【海に眠るダイヤモンド】3話のネタバレと感想をまとめています。
端島で撮影する映画のオーディションが開催されることになった。朝子はテレビを買うためと言って張り切り、乗り気でない百合子も参加する。しかし問題が発生し……。
【海に眠るダイヤモンド】3話のあらすじ
端島は爆発的な人口増加に伴い出炭量も増え、島の活気はますます高まっていた。水問題も水道開通で解決し、一攫千金を夢見て島へ人々は訪れた。
そんな中、映画プロデューサーを名乗る夏八木修一(渋川清彦)という男が島にやってくる。怪しんだ荒木鉄平(神木隆之介)だが、映画館の館長である大森(片桐はいり)が以前、島で映画を撮っていた人だという説明に安心した。
夏八木は再び島で映画を撮るため、出演者のオーディションを開催するという。朝子(杉咲花)は家族の反対を押し切って、オーディションに参加することを決める。
なぜなら、映画に出てもらったお金でテレビを買うためだと張り切る朝子だったが……。
【海に眠るダイヤモンド】3話のネタバレ要約
映画のオーディションで朝子は高評価を得て、初恋の人を聞かれて「鞍馬天狗」だと答えた。
しかし、プロデューサーの夏八木は実は会社をクビになり、借金を抱えていた。仲間と共謀し、島に泥棒をしに来た人物だった。
映画の話は全部嘘で凹む朝子を励ます鉄平は、朝子の初恋の鞍馬天狗は自分のことだったのかとようやく気付いた。
【海に眠るダイヤモンド】3話の詳細なネタバレ
新炭鉱長誕生
荒木鉄平(神木隆之介)と古賀賢将(清水尋也)は、新しい社宅の割り当て方法を考えていた。これまでの年功序列に加えて、勤務状況を評価に取り入れ、より公平なシステムを導入しようという案だった。毎日働くことで得点が加算され、一定の得点が貯まると、より良い部屋に住むことができる「社宅割り当て得点制度」だ。すでに組合にも話を通してあり、年功序列が基本ではあるものの、勤務日数の影響も受けるという仕組みだった。
さらに、河上(金子昇)が「子ども点」を加えてはどうかと提案した。子どもが成長するにつれ部屋の広さが必要になるため、15歳以上の子どもがいる家庭には10点を加算するというアイデアだ。これに対し、古賀辰雄(沢村一樹)は冷たく、「やる気があって当然だ。働かない人間にこの島にいる資格はない」と言い放った。
鉄平は、端島は炭鉱夫あっての島であり、鉱員がやる気を持てる環境作りが必要だと強く主張していた。一方辰雄は「嫌ならやめればいい」と突き放した。
その場にいた廣田炭鉱長(渡辺憲吉)が、静かに口を開いた。「労働は本来どうあるべきだろうか。労働者は屈服させる対象ではない。新しい点数制度、試してみたらいいじゃないか」
廣田の言葉に賛成が集まる中でも、辰雄は納得しきれず、呆れた様子で「鉄平の入れ知恵か?」と賢将に牽制した。「お前は彼らとは違う。馴れ合うなよ」と、冷たく警告した。
廣田はそのやりとりを見て、辰雄に尋ねた。「君は、この島が嫌いなのかな?」辰雄は即座に反論した。「好き嫌いで仕事をしているわけではない」
辰雄が炭鉱長になることが決まると、廣田は「どんな島になるか、楽しみにしているよ」と微笑み、端島を去っていった。
怪しい映画プロデューサー
そしてついに、端島に海底水道が開通した。1年半にわたる工事の末、安定した水の供給が始まり、島の生活環境は大きく改善された。同じ頃、新しい鉱員アパートである31号棟も完成し、島の人口はついに4940人に達した。小中学校やプールも新設され、島の活気はますます高まっていた。出炭量も増え、赤ん坊の数も次第に増えていった。
給料日になると電気屋には長い行列ができ、冷蔵庫やテレビ、電気釜といった最新家電を、頭金を払って月賦で購入する島民が増えた。本土でのテレビ普及率がまだ10%そこそこの時代に、端島ではすでに60%を超える家庭にテレビが導入され、最先端の生活が島にも根づき始めていた。来島者も増え、外勤も対応に忙しさを増していた。
しかし、テレビが普及した影響で、映画館に足を運ぶ人が減り、百合子(土屋太鳳)は映画館を辞めるかどうか悩んでいた。そんな彼女に、草笛リナ(池田エライザ)が助産師の仕事を手伝わないかと提案するが、百合子は「もっとカルチャーを感じる仕事がしたいの」と断った。
その時、食堂で朝子(杉咲花)が一人の男が食い逃げしようとするのを目撃し、勢いよく追いかけ始めた。鉄平も手伝って男を捕まえると、男は慌てて「金を忘れて取りに行くところだったんだ」と弁解する。男は実は撮影所のプロデューサーで、名を夏八木修一(渋川清彦)という人物だった。
その場で夏八木は、朝子に向かって「女優にならないか?」と誘いの言葉をかける。その話を横で聞いていた鉄平は、「怪しい」と目を細め、どこか疑わしげな表情を見せた。
続編制作
現代の東京――玲央(神木隆之介)は物怖じすることなくイケガヤ家の家族と食卓を囲んでいた。途中、星也(豆原一成)がふと「玲央とおばあちゃんはどういう関係なの?」と尋ねると、いづみ(宮本信子)は微笑みながら「結婚を前提とした関係よ」とさらりと答えた。その言葉に一同は驚き、イケガヤ家の財産の法定相続人が玲央になる可能性があることが話題に上がり、皆はさらに戸惑った。
食事の後、他の家族が帰った後に玲央はいづみに「イケガヤ家の財産って?」と尋ねた。いづみは「家と株、そして私の会社よ」と説明し、続けて「次の社長はまだ決めていないのよ。いっそ澤田(酒向芳)に継がせようかと言ったら、子どもたちに怒られたの」と笑ってみせた。
玲央は「どうして子どもに継がせたくないの?」と聞くと、いづみはふと遠い目をして「なんだかね、間違えた気がするの。私が本当に欲しかった人生って、こんなものだったのかしら」と呟いた。
端島――島では夏八木が早速朝子を使って撮影を始めていた。鉄平はその様子が面白くなく、何かと邪魔をしていたが、そこに大森(片桐はいり)が現れた。夏八木とは旧知の仲らしく、二人は映画『素晴らしきかな人生』のセリフ「友ある者は人生の敗残者ではない」と互いに引用して盛り上がった。
夏八木は10年前に端島で行われた映画の撮影を振り返った。当時、彼は助監督として携わり、その映画『燃ゆる孤島』は端島で全編が撮影され、映画館では連日満員で島の人々もエキストラとして出演していた。朝子もその映画を観ていて、食堂のシーンがあったことを懐かしそうに思い出した。
今回、夏八木は再び「続・燃ゆる孤島」を撮影したいと話し、鉄平に計画を語った。「前の映画は、島での労働が苦しくて若者が逃げ出す話だったけど、今度は黒いダイヤの夢を追い、活力に溢れる端島を描きたいんだ」
その話に、鉄平は熱意を感じ、「よろしくお願いします!」と頭を下げ、協力を決意した。
百合子の初恋
賢将が百合子に映画のオーディションを受けてみたらどうかと勧めたが、百合子は即座に「嫌だ」と断った。そんな彼女の態度に少し苛立ちを覚えた鉄平は、詰め所でイチャイチャするのはやめてくれとぼやく。すると百合子は、「私たち、もう別れたのよ」と軽く告げた。
驚く鉄平に百合子は続けた。「賢将には他に好きな人がいるから、私の方から振ったの」初耳だった鉄平は真相を確かめようと賢将に尋ねるが、賢将は口を閉ざして何も教えてくれなかった。そんな二人を見た百合子は、少し皮肉な笑みを浮かべて、「私の初恋は進平兄さんなのよ。青臭い誰かさんたちとは違うの」とからかうように言った。
一方、島中の人々がオーディションに向けてセリフを練習しており、あちこちから朗読が聞こえてきた。荒木進平(斎藤工)までセリフの練習をしているのかと思い、リナが近づいてみると、彼が口にしていたのは百人一首の一句だった。
「鉱員さんたち、よくやってるけど、はやってるの?」とリナが尋ねると、進平は「昔の炭鉱夫といえば、酒に博打に女に喧嘩が常だったけど、こげん趣味を持たせて少しでも…何ていうか…荒くれ対策として和尚が始めたんだ」と答えた。
「たまに見ないと忘れちまうんだよ」とぼそりとつぶやく進平に、リナはどこか切なそうに「忘れたいことは忘れられないのにね」と静かに返した。そして、ふと視線を遠くに向けながら「花だけが知っている、私の心…」と小さく呟いたリナの姿には、彼女の秘めた思いがにじんでいた。
キラキラ
映画のオーディションに出ると決意を固めた朝子だったが、父親の照吉(谷川昭一朗)はその話を聞くなり反対した。しかし朝子は負けず、「お金がもらえるし、そのお金でテレビが買えるんだから」と食い下がった。母親の梅子(赤間麻里子)は朝子の言葉を聞き流し、「それより賢将と結婚しろ」と促した。
ちょうどその時、賢将が偶然閉まっていた店の戸を開け、店内の話が聞こえてしまう。朝子は「賢将は炭鉱長の息子なんだから、私と結婚なんてありえないわ」とつぶやく。その言葉に賢将は静かに戸を閉め、誰にも気づかれないようにその場を去った。
母親は、「朝子が結婚すれば、そのお金でテレビが買えるのに」とぼやくが、父親は「うちにはテレビなんていらない」と憮然とした表情を浮かべた。
夜が更け、皆が眠りについた後も、朝子は懐中電灯を片手にこっそりとセリフを覚えていた。すると、ふと幼い頃の記憶が蘇ってきた。
子どもの頃、百合子がキラキラしたペンダントを見せびらかし、それに触れようとした朝子を拒むように「触らないで」と言われたときのことだ。寂しさを感じた朝子は、一人で島のゴミ捨て場に向かい、キラキラと輝く海を眺めていた。その時、キラキラと光る瓶を取ろうとして、誤って海に落ちてしまったのだ。
病院に連れて行かれた朝子は、赤痢と診断され、母親から怒られた上に隔離されることになった。その孤独な日々の記憶が、彼女の中でよみがえっていた。
ある日、都会で流行しているワンピースが店に並んでいるのを朝子は見つけ、試着するように島の人々からも口々に勧められる。「似合うから買ったらどうだ」と声をかけられるものの、値段が高く、朝子は迷いながらそのワンピースを見つめていた。
朝子の初恋
オーディション当日、会場には大勢の人が集まっていた。緊張感が漂う中、夏八木の目がリナを捉え、「端島のサブリナか…あとでスカウトしてみよう」と小さく呟いた。
会場では、一人一人が舞台の上で、テスト用のセリフを使った寸劇を披露していく。百合子も参加しており、彼女の番が来ると会場から拍手が湧いた。しかし、夏八木は容赦なく「臭い!演技が臭すぎる!」と厳しく批評し、百合子の顔は少し険しくなった。
続いて朝子の番になると、彼女の演技が始まるやいなや、夏八木は「いい!良かったよ!」と満面の笑みで絶賛した。観客たちも驚いた様子で拍手を送り、その場は喝采で包まれた。その様子に、百合子はどこか面白くない気分を隠せずにいた。
オーディション後、誰が初恋の人かと尋ねられた朝子は少し考えた後、「鞍馬天狗」と答えた。それは、彼女が子どもの頃に赤痢で孤独に苦しんでいた夜、鞍馬天狗を名乗る人物が「これが欲しかったんだろう?」とあの瓶を持ってきてくれた思い出からだった。その瓶は今も食堂の花瓶として使われ、彼女の大切な記憶の象徴となっていた。店に来た客たちは皆、朝子の演技が素晴らしかったと褒め称えた。
一方、百合子は賢将と食事をしながら、「何なの、急にやる気出しちゃって」と少し不満そうに話していた。オーディションに来なかった理由を尋ねると、賢将は少し考え、「俺は…違うから」と静かに答えた。その場にリナがビールを運んできた際、賢将が「最近ヤクザ者がうろついているらしいから、気をつけろ」と忠告すると、リナの顔には一瞬緊張が走った。
その夜、鉄平はビリヤード場で夏八木と話を交わしていた。かつて端島で撮影された映画は、GHQの介入で穏便な結末に変えられてしまったという。「今はどうだろうな。権力を前に、人は簡単に屈する。でも、俺は映画人としての矜持を持っていたいよ」と語る夏八木。さらに「世界を壊すのはいつだって、権力と金だ」と呟いた。その言葉には、夏八木が抱える複雑な思いが滲んでいた。
格差
玲央は友人のライト(西垣匠)に今の状況を説明していた。話を聞いたライトは、「それって天国じゃん」と羨ましそうに言う。玲央も一瞬同意するものの、「でも…なんかすげえイラッとするんだよな」と不満げに呟いた。「なんで?」とライトが尋ねると、玲央は「わかんねえよ」と肩をすくめるだけだった。
その時、偶然にもホストと一緒にいる千景(片岡凜)の姿を見つけた。千景は玲央に口止めしようと慌てて金を差し出すが、相手が「本営」で有名なホストだったため、玲央は家族にこのことを知らせることに決めた。
玲央は家族を集めて事の次第を話し、「売掛もかなり溜まっているらしい」と伝えた。話を聞いていたいづみはすぐに鹿乃子(美保純)に向き直り、「あんた、知ってたんじゃないの?」と問い詰めた。実は千景の部屋で借金の帳簿を見つけていて、計算したところ総額は400万円に上っていたのだ。
鹿乃子は話を早々に切り上げようとして立ち上がるが、玲央は「400万、どうするんだよ?」と引き止めた。鹿乃子は「払うわよ」と答え、そのまま他の家族も不満を漏らしながら去って行った。その一部始終を見ていた玲央は、驚きと呆れの入り混じった表情を浮かべた。「この家族にとって、400万ってなんてことないんだな…」
玲央の頭の中には、ホストクラブで売掛を支払うために懸命に働く女性たちの姿が浮かんでいた。体を壊して病んでしまう子もいれば、精神的に追い詰められてしまう子もいる。それなのに、この家族は親がポンと400万円を出して「はい、終わり」。それで終わらせることができるのだ。
玲央はその「すげえ現実」に苛立ちと戸惑いを覚え、頭を抱えながら呟いた。「全然わかんねえよ…俺には全然わかんねえ」
嘘と泥棒
竹男(番家玖太)が数人の男たちに絡まれているのを見つけ、朝子は慌てて駆け寄った。男たちは「家に来て金を盗んでいったのはお前だろう」と竹男を責め立てるが、竹男は涙を浮かべて否定した。その場に鉄平が現れ、話し合いの場を食堂に設けることになった。
さらに駐在(黒田浩史)が被害者の女性を連れてくると、「社宅内で見かけた変な三人組が怪しい」と証言が出た。鉄平はその場ですぐに特徴を島内に放送し、三人組の男たちが見つかると、鉱員たちに追い回されることになった。彼らの所持品の袋の中から盗んだ金品が見つかり、竹男の潔白が証明された。
朝子は男たちに謝るよう詰め寄ったが、彼らは「テレビを見に来たらテレビ泥棒だ」と開き直り、その態度に朝子の父親は憮然とした表情で店を出て行った。
その後、鉄平の元に大森がやってきて「夏八木はどこ?」と尋ねてきた。昨夜、夏八木が組合に来て管理費について質問していたらしく、確認すると金庫の金が半分だけ消えていたのだという。大森が持ってきた手紙には、夏八木が偉い人と喧嘩して撮影所をクビになり、借金を抱えていることが書かれていた。さらに端島に行くと聞いていたため、用心するようにと忠告も添えられていた。
三人組の男たちは、夏八木と共謀していた。夏八木が島で派手に行動している間に、三人組が裏で物色し、盗んでいたのだった。組合の金庫には半分だけが残されていた。その光景に鉄平は心の中で、「半分を残したのは、権力に負け、金にも負けた男の矜持だったのだろうか」と思わずにはいられなかった。結局、夏八木だけは朝一番の便で島を去り、難を逃れていた。
「一度見た夢は、忘れることができるのだろうか」鉄平の心には、夏八木の去り際が何かを問いかけているようだった。
一方、朝子の父はついにテレビを買って帰ってきた。しかし、母親は「そんな余裕ないでしょう!」と怒りを露わにする。父は怒りを堪えきれず、「おいはね、あぎゃんふうに言われるっとが、いっちょん我慢できんとよ!」と語気を荒げたが、母は本気で返してくるようにと言い放つ。
その隣で、竹男がしょんぼりと「ごめんなさい」と謝り続けているのを見た朝子は、「大丈夫、私映画に出るから、すぐ払えるよ」と家族を慰めた。その言葉を聞いていた鉄平は、何とも言えない苦い表情を浮かべるのだった。
朝子の夢
島中に、映画オーディションが偽物だったことが知れ渡った。朝子は絶望のあまり、ゴミ捨て場で膝を抱え込み、「明日からどうやって生きていけばいいの…」と呟き、涙を浮かべた。鉄平は彼女をなんとか慰めようとしたが、朝子は「鉄平は何もわかっていない」と言って顔を背けた。
そこで鉄平は「お花見しようよ。中ノ島に行ってみよう」と朝子を誘った。二人は小舟に乗り込み、静かに中ノ島へ向かった。島に降り立つと、そこには一本だけ桜の花が咲いていた。それはかつて廣田が本土から持ち込んで植えた桜の木だった。「すごか…夢が叶うた」と、朝子は目の前の光景に感動し、桜を見上げてつぶやいた。
現代――いづみは玲央を自分の会社が施工したビルの屋上に連れて行った。そこにも美しい桜の木が植えられていた。いづみは静かに百人一首の句を口にした。「もろともに あはれと思へ山桜 花よりほかに知る人もなし」そして続けて、「あんたが私をわからなくても、私があんたを分かってやれなくても、それは仕方がない。誰の心にも山桜があるんだよ」と玲央に語りかけた。
鉄平から桜の枝を受け取った朝子は「私ね、映画スターになりたかったんじゃなかとよ。ちょっとだけ、食堂の朝子じゃない人になりたかったと。そんだけ」と少し照れくさそうに笑った。
現代――玲央はいづみに向かってこう尋ねた。「本当は結婚する気もないし、会社を譲る気もないでしょ?家族も会社もあるのに、どこか独りなんだよね…わかんないけどさ」そして少し茶化すように、「俺に何かして欲しいことある?むかついたから、出ていってやろうかとも思ったけど、まあ元いた場所もしょうもないところだし。どっちもドブなら、見たことのないドブのほうが楽しそうじゃん」と続けた。それに対していづみは「人の家をドブ呼ばわりなんて失礼ね」と笑ったが、玲央は「ドブじゃん、全部」とさらりと返し、二人の間に少し笑いがこぼれた。
島の端で、鉄平はふと朝子に「朝子、見て。こっちから見る端島」と促した。二人が遠く端島の方を眺めると、島の明かりが夜の闇に浮かび上がり、まるで星のように光っていた。「キラキラ…」と朝子はその美しい光景を見つめながら、静かに呟いた。
【海に眠るダイヤモンド】3話の結末
翌日、朝子は食堂でいつもの元気を取り戻し、明るく働いていた。やってきた鉄平に笑顔で「テレビのこと、ありがとう」と感謝の言葉を伝えた。鉄平は、竹男がいつでも見に来られるように、一平(國村隼)の家でテレビを買い取ってあげたのだ。
荒木家の家族写真が飾られていた。そこには父母と共に3人の男の子と2人の女の子が写っていたが、今は荒木吉平、荒木和子、荒木節子の遺影と位牌が並んでいた。
鉄平はかつて朝子が初恋の人が「鞍馬天狗」と言っていたのが、自分自身のことを指していたのだとようやく気づいた。
一方、いづみは玲央と共に会社に向かいながら、少し挑戦的な笑みを浮かべて「さあ、一緒にこの会社を潰そうじゃないか」とつぶやいた。玲央も笑みを浮かべ、二人は共に前へ進み出した。
【海に眠るダイヤモンド】3話のまとめと感想
映画のオーディションは偽物で、夏八木は泥棒をするために島に来ていたという話でした。
朝子が主に主人公の回で、彼女がなぜ鉄平が好きなのか、その理由が分かります。朝子に対して百合子は常にマウントをとって蔑みますが、その理由は次回に分かるようです。
初回はリナ、前回は百合子、今回は朝子と鉄平が最後にいつも彼女たちを励まして終わります。リナは鉄平に気がないので問題ないでしょうが、百合子と朝子は鉄平を取り合って喧嘩になりはしないのかと、心配ではあります。
前回、進平が次男と言っていた理由が分かりました。荒木家には5人子供がいて、3人の男子、2人の女子という構成でした。そのうち女子2人と長男が亡くなっています。つまり、5人中3人亡くなっていて、存命なのは進平と鉄平だけとなります。戦争でなのか病気で亡くなったのかはまだ分かりません。
また、現代パートも中々面白さを増してきます。いづみの家族の問題に玲央が入って何かが起こりそうな予感です。
現代と過去を行き来し、話も沢山含まれているのに、とっちらかった感じがしないドラマです。脚本や演出が優れているからなのか、役者さんの演技が良いからなのか、とにかくうまくまとまっています。
さらにちゃんと群像劇になっていますし、最後にどこへたどり着いて終わるのかが楽しみです。