スパイラル~町工場の再生~ 最終回ドラマ感想 最後はどうなる?

スパイラル 2019春ドラマ
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今回で最終回となった「スパイラル~町工場の再生~」は、最後はどうなるのかと心配しましたが、結果的に良い話として終わりました。今は亡き博士こと藤村登喜男の遺志をどうやって守るのか?マジテックはどうなってしまうのか?その全てを解決するため、芝野の捨て身の奇策が炸裂します。

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スパイラル 町工場の軌跡 概要

テレビ東京系列で毎週月曜日22時から放送しています。中小企業の再生をテーマにした、様々な困難を諦めずに乗り越えていく話となっています。

キャスト

  • 芝野健夫(玉木宏)
  • 藤村浅子(貫地谷しほり)
  • 藤村望(戸塚純貴)
  • 久万田五郎(福士誠治)
  • 正木奈津美(野波麻帆)
  • 田丸学(前原滉)
  • 隈田穣治(渡辺邦斗)
  • 岩崎あけみ(水沢エレナ)
  • 小笠原純(島丈明)
  • 桑島孝幸(遠山俊也)
  • 原口慎太郎(長谷川純)
  • 正木希実(宝辺花帆美)
  • 堀保徳(小野武彦)
  • 藤村登喜男(平泉成)
  • 村尾浩一(眞島秀和)
  • ナオミ・トミナガ(真矢ミキ)
  • 桶本修(國村隼)

スタッフ

  • 脚本:羽原大介
  • 監督:井坂聡・松田礼人・棚澤孝義
  • 音楽:遠藤浩二
  • 主題歌:SING LIKE TALKING「Spiral」(Universal Connect)
  • 原作:真山仁 『ハゲタカ4.5/スパイラル』(講談社文庫)
前回はこちら
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あらすじ

「私と組めばマジテックから手を引く」ナオミ・トミナガ(真矢ミキ)の真の狙いは、特許と芝野(玉木宏)だった!

マジテックガードの特許技術を軍事転用しようと企むナオミに、怒りを隠せない藤村浅子(貫地谷しほり)と望(戸塚純貴)。一方で工場の存続が気がかりな田丸(前原滉)。それぞれの思いが交錯する…。

マジテックを人質に取られた芝野が最後に下す予想外の決断とは!?

公式HPより
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感想

「スパイラル~町工場の奇跡~」の最後はどうなるのか?最終回までずっと防戦一方だった芝野ですが、ここで起死回生の奇策に出ます。それは博士の“遺志”を守るということに徹した、肉を切らせて骨を絶つ作戦です。この戦いを無傷で終わることはできませんでした。ただ、一番大切なものを守り抜く。その強い気持ちが現れた結果となります。弱者が強者と戦うとは、こういったことだと教えてくれる話でした。

芝野の決断

ナオミから2億5千万の借金をチャラにしてやる代わりに、芝野がマジテックガードの特許を手土産にホライゾンに来るよう言われます。芝野は葛藤し、マジテック社員も揉めに揉めます。

  • 浅子:芝野のことは芝野自身が決めるしかない
  • 望:自分を立ち直らせてくれた芝野を切るとか絶対ありえない
  • 久万田:芝野なしにマジテックは考えられない
  • 田丸:自分はこの会社が無くなるのは絶対嫌だ

田丸は初めて就職したのがこの会社でした。最初は小さな工場なんて嫌だなと思っていましたが、いつか自分も桶本のようになりたいと思い始めます。だから、この会社が無くなるというのが悔しくて仕方ありません。さらに優秀な芝野をこの会社に縛り付けておくことが、本当に芝野のためになるのか?という言葉に、浅子も芝野自身が決めることに従う気になります。

その後、入院している桶本の元へ芝野は行きます。桶本の過去は壮絶で、長崎にいた時に父親が被爆し、その後遺症で亡くなります。そして就職を探すも被爆二世である桶本は「原爆病が移る」など、心の無い言葉を言われて雇ってもらえません。

そして授業料が安かったからという理由で高専に行って上京します。そこで雇ってくれたのが博士でした。桶本は言います、人には器ってものがあり、自分は博士にはなれない。だが、その遺志を次世代に継いでいくことはできると。

この言葉に芝野はようやく決断します。ホライゾンには行かないと。そしてプランB作戦の実行を決意します。

芝野の奇策

軍事利用をされるのだけは避けたい。それは博士の「発明は人を笑顔にするためにある」という遺志に反するからです。そして芝野たちは記者会見を開き、こう宣言します。

マジテックの保有する全ての特許権をオープンにする

これがどういった意味があるのか、記者との質疑応答で見ていきます。

Q:特許を誰でも自由に使えるようにするということ?
A:その通り。特許権を放棄し、誰でも使えるようにする。これによりホライズンとプラザグループは、特許を独占的に使うことができなくなり、どの国も軍事的優位に立つことができなくなる。

Q:利益が大幅に減ってしまうのでは?
A:特許をオープン化することで、大きなマイナスが生じるのはわかっている。ある意味捨て身の戦法だ。先代が残してくれた特許を手放していいのか、非常に悩んだ。しかし、軍事利用されるのを避けるために、考えた末に特許をオープン化することを決めた。

Q:買収提案の時から特許オープン化は考えていたのか?
A:いえ、決断したのは数時間前です。開発担当の久万田がいった、クリエイティブコモンズという考え方をヒントにした。弊社の特許は人を悲しませるために開発されたのではなく、人を幸せにするために使いたいと思う。

Q:特許をオープンにしたところで、買収は避けられないのでは?
A:そうかもしれない。ただ、ホライズンが弊社を買収するための、大きな動機が失われるのも事実です。

Q:それでホライズンと戦ったということになるのか?
A:相手は世界最大のハゲタカファンド、下町の町工場がまともに戦って勝てる相手ではない。しかし、規模や資金面で負けてもスピリットでは負けたくない。自分は企業再生家だが、マジテックで働くようになってから、自分が何度も再生させられた。その恩返しの意味ではマジテックで働き続けることが、自分の使命だと思っている。諦めなければ、終わりはありません。

要するに、特許を全てオープン化することで、買収の意欲を削ぎ、軍事利用するアドバンテージを失わせるということです。もちろん、買収を阻止できても借金は減りません。それでも特許を軍事利用されるぐらいなら、いっそ自分たちの利益を手放してでも阻止する。こうして博士の遺志が守られます。

村尾の末路

タイで一足先に悠々自適にしている村尾ですが、黒づくめの男たちと一緒に宿泊施設に理事長がやってきます。

  • 理事長は信金に村尾のせいで損害を与えたせいでクビになってた
  • 黒づくめの男たちは暴力団なのか、村尾を刃物で脅す
  • この場所がわかった理由は、あけみが金で転んだから
  • 隠し口座にある金を寄越せと脅される
  • 村尾は渋々応じてネットから金を移し一文無しになる

理事長が連れてきた人たちが何物なのかはわかりません。ただ、ナイフで脅されて村尾はなすすべもありませんでした。あけみは最初から来るつもりはなく、金利を安くしてくれるから付き合っていただけだとわかります。そして理事長はこういいます「金で転ぶような女と付き合うもんじゃない」と。かつて村尾がADキャピタルの田端へ言ったセリフそのままです。

芝野を恨んでいた村尾が理事長に恨まれ、最終的にまたどん底に落ちるという話でした。

新生マジテック誕生

記者会見を開いたことで、ホライズンに買収はされずに済みましたが、やはり借金が返せずに破産手続きをすることになります。工場には“売物件”の文字があり、中の機械には“売却済”の紙が貼られています。残念ながらマジテックは倒産してしまいました。みんなでまたいつか会おうとお互い約束をし、それぞれ工場を後にしていこうとしたところ、一台の車が工場の前に止まります。

中から出てきたのはかつて芝野が勤めていた、曙電気の会長が来ました。芝野がかつて融資を願った際、断ったのには理由があると言います。それは特許を持っていたらあの手この手を使って、ホライズンはまた仕掛けてくると考えたからだということです。それだけマジテックの特許は魅力的で、何としてでも手に入れたいものだったのです。

そこでこのマジテックは潰れてしまったが、新会社を創立するための融資をさせて欲しいと会長がいいます。同じ人々の笑顔のために物作りをする、マジテックの理念に共感してくれたのです。こうして新生マジテック“マジテックNEO”が発足します。

最後は、新しい技術を使って作った、マジテックガードことHOPEというパワーアシスト器具を発表します。それをつけた希実ちゃんが、ボールを手に取り放り投げます。新しい器具は希実ちゃんのできることを、さらに増やしてくれたのです。

その他気になったこと

  • ナオミの「お電話待ってます」はCMのような言い方
  • 社員たちの話をずーっと扉の外で立ち聞きする芝野
  • 回想している内に泣く芝野
  • タイでくつろぐ村尾はチンピラのよう
  • 元理事長のパワハラ的「パスワードわぁ~?」のききかた
  • 最後にまた泣いて桶本にハンカチ差し出される芝野
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ドラマの補足

ドラマ内で出てくる“パワードスーツ”というものが、マジテックの特許でプラザグループが作りたいもののようです。どういったものでしょうか?

パワードスーツとは?

ドラマ内でその説明をする画面があったので、それを引用します。

パワードスーツは、人体に装着させる電動アクチュエーターや人工筋肉などの動力を用いた外骨格型、あるいは衣服型の装置である。
SF作品に登場したことから日本で多く用いられるようになった名称であり、英語では一般的にPowerd SuitではなくPowerd Exoskelton(強化外骨格)と総称される。

概要
一般的な建設機械などでは人間の力を超えて遥かに作業効率の良い装置が使われているが、当装置は人間の能力を増強するため「着用する」という形態で運用される機械装置で、荷物の持ち運びや走る、跳ぶといった、一個人の人間としての動作を強化拡張する目的で使われる。
種類や用途によっても様々な呼び方が存在しており、その呼称は定まっていないが、本項では便宜的に一般名称として、もっとも初期からSF用語として使われた「パワードスーツ」を用いる。
IBCにおいては、IBC13482「サービスロボットや生活支援ロボットの安全規格」が規定されている。

引用元:番組内より

このSF作品というのは日本で人気の「夏への扉」などで知られる、ロバート・A・ハインラインの「宇宙の戦士」です。「機動戦士ガンダム」のモビルスーツのヒントになったことで、知っている方も多い作品かと思います。

この作品の映画版は、パワードスーツがどこいったのかわからないけど、グロテスクなシーンがたっぷりの「スターシップ・トゥルーパーズ」となっています。

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「スパイラル~町工場の奇跡~」総評

始まった当初は順調に毎回良い話があり、見ていてスッキリする物語でした。それが途中から雲行きが怪しくなり、徐々に悪い方向へ話が傾いてきます。それがしばらく続いて不安な感じで終わり、来週は大丈夫だろうかと心配になってきました。

しかし、最後の最後に芝野の奇策で一矢報いる形で終わります。これがもっと都合の良いドラマなら、新生マジテックでなくそのままのマジテックが残ったのでしょう。しかし、このスパイラルというドラマはそう都合よくは終わらないドラマです。“破壊と再生”といった形で結末します。そして、特許という財産を手放しても、人材というもっとも大事なものがあれば、また新たに生み出すことができるという可能性を見せてくれます。

劇中で芝野が言いますが「生きたお金を使い、人の役に立ててこそ、資本主義の王道」です。損失回避に走るあまり、もっと大切なものを失うのは本末転倒です。この物語で言えばホライゾンとの取引に応じて、芝野を失う可能性がありました。本当に一番大事なものは何か?固執するあまりに見失っていないか?そういったことを、改めて教えてくれるドラマでした。

残念ながら視聴率的にはふるわなかったと思います。ですが、自分はこの月曜22時のテレ東枠のドラマが好きなので、今後も視聴していきたいと思います。

今回のいいセリフ

生きがいややりがいは、会社の大小で決まるものではない。心の物差しで決めるものです。

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