【サギデカ】最終回5話「信じるもの」は詐欺組織の首魁を逮捕するため、夏蓮たちがその瞬間を張り込みます。そして全貌が明らかになることにより、廻谷も取調べられますが…最終的に誰がどんな罪になったのか?登場人物たちのその後をまとめました。
【サギデカ】最終回5話のあらすじ
加地(高杉真宙)が拉致されたのを知って、今宮(木村文乃)は現場で動揺を抑えられず、森安(眞島秀和)にフォローを余儀なくされる。憔悴して家路につく今宮だが、焼き鳥屋の前に廻谷(青木崇高)が待っていて、「聞きたいことがある」と言う。廻谷との話もそこそこに今宮が再び職場に戻ると、スマホが鳴る。加地が、閉じ込められている車のトランクの中からかけてきたのだ。息も絶え絶えに、車の断片情報を伝える加地。今宮と手塚(遠藤憲一)らはそれを手がかりに、番頭(長塚圭史)が何者なのか、そして首魁(田中泯)は誰なのかを探っていく…
公式HPより
【サギデカ】最終回5話のネタバレ
- 加地の行方がわからず自責する夏蓮だった。そこに廻谷が来て夏蓮に「たくさんの人の命が救われるなら、小さな不正は許されますか?」と問う。夏蓮は「許されない」と答えるが、加地の件もありそんなことを言える立場でもないとも言う。
- 不意に抱き締める廻谷の腕の中、夏蓮は涙を流すが今廻谷に甘えるのは自分自身が許せなくなると言って離れた
- 夏蓮の携帯に加地からの電話が入る。加地は生きていたが怪我を負っていた。息も絶え絶えな状態でかけてきたのだった。
- 二日前の9月12日、廻谷は新たな詐欺の方法を首魁に話していた。そこにいた番頭は、店長殺害の罪を着せられそうになったのをきっかけに、廻谷と首魁が会話している姿の写真を撮っておく
- そして番頭は加地をバールで殴って襲い、車のトランクに金と一緒に閉じ込める
- 車の行き先を追っていた夏蓮たちは、ある宿のそばで張り込んでいた。車から出てきた男は番頭ではなかったが、そこに宿から首魁が現れてトランクを開ける
- その瞬間、警察が一斉に包囲して加地の逮捕監禁容疑で現行犯逮捕した。加地は一命を取りとめ病院へ運ばれた。
- また、番頭も加地への傷害容疑で逮捕される。捕まった番頭は店長殺しを押し付けられそうになったため裏切り、瀕死の加地をトランクに入れて首魁をハメた
- 番頭の所持品である携帯を調べたところ、首魁と写る廻谷の写真が出て来る。それを見た夏蓮は驚き、捜査二課長に呼び出しを食らう
- 手塚は汚職の臭いがすると、二課長に告げて廻谷の取調べを夏蓮が担当する。桑原との関係は母の幼馴染だと答え、暴力団員であることも知っていたし、なる前から知っていると言う。
- 16年前、振り込めのメソッドを作ったのは廻谷だった。それは闇金が規制された結果、新たに考えた暴力団の資金調達の方法だったという
- 廻谷の会社の資本金も振り込めで得た金だった。罪もない人が犠牲になることに憤る夏蓮に対し、廻谷は世の中のための犠牲だと答えた
- 首魁の逮捕で警察は手を打つよう圧力がかかり、廻谷の贈賄容疑については諦めることとなった
- 夏蓮は別の署へ異動となり、そこの管轄で得た廻谷の音声が残っていた留守電の録音テープを入手する。手塚に電話をし、起訴できないか掛け合う夏蓮。難しいかもしれないが、持って来いと言われる
- 加地は刑が確定し夏蓮が面会に行く。自分のしたことの罪の重さを知った加地は改心し、出所したら夏蓮の祖母の焼き鳥屋へ行くと約束した
【サギデカ】最終回5話の感想
結果としてみんな逮捕とはいかず、廻谷だけは今後の捜査次第といった感じで終わります。
今回のタイトルの「信じるもの」というのが人それぞれで、廻谷や首魁の信じるものや、夏蓮や加地の信じるものはまるで違います。また、振り込めの被害者はこの先の人生、誰も信じられずに生きていくことが辛いと、“信じる”こと自体を失います。
詐欺をしている側も結局、上の人たちだけが潤い、下の人たちは店長のように殺されたり、加地のように逮捕されたり惨めな状態です。善も悪もごく一部の人しか儲からない、どこへいっても格差社会という現実も見せ付けられました。
それでも夏蓮は一人一人に寄り添い、大義のための不正や犠牲を許しません。そんなことだから生き辛いと言われればそうですが、誰かを犠牲にしてまで自分が得をしたいと彼女は思わないのです。自分を含めそうありたいと願っても、いざ目の前に成功や大金がちらつくと、欲望に負けてしまうことが多そうです。しかし、ドラマの中ぐらい、こんな人物がいたっていいんじゃないか、どこか憧れのような気持ちでドラマを見てました。
刑事ものなのですがもっと感情的な部分を揺さぶる話で、被害者に加害者、それぞれの思惑が入り混じる作品だったと思います。以前見ていたWOWOWのドラマ【悪党】が、もっと主人公がシンクロして苦しむ話でした。サギデカの爽やかさを取っ払い、重苦しさだけを残すドラマとなります。
今回は登場人物たちのその後と、廻谷が新たに考えた詐欺のメソッド、夏蓮と廻谷の考え方の比較などをまとめてみました。
登場人物たちのその後
主要人物たちのその後は大体描かれています。何の罪でと具体的な罪の名前や、裁判の状況などはわかりませんが、物語の中でどうなったかをまとめてみました。
- 今宮夏蓮:元林署の知能犯係に異動
- 加地颯人:詐欺の罪で6年の実刑
- 番頭:加地傷害容疑で逮捕
- 首魁:店長殺害と詐欺で立件予定
- 廻谷誠:釈放→新薬承認される
加地は恐らく詐欺の罪で6年の実刑となります。拘置所の中で自分のしたことを悔い、涙流す加地は今なら正しいことができる気がすると改心します。そして、夏蓮の祖母の焼き鳥屋へ音楽プレイヤーを取りに行くから、そのまま持っておいてと言います。夏蓮も快く承諾しました。
番頭は捜査一課に加地への傷害容疑で引っ張られます。その後、詐欺の件も立件するのかは分かりません。
首魁はトランクを開けたところに加地がいたため、加地逮捕監禁容疑で現行犯逮捕されます。その後、手塚が言うには詐欺容疑はもちろん、店長殺害の件でも立件されるそうです。ただ、廻谷が新薬承認のための賄賂を議員に渡していたかの件については何も語りません。
廻谷は詐欺のメソッドを作ったことは認めますし、暴力団員であると知りながら首魁と会っていたことも認めます。しかし、議員のほうから圧力がかかり、警察でも首魁を挙げたので手打ちといった感じで、廻谷の贈賄については触れずに終わります。
これにより廻谷は特に捕まることもなく、議員の根回しもあってか新薬が承認されました。詐欺では挙げられないなら贈賄で挙げようと、手塚は考えていたのですが、握りつぶされてしまいました。
しかし、異動先の管轄で廻谷の音声が残った留守電のテープが出て来ます。廻谷は海外を行ったり来たりしてたので、時効になっていないと夏蓮は言います。もし立件できずとも、何もなかったことにはしたくないと、手塚に電話して音声テープを持ってくるよう言われます。なので、廻谷の件は今後の捜査次第となります。
夏蓮は知能犯に異動となってしまうのですが、その理由はよくわかりません。ただ、夏蓮の口から身内のことがあってそうなったとは加地に対して語ります。実際は加地や廻谷と必要以上に接触していたためなのか、加地も心配しますがどうなのか?わかりません。
新しい詐欺のメソッド
現実でも以前タイのほうで日本人の振り込め詐欺グループのアジトが摘発されました。その方法に似たやり方を廻谷は新たな振り込めのメソッドとして首魁に教えます。どんな内容なのか?ドラマ内で紹介していた内容はこんな感じでした。
【東南アジア移転における今後の展開について】
- 受け子のスカウトは今まで通り、日本国内でSNS等を使用する形をとる
- 掛け子については借金滞納者や負債者などの生活困窮者を集め海外に派遣する
- 移動先が東南アジアの理由については、観光地であれば、集団で入国しても違和感がないことやビザが不要や比較的緩やかな国が多い
ビザ有無については以下である
- タイ:30日以内の滞在はビザ免除
- シンガポール:14日もしくは30日以内の滞在はビザ免除
- ベトナム:15日以内の滞在はビザ免除
- カンボジア:ビザは必要だが、空港などで30日間のアライバルビザ取得可能
- ラオス:15日以内の滞在はビザ免除
- フィリピン:30日以内の滞在はビザ免除
- ブルネイ:14日以内の滞在はビザ免除
- インドネシア:30日以内の滞在はビザ免除
- ミャンマー:2018年から10月より免除
各国2週間はビザなしで滞在できるようです。国によっては1ヶ月近く滞在も可能とあって、日本のパスポートがどれだけ信頼されているかが分かります。しかし、この詐欺のように悪用する人たちが増えると、各国ビザ必要になるかもしれません。被害者を増やすだけでなく国の価値まで下げる、非常に悪質な詐欺師たちです。
廻谷はなぜこの方法を考えたか?昔は掛け子が捕まっても証拠が不十分で不起訴処分だったようですが、今は確実に起訴できるように被害の事実を確定させる捜査方法だそうです。
さらに東南アジアはアジトを押さえることはできても、証拠保全の能力がないため結局日本の警察は立件することができないと言います。ちなみに中国は金融詐欺が厳罰化されたため、余計に量刑が重くなったといってました。
廻谷は今までの振り込め詐欺のメソッドを16年前に考えた男でもあったのです。廻谷とはいったい何を考えているのか?次の項目で夏蓮と比較して詳しく説明します。
夏蓮と廻谷の比較
夏蓮は刑事で廻谷は製薬会社なので違うといえばもちろん違います。その差は金銭的なものだけでなく、思考も全く違う2人でした。なぜ廻谷はこんなにも違う夏蓮に惹かれたのか?夏蓮といると正しいことをしようという気になるとは言ってましたが、廻谷の正義とは犠牲が伴うのが前提でした。
廻谷の考え方
- 振り込めは善意の金、脅しも暴力もない平和的でいい方法
- 金が回っていれば裏社会も落ち着く。結果的に凶悪犯罪も減る
- 裏社会も表社会も地続き。全て金で繋がっている
- 世の中不公平だと思ってる人間がそれだけいるから広まった
- 一人一人に共感していたら何もできない
- 一人一人の顔なんか見ない、神様だって見ていないのだから
- ハズレくじを引かされる人間はいなくならない
- 彼らは世の中のための犠牲だ
夏蓮の考え方
- ヤクザのシノギの問題を一般市民のお金で解決するのはおかしい
- 何の罪もない人からお金を奪うシステムを作ったことに罪悪感はないのか
- あなたの話には人の顔が見えない
- 顔を見るのはありふれたことだけどすごく大事
- 毎日をささやかに生きてる人たちを、顔も見ずに傷つけることは絶対に許すわけにはいかない
廻谷は非常に合理的なものの考え方をします。意識高い系の人にいそうな感じの考え方で、もっともらしいことを口にはしますが、夏蓮がいうように人の顔が見えません。なんというか、他人事のように“しかたない”と言います。
確かに一人一人に共感していたら、大きなことはできないかもしれません。しかし、犠牲に対して共感しないのは犠牲を犠牲と思っていないことにはならないのか?犠牲になった人に対して“犠牲だからしかたない”では、その人に対して何とも思っていないと言っているように感じます。
また、“人の顔が見えない”については、この詐欺自体常に見えません。
- 顔も知らない人の考えたメソッドに従う
- SNSで顔も見ずに人を集める
- 電話で顔も見ずに詐欺をする
- 集めた金は顔も知らない上が持っていく
直接顔を合わさないから良心も痛みにくいし、誰かが捕まっても上までたどりつけないというメリットがあります。だから、直接被害者の叫びを聞いた加地は涙し、真の悪を見たことで自分のしていたことの愚かさを知ったはずです。顔が見えること、それは人間らしくあるために必要なことの一つだと思いました。
【サギデカ】最終回5話のまとめ
刑事ものなので基本的に勧善懲悪です。しかし、このドラマは加地という加害者側の人物に対しても、刑事である夏蓮が共感する部分がありました。さらに夏蓮自身も犯罪者の娘という事実に悩まされます。普通の刑事ものよりも考えさせられるドラマでした。
現代社会への警鐘を鳴らすような話を、詐欺という題材を扱って訴えてきます。加害者、被害者、格差、老人、貧困、それぞれの問題を全5話で取り上げ、そこに生きる人たちの叫びを届けてきました。そこから何を感じ取るかは人それぞれだと思います。騙されるやつが悪いと思う人もいるでしょうし、自己責任だと思う人もいるでしょう。自分がこのドラマから感じ取ったのは、人間らしくありたいということでした。人と顔を合わせて話し、痛みを感じている人の声に耳を傾けられる人でありたいと思いました。
人間らしさなんていうと重いドラマなのではと思いますが、ドラマ自体はそんなに重苦しくもなく楽しく視聴できるドラマです。メッセージ性をぐいぐい前面に押し出してきたりもしませんし、基本的には刑事ドラマなので勧善懲悪です。しかし、今回の廻谷や地面師の時の原田のように逮捕できないこともありますが。個人的に2話の伊東四朗さんの回が面白かったです。ラストの笑うシーンが切なくて印象に残りました。全体的に見て良い作品だと思いました。