【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】2話のネタバレと感想|いじめ傍観者の罪悪感

2024秋ドラマ
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【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】2話のネタバレと感想をまとめています。

13年前に学校で亡くなった生徒は、吉岡の同級生だった。いじめを苦に自殺したかと思われていたが、その事実は隠蔽されていた。捜査をしていくうちに、自殺ではなく殺人の可能性が浮かび上がる。今度こそ逃げないと、吉岡は単独で主犯格を追いかけるが……。

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【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】2話のあらすじ

13年前に起きた高校で起きた生徒の自殺。「自殺ではなく殺人だ」というタレコミが警察に入り、オクラに情報が回されてくる。吉岡雷(前田旺志郎)は自分の同級生の死であることから、自ら志願して事件を調べることにする。

同じく飛鷹千寿(反町隆史)と不破利己(杉野遥亮)も、結城倫子(白石麻衣)と共に捜査に同行することになった。

やがて調べていくうちにいじめグループのリーダーである追川孝晃(豊田裕大)が、文科省の副大臣である佐久間忍(黒沢あすか)とただならぬ関係にあることが分かり、事件をもみ消していた可能性が浮上する。

吉岡は友人の無念を晴らすため、単独で行動を起こすが……。

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【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】2話のネタバレ要約

13年前に起きた、生徒の自殺について情報が寄せられ捜査を開始する。その学校は吉岡の出身校で、亡くなったのは同級生だった。

主犯の追川は13年前も懇意にしている文科省副大臣の手により、事件を隠蔽されていたことが分かった。だが、仲間たちが自分が売られては困ると思い、凶器といじめの証拠動画が入った携帯を保管していた。

それを知った吉岡は、自ら単独で逮捕しに向かい、駆けつけた仲間の応援もあって無事逮捕した。しかし、公務執行妨害以上の罪に問う事はできなかった。

不破は千寿がまたしても捏造していることを知って問い詰める。そして千寿の覚悟を知り、自らも行動を共にすることに決めた。

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【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】2話の詳細なネタバレ

見極め

飛鷹千寿(反町隆史)は、目の前で追及を続ける不破利己(杉野遥亮)を見据えた。証拠を捏造したと指摘されたその瞬間、彼は一瞬の戸惑いも見せずに開き直った。

不破が突きつけたビニール袋を受け取り、その場で封を開けた。中に入っていた証拠品をわざと乱雑に掴み取り、ぐしゃぐしゃにした上で、指先でそれをべったりと触った。「俺の指紋でベタベタだ。これじゃ、何の証拠にもならない」

不破は冷静に彼を見つめ、袋を無造作に放り投げる千寿の動きを制止する。「俺の問いに答えていない」

一瞬、沈黙が流れた。だが、次の瞬間、千寿は目を細めて笑みを浮かべた。「見極めろ」と彼は低く囁くように言った。「お前の目で、頭で、心で。何が正しいのか、見極めろ」

その言葉を残し、千寿は振り返って去っていった。

彼の脳裏に浮かんでいたのは、あの日の光景だった。爆発の瞬間、結城真一(平山祐介)が千寿を突き飛ばした。彼がいなければ、千寿は確実に命を落としていた。倒れた真一の口から、何か言葉が漏れた。その瞬間の記憶が、千寿の胸に重くのしかかった。

事件のタレコミ

鷲沢泰造(宇梶剛士)は手を挙げて室長の幾多学(橋本じゅん)を呼ぶ。昨日あったタレコミについて聞くためだった。

室長が現れると、鷲沢は一つの音声を再生した。それは、2013年に橘東高校で起きた事件に関するものだった。道尾忠司(浦上晟周)が校舎の屋上から落ちて亡くなった事件――公式には自殺とされていたが、音声ではそれがいじめによる殺人だと告げられていた。

「道尾忠司の事件は自殺ではなく、いじめによる殺人だ」音声の男は明確にそう言い切っていた。

「名前を伺ってもよろしいですか?」と、オペレーターが尋ねた。

男は一瞬の間を置いて答えた。「わかきたか、あおい」

吉岡雷(前田旺志郎)の顔色が変わった。この事件――それは彼が通っていた高校、橘東高校で起きたことだった。そして、被害者の道尾忠司は、彼の同級生だった。道尾はいつも一人で過ごし、周囲から浮いた存在だった。学校になじめず、不良グループに目をつけられ、執拗ないじめを受けていた。それでも、誰も助けようとはしなかった。見て見ぬふりを決め込む生徒たちの中に、吉岡もいたのだ。

その日も、いつものように道尾はいじめられていた。そして屋上から落ちて、命を落とした。学校側は道尾の死の原因を探るために、アンケートを実施した。吉岡は意を決して、道尾が受けていたいじめについて書き記した。

だが、真実は隠蔽された。教育委員会は、いじめの事実を否定し、道尾が進路に悩んで自殺した可能性が高いと結論を下したのだ。

当時の担当者

牧原祈里(青木さやか)がコンピュータに向かい、橘東高校での道尾忠司の事件をデータベースで検索すると、その詳細がすぐに表示された。記録には、道尾の死因は「自殺」として処理されていた。

「タレコミが本当なら、これっていじめによる殺人ってことよね?」隣で結城倫子(白石麻衣)が呟くように言った。その声に、部屋の空気が重くなる。

この事件を担当していたのは、千寿だった。不意に扉が開き、「俺もいたぞ」と言いながら加勢英雄(中村俊介)が入ってきた。

千寿がゆっくりと過去の記憶を呼び起こすように話し始めた。「当時、警察もいじめの線で事件を追っていた」と、しかし加勢に遮られ先の言葉は紡げなかった。一課は仕事を増やすなと、事件を真剣に取り合おうとしなかった。

室内に微かな緊張が走る。沈黙を破るように、室長が問いかけた。「この仕事、どうする?」吉岡が静かに立ち上がった。「僕にやらせてください」その声には決意が込められていた。

「千寿の千里眼で決めよう」と倫子が提案する。それで話は決まった。吉岡の志願が受け入れられ、捜査が始まることとなった。

千寿は軽く顎をしゃくり、「倫子、行くぞ」と言って倫子を連れて部屋を出て行った。

いじめの主犯格

喫茶店で千寿はパフェをスプーンでつつきながら、倫子と吉岡を見渡した。店内の静かな空気に包まれ、三人の間には微妙な緊張感が漂っていた。

「あの自殺の件は、上の指示で強制的に捜査が打ち切られた」千寿は淡々と話し始めた。

吉岡は眉をひそめ、遠い目をした。「実は、前に道尾の事件を自分で調べようとしたことがあったんだ。でも、その時、データにアクセスできなかった。それで無理に突っ込んでいったら、機密事項にぶつかってしまって……」

吉岡はそのハッキングが原因で、オクラに左遷された。倫子は驚いたように吉岡を見つめた。「それが原因だったの?」吉岡が静かに頷くと、隣の席から声がした。不破だった。彼もいつの間にか店に入ってきて、会話を聞いていたらしい。

「手がかりは二つある」不破は椅子に座り直しながら言った。「一つ目は、情報提供者に関するものだ。ヒントはアナグラムだ。『わかきたか あおい』を並べ替えると、『おいかわ たかあき』になる」「追川孝晃…」吉岡はハッとした表情を浮かべた。彼は道尾をいじめていたグループのリーダーだった。

もう一つの手がかりについては、「今はやめておきます」と言って不破は答えなかった。

「いずれにせよ、まずは追川の身辺を調べることが先決だな」千寿が話をまとめ、三人は黙ってうなずいた。

背後に潜む人物

祈里が調べた結果、追川孝晃(豊田裕大)は高校卒業後、まともな仕事もせずフリーター生活を送っていた。彼のSNSには、まるでパリピそのものと言わんばかりの派手な投稿が並び、そのおかげで彼の住所だけでなく、行動パターンまで完璧に把握できたと、祈里は楽しそうに報告してきた。

「タワマンに住んでて、働いてないってことは、親が相当金持ちか?」千寿が腕を組んで考え込むように言った。しかし、吉岡は首を振って否定した。「いや、そんなことないです」

その後、彼らは追川が出てきたところを確認し、千寿が直接彼に話をしに行くこととなった。面と向かい、千寿は冷静に問いかけた。「道尾が殺されたという情報を得た。何か心当たりは?」

追川は一瞬顔色を変えたが、すぐに表情を取り繕い、「ありません」と冷たく答えた。千寿はそれ以上追及せず、その場を離れるが、後をつける役目は倫子と不破に託された。

二人が追川を尾行すると、彼は焦った様子でスマホを取り出し、誰かに電話をかけ始めた。倫子がこっそりその様子をスマホで撮影しながら、彼の会話に耳を傾ける。

「……あさっての3時、いつものホテルで」倫子にははっきりと聞こえた。彼女はすぐにその情報を千寿たちに知らせた。

「どうやら、奴の背後に誰かがいるみたいだな」千寿はスマホの画面を見つめながらつぶやく。「それにしても、あの警戒心の強さ……もしかすると、意外な大物が釣れるかもしれない」と期待した。

しばらくして、室長から連絡が入り、彼らに戻って来いという指示が伝えられた。しかし、その直前に吉岡が「母校に行きたい」と告げる。千寿と不破もその提案に賛同し、三人で母校へ向かうことになった。

罪悪感

吉岡は母校に行くと、昔の記憶がよみがえるのを感じていた。千寿と不破が静かに後ろをついてくる。彼らは道尾が命を落とした場所に来た。

「道尾とは、そんなに深い付き合いがあったわけじゃないと、僕は思ってたんです」吉岡は口を開いた。「けど、ある日、道尾が僕に話しかけてきたんです。いつも一人でゲームをしていた僕に」

吉岡はその瞬間を思い出す。道尾が声をかけたとき、彼の唇が微かに震えていた。きっと、勇気を振り絞って話しかけてくれたんだ、と吉岡はその時感じた。そして、それがきっかけで、二人は少しずつ話をするようになり、一緒にゲームをする仲になっていった。

ある日、道尾が僕にゲームの攻略本を貸してくれた。そのとき、追川がやってきた。「何、お前ら友達なの?」と追川に聞かれて、吉岡は咄嗟に「そんなんじゃないよ」と答えながら、本を道尾に返した

そのときの光景が鮮明に甦る。追川たちに連れて行かれる道尾が、振り返って吉岡を見た。助けを求めるような目で――その瞳の表情が、今でも吉岡の心に焼き付いて離れない。

「……あの時の顔が、今でも忘れられない」吉岡はそう言って、目を伏せた。

彼らはやがて屋上にたどり着いた。ここから、道尾は落ちていったのだ。吉岡は屋上の縁の近くに立ち、下を見下ろしながら、声を震わせた。「ここから…怖かっただろうな……」

しばらくの沈黙のあと、不破が千寿に目を向けた。倫子の父親が亡くなった事件のことが、警察官らしからぬ行動に関係しているのではないかと尋ねる。

千寿は不破の問いかけに対して、少し間を置いた。彼の瞳に一瞬の影が差したが、すぐに笑みを浮かべてはぐらかした。「期待のルーキーだな」それ以上、千寿は何も語ろうとはしなかった。

死因の疑問

不破が部署に戻ると、そこには志熊亨(有澤樟太郎)が待っていた。彼の顔には険しさが漂い、不破に向かってまっすぐに歩み寄ると、険しい口調で問いかけた。「なぜ警察官連続殺人事件を調べているんだ?」

不破は一瞬眉をひそめ、「関係ないだろ」とそっけなく答えたが、志熊は食い下がった。「いや、あるんだよ。お前のせいで、俺は散々な目に遭ったんだからな。」不破を鋭く睨みつけ、無言の圧力をかけるように一言だけ言い残す。「資料は戻しておけよ」そう言い捨てて、志熊は踵を返して去っていった。

一方千寿はバーに向かい、井伏愁(観月ありさ)に当時の道尾の遺体状況について確認する。

「彼の死因は頭部に損傷が二箇所あった」愁は手元のグラスをゆっくりと傾けながら、淡々と話し始めた。「致命傷は、飛び降りたときにできた直撃損傷じゃない。前頭部の打撲による脳挫傷」

「つまり、誰かに殴られたってことか?」千寿が疑問を口にする。

愁は肩をすくめ、冷静に返した。「確かにそういう可能性も考えられる。でも、落下の際に木や他の障害物にぶつかって損傷ができることもある。それで、当時は他殺で踏み切れなかった」

千寿はポケットからUSBを取り出し、愁に手渡した。「その調子で頼む」と告げてさっさと帰る。

愁はUSBを受け取りながら、軽く苦笑した。「人使い荒くない?やっぱり、慰謝料もらっとくんだった」彼女のぼやきが、バーの静かな空間に響いた。

背後にいた大物

倫子は慎重に距離を取りながら、追川を尾行していた。彼が向かった先はホテル。どうやら、誰かと会うためにここにやってきたようだった。吉岡は先にホテルに到着しており、偶然を装って追川に声をかける計画が進行中だった。

ホテルのロビーで待機していた吉岡は、タイミングを見計らい、さりげなく追川に話しかけた。「久しぶり」軽い世間話を始め、追川の気を引きつつ、巧みに盗聴器を彼のカバンの中に忍ばせた

昔の仲間に会ったりしているか、吉岡は世間話のついでに、自然なトーンで話を続ける。しかし、追川の目には疑念が浮かんでいた。「お前、何か知ってるのか?」追川は不審そうに問いかけた。

吉岡は冷静さを保ちながら、笑顔を浮かべて首を振った。「いや、何も」

追川がそのままホテルのエレベーターに乗り、吉岡が戻るよう指示を受けた頃、追川は指定された部屋に入っていった。

部屋に入るなり、追川は低い声で問いかけた。「どうするんです、佐久間さん?」

部屋の中から、落ち着いた女性の声が応えた。「警察は何も掴んでいない。情報提供があったから、年のために動いてるだけよ」

その声の主、佐久間は続けてこう言った。「政治家は色んなところに力が動いてこそ、価値があるのよ」

その会話を盗聴していた倫子たちが、そこで目を見張った。佐久間、女性、政治家――不破はその瞬間に思い当たった。「佐久間忍、文科省の吹大臣だ。彼女は以前公安にもいて、警察や教育委員会にも顔が利く人物だったはず」

「じゃあ、道尾の事件も彼女がもみ消したってこと?」倫子が不安げに尋ねると、不破は黙って頷いた。「恐らく」

一方、部屋の中で追川はさらに質問を続けていた。「本当に大丈夫なんですか?」

「何も心配しなくていい。任せておきなさい」佐久間忍(黒沢あすか)は自信に満ちた声で答えた。「何かあっても11年前と同じように、私が警察に口添えしてあげる。だから久しぶりに…私を楽しませて。」

その瞬間、追川と佐久間の関係がただの利害関係ではないことが明らかになった。彼らの間には肉体関係さえあったのだ。

その後、千寿が事態を把握すると、彼は冷静に言った。「後は俺が引き継ぐ。お前らは帰っていい」

千寿は独り、静かに呟いた。「面白くなってきたじゃないか」彼の瞳には、思いもよらぬ大物を釣り上げた事に対する驚きと喜びがあった。

凶器の存在

部署内で集まったメンバーは、追川と佐久間の関係について新たな情報を交換していた。11年前、佐久間は橘東高校で講演会を行っており、その時に彼女の世話をしていたのが追川だったという事実が浮上した。

「副大臣が未成年を囲っていたのか?世も末だな」鷲沢は呆れたようにぼやいた。

その時、少し遅れて千寿が部屋に入ってきた。彼は無言でスマホを取り出し、録音データを再生し始めた。そこには追川が当時の不良グループの一人と電話で話している音声が流れていた。

「お前まだあの金属バット持ってんのか。その凶器処分してくれないか。何度も言ってるだろ!俺は裏切らない。だから頼む」

部屋の空気が一気に緊張した。吉岡が冷静に口を開いた。「金属バットが凶器で、今もまだどこかに隠し持っているということになる」

千寿は腕を組んで深く考え込みながら、推測を述べた。「恐らく、追川の仲間の誰かが、身代わりにされることを恐れて、凶器である金属バットを持ち去ったんだろう」

吉岡は一人でこっそりと、無言のままどこかへ向かおうとした。

再捜査の壁

千寿は加勢に盗聴した音声を聞かせ、再捜査を求めたが、彼はすぐに却下した。「再捜査は認められない。盗聴は証拠として使えないんだよ。捜査して欲しいなら、ちゃんとした証拠を持ってこい」加勢の冷淡な返答に、千寿は少しも動じることなく、視線を鋭くした。

「佐久間は誰に口添えしたんだろうな。彼女はこっちの動きを把握していた。この事件を嗅ぎ回っている人間はそう多くない」

千寿はじっと加勢を見つめ、さらに問いかけた。「11年前、誰がこの捜査を断ち切ったのか、知ってるんだろ?」

加勢は不機嫌そうに顔をしかめ、「知ってたらどうする?圧力をかけたって問い詰めるつもりか?」と皮肉っぽく返した。

その瞬間、千寿の目が一層鋭くなり、静かな声で問いかけた。「お前の正義って、何だ?」

加勢は一瞬、言葉を失ったように見えたが、すぐに薄く笑って応じた。「何青臭いこと言ってんだよ。そんなもん、とうの昔にドブに捨てたさ」そう言い放つと、彼は無言でその場を去っていった。

千寿は黙って加勢の背中を見送り、心の中で次の一手を考えていた。事件の裏にある大きな力が、彼らの前に立ちはだかっていたが、千寿はその障壁を越えようと決意を固めた。

単独行動

吉岡は追川に電話をかけ、静かに言葉を選びながら話し始めた。「大事な話がある。11年前、君が道尾を殺したんだろ?金属バットで殴って、彼を屋上から突き落としたんだ」

電話越しに、追川の呼吸が乱れるのが聞こえた。吉岡はさらに一歩踏み込んだ。「そのバットがどこにあるか、僕は知ってる」

その言葉を聞いた追川は焦り、すぐに仲間がいる場所へ向かうことにした。到着した追川は、緊張した面持ちで仲間に確認した。「ちゃんと保管してるんだろうな?」

仲間の一人が無言で頷き、古びたキャビネットから金属バットと携帯を取り出した。その瞬間、吉岡が現れ、冷静な声で宣言した。「君たちを逮捕する」

追川は一瞬にして状況の不利を悟り、バットを差し出すふりをしながら、突然それを振り回し、吉岡を殴りつけた。吉岡は倒れ込み、追川はバットを持ったまま周囲を見渡しながら、焦った様子で次の動きを考えた。

その時、車のエンジン音が響き渡り、千寿たちが車で現場に駆けつけた。タイミングを見計らって車から降りると、鷲沢と倫子も合流し、彼らは状況を瞬時に把握した。

道尾の思い

吉岡は負傷しながらも、追川を見失わないよう必死に追いかけた。走りながら、胸の奥でこみ上げる怒りと後悔が彼を突き動かしていた。追川も逃げながら、声を荒げて叫んだ。「全部あいつのせいじゃねえか!あいつが余計なことをしなけりゃ、こんなことにならなかったんだ!」

吉岡の足が止まり、追川の言葉に耳を傾けた。その瞬間、あの日の光景が彼の脳裏に蘇った。

あの日、道尾は追川たちに向かって言い放った。「君たちのいじめはしっかり撮った。拡散されたくなければ、もう僕に構うな」道尾は自分がいじめられている場面を、隠しカメラで撮影した動画をスマホで見せつけた

しかし、追川は激高し、「調子に乗ってんじゃねえぞ!」と言いながら、手にしていた金属バットで道尾の頭を殴った。道尾はそのまま屋上の縁から落下していった――それが全ての始まりだった。

「全部あいつが悪いんだ……!」追川は声を震わせてそう繰り返した。

吉岡は追川の言葉に対して、怒りを抑えきれずに叫んだ。「ふざけるな!道尾は何も悪くない…悪いのは僕だ…!」その瞬間、涙が目に溢れた。「僕は、あいつの思いを踏みにじったんだ。助けを求めていたのに…僕は何もできなかった」

道尾の死後、吉岡は彼の机の中にあった、ゲームの攻略本を手に取った。中をめくると、1枚のメモがひらりと落ちた。それにはこう書かれていた。

「友達になってくれてありがとう。勇気を出してよかった。また一緒にミッションコンプリートしよう!」

そのメッセージを見た瞬間、吉岡はあの日の自分の無力さを思い出し、どうしてあの時、道尾を助けられなかったのかと深く悔やんだ。そして、自然と涙がこぼれ落ちた。

だから、今度こそ――吉岡は心に誓った。道尾の思いを無駄にしないために、彼は一人ででも追川を捕まえようと、決死の覚悟で追いかけていたのだ。

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事件の結末

追川は狂気のような表情で吉岡に馬乗りになり、拳を振り下ろしていた。「俺はもう無罪放免なんだよ。道尾をいじめたことも、あのバットであいつ殺したことも。全部もみ消されてんだよ!誰も俺を裁けねえんだよ!」

その言葉に吉岡は痛みに耐えながら、低く静かな声で答えた。「言ったね、これでお前は終わりだ」

その瞬間、不破が現場にいたことに気づいた追川は動きを止めた。彼は手にしたスマホを振りながら言った。「今の証言、全部録画させてもらった」

吉岡は立ち上がり、手錠を用意しながら「公務執行妨害で、現行犯逮捕だ」と冷静に告げ、追川に手錠をかけた

その場に集まった鷲沢と倫子も駆け寄り、「吉岡、よくやった!」と称賛した。

不破が「これで万事解決ですか」と問いかけると、千寿は渋い表情で応えた。「そううまくは、いかねえよ」

実際、追川にかけられた罪状は公務執行妨害だけにとどまった。倫子はそれに納得できず、加勢に詰め寄った。動画もあるのに罪はこれだけなのかと。

加勢は冷静に答えた。「盗撮まがいの証拠を認めるわけにはいかない。それが、俺の正義だ」

千寿は軽くため息をつき、「お前は、何にも変わんねえな」と吐き捨てるように言った。

その時、志熊が急に部屋に駆け込んできた。「課長、大変です!」彼はスマホを取り出し、動画を再生した。そこには、正義チャンネルという名前で、追川が事件について自白する様子が流れていたのだ

千寿は画面を見つめ、微笑みながら言った。「これで、万事解決だな」

その後、吉岡は道尾が命を落とした場所に行き、花とあのゲームの攻略本を供えた。「ミッションコンプリート…だね」吉岡は優しい笑みを浮かべながら、そっと呟いた。

攻略本を開くと、中には「いつまでも友達だよ」と書き足されたメモが挟まれていた

もう1つの手がかり

不破は部署で千寿のファイルをじっと見つめていた。彼の目には、過去の事件の詳細が映し出され、何か大きな疑念が渦巻いていた。そして、すぐに千寿に電話をかけた。

千寿は爆発事件が起きた場所に向かい、廃墟となった現場に到着した。そこには不破がすでに待っていた。

不破は問いかけた。「ファイルによると結城真一は、あなたが駆けつけたときには既に撃たれていたとあったが、本当か?」

千寿は何も答えず、ただ静かに不破を見つめていた。その沈黙に、不破は苦々しい表情を浮かべた。

「今回もあなたの捏造が、事件を大きく変貌させた」不破は苛立ちを隠せずに続けた。

不破は今回の事件の真相を語り始めた。「事件の発端は情報提供者の電話。提供者の名前をアナグラムで解読した際、もう一つ手がかりがあるといった。それは情報提供者の音声テープのことだった」

不破はポケットからスマホを取り出し、録音ファイルを再生した。「この音声、最初はソフトを使って加工されていたが、別のソフトで音声を元に戻すと、オリジナルの声が浮かび上がった」

不破は一瞬千寿の顔を見つめ、再生ボタンを押した。音声はまさに千寿の声だった。

「あなたの声です」

さらに、ソフトを使って今度は追川の電話を捏造したといい、音声を再生する不破。再び別のソフトで音声を解析すると、またしても千寿の声が復元された

不破は目を細めて千寿を見据えた。「吉岡を焚き付けて、追川を追い込み、そして新たな証拠を作り上げる。それが、今回の事件の本当の狙いだった」

千寿の正義

千寿は不破の問いを受け流すように微笑んだ。「凶器が金属バットだったことや、仲間がそれを隠し持っていたこと、それは捜査資料には載っていなかった。どこでそれを知ったんだ?」と不破が詰め寄る。

「秘密だ」千寿は冷淡に言い放ったが、その態度は明らかに何かを隠していることを示していた。

不破は静かに銃を抜き、千寿に向けた。「捏造してまで犯人を捕まえたい理由を教えてください」

「証拠をでっち上げて被疑者を捕まえるなんて、公権力の暴走だ!」不破の声は怒りに満ちていた。

次の瞬間、二人はもみ合いになった。千寿に押さえつけられた不破は、低い声で吐き捨てるように言った。「こんなことして、許されると思ってるのか!」

「なら、お前は許せんのか!」と叫び、千寿は不破の腹を殴りつけた。

千寿は不破を力で押さえ込みながら、さらに問い詰めた。「罪を逃れた怪物を、お前は許せんのか?」

千寿の表情が険しくなる。「俺はこれまで、たくさんの犯罪者を見てきた。法の目をかいくぐって、ほくそ笑む奴らの顔は、一生忘れない。証拠がない、ただそれだけで罰を受けずに今ものうのうと社会で暮らしてる。やつらのせいで、人生を狂わされた被害者の家族や恋人は、そんな現実と向き合わなきゃいけない」

千寿は不破の目をまっすぐに見据えた。「『犯人不明』その言葉がどれだけ遺族に重くのしかかっていくのか。真実はすぐそこにあるのに、それが明らかにできないまま、封印されていく事件を、お前は見過ごすことができるのか?」

不破は息を整えようとするが、千寿の言葉は続いた。「眼の前にいる犯人を野放しにするぐらいならな、俺がやつらを法の下に引きずり出す。自分が犯した罪と向き合わせて、骨の髄まで償わせる。それが俺の正義だ」

千寿の言葉は冷静だが、心の奥底には深い憤りがこもっていた。正義と法の間で葛藤しながらも、彼が選んだ道は、その両方を超えて犯人を裁くことだった。不破はその強い意志に圧倒され、千寿の正義がどこに向かうのかを見据えようとしていた。

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【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】2話の結末

不破は千寿の言葉を聞いているうちに、ふと過去の記憶がよみがえった。視界に浮かんだのは、女性が腹から血を流し倒れている光景だった。彼女のそばには小さな男の子が立っていて、泣きながらその場を見つめていた。あの瞬間、不破は無力感に苛まれた――犯罪者を野放しにしてしまった自分の無力さが、深い傷を残していたのだ。

不破はその記憶を振り払い、千寿をじっと見つめた。「あなたの言いたいことは、よく分かりました。」不破は冷静な声で宣言した。「だったら私もあなたと一緒に、野放しになった犯罪者を法の下に引きずり出します。そしてあなたの正義が本当に正しいのかどうか、この目で頭で心で見極めます」

千寿はその言葉を静かに聞いていた。不破の決意が伝わってくる。

しかし、不破はさらに続けた。「ただし、あなたが自分の正義に背いたその時は……容赦なく引き金を引く」その言葉には鋭い覚悟が込められていた。不破は銃をしまい、その場を去っていった。

千寿は不破の背中を見送りながら、ふと記憶の中の結城真一の最後の言葉を思い出した。「ハイド……アンド……シーク……」真一はそう呟いていた。その言葉が耳に蘇った瞬間、千寿の心に強烈な衝動が走った。

千寿は声にならない叫びを上げ、瞬間、引き金が引かれ、銃声が静寂を破った。

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【オクラ〜迷宮入り事件捜査〜】2話のまとめと感想

13年前にいじめで亡くなったとされていた事件を、実は殺人だと暴いたという話でした。

今回も千寿の捏造で真犯人を炙り出します。しかし、法では裁けないので、世間に暴露したというオチで終わります。消化不良なものを表に出した挙句、やっぱり法では裁けないという何とももどかしい話です。

吉岡も傍観者だった罪悪感から、今回奮闘しました。しかし、何ともやるせない終わり方です。彼的には満足したようですが、あの時の吉岡の裏切りはなかなかに酷いです。

真一が「ハイドアンドシーク」と言った意味は今のところ分かりませんが、もしかしたら、千寿が今の不破の立ち居地にいたのではないかと思わせます。つまり、真一が違法な手段を使ってでも、犯人を捕まえる人物だったのに対し、千寿が真一を見張っていたという関係性です。

そして真一が自分の正義に背いたのを知り、千住が“容赦なく引き金を引いた”のではないか?と思わせる展開でした。

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