【特捜9シーズン2】9話のネタバレと感想をまとめました。
今回の特捜9は青柳と妙子が出会う元となった人物が出てくる話でした。出だしは落語を聞きに来ていた常連客が、たい焼きを食べて死んでしまうという突拍子もない話です。裏事情が色々絡み合い、落語の「芝浜」のような話も混ざり、最終的にはうまい事まとめて終わるよく出来た回でした。
【特捜9シーズン2】9話のあらすじ
青柳靖(吹越満)は垣内妙子(遠藤久美子)と浅草の寄席で落語を聴く約束をしていた。先に到着していた妙子の元に駆け寄る青柳だが、ふと視線を感じ、そちらを見ると一人の男が、自分たちの方を見ていた…。その男の顔を見た瞬間、青柳は妙子に先に中に入っているよう告げ、男を追う。
先に一人で席に着いた妙子は、近くの席にいた老人・中沢幸平(勝部演之)からたい焼きをおすそ分けしてもらう。しかしその直後、たい焼きを食べながら落語を聴いていた中沢が、突然胸をかきむしりながら苦しみ始める。妙子が慌てて介抱しようとしたところにようやく青柳も到着するが、中沢は絶命してしまう…。
解剖の結果、死因はたい焼きに混入されていた青酸カリによる中毒死と判明する。
浅輪直樹(井ノ原快彦)らが、中沢行きつけのたい焼き店の店主・杉田健次郎(松浦慎一郎)や、ずっとひいきにしてもらっていたという落語家の春楽亭柳三(笠兼三)らに聞き込みをしたところ、中沢は誰からも好かれるご隠居で、恨みを買うはずがないという。しかし、小宮山志保(羽田美智子)らの捜査で中沢の自宅が荒らされていることがわかる。
一方、なにか思うところがあるようで、様子のおかしい青柳…。彼は、心配する矢沢英明(田口浩正)に、寄席の前にいた男が、暴力団・龍丸会の構成員・塩田徹(大鷹明良)だったことを告げる。実は、塩田は過去に妙子をひどい目に遭わせた、青柳にとっても因縁の男だったのだ!
青柳と妙子のつらい過去を知る矢沢や直樹らは、青柳の単独行動を許し、そっと見守ることに…。
そんな中、ひどい暴行を受けた若い男の遺体が見つかる。被害者が死亡時に握りしめていたバッジを調べると、龍丸会のフロント企業の社章だということが判明する。
誰からも好かれる浅草の隠居老人と暴力団…。一見、まったく無関係に見える二つの事件が交差したとき、明らかになる真実とは…?
公式HPより
前回はこちら
【特捜9シーズン2】9話のネタバレ
【特捜9シーズン2】9話の感想
結構色々な話が絡んでくるのですが、うまいこと話をまとめます。青柳と妙子の関係は、9係から見ている人なら知っていると思いますが、様々な困難がありました。それを知らない新藤が青柳に対して怒ったりしますが、周りのメンバーは青柳の好きにさせてあげる優しさを見せます。
特捜9になっても昔から見ている人にはニヤっとさせるような話を入れ、新しく見始めた人にもちゃんと説明をしてあげる構成は、さすがテレ朝の長寿番組です。
また落語の「芝浜」の話を知っている人なら、より楽しめる内容となっています。さらに青柳の落語も見れる今シーズン屈指の良い回です。
青柳と妙子の関係
事情を知らない新藤が青柳の単独行動に対して怒りますが、他のメンバーはみんな事情を知っているので好きにさせます。ドラマ内でも軽く青柳自身の口から説明ありましたが、この2人の関係は困難だらけでした。
- 昔妙子はヤクザに麻薬漬けにされていた
- 青柳が助けてそれから恋人関係になる
- 妙子が事件関係者であるため、一時期二人の関係を公表できなかった
- 妙子は青柳に刑事を続けてもらうため、一度彼の元を去る
- 浅輪をかばって妙子は撃たれて重傷を負う
- 青柳は妙子との関係を警察上層部に問題視されて、警察を一度退職している
今時こんな関係あるのかと言わんばかりの、ドラマチックな関係です。大好きなのに引け目を感じて去ってしまったり、自分の命を顧みず浅輪をかばう妙子。そして妙子が大好きで仕方ない青柳は、警察を辞めることも構わないといった感じです。
それぞれ逮捕に向かうのですが、青柳は外で塩田を待ちます。そして二人きりになったところで、私的に制裁を加えます。それを他のメンバーにこれ以上はと止められていました。その後取調べで塩田から「なぁ、青柳さん。あんたまだあの女と?」ときかれ「ああ、お陰で幸せにやってっけど」と答えるシーンは、妙子を変わらず愛していると感じさせる名シーンです。
特捜9は9係から続く長寿番組なので青柳だけに限らず、他のメンバーにも出会いと別れや、結婚といった話があります。最近のドラマは何シーズンも続くものが少ないので、ちょっとずつ関係が進んでいくように作れません。しかし、テレ朝のドラマはそれが可能なドラマが数多くあります。しかも一話完結なので、関係がよく分からなくても楽しめるようできてます。
その他気になったこと
- たい焼き屋のたい焼きは“天然”もの
- 遺影が寄席に飾ってある
- 班長は落語にも通じている
- 暴力団に「ビルの入口で人相の悪い男たちが乱闘している」と言われる刑事たち
- 寄席には座布団を預ける制度がある
- 殺害は基本“鈍器”
- たい焼きの温かさですり替えがバレないのか?
- 寄席に行くというが、商店街はみんな閉まっている
【特捜9シーズン2】9話のドラマの補足
「芝浜」とは?
古典落語の題目です。人情噺の代表作となります。ドラマ内で青柳が落語家のように再現してくれました。吹越さんが芸達者なため、いっそ最初から最後まで噺を聞いてみたいと思いました。
天秤棒一本で行商をしている魚屋の勝は、腕はいいものの酒好きで、仕事でも飲みすぎて失敗が続き、さっぱりうだつが上がらない、裏長屋の貧乏暮らし。その日も女房に朝早く叩き起こされ、嫌々ながら芝の魚市場に仕入れに向かう。しかし時間が早過ぎたため市場はまだ開いていない。誰もいない美しい夜明けの浜辺で顔を洗い、煙管を吹かしているうち、足元の海中に沈んだ革の財布を見つける。拾って開けると、中には目をむくような大金。有頂天になって自宅に飛んで帰り、さっそく飲み仲間を集めて大酒を呑む。
翌日、二日酔いで起き出した勝に女房、こんなに呑んで支払いをどうする気かとおかんむり。勝は拾った財布の金のことを訴えるが、女房は、そんなものは知らない、お前さんが金欲しさのあまりに酔ったまぎれの夢に見たんだろと言う。焦った勝は家中を引っ繰り返して財布を探すが、どこにも無い。彼は愕然として、ついに財布の件を夢と諦める。つくづく身の上を考えなおした勝は、これじゃいけねえと一念発起、断酒して死にもの狂いに働きはじめる。
懸命に働いた末、三年後には表通りにいっぱしの店を構えることが出来、生活も安定し、身代も増えた。そしてその年の大晦日の晩のことである。勝は妻に対して献身をねぎらい、頭を下げる。すると女房は、三年前の財布の件について告白をはじめ、真相を勝に話した。
あの日、勝から拾った大金を見せられた妻は困惑した。十両盗めば首が飛ぶといわれた当時、横領が露見すれば死刑だ。長屋の大家と相談した結果、大家は財布を拾得物として役所に届け、妻は勝の泥酔に乗じて「財布なぞ最初から拾ってない」と言いくるめる事にした。時が経っても落とし主が現れなかったため、役所から拾い主の勝に財布の金が下げ渡されたのであった。
事実を知り、例の財布を見せられた勝はしかし妻を責めることはなく、道を踏み外しそうになった自分を真人間へと立直らせてくれた妻の機転に強く感謝する。妻は懸命に頑張ってきた夫をねぎらい、久し振りに酒でもと勧める。はじめは拒んだ勝だったが、やがておずおずと杯を手にする。「うん、そうだな、じゃあ、呑むとするか」といったんは杯を口元に運ぶが、ふいに杯を置く。「よそう。また夢になるといけねえ」
wikipediaより引用
簡単に言うと女房が機転を利かせて、夫を立ち直らせたといった内容となります。
今回健次郎が拾った金を、常連の中沢に妻が預けます。このまま中沢が警察に届けられれば良かったのですが、残念ながら殺害されてしまいます。それでも、この金は元々なかったものだと思えたのか、あの金を見つけたことで酷い目にあったからか、夫は変わらずたい焼きを作るようです。結果としてよかったのかもしれません。
【特捜9シーズン2】9話のロケ地
今回の寄席として出てきたのは木馬亭です。落語を定席でやっている寄席ではなく、関東で唯一の浪曲が定席の寄席です。
木馬亭公式HP:http://mokubatei.art.coocan.jp/
【特捜9シーズン2】9話のまとめ
9係から視聴している人はもちろん、特捜9から見始めた人も楽しめる回でした。時々トホホな回が入る特捜9ですが、今回の話は様々な要素を入れつつ1時間でうまいことまとめる良い回です。
青柳&妙子の話は楽しみにしている人も多いと思いますし、その2人の話が絡まなかったとしても、今回の被害者と加害者の関係は、切ない人情話に仕上がっていました。
また、新藤のアクションシーンもあって、話にメリハリもついています。今シーズンの特捜9の現時点で一番いい話かもしれないと思いました。