NHKのドラマ【ここは今から倫理です。】3話のネタバレと感想をまとめています。
今回の内容は教師を罠にハメる悪い女生徒と、翻弄される教師の話です。“よく生きる”とはどういうことなのか?ソクラテスの教えを高柳が伝えます。
【ここは今から倫理です。】3話のあらすじ
深川時代(池田朱那)は思っていた。「オモチャにはならない。オモチャにする側になってやる」と。彼女は以前、高柳を罠にハメてセクハラされたと告発した。しかし、高柳(山田裕貴)は何一つ動揺することなく、彼女の狂言だと分かり事なきを得た。
時代は新たなターゲットに切り替える。それは物理教師の松田(田村健太郎)だった。女生徒から気持ち悪がられている彼を翻弄し、セクハラを訴えて破滅させようと考えていた。
松田は彼女の思わせぶりな態度に悩まされ、ある日高柳に相談をする。教師と生徒の恋愛についてどう思うかと。それを聞いた高柳は自分の考えを述べた。
やがて、松田はある決心をするが……。
【ここは今から倫理です。】3話のネタバレ
3話のネタバレは3つです。
- 高柳の考え
- 告白
- ソクラテスの教え
結論から言うと、松田は時代を思うがゆえに断ろうとし、抱いていた思いを伝えますが実りません。
ソクラテスは何を教えてくれたのか?
1.高柳の考え
生徒と教師の恋愛について、高柳は最初に相談された時「それは愛ですか?それとも性的欲求ですか?」と問い返した。その後、再び松田と会話した時に、高柳はどう思っているのかを語る。
- 教師と生徒の恋愛が全て悪だとは言わない
- ただ、相手が18歳未満なら児童福祉法に問われる
- アイデンティティーを確立している成人と、確立していない青年との間にフェアな恋愛感情が成立しうるのか
- 教師の権力を笠に着て関係が成立しているのならセクハラ
悪いことだとは言わないが、アンフェアなのではないかと高柳はまず答えた。消沈する松田がその場を離れようとすると、高柳はさらに話を付け足す。「もし、2人の関係が本当に対等であるのならば、恋愛してもいいと思っている」と。
なぜなら、規則違反はいけないが、心から結ばれたいと願っているのであれば、その規則自体が“人は自由に恋愛していい”という社会の決まりに反するからだ。そこで改めて松田に問う、その彼女を心から愛してしまったのか?弱者を自分の性的欲求のはけ口にしているのではなく?と。
松田は時代とのことを思い出す。浮かび上がってくるのは、彼女の性的な魅力ばかりだった。「僕は卑怯者です。ありがとうございます。少し冷静になれました」と答えて去った。
お互い心から求め合っているなら、生徒と教師の恋愛を禁止すること自体が、自由恋愛を規制することになる
2.告白
学園祭のミスコンを高柳と松田は遠くから見ていた。時代の妹である杏奈は、モデルもやっていて“日本一かわいい女子高生”と言われていた。彼女が参加している姿を、時代は冷めた目で見ていた。やがて、松田は「終わらせてきます」と言って去る。時代も松田を破滅させようと教室へ向かった。
待ち合わせた教室で会う2人。時代は高柳の時のような失敗をしないように、スマホで会話をこっそり録音していた。思わせぶりな態度で迫る時代を、思わず松田は突き飛ばしてしまう。その瞬間、時代は叫びセクハラ被害を訴えた。
そこに高柳が現れて録音しているスマホを取り、大事な証拠だからこのままにしておこうと言う。襲おうとなんてしていないと否定する松田、なぜなら彼女を愛してしまったからだと主張する。松田は時代がからかっていたのが分かっていた、しかし、本気にしてしまった。高柳との会話からフェアでありたいと思い、関係を止めようと思っていた。
今まで誰とも恋愛したことがないから、これが本当の愛なのか分からなかったと松田は言う。そんな彼に何か答えてあげてと高柳が促すと、時代は「無理」ときっぱり松田の告白を断った。
松田の思いを時代は断った
3.ソクラテスの教え
高柳はなぜ彼女が自分に言いがかりをつけてきたのか、妹の杏奈が入学してきたことで分かった気がした。まるで大人の目を引きたくてわざと悪さをする子どものようだと。彼女は妹への気遣いを自分にも向けて欲しいと、親に対して思っていた。だから、大人をからかっていた。
余裕ぶっている大人をオモチャにして、楽しんでいただけだと否定する時代。高柳は楽しかったか?と彼女に聞くと時代は涙を流した。
美にして善であること。美しいことと善いことは同一のもので、その両方の実現を目指すべきだと、ギリシャの古い考えがあると高柳は教える。そして、ソクラテスは若者にこう語った。「たえず自分を鏡に映し、美しければそれにふさわしい者になるように。醜ければ教養によって、その醜い姿を隠すように」と。すなわち、魂を善くしなければ、人間はよく生きることはできない。と語る。
時代は妹と違ってブスだから、勉強しろって?とキレて立ち去ろうとする。そこで松田が「違う、君はとてもきれいだよ」と声をかける中、ミスコンの優勝者として妹の杏奈が選ばれたアナウンスが聞こえた。妹に比べれば、全然ブスだと言って彼女は去っていった。
魂をよくしなければ、人間はよく生きれない
【ここは今から倫理です。】3話に登場した教え
今回は古代ギリシャの哲学者ソクラテスの教えです。美=善という考えがあった古代ギリシャで、人間が生きる上で最も重要なことは“よく生きること”だとソクラテスは言います。
真の自分は“魂”である
ソクラテス
人間は魂をよくすることによって、よりよく生きることができる。魂への配慮が人間の最大の関心事であるはずだとソクラテスは考えました。今回の話に照らし合わせてみると、時代は妹と比べると自分は醜いと思っています。しかし、松田は彼女を美しいと思っていました。
美とは容姿の美醜だけのことを指しているのではなく、“魂”の美醜も指しているのではないか?時代は見た目の美醜にこだわるあまり、魂が醜くなっているのだろうと思わせる話です。
ソクラテスの考えに触れられる一冊をピックアップしました。
【ここは今から倫理です。】3話のまとめと感想
妹に対するコンプレックスの強さから、大人の気を引くため悪質なことをする生徒に、魂の醜さを教える話でした。
結局、時代はふてくされて、高柳の言葉の真意を読み取ることができずに終わります。真の自分は魂であり、魂をよくすることがよく生きることができる。その意味を考えることすらしません。ただただ、自分は妹よりも容姿が劣っているということばかりに囚われます。
そもそも“美”とは何なのか?人や地域、その時の流行などによって違います。自分にとっては欠点だと思っていることも、別の人から見たらチャームポイントだったり、明確な基準がありません。だとするなら、みんな“美”になってしまうのか?それもまた変な話です。
しかし、真の自分=魂の美醜は明確です。時代のように大人をハメて貶める行為は“醜い”でしょう。よって、彼女は見た目の容姿を気にするよりも、魂の美醜を気にするべきだったのです。もし、彼女が親に気遣ってもらいたいなら、まずは魂を美しくすべきという結論に至ります。
裏を返せば、魂が醜い人はよい生き方ができないということになります。鏡を見て自分の魂は美しくあるかを自問自答するということが、よく生きる秘訣なのかもしれません。