NHK【横溝正史短編集2｜華やかな野獣】のネタバレと感想

NHK BSドラマ『華やかな野獣』の事件概要

臨海荘の女あるじ、高杉奈々子が殺害された事件となります。金田一は元々この臨海荘にボーイとして潜入していました。

遺体は横溝作品らしく無駄にグロテスクです。もちろん画面には映りませんので、怖いのが苦手な人も大丈夫です。こんな女性がなんと月に一回とんでもないパーティーを開いています。当時は法に触れないのか、悪い事はしていないと奈々子も言います。

遺体の状況がおかしいのと、絨毯に血だまりができていること、さらに“トラ”という二文字が血で残されていること、違和感だらけの謎の遺体に金田一が挑みました。

NHK BSドラマ『華やかな野獣』のトリック

今回のトリックも手が込んでいます。元々殺害する予定のなかった人物をやってしまったためか、こんなトリックをします。

こうして遺体を隠すことに成功します。人間の注意力は上より下に向かうため、まさか上に遺体を隠したとは思わなかったということです。

痴情のもつれの犯行に見せかけるため、奈々子の死体にナイフを入れるのは、啓一が窓の音を聞いた時には損傷していなかったので、引き上げた後にまた下りてきて傷つけたのだと思います。

隠した後は、どうやって外に出たのかは触れられてませんが、潮が満ちるのを待ったのか室内を歩いて戻ったのかしたのでしょう。

登場人物のその後

今回の登場人物たちはどうなったのか？金田一の口頭で説明がありました。

トランペット奏者を調べたところ、麻薬が大量に発見されます。そして口を割り、越智と情婦である京子を首謀者とした麻薬密輸団が逮捕されます。

越智は殺害についても自供をしたようで、金田一の推理どおりのものだったと言います。しかし、どこから入手したのか横溝作品らしく服毒自殺をします。京子や他の人はしなかったのか、死亡という話は特にありませんでした。

鷲尾刑事は奈々子の誘惑に負けてあるまじき行為に及びますが、その醜聞は世にもれずに済み殉職者として手厚く葬られたそうです。

NHK BSドラマ『華やかな野獣』で使用されていた音楽

演出を担当した佐藤佐吉さんがTwitterで全曲紹介してくれましたので、引用させていただきます。(1月26日修正)

『#華やかな野獣』で最も多く寄せられた質問がドラマの中で使われていた曲のタイトルを教えてほしいということでしたので全曲紹介させていただきます。長谷川きよしの『別れのサンバ』は特にオススメ😉#池松壮亮#金田一耕助#横溝正史 pic.twitter.com/bKWHFQVuvn

— 佐藤佐吉 Sakichi Sato (@sakichisato) January 26, 2020

ある世代の人が聴いたら「懐かしい」と思うような曲の数々です。土曜に放送するのにゴールデン洋画劇場ではなく金曜ロードショーの曲なのは、トランペットが印象的な曲だからだと思います。

『あざみの如く棘あれば』は昔TBSで『横溝正史シリーズII 』というTV番組がやっていた時のテーマ曲です。この時の金田一耕助役が古谷一行さんでした。オマージュ的な意味もあっての選曲かと思われます。

NHK BSドラマ『華やかな野獣』のその他気になったこと

NHK BSドラマ『華やかな野獣』のまとめ

今回の話は昭和31年に書かれたものとなります。なんとも淫靡な話ですが、画面上には一切出てきませんので放送上の問題はありません。また、昔っぽい言い回しやある意味文学的な言い回しをするため、そんなにあからさまなエロさはないかと思います。

この話の何が一番印象に残るかというと、快感と殺人が結びつく瞬間が描かれることです。彼は殺人を犯す前から二人の行為中の声を聞いて性的に興奮し、殺している最中も快感を覚えて悦び、終えた後もその興奮が覚めやらずトイレに恍惚として立っていたのです。この瞬間に快楽殺人者が生み出されます、ヤバいです。

次回は2月1日22時30分から『犬神家の一族』が放送予定です。予告からして結構ぶっとんでそうな雰囲気です。