々は杏奈を見ていた。通り過ぎる人にぶつかり、目薬を落としてしまった杏奈に、男性が親切に拾って手渡す。その時、杏奈は彼が自分を見ていなかったことに気づいた。彼になぜそうだったのかたずねると、後で学食で会おうと言われた。
彼の名前は城琢磨(醍醐虎汰朗)といい、同じ大学の法学部の4年生だった。城も同じ目薬を持っていた。みんなに見られるようになったのは、目薬のせいだと城は言う。目薬の裏側には「この目薬をさすと、他人の視線を独り占めできます」と確かに書かれていた。城はネットで目薬を購入していた。目薬をさしている人同士は互いに見ないらしい。また、3時間たつと人から見られているように感じる効果がきれるという。
その時、スマホのアラームが鳴る。城は元の状態に戻りたくないと言って再び目薬をさした。見られているような感覚は一種の錯覚であり、実際にはみんなが見ていないと城は言う。杏奈はなぜこんな目薬が存在するのか疑問に思ってたずねると、幸せになれるからではないかと城は答えた。ある日、推しのアイドルのライブに行った時、メンバー全員が自分を見てくれて本当に幸せだったと城は話す。杏奈にも見てもらいたい人がいるのではないかと問われ、彼女は考え込んだ。
杏奈は幼少期のことを思い出していた。彼女は母親のそよ子(宮村優子)から視線を求めていた。ある日、公園に姉の香織(川田秋妃)と母親の3人で出かけた際、優秀な姉の周りには人々の視線が集まっていた。杏奈は母親に自分も見てもらいたくて、逆上がりができるところを見せた。しかし、その時姉の香織が滑り台から転落してしまう。母親は自分が姉から目を離したことを後悔し、杏奈を厳しくにらみつけた過去があった。
杏奈は家に帰ると、母親は本を読みながら彼女に視線を合わせない。仏壇には姉の好物のオムライスが供えられていた。今も毎日作って供えている母に、杏奈は苛立ちを覚えていた。母親にとって香織は自慢の娘だった。
杏奈は目薬をさせば母親が自分を見てくれるのではないか、と思って目薬をさす。すると、母親は彼女を見てくれた。杏奈は喜びのあまり思わず笑みを浮かべた。
それ以来、杏奈は毎日目薬をさすようになった。城が錯覚だというように、確かにガラスに映る人々は彼女を見ていなかった。それでも、杏奈は気にせずに目薬をさし、母親との食事を毎日楽しんだ。
一方、城は目薬がなくなりイライラしていた。ネットで目薬を探すがどこにも売っていないことに焦りを感じていた。そこで城は杏奈に目薬を譲ってもらえないかと土下座して頼む。しかし、杏奈は母の視線を得ることの喜びを知ってしまったため、城の頼みを断った。
すると城は杏奈の鞄を奪おうと襲いかかってきた。だが、偶然通りかかった他の学生が城を取り押さえてくれたため、杏奈は目薬を奪われることなく済んだ。城は杏奈も自分と同じ思いをすると訴え、目薬を使い切ったら誰も自分のことを見てくれない、耐えられないつらい現実が襲ってくるのだと叫んだ。
杏奈は自宅に戻り、再び母と食事をする。最近、母は優しい言葉をかけてくれるようになり、杏奈は喜びを感じていた。アラームが鳴ったため杏奈は目薬をさそうとするが、城に奪われそうになった際に目薬の瓶が鞄の中で割れていたことにショックを受ける。せっかく姉ではなく自分を見てくれるようになったのにと、もう終わりだとがっかりしていると、母がどうしたのと心配そうに見ていた。なぜ目薬をさしていないのに、母が自分を見てくれるのかと杏奈は驚いた。
杏奈は父親が出て行ったのは姉ではなく自分が残ったからだと思っていましたし、姉と比べて何もできない自分なのになぜ見てくれるのかと母にたずねる。母は「私、怖かったの」と告白する。姉が亡くなった時に動揺し、杏奈に冷たくしてしまったため、もう許してもらえないと思って見れなかったのだという。ただ、ここ最近の杏奈の笑顔を見て、もしかしたら許してくれたのかもしれないと思い、見ることができたのだと母は言う。本当にごめんなさいと謝る母に、杏奈はようやく心から喜ぶことができた。
杏奈が大学に行くと、目薬はさしていないのになぜかみんな彼女を見ていた。彼女の背後にはナイフを手にした城が立っていた。城はナイフを突きつけながら「幸せだろ。これで手に入ったじゃないか。目薬なんかが作り出した虚構ではない、本当の視線を!」と叫んだ。
感想とまとめ
感動系の話ですがホラーな終わり方をする話です。
過去のトラウマから、母とぎこちない関係だった杏奈ですが、目薬のおかげで2人はようやく和解します。このまま感動話として終わるのかと思ったら、もう少し話が続きます。
たとえ虚構でも視線を浴びることに喜びを感じていた城が、目薬がなくなったことで誰にも見られない恐怖に耐え切れず杏奈を襲います。
最後、杏奈がどうなったのかまでは描かれません。殺害されたのかもしれませんし、ケガ程度で済んだのかもしれません。ただ、城に捕まった杏奈は、最後に視線をふっと外します。そこから画面が引き、タモリさんのパートに移行します。画面越しに視聴者を見ているような感じで終わります。
体は前を向いているのに首はこっちを向いているような、不自然な形で登場人物たちが杏奈を見るのが面白いです。シュールな話でもあるのですが、ただ話がシュールというだけでなく、実際の映像でもかなりシュールです。
笑顔で相手を見れば相手も笑顔で見てくれるという、当たり前のことでも大事なことだなと思わせる話でした。
第4話「虹」
キャストとスタッフ
- 南條拓也(25歳)…西畑大吾(なにわ男子)
派遣社員 - 川上七美、愛美…井頭愛海
虹のふもとにいた女性 - 南條拓也(75歳)…奥田瑛二
- 脚本:町田一則
- 演出:土方政人
あらすじ
続いては西畑大吾(なにわ男子)さん主演の「虹」🌈 ある日、南條拓也(西畑大吾)は憧れの二眼レフカメラを購入した。拓也は雨上がりの日にカメラを構えるとそこには少女(井頭愛海)の姿が。少女を追いかける拓也だったがその姿は消えてしまい…#西畑大吾(なにわ男子)#井頭愛海#奥田瑛二 pic.twitter.com/m7lekLmUhn
— 「世にも奇妙な物語」公式アカウント✨😎 (@yonimo1990) June 17, 2023
雨上がりに架かる虹を撮影しに、南條拓也(西畑大吾)はお気に入りの古いカメラを持って出かけた。カメラを覗くとセーラー服の少女の姿が。しかし、実際には彼女はいなかった。案内されるままにカメラを覗いてついていく南條の前に、現れたのはさっきの少女と同じ顔の女性で…。
ネタバレ
中古カメラ店で買ったカメラを手に、南條拓也(西畑大吾)は雨上がりに架かる虹を撮影に出かける。カメラを覗くと、セーラー服姿の少女がいた。しかし、実際にはそこには誰もいない。南條は彼女の後を追うように、カメラを覗きながら歩く。
池のほとりにたどりつくと、彼女の姿は消えてしまった。代わりにそこに立っていたのは、少女と同じ顔をした川上愛美(井頭愛海)という女性だった。
彼女は花束を抱えながら、この場所は妹の七美(井頭愛海)が好きだった場所だと教える。妹は4年前に亡くなっていた。虹のふもとにたどりつけたら幸せになる、まるで虹が好きだった妹が南條を連れてきてくれたみたいだと、愛美は笑った。
その後、南條と愛美は交際し、結婚する。結婚10周年を2人で祝い、20周年、30周年、40周年、そして50周年まで祝った。
75歳になった南條(奥田瑛二)は部屋で1人、妻の遺影を見ていた。ベランダに出て下を眺める。飛び降りようか、そう思った矢先、空には虹が架かっていた。
南條は以前愛美と出会った時に持っていたカメラを片手に外へ出る。そして、愛美と出会ったあの場所、虹のふもとへ向かった。そこには七美が立っていて、虹を追っても無駄だと言われる。なぜなら、そこに現れた幸せは虹のように消え去ってしまうからだ。しかし幻ではなく、ちゃんとあなたの中にあるという。思い出が美しくあるのは、明日のためだと諭した。
やがて愛美も現れるが消えてしまい、南條は涙した。カメラを覗いてももういない。若い頃の南條も涙を流していた。
感想とまとめ
感動系のようなシュールな話です。若い頃の南條が泣いているため、どこまでが思い出なのか現実なのか分かり辛いです。
下手するととっくに愛美は死んでいて、結婚の周年祝いのシーンは幻想なのではないかと思わせます。
愛美と南條が交際して結婚したのが20代だったとしたら、50周年は70代になります。南條は75歳設定なのですが、遺影の愛美はどう見ても70代には見えません。
また、非常に短い話なのですが、基本的に南條は若い時も歳とった時も喋りません。無言の演技だけで感情を伝えてくるのはさすがだなと思わせる話です。いっそ誰も喋らなくても面白かったかもしません。
幸せはいつか消え去るが、残された思い出は明日を生きるためにあると教えてくれる話でした。
【世にも奇妙な物語’23夏の特別編】感想とまとめ
今回は「虹」以外はすべてバッドエンドで終わる回でした。
1話目の「お姫様クラブ」の主人公は、お姫様に対する憧れが捨てられず、曲がかかると姫モードになってしまいます。そして最終的には保険金殺人のようなことをしてしまいます。通常時と姫モードの切り替えが肝なので、鈴木保奈美さんの演技力にすべてかかっている話でした。
2話目の「小林家ワンダーランド」は最初はコメディタッチで進みます。しかし最終的には殺人アトラクションを始めるというホラーな終わり方をします。9時間待ちの行列をどうやって長男1人でもたせるのか、ちょっと無理な気がしますが、来場者の誰かをさらってくるのかもしれません。
3話目の「視線」は母と和解できたかと思ったら、視線中毒者に捕まってしまうというホラーな終わり方をします。最終的に主人公の生死は分かりませんが、幸せなままで終わらないあたりこの番組らしいです。
4話目の「虹」は虹のふもとで見つけた幸せが失われて絶望するが、虹のふもとで諭されるという唯一バッドエンドで終わらない話でした。喋らずに魅せる奥田瑛二さんの演技が印象的な話です。
どの話も見ていてつまらないこともなく、前回の「世にも奇妙な物語’22秋の特別編」よりも面白い話が多いです。今回1番面白く感じたのは「視線」でした。話が面白いというよりも、出演者たちが無理な体勢で視線を寄越すのが臨場感あって面白いです。
次回は例年だと秋に放送されると思います。比較的秋は秀作揃いのことが多いですが、今年はどうなるか?