WOWOWで2020年5月2日に放送された【鉄の骨】第3話は、新工法で工事をやることで大幅なコストダウンを目指します。
しかし、三橋が調整に動きだし、池松組に談合を迫ってきます。
反対する社員に対し、社長は話に乗ることを命じます。池松組は談合してしまうのか?
【鉄の骨】3話のあらすじ
平太(神木隆之介)が提案した新工法でやることで大幅なコストダウンができると、入札競争に勝てる可能性がでてきた池松組だった。
しかし、尾形(内野聖陽)はここから先は情報戦になるといい、社員たちの気を引き締める。
池松組の新工法の噂はすぐに他社への知れ渡り、困った真延建設の営業部長である長岡(六角精児)は三橋(柴田恭兵)の元を訪ねる。
調整をしてもらえないかと頼む長岡だったが三橋は断った。すると、長岡は城山(西岡德馬)に調整を頼むことにする。
一方、検察では城山の裏金作りに関わっていると思われる会社を探していた。その中に、トキワ土建の送金先にもあった総一コンサルタントという会社があった。さっそくメインバンクへ向かって金の流れを探る。
三橋の所を城山は訪ね、真延建設に地下鉄工事を取らせてやりたいと言う。乗り気ではない三橋を説得する城山、自分たちが守るべきものは建設土木業界なんじゃないのかと言われ三橋はとうとう動く。
翌日、池松組にやってきた三橋は、地下鉄工事を真延建設に取らせてやる代わりに、7000億円の工費が動く橋梁工事を代替で勧めてくる。落札できる可能性があるため、談合に反対する尾形に、松田社長(木下ほうか)に話を持っていって欲しいと三橋に頼まれ……。
【鉄の骨】3話の要約
3話の内容を簡単に箇条書きで要約しています。ラストまで先に知りたい方はこちらからどうぞ。
- 新工法で大幅なコストダウンができ、落札の可能性が出てくる
- 真延建設の長岡が三橋に調整を頼みに行く
- 三橋に断られると城山に調整を頼む
- 検察は城山の裏金作りの会社が、総一コンサルタントではないかと探る
- 平太が萌にプロポーズするが断られる
- 城山が三橋を説得し調整をさせる
- 三橋が池松組に来て代替工事を提案する
- 尾形は断るが社長は談合を受けろと命令する
- 意気消沈する平太たちに、尾形はプロジェクトの継続を指示
- 調整がうまくいかない可能性もあると尾形は考えていた
- 調整を受けるふりをして、リスク管理でプロジェクトを続行することにした
- 平太が三橋に談合を受けると返事を持っていく
- 責める平太に三橋は深々と頭を下げて謝罪した
【鉄の骨】3話のネタバレ
新工法の内容
前回、平太の提案から始まった新工法の模索が形になります。
その工法は“自由断面シールド工法”というものでした。
- 円形、楕円、スクエアなど掘削断面が自由自在
- 適応範囲が広い
- 長距離施工が可能
- 地下密集地でも早く掘れて工期を短縮できる
なんと、脅威の20%コストダウンができます。
現在特許出願中の新工法です。
積算部と揉めていたコストダウン問題も、これで一気に解決となります。
平太のお手柄と喜んでいましたが、尾形は慎重な表情のままです。なぜか?
本当に勝ち取れるのか?
これで入札で勝ち取れると喜ぶ平太たちに対して、尾形はこういいます。「本当にそう思うのか?」と。
その理由はこうです。
いずれ他社にコスト水準はもれる。なぜなら、シールドマシンを発注した際に、重工メーカーに出入りしている他社の人間の耳に入るからだと言います。
では、どうなるのか?
他社が赤字覚悟で取りに来なければ、うちが落札するはず。ただ、このまま引き下がるような相手ではない。
これからは情報戦になる。情報を制するもの入札を制する。と、尾形は語ります。
他社の出方を常にうかがっていなければならない。まだまだ喜べる状況ではありませんでした。
真延建設が画策
尾形の予想通り、他社が新工法の情報をつかみます。
真延建設の営業本部長である長岡は、三橋のところへいって調整をお願いします。
しかし、三橋はコストダウンしたところが落札するのが、公正競争の摂理だと言って引き受けません。
それでも長岡は食い下がり、コスト引き下げ競争をしていたら、体力が持たないと訴えます。
三橋は勝てなければ負けるまでだと、まったく動く気はないため長岡は帰りました。
どうしても地下鉄工事を落札したい長岡は、あるところへ電話をかけます。
そして「れいの件、お願いします」と告げました。
そこは総一コンサルタントという会社でした。
電話を受けた茂原は、3億円のコンサルタント料の入金があったと城山に報告します。
長岡は地下鉄工事を落札するために、総一コンサルタントを通して城山にお願いをしてきたのです。
城山は何か動きはないか、茂原に聞きます。三島中央信用金庫に検察が来た話をしますが、それは別件らしいと告げました。
すべての金はコンサルタント料に上乗せしてカムフラージュしているから大丈夫だといいます。
城山への裏金を渡すことで、地下鉄工事をなんとか落札しようと真延建設は画策します。
検察の動き
一方、地検も黙ってはいません。着々と調査を進めていました。
まずは真延建設の長岡の動向を調査していました。
- 一昨日:猪田組常務の岸原と会食。青川建設の木村も同席していた。
- 今日:山館組にいっている。三橋に会いにいったに違いない
真延建設はなぜこんなに地下鉄工事を落札したがるのか?理由は業績が悪化していたからです。それもかなり厳しいようだと検察はつかんでいました。
よって、城山に頼み込む可能性がある。問題は証拠というところまで詰めてました。
そこで、城山が過去10年間、関与したと見られる官製談合事件を調べます。
- 豊島区新設道路工事
- 板橋区レジャー施設工事
- 神奈川県橋梁工事
- 新宿高架下修繕工事
- 虎ノ門タワーオフィス工事
- 中野区駅新設工事
- 銀座複合施設
- 八丁堀道路拡張工事
- 隅田川沿い道路拡張工事
- 台場湾岸修繕工事
- 多摩川橋梁工事
- 杉並区公共施設工事
- 品川区小学校新設工事
- 足立区図書館増設工事
- 目黒区高速増設工事
これだけの工事に関与していると考えられています。
そこで、関与した会社とその取引先を調べると200件あることが分かりました。
ここからさらに、売り上げ100億以下の会社に絞込みます。
なぜなら、裏金作りには大きな会社でないほうが便利だからです。
すると9社に絞り込まれ、その中にトキタ土建が送金した会社が1社見つかりました。
それが、総一コンサルタントです。
総一コンサルタントとは?
総一コンサルタントとはどんな会社なのか?検察はさっそくHPを調べてみます。
“あらゆるニーズに対応するプロフェッショナル集団”というキャッチコピーが怪しげです。
ご挨拶
当社は平成10年に私と数名のコンサルタントで始めた会社です。地域の技術パートナーとして多くのご用命を頂き実績を積んで参りました。これもお客様のご理解とご指導の賜物と深く感謝申し上げます。
当社は経営コンサルタントとして、技術サービスの提供を通じ、日本社会・経済の発展に貢献します。時代に即した技術力を備え、チャレンジ精神を持ち一歩前へ進む事が出来る人材の育成を行う事により、企業としての広く地域社会に貢献出来るよう誠心誠意努めて参りますので、より一層のご支援、ご愛顧賜りますよう、お願い申し上げます。
社長プロフィール
代表取締役社長:茂原通彦
東大卒業後、大手経営コンサルティング会社に入社。
住宅・不動産、建設、電機メーカー、卸売など幅広い業界にて、担当企業の増収増益を実現。
1998年 株式会社総一コンサルタントを設立。
会社概要
- 設立:平成10年4月
- 資本金:2400万円
- メインバンク:東京第一銀行
- 社員数:114人
怪しいキャッチコピーではありますが、挨拶などはありきたりな代わり映えのないものです。
社員数が100人超えの会社らしく、城山とはどこでどう知り合ったのか、裏金作りに貢献しています。
そこで、検察はこのメインバンクである東京第一銀行へ向かい、総一コンサルタントが金を振り込んだ相手を全てピックアップします。
きっとその中に城山のファミリー企業が含まれているはずだと意気込みました。
萌と平太の関係
久しぶりに萌と平太の2人で食事をします。
以前は焼酎しか飲まなかった萌が、園田と一緒にワインを飲んだりしているものだから、ワインを飲み始めます。
その姿に変わったな、と平太が指摘すると、いつまでたっても成長しないよりマシだと毒づきます。
平太は萌に最近一緒に会えないから、もっと一緒に会えるようにしようと誘います。
そして、色々考えたけどやっぱり萌が必要と告げます。
ポケットから取り出した指輪を萌に差し出し「いつも俺のそばにいて欲しい」とプロポーズします。
萌はいったんは指輪を受け取りますが、なぜか泣き始めます。
そして「ごめん、これ受け取れない。ごめんなさい」といって指輪を返しました。
平太はショックを受けながら、萌に突拍子もないこと言ってごめんね、と謝ります。
萌は平太のプロポーズを断りました。
なぜなら、実は萌は園田からも「好きだ」と告白されていました。
海外に異動するらしい彼についていこうと考えているのかもしれません。
融資の相談
メインバンクの白水銀行に社長たちと一緒に平太も行きます。
そこで、恋のライバルである園田と初めて出会いました。
名刺交換をする平太、園田はどことなく上からな態度に見えます。
それもそのはず、お願いにしに来たのは池松組のほうです。
地下鉄工事入札の資金調達のために来たのです。
2000億円の工事を8年の工期でやる予定なので、500億円を運転資金として貸して欲しいとお願いします。
池井戸作品では基本的に銀行は嫌な扱いなため、今回も嫌な感じの対応をしてきます。
Q:プロジェクトの進捗状況は?
A:計画通りにいっている
Q:他社に比べてどれだけ優位性があるのか?
A:新型工法でやるので相当優位性がある
Q:どうしてそういえるのか?
A:部材調達でのコストダウンは限界がある。うちに勝てるコストまで下げるのは至難の業だから
Q:他社の計画はどうなっているのか?
A:社外秘なので分からない
Q:他社も新工法で下げてくるかもしれないのでは?
A:恐らくそれはないと思う
恐らくとか多分とか、与信判断するのに理論構成できない。
と、園田が池松組に嫌味を言ってきます。相変わらず銀行はどうしようもない組織です。
とりあえず支店長がいさめ、審査にかけてみるから時間をくださいとまとめて終わりました。
城山と三橋の茶会
三橋の茶室に城山が来て話をします。何の話をしに来たのか?それは、調整の話でした。
池松組単体で大丈夫だと思うか?と問う城山に三橋は問題ないと思うと答えます。
しかし、城山は違います。池松組が破綻したら、工期も伸びるし血税も無駄になると主張しました。
では、どこにしたいのか?それはあのコンサルト料を払った真延建設です。
最初から結論ありきの話となります。城山は真延建設に落札させようと考えていました。
そのため、他社には別の大型工事を発注しようと思うと紙を見せます。
- 池松組:瀬戸内橋梁工事 7千億円
- 猪田組JV4社:東北橋梁工事 2千億円
- 山館組JV2社:広島商業施設 1千億円
これが代替案となります。
そして、手付けで3億、受注すればあと30億、その1割でどうだ?と三橋に調整を頼みます。
三橋はもうそういう時代ではないといったんは断ります。
しかし、城山はこういいます。「誰の幸せのために働くのか。俺たちが守るべきものは、建設土木業じゃないのか?」と。真延組がこのままいくと潰れかねない、それを助けようという流れになりました。
談合の誘い
三橋は翌日池松組にやってきました。もちろん調整をしにです。
あれだけ平太に談合なんてしないほうがいいといっていたのになぜか?
最初に愛媛と広島を結ぶ橋梁の話をし、7000億円の工費のものだからこっちをやったらどうだと勧めます。
しかし、尾形は脱談合を会社は宣言しているし、そういう話には乗れないと断ります。
そこで、三橋ははっきりといいます。今回の地下鉄工事を真延建設に取らせて欲しいと。
なぜなら、真延建設は今苦しい状態で、万が一のことがあれば従業員一万人が路頭に迷うことになる。さらに下請け業者の社員も路頭に迷う。これは経済に大打撃を与えることになるといいます。
じゃあ、瀬戸内の橋梁工事を取らせたらいいのでは?と尾形が言うと時間がないということでした。
瀬戸内の工事は来年入札で再来年から工事が開始となります。真延建設は一年も待てない火の車状態でした。
尾形はコンプライアンスに接触しているといいますが、三橋は承知の上だと覚悟を決めています。
そして、一存では決められないだろうから、社長に話してみて欲しいといって帰ります。
三橋の人生
これは三橋の本意とは思えない。そう考えた平太は三橋の見送りをしに行き、そのときに単刀直入にききます。
すると三橋は「言い訳するつもりはない。私は私の人生から逃れられなかった。ただ、それだけのことだ」と告げました。
三橋の人生、それは義理の兄、城山との関係で調整をする人生。そういうことなのか?
運命を受け入れているようで、どこか物悲しげな三橋の姿です。
そして彼はエレベーターの中で、悔しさをぶつけるように壁を叩きました。
社長VS社員
三橋に言われたとおりに社長に話を上げます。断っていいですね?と確認する尾形に、社長は思いがけない返答をします。
- 一年先の橋梁工事のほうがメリットがある
- 城山が指示した工事なら利益率も高いはず
- どっちも落札できなかったらどうするんだ
と、要するに地下鉄工事を真延建設に譲る代わりに、瀬戸内橋梁工事を落札しろと命じます。
それでも食い下がる尾形に対し、社長は「社長命令だ!」といって聞きません。
せっかく新工法でやったら取れるかもしれない工事を、一年先の利益のために見送らなければならない。
社員一丸となって落札のために知恵を絞ってきたのも、すべて水の泡です。
社員の士気は一気に下がり、平太たちも飲み屋でグチいいまくりです。
一方尾形は久しぶりに永山と飲んでいました。
今回の件で意気消沈する尾形に永山はある話をします。
そういえば、昔、日本を代表する大手ゼネコンから、パっとしない中堅ゼネコンに移籍した物好きがいたな。理由をきいたらそいつ、大企業の馴れ合いで取る仕事はつまらないからだっていってた。池松組のような小さくても技術力がある会社が、大手に立ち向かって仕事を取るから面白い。競走がないと業界が腐ってしまう。威勢が良かったな、あの頃は。
と、思い出話をします。
当然、この“物好き”というのは尾形のことです。永山なりの励ましの言葉でした。
尾形の秘策
永山との会話で尾形は再び火がついたようで、地下鉄工事の資料を片付けている平太たちに声をかけます。
プロジェクトはこれまで通り存続する。と。
なぜ存続をするのか?その理由はこうです。
- 談合が成功する保証はない
- 真延建設を助けたいと思っている会社ばかりではない
- 入札で勝てると思っている会社もあるはず
- 代替工事に乗らない会社もあるかもしれない
- 調整が失敗に終わったときのため、万全を尽くす
真延建設がいなくなる=自分たちに仕事が回ってくる。ライバル会社を助ける義理も理由もない。そう考える会社が出てきてもおかしくありません。と、いうか本来競争社会なので、そういうものだと思います。
この調整は荒れる。尾形はそう考えていました。
なので、最善を尽くすために、急遽入札になったとしても大丈夫なように、プロジェクトをこれまでどおり存続させることにしました。
リスク管理の基本だと、尾形もどこか嬉しそうです。
そして、三橋には調整を受け入れる方向だと伝えるよう平太に命じます。
平太の思い
平太は山館組に来て三橋に会社の意向を伝えます。
社長の指示で提案を受けるといいます。
尾形はなんていっていた?と聞かれ、反対してたといい、自分も反対だとはっきり告げます。
ここから三橋と平太の問答が始まります。
Q:真延建設を助ける必要があるのか?
A:仕事だからしょうがない
Q:城山に言われて調整に乗り出したのか?
A:分かっているなら聞くな
Q:本当はどう思っているのか?
A:自分の考えなんて何の意味も持たない
Q:調整しないように調整できるのでは?
A:今回はガッカリさせた。でも今後必ずよくなる
平太は三橋に対してズケズケと物怖じせずに伝えます。そんな平太に対し三橋も答えます。
しかし、平太は怒りが収まらないのか「綺麗事にしか聞こえない、今そうすることもできるのに」と批判します。
すると三橋は「手がける仕事はこれで最後だ。許してくれ、このとおりだ」と深々と平太に対して頭を下げました。
これには平太も驚いて立ち上がり、目を丸くして三橋のことを呆然と見つめていました。
建設業界の天皇と呼ばれる男の頭を下げさせる男、平太。
忖度なしに物を言うその姿勢が、三橋には痛く心に突き刺さったのかもしれません。
【鉄の骨】3話の感想
談合に結局なってしまうのか、どうなのか?というのが今回のメインの話でした。
新工法でやることで、競争入札でも勝ち取れるとなったのに、会社が傾きそうな真延建設を助けるためという理由で調整になります。
談合はやはり長い目で見ると、業界が衰退する原因になりそうです。
どうせ順番で仕事は回ってくると思うと、新工法なんて必要ありません。
何も新しい技術が生まれず、みんなでぬるま湯に浸かっている状態になります。
そこにもし、海外から安くできる新工法を持って来たら?
あっという間に元々いた業者は潰れてしまうでしょう。
結局、進歩を怠ったツケが自分たちの首を絞める。そんな未来が想像できます。
今回池松組の社長は、地下鉄を譲って瀬戸内の橋梁を取れといいます。
それは、地下鉄が取れるとも分からないから、確実に談合でもらえる橋梁を狙えということでした。
しかし、これが確実にもらえる保証なんてありません。
たとえば、城山が死んだり逮捕されたりすれば、なかった話になってしまいます。
現在の新型コロナウイルスの騒動を見ても分かるように、来年はどうなっているかなんて分からないのです。
だったら、今確実に取れそうなものから一つずつ仕事をしていく。
よっぽどそっちのほうが、リスク管理されていると思いました。
【鉄の骨】3話のまとめ
新工法でやることで大幅なコストダウンが可能になり、落札できる可能性が出てきました。
しかし、努力を怠り会社を傾けさせた真延建設が、目先の金を必要として城山に泣きつきます。
その結果、あれだけ談合に乗り気じゃなかった三橋が調整に動きます。
池松組は社長を除き、みんな反対でした。
でも社長は何の保証もない、一年先の橋梁工事を取るため談合に応じろと命令します。
一度はガッカリした平太たちですが、尾形はまだ諦めてませんでした。
万が一、調整が成立しなかった場合に備え、プロジェクトを続行します。
このリスク管理が実ることを祈りたいです。
次回は5月9日22時から放送予定です。