【サギデカ】第2話「流転する老人たち」は、投資詐欺と地面師に加担する老人たちの話になります。老人が被害者でなく加害者、なぜそんなことになったのか?そして、前回釈放された加地はグループの上層部と接触を始め…
【サギデカ】2話のあらすじ
今宮刑事(木村文乃)は管理官の北原(鶴見辰吾)から、振り込め詐欺の上層部摘発を狙う「突き上げ捜査」を当面控え、末端の被害食い止めを優先するよう告げられる。反発する今宮だが手塚係長(遠藤憲一)にたしなめられ、従うことに。しかし釈放された加地(高杉真宙)は今宮に「上から接触があったら連絡しますよ」と思わせぶりなことを持ちかける。一方、元・高校教師の北村(伊東四朗)という老人が、教え子の原田(筒井真理子)という女性から声をかけられ…
公式HPより
【サギデカ】2話のネタバレ
- 元・高校教師の北村は、町で偶然教え子と名乗る原田明美と出会う。北村はあまり覚えがなかったが、原田は今度お茶でもしましょうと誘って来た。自宅に戻って卒業アルバムを確認したところ、原田明美という名の生徒は確かにいた。
- 加地から連絡を受けた夏蓮は待ち合わせの場所へ向かう。昼夜問わず見張りがついているので息苦しいからやめて欲しいという加地。その代わり上から接触があったら、連絡すると夏蓮に取引を持ちかける。
- 原田に誘われお茶を飲みに行った先に、原田の知り合いの老紳士がいたため、一緒に話を聞くことになる。なんでも若い人を助けるために、投資をしないかというセミナーめいたものだった。
- 北村はその話を聞き、単純に金が儲かるといえばいいのに、いい訳をくっつけているのが滑稽だという。すると老紳士はキレて北村に向かって水をかけるのだった。
- その後原田と店を出た北村は、何か困ったことあったらいつでも言っておいでと言う。すると原田は実は困っていることがあるとさっそく話し出す。
- 森安が一年かけて立件しようと狙っていた、投資詐欺の「シェイドツリー」の件は、逮捕状が出せないという。なぜなら預かった金を仮想通貨に替えていて、名目上は元本割れもしていないし支払いも滞ってないという扱いだからだった。
- その頃北村は原田に頼まれて銀行に向かう。そこで原田の父親という設定で、土地の売買に関わる話に参加していた。無事にことを終えた北村は、表で待っていた原田に報告し、原田はとても感謝した。
- 店長の男と会っていた加地は釣りをしながら話をしていた。しかし、投げた針が隣の釣り人の糸と絡まってしまい、謝っていたところその人物は番頭の男だった。気に入られた加地は番頭の男から、電話を渡されて用があるときはかけてくるよう言われる。
- 夏蓮の祖母がやる焼き鳥屋のしのぶに、以前出合った廻谷が食べに来ていた。夏蓮は何も知らなかったが、祖母が言うには著名な起業家で、ガンに効く新薬を開発している人物だと教える。祖母の計らいもあって夏蓮は廻谷と一緒に店で酒を親しげに飲んだ。
- 加地から連絡があり番頭の男がいると思われるフィットネスジムに行く。しかし会員でもないため中に入れない。加地は自分を試しているのかもしれないと思う夏蓮、そこにあったパンフレットに目を留めると、入会の際に書く個人情報にきづく。最近頻発している詐欺は、もしかしたら老人ホームなどの申込書なのでは?と。
- 令状を取って名簿を調べてみると「水彩の里」という名の老人ホームの入所申し込み書と、被害者たちの名簿が8割近く合致した。そこでまだ被害にあっていない人物の元へ行き、未然に事件を防ごうと考える。
- 夏蓮は北村の家を訪ねていた。娘が世話を見に時々来てはいるのだが、娘がいうには痴呆が入っているという。実は北村はこないだもスーパーで万引きをして警察に注意されていた。そして、8億5千万の取引をまとめてきたなどというので、最近は妄想も酷いと零す。
- 夏蓮は北村に詳しく話を聞き、どこの銀行か思い出せるかと問う。しかし、北村ははっきりとした名前や場所が言えない。なら一緒に現地に行けば思い出せるかもと、夏蓮が付き添ってその場所へ向かう。少しずつ何かを思い出しはするものの、やっぱり自分はボケているのかも、あとは原田に聞いてくれと北村は言う。
- 北村が原田だと思っていた女性は実は広瀬という有名な詐欺師だった。広瀬は決して表に出て来ることがなく、捕まることはなかった。
- 銀行も被害者もわかり話を聞きに行く夏蓮たち、表ざたにしていなかったのは企業イメージが悪くなるからという。立件のために何度も防犯カメラを確認する夏蓮たち、すると見覚えのある人物が映っていた。投資詐欺「シェイドツリー」の代表の松澤だった。急いで森安に連絡し身柄を確保する。別件ではあるものの取調べをする森安、年寄りを“バグった老人”とバカにする男に「10年もすればわかるのでは、バグった老人の気持ちが」と、現在52歳の男に向けて告げた。
- 加地はみずから番頭に電話して自宅に行っていた。そこで番頭の男が繋がっている刑事に、ある人に捜査が及んでないか探って欲しいと頼まれる。
- 夏蓮は北村にその後の話をしに行く。北村が詐欺の片棒を担いだということで逮捕されるという話に、娘はなぜ原田は無罪なのに父だけがこんな目にと嘆く。原田は証拠不十分で釈放されたのだった。
- 夏蓮は北村に事情を話すため一緒に少し表を歩く。原田だと思っていた女性は実は詐欺師で、騙すつもりで近づいてきたと真実を告げる。だが、北村は彼女が困っていたから助けた。この年になって先生のお陰と言われて嬉しかった。俺は幸せだと笑うのだった。
【サギデカ】2話の感想
前回は若者でしたが、今回は老人が加害者という話です。年老いて社会的存在も薄くなり、下手すれば厄介者扱いの老人たち、その心の隙間に付け込まれて犯罪に手を染めます。
今まで真面目に働いてきた人たちがなぜ犯罪に?その理由は“自分の存在価値”でした。家族に痴呆のため厄介者のように扱われる北村は、かつての教え子が自分を頼ってきたため、何とかしてやりたいと思います。そして、役に立つということに喜びを覚えます。
また、投資詐欺の片棒を担ぐ老紳士も同様で、若い人たちのために何かをしてやりたいという思いから、利用されて年寄りの勧誘を請け負います。二人に共通していることは、誰かの役に立っていると思うことで、自分の存在価値を確かめたいということです。
どちらも悪意があって始めたことではありません。寂しさや善意で始めたことです。今後、老人の数が増え、若者が老人を騙すだけでなく老人が老人を騙す、そんな機会ももっと出てくるでしょう。今回最後に北村が笑うシーンは、なんともやるせない気分にさせます。
今回起きた事件の詳細と、その手口について書いていきます。
投資詐欺について
今回、森安が逮捕するために1年近く地道に捜査を続けていたある会社があります。それは「シェイドツリー」という投資詐欺の会社でした。
- 代表取締役社長 松沢亮治(38歳)
- 水質改善装置の会社
- 1ヶ月で警視庁への告発102件
- 元本保証、年利10%の高配当
- 1口100万円から
- 主に高齢者から金を集めていて数ヶ月前から配当が滞っている
- 被害総額は400億円
まず年利10%という場合は大体詐欺です。ましてや元本保証なんていう場合、間違いなく詐欺です。100万円を一年預けたら10万返って来る計算です、誰だってそんなものあれば投資したいでしょう。
案の定配当が滞り始めたので、森安は社長の松沢を逮捕しようと意気込みます。ですが、逮捕状の請求はできませんでした。なぜでしょう?
- 焦げ付いた資金を仮想通貨に換えていた
- 運用されていない仮想通貨は無価値
- だがそれを証明する手立てはない
- 名目上、元本割れもしていないし滞っていないことになる
仮想通貨の価値の問題であって、こっちは何にも悪いことはしていないということなのか?どういう仕組みなのかはよくわかりませんが、とにかく運用はしていると言い張れるようです。
投資詐欺については今年「テキシアジャパンホールディングス」という会社の、通称“キング”こと銅子容疑者が逮捕されたのが記憶に新しいと思います。この会社は2013年からの4年間で、1万3000人の出資者から約460億円の被害総額を出します。この会社も一口100万円で毎月単利3%という配当でした。年利でいえば36%ととなります。ありえません。
しかし、このキングはなかなかのカリスマ性があり、みずからCDまで出して歌ったりします。部外者の自分としてはそんな話に笑ってしまいますが、当事者たちにしてみれば教祖的存在だったのでしょう。いっそ、普通に教祖としてお布施という形にすれば逮捕されなかったのに、投資となるとやはり詐欺になります。
地面師について
こちらは北村が結果的に手伝ってしまった事件となります。なぜ北村はそんな詐欺の仲間になってしまったのか?それは教え子の原田の存在があったからです。
- 原田に父親役を頼まれる
- 行政書士と弁護士と一緒に銀行へ行く
- 偽の身分証明書を見せる
- 土地の取引を終える
北村の土地を北村が売るのではなく、原田の父親の土地を北村が売る。そんなことができるのか?結論からいうとできます。人の土地を勝手に売り飛ばす、地面師という人たちです。以前積水ハウスから63億円騙しとった人たちが捕まった事件がありましたが、あれが地面師詐欺事件です。
手口は今回の北村の件と大体一緒です。原田は地主を演じる人を捕まえてくる“スカウト役”だったのだと思います。丁度いい年頃の人物を配役しなければなりません。しかも、ビビって逃げ出すような人物では困ります。北村は原田のために演じきろうという気持ちを利用されたわけです。
後にこの原田という女性は実は有名詐欺師だということがわかります。
- 本名:広瀬藍子
- 組織的な詐欺事件には必ず一枚噛んでいる
- 絶対に表に出て来ない
- 証拠も残さない
- だから逮捕されないし、されても起訴できない
そんな人物が本当に実在するのか?この人物のモデルと思われるような人が男性でいます。その人物の話なども含めた地面師の話が書いてある本を紹介します。自分も読みましたが、大変興味深い話でした。土地持ちの方はなおさら一読の価値があります。
詐欺の名簿はどこから?
今回起きた事件とは別に振り込め詐欺も起きます。今まで電話がかかってこなかった家のせいか、なんと1000万円も取られてしまいます。詐欺は名簿が全てで良質な名簿であればあるほど旨みがあります。では、電話をかける名簿がどこから出たのでしょうか?そして何が書かれていたのか?
- 流出先
- 老人ホームの入所申し込み書
- 書かれていること
- 家族構成
- 子供の住所氏名
- 勤め先
- 貯蓄額
- 年金額
- 病歴
- 要介護度
- 通院歴
完璧な名簿だと夏蓮は言います。この老人ホームの名簿を照会する令状を取り、被害者と照らし合わせていくとほぼ合致しました。ただ、内部からの流出ではないらしいですが、今後捜査を続けていくようです。
夏蓮は加地に指示されてあるフィットネスジムに行きます。そこで、中には入れませんが、置いてある入会申し込み書を見て気づきます。そこのジムも年収やら勤め先やら、金持ちかどうかを判断するための記述爛がありました。
もしかすると加地はそれを教えるために、あえて夏蓮をこのジムに行かせたのかもしれませんが、実際のところはわかりません。
廻谷誠とは?
前回夏蓮がバイクで行った先で出会った男性です。祖母の経営する焼き鳥屋の話をしたら、本当に彼は来店しました。どんな人物なのでしょう?祖母が見せてくれたネットの記事を引用します。
薬のがん治療薬は本当に実現するのか?バイオベンチャーの寵児・廻谷誠の挑戦
近年、がん治療方法が飛躍的に進歩しつつあるが、今また、新しい特効薬が開発されようとしている。オン・ザ・ホライズンが手掛ける新薬はすでに治療の最終段階に入っており、順調に行けば年内の承認も夢ではないという。
がんの新薬を開発している会社ということで、廻谷の総資産は280億と言われているそうです。そんな凄い人物だと夏蓮は思っていなかったようで驚きますが、特に媚びることもなく普通に会話を続けます。夏蓮が焼き鳥屋を仕事にしているわけでないことを知り、廻谷も特に追求はせず夏蓮も刑事だと言いません。
架空の会社を経営してはいないようですが、この2人が純粋な関係なのか?実は廻谷は悪事に手を染めていて、夏蓮が逮捕するなんてことにならないのか?なんてことを少し心配します。普通の出会いならいいですが。
ちなみに軽くドラマ内で触れられますが、どうやら夏蓮と森安は6年前に交際していたようです。ただし、半年もったかどうかという期間だったようです。
【サギデカ】2話のその他気になったこと
- バイクで犯人を追い詰める夏蓮の格好よさ
- 日焼けを気にしている夏蓮
- 夏蓮の“ゴキブリ”呼びに、詐欺師にだって人権はあるという手塚
- いい年した大人なんだから、嫌だと思ったら断れとアドバイスする北村
- 向井に対して誰かが子育てしないと国が無くなるという夏蓮
- 廻谷の資産に玉の輿とほくそ笑むしのぶ
- 松沢の頭はカツラな上に整形をして、実年齢は52歳だった
- 踊りのような訓練のような謎の動きを庭でする謎の人物
【サギデカ】2話のまとめ
前回も加地の生い立ちを聞いて切なかったですが、今回も北村の置かれている状況が物悲しい話でした。詐欺の動機は金もですが、結局自分の現状が満たされていない人は、加担するということなのだと思いました。
投資詐欺や地面師、詐欺も色々な詐欺があり、あの手この手の新しい詐欺が生まれます。詐欺は決して無くならない、犯人を捕まえても捕まえてもまた出て来る。終わりのない検挙に空しさを感じそうですが、夏蓮は一人でも救いたいと思って寄り添います。
大本を叩くのか末端の被害者を先に救うのか、夏蓮は上を叩かなければ被害者はさらに増えるといいます。しかし、警察の方針では末端の被害者をまず減らす方向のようです。納得のいかない夏蓮ですが、その時、亡くなった悦子のことを思い出し葛藤します。
また、時々出てくる夏蓮の幼少時のフラッシュバックのシーンは、何を意味するのか?加地は敵か味方のどちらなのか?最後に田中泯さん演じる人物が出て来ますが彼が首魁なのか?そういったことも今後注目して、来週も楽しみに視聴したいと思います。