【プライベートバンカー】7話のネタバレと感想をまとめています。
取締役会でクーデターを起こした沙織は、母を追い出して社長に就任する。そして友人のプライベートバンカーと一緒に、会社を立て直すため新たな形態の店舗を開店した。因縁の母娘のバトルの結果は……?
【プライベートバンカー】7話のあらすじ
天宮寺丈洋(橋爪功)が倒れたことにより、代表取締役を美琴(夏木マリ)が代行することになった。しかし、沙織(土屋アンナ)は理事会で代表解任の決議を取り、見事クーデターは成功し社長に就任した。
そこにやってきたのは沙織の大学時代の友人で、プライベートバンカーをしている岡田大輔(ウエンツ瑛士)だった。沙織は庵野甲一(唐沢寿明)とではなく、彼と組んで経営を立て直すと豪語する。
そこで沙織は、低価格路線で新たな店舗を出店するが……。
【プライベートバンカー】7話のネタバレ要約
庵野は沙織の案に不安を覚え、美琴に高級路線の店を出すよう助言する。その結果、美琴の店舗のほうが賑わいを見せた。
沙織は岡田になんとかするよう命じたところ、海外の保冷剤会社に投資するよう言う。そこに庵野がやってきて異議を唱える。
岡田はクライアントを大勢抱え、別のクライアントが不要になったものを、沙織に買わせていた。そこで両方から手数料を得て稼いでいた。さらに海外の保冷剤会社からも、契約することで延々と手数料を得ようとしていた。庵野はそれを「手数料蟻地獄スキーム」と一刀両断する。悪事を暴かれた岡田は沙織を罵って去った。
友人も失い損失を抱えて凹む沙織に、庵野は会計帳簿を渡して美琴がやっていることを教える。息巻く沙織が美琴を追及するが、美琴はまるで動じなかった。
逆に株を買い取るといい、その代わりに二度と経営に携わらないことを書いた誓約書にサインをするよう迫る。
株主代表訴訟をされる可能性があるので、キャッシュを持っていたほうがいいと庵野は助言し、沙織は血涙の思いでサインをした。
【プライベートバンカー】7話の詳細なネタバレ
クーデター発生
天宮寺丈洋(橋爪功)が倒れた後、危篤状態にあったが、峠は越えたと伝えられる。会社の主導権を誰が握るかという話になり、美琴(夏木マリ)が「私がやる」と名乗り出た。
代表取締役社長代行の決議を取る場で、沙織(土屋アンナ)は緊急動議を提出する。モニターにハナウマハンバーグの売上が、10年間下降し続けていたことを映し出し、その責任は副社長にあると指摘。結果的に美琴の代表解任を要求するクーデターが発生した。
事前に庵野甲一(唐沢寿明)と沙織は話しており、沙織は母が会社を譲らないなら自分が奪うと決意していた。これまで自分の人生が奪われ続けたことに憤りを感じ、今度は母から大切なものを奪う覚悟を固めていた。庵野は、取締役の過半数の賛成が必要だと諭し、難しいのではないかと言ったが、沙織は「もうあなたには頼らない」と言い放った。その時、アメリカの大学時代の友人で、現在プライベートバンカーをしている岡田大輔(ウエンツ瑛士)が現れ、沙織は岡田と組むことを決めた。庵野はその場を後にした。
その後、岡田は沙織に、取締役たちは現状維持を望んでいるが、土台を揺さぶる必要があると話した。沙織は努(安井順平)にも会い、このまま蔑まれる人生を送るべきではないと煽った。
決議を取る場で、取締役たちは次々と手を挙げ、最終的に沙織が取締役に選ばれた。美琴は「さすが私の娘ね、応援してるわ」と言って帰り、その後岡田が入室し、場を仕切り始めた。
プライベートバンカー対決
ハナウマハンバーグの立て直しについて庵野が沙織に尋ねるが、沙織はすべて岡田に任せていると答える。これに対し、庵野は天宮寺家のプライベートバンカーとして承服できないと話し、岡田と勝負をしようと提案する。100万円を預け、一週間でどれだけ増やせるかで勝負をすることに。岡田はその提案を受け入れた。
庵野たちは早速、どの株を買うかを検討し始める。一方、岡田も海外の友人に頼んで、どの株が良いかを尋ねていた。
結果として、庵野は132万円に対し、岡田は308万円となった。岡田は「分散投資なんてオールドスタイルの手法だ」と笑い、庵野は素直に負けを認めた。
その後、ハナウマハンバーグの新しい事業法案を理事会に提案し、絶対に失敗しないと豪語した。
あだ名はウルフ
美琴が「彼らはどうやって立て直すつもりなのか」と尋ねると、庵野は「サスティナブルだ」と答えた。まずは客の前で焼くパフォーマンスや配膳、レジなど、できる限り人件費をカットする。さらに仕入れの見直しを行い、メニュー単価も下げるという。元々1500円だったメニューを850円に下げ、「安い、美味い、早い」をコンセプトにした。岡田は利益と社会貢献を両立させる、ゼブラ企業を目指すと豪語し、旧態依然とした経営スタイルは刷新すべきだと主張した。話を聞いた美琴は「老兵は去るべきってことね…」とつぶやいた。
新業態に生まれ変わった店舗が開店し、飯田久美子(鈴木保奈美)が見に行った際、大盛況だった。事務所では庵野たちが話し、岡田がスイスでプライベートバンカーとして、トップに上り詰めた伝説の人物であることが語られる。庵野は「彼から学ぶことも多そうだ」と話し、御子柴修(上杉柊平)も岡田が沙織に買うよう指示した株を、勉強のため調べておくと言った。
理事会で、岡田は新装開店した1号店の売上が過去最高だと報告する。そこで、庵野が美琴から預かったバラの花束を持ってやってくる。そして、美琴と繋がる電話を庵野が取り出し、みんなに聞かせる。美琴は「おめでとう、あなたならやると思ってた。期待してるわ、じゃあ頑張って」と言い、電話を切る。岡田は自分たちの勝利だと喜び、庵野は謎かけで「足元には十分注意と」と忠告した。
その直後、社員が飛び込んできて、取引先が契約を打ち切りたいと言っていると報告する。さらに続々と契約を打ち切りたいという話が持ち上がっていた。
ブロードウェイスキーム
1週間後、新装オープンした店舗の売上は80%減少していた。契約を打ち切った取引先が新たに契約したのは、美琴が立ち上げた「極ハナウマ」という超高級路線の店だった。取引先に確認したところ、傘を持った男が大口の契約を結んでくれたという話だった。
沙織は美琴のところにやってきて文句を言う。「老兵は去るべき?私が老兵ならね」と高笑いをする美琴。庵野は沙織のビジネスプランが不安だったので、新たなビジネスプランを美琴に提示したと語る。御子柴は最高額が3万円だが、1600円のリーズナブルな商品もあると説明。
さらに庵野は、ブロードウェイにはVIP席があり、日本の客席価格は一律だが、ブロードウェイでは演目によって価格が変動することを話す。高額な席がある一方で、数千円の席も用意されており、このシステムが美琴のビジネスに似ていることを岡田が理解し、説明を代わる。VIP席の売り上げを元に、他の席を安く設定できる仕組みで、金を払う人には十分に払わせ、その他の人には品質の良いものを安く提供できる。いわゆる「ブロードウェイスキーム」だった。
「時代が求めているのはどちらか、これではっきりするわね」と美琴が言うと、沙織はキレて「そんなに自分のすることが気に入らないの?私はあなたのなんなんですか!」と食って掛かる。しかし、美琴は黙って何も言わなかった。沙織は怒って帰り、美琴はぽつりと「沙織は私にとって何かしらね…」とつぶやいた。
久美子が「娘…じゃないんですか?」と尋ねるが、美琴は何も答えなかった。
手数料蟻地獄スキーム
「極ハナウマ」がオープンすると大盛況となり、一方で新装オープンした「ハナウマハンバーグ」はがらがらだった。オープンして1週間経っても、「極ハナウマ」は賑わっていた。庵野たちは沙織の店を見に行き、久美子は「これはこれでいいと思う」と言ったが、庵野は「理屈上手の商い下手」だと評価した。
沙織は岡田に文句を言い、すると岡田は「切り札がある」と話し始める。それはアメリカのある会社が開発した、とんでもない保冷剤のことだった。その保冷剤があれば冷蔵庫や冷凍庫が不要になり、自家用車で冷凍品をどこでも届けられるようになると言う。岡田はそこに投資しようと沙織を誘ったが、沙織は迷っていた。そこに庵野がやってきて、沙織の資産がこれ以上減るのを見ていられないと言って止めた。
沙織の資産は83億円から33億円に減少しており、アイナグループの預貯金も500億円から300億円に減っていた。岡田は言い訳をするが、庵野は「挽回しようがしまいが、どちらでもいいのでは?」と言った。
岡田は35のクライアントを抱えていたが、そのすべてが手数料目当てだった。岡田が沙織に買わせたビルやレジデンス、アイナグループの預貯金で購入させたプライベートエクイティファンドは、すべて元々岡田のクライアントの持ち物だった。クライアントがいらなくなったものを、別のクライアントに売ることで、どちらからも手数料を受け取るという仕組みだった。
沙織に売った物件は毎年家賃を下げる要求ばかり受けており、ファンドも成長性のないIT企業ばかりで、実質的にゴミを買わされていた。さらに、今勧めていた保冷剤の会社も岡田の知り合いの会社で、信託報酬は年間10%で、何もしていなくても取られることになっていた。
気づけば、岡田は永遠に手数料を搾り取る仕組みを作り上げていた。庵野はこれを「手数料蟻地獄スキーム」と名付けた。
狼少年
岡田は証拠がどこにあるかと開き直り、庵野はファンドマネージャーのニコラスに話を聞こうかと答える。岡田はその名を聞いて驚き、庵野は最初に岡田がどんなコネクションを持っているのかを見せてもらったと話した。100万円ずつ預けてもらえないかと勝負を仕掛けた時、彼がどこに投資するのかを探っていた。
岡田が増やした380万円のからくりも、沙織から預かった100万円を元手に200万円を借りてレバレッジをかけ、300万円にして投資しただけだった。実質のプラスは8万円だけだった。御子柴は「伝説も全部ウソだったんですね」と言い、久美子は「ウルフは嘘つきの狼少年って意味だったのね」と呟いた。
沙織は「こんなの詐欺だ!」と怒るが、庵野は「詐欺ではありません。沙織様の投資判断が間違っていただけです」と諭した。最初からそのつもりだったのかと言われ、岡田は「馬鹿の金持ちからちょろまかして何が悪い。親が金持ちってだけで、今までいい思いしてきただろ?それなのに、自分の能力が高いと勘違いしやがって」と告げると、沙織は「出ていけ!早く!」とキレる。
岡田は「持つべきものはプライドだけ高い、出来損ないの金持ちの知り合いだな!」と憎まれ口を叩いて笑って去っていった。沙織は「勝手に仲間だと思っていた私が馬鹿だった。もう終わりだ」と凹む。
その後、久美子が「美琴さんに相談してみたら?」と提案すると、沙織は「彼女は弱みでも握らないとこっちの思うようには動かない」と答える。庵野は「会計帳簿を気分転換にでも読んでください」と渡した。
吸血スキーム
沙織は美琴のもとにやって来て、「授業を始めます。あなたが裏側でどんな悪事を行ってきたのか」と切り出す。美琴はグループの持ち株を担保に、個人で銀行から300億円を借り、その金を元手に経営が立ち行かなくなった弱ったライバル企業に近づく。そして助けるふりをしてわざと返せない額を個人で融資し、その担保として不動産や株を奪い取るという手法で、店舗を拡大させてきたことを明かす。
美琴の手法は悪質な地上げと変わらず、狙いを定めた土地や企業を安く手に入れる卑劣な方法であり、沙織はそれを「吸血スキーム」と名付けた。このことが公になれば終わりだと脅す沙織は、美琴に黙っておく代わりに2つの条件を出す。1つは経営から完全に退くこと、もう1つは自分に対して行ってきた嫌がらせをやめ、ハナウマハンバーグの販路を元に戻すことだった。
美琴に誓約書を見せ、サインを迫る沙織に対して、美琴は「で?私を追放して、仕入先を元に戻してどうなるの?ハナウマハンバーグが持ち直すとでも?」と告げる。美琴は「つくづく残念だわ、沙織。所詮私への憎しみ、つまり感情論でしかない。そういうところが圧倒的にセンスがない。会社の代表として今あなたが一番欲するべきは、損失したものを少しでも取り戻すこと」と冷静に答える。
その後、美琴は合図をし、150億円の現金を持ってこさせる。それを元に、グループの持ち株5%を買い取ると話す美琴。沙織はその話を聞いて崩れ落ち、「最初からそれが目的だったのか」と呟く。最後に沙織は悔しさに任せて「なんで勝てないの?私とあなたは何が違うの?」と叫んだ。
決断の時
すると、庵野が口を挟んで言った。まず1つ目は、沙織が副社長室を土足厳禁にしたこと。オフィスや経営者の部屋に入る際、靴を脱がせる企業はほとんどが成功していないという。
2つ目は、経済学と経営学を信じすぎている点。アメリカの経済学者ベン・バーナンキは「経済学とは過去に取った行動が、いかに間違えていたかを説明するのに秀でているが、将来についてはそれほどでもない」と言っている。つまり、経済学は過去の事例分析に過ぎず、将来を予測する力には限界がある。
久美子はそれを聞いて、「理屈上手の商い下手」とはこういうことかと気づく。団子屋を潰しかけた理由はわかるが、これからお店がうまくいくかどうかはわからないということだと。御子柴は、経済学と経営は別物だと言った。
そして3つ目は、沙織が人を見ていないこと。これまでの客がハナウマハンバーグに求めていたものが、一体何かを理解していないと庵野は指摘する。新プランは確かに安くなったが、もっと安くハンバーグを出している店は山ほどあり、中途半端な店になってしまったという。
さらに、沙織は材料の仕入れ先を1つに絞り、年間契約を結んで安く抑えようとしたが、美琴は「何もわかっていない」と口を挟む。もしその1社が不作だったり、トラブルがあったりして、急に品質が落ちたり供給量が減ったらどうするのかと。実際に契約が切られて大騒ぎだったではないかと美琴は指摘する。庵野は、4社との契約がリスク回避のためであり、それが顧客のためでもあると言う。
美琴は続けて、沙織が「ハナウマハンバーグを愛していない」と告げ、自分がどんな思いで店をやってきたのかを、想像したこともないだろうと話す。経営者として、人の心がわからない人間には無理だと言うと、「あなたに人の心を説かれたくない」と沙織はキレる。美琴は冷ややかに「人の心を持っているかどうかと、人の心がわかるかどうかは全くの別!」と返した。
さらに美琴は、沙織に贈った赤と白のツートンのバラには「戦争」という意味があると説明し、「人の心が見抜けないあなたは、経営者として失格!」と断言。株を売ることと、経営には二度とかかわらないことを明記した誓約書にサインするよう迫る。
沙織が会社に損害を与えたことで、株主代表訴訟を起こされる可能性があり、その場合、現在の資産では賄えない。丈洋の相続のことも考えると、今キャッシュを蓄えておくことが賢明だと庵野は沙織を諭す。個人の損失を50億円補填しても、100億円は残ると説明し、これは悪い話ではないと続ける。
沙織は血涙の思いでサインをして帰った。美琴は「これで株が安く手に入った、ありがとう庵野さん」と告げた。
【プライベートバンカー】7話の結末
暗く、明かりのつかない家に帰ってきた沙織のもとに、庵野がやってくる。沙織は家族も友人さえも信じられず、「こんなこと、誰にもわかってもらえない。なんで金持ちに生まれたんだろう…」とこぼす。
そこで庵野は、愛犬の話をし始める。愛犬は何をやらかしても死なないから、今でもよく粗相をするのだという。庵野は沙織に、「あなたはまだ生きている」と告げる。沙織はその言葉に少し心が軽くなり、「そっか…今、なんかやっと肩の荷が下りた気がする。ありがとう」と答える。
その後、美琴は再び社長に返り咲く。庵野のもとに電話がかかり、その話を聞いた庵野は微笑んだ。
【プライベートバンカー】7話の金融格言
理屈上手の商い下手
庵野は沙織が出した新店舗の形態を見て、そういいます。経済学と経営学は全く別物であり、経済学はあくまで統計学であることを教えます。
つまり、理屈は正しくとも、それが実際通用するとは限らないということです。
久美子もだんご屋が傾いた理由は分かったとしても、これからうまくいくかは分からないということかと話します。学問を学んできた人であればあるほど、陥りやすい状況なのかもしれません。
そしてもう1つ、投資格言ではありませんが、アメリカの経済学者でノーベル経済学賞を受賞したベン・バーナンキの言葉がありました。
経済学とは非常に洗練された分野で、過去に取った行動が、
いかに間違えていたかを説明するのに秀でている。
しかし、将来についてはそれほどでもない
結局誰にも未来は分からないということを教えてくれます。
【プライベートバンカー】7話のまとめと感想
沙織のクーデターは成功するが経営は失敗して、結局美琴に追い出されたという話でした。
今回の話は某家具店のお家騒動を彷彿とさせます。しかも番組にはその某家具店が装飾協力で入っているというのも、なんの因果かと思いました。
経営とは一体何なのかということを考えさせられる話です。リスクヘッジも必要だし、時代のニーズに合わせる必要もある。沙織がリストラすべきは現場で働く従業員ではなく、むしろ怪しいプライベートバンカーのほうでした。
人の心は持ってなくても、人の心は分かるという美琴はまさにサイコパスで、それが偉大な経営者の素質の一つなのかもしれません。
時には冷徹に、弱った獲物を狩る。美琴のスキームは金持ちでないとできないスキームです。だから金持ちは金を産み続けられるのかと改めて実感する話です。
庵野は果たして正義の味方なのか?悪であろうとも、金は死守する人物なのかもしれません。
人の心を持っているかどうかと、人の心がわかるかどうかは全くの別!