今回のノーサイド・ゲームは観客動員数を増やすために、君嶋が奔走する話となっています。どうやったら見に来てくれるのか?君嶋はサッカーチームがやっている活動を元に行動します。
ドラマ【ノーサイド・ゲーム】の3話あらすじ
トキワ自動車ラグビーチーム「アストロズ」のGMを務める君嶋(大泉洋)は、様々な数字を分析し黒字への可能性を探る。しかし昨年の平均観客数は非常に低く、その観客の大多数はタダ同然でバラ撒かれたチケットでの入場者だった。人気もなくチケットも売れなければ黒字化など不可能。さらに、プラチナリーグに参加している企業チームは日本蹴球協会に高額の参加費を払っている。協会はその資金を元手に試合の運営や宣伝、チケットの販売管理などを行っているが、参加費に見合うリターンがあるわけではない。君嶋は各チームのGMが集まる会議の席で収益向上のために知恵を出し合おうと提案するが、協会専務理事の木戸(尾藤イサオ)に一蹴されてしまう。他のチームのGMたちも君嶋に賛同する者は誰一人おらず・・・。
府中に戻った君嶋はファン獲得のために地元に密着した活動をしようと提案する。しかし新しいことを始めるには予算がかかるため、君嶋は追加予算を獲得するべく役員会議で滝川常務(上川隆也)と対決することに。
数日後、新監督の柴門(大谷亮平)は過酷で高度な練習を消化させるため選手をクラブハウスに寝泊りさせ合宿を始める。仕事以外はラグビー漬け、その合間にファンを増やすためのボランティア活動をさせられている選手たちはイライラを募らせていく。キャプテンの岸和田(高橋光臣)は何とかチームをまとめようとがんばるが、心身ともに疲労し練習中に怪我をしてしまう。病院に運ばれた岸和田は、そこで車椅子の少年・雄太(高木波瑠)とその母親(ホラン千秋)に出会い・・・。
公式HPより引用
ドラマ【ノーサイド・ゲーム】3話のネタバレ
- 土俵でなぜか相撲の稽古をしている部員たち。佐倉がいうにはラグビーのタックルやスクラムに役立つということだった。なぜか君嶋まで参加させられるはめになる。
- 子供たちにラグビー教室を開くが2人しか来ない。その来た2人も少ないのが嫌なのか帰ってしまう。そこで君嶋は新たな改革に着手する。観客動員数を増やすために、まずは日本蹴球協会へ会合の際に話を切り出す。しかし、全く取り合ってもらえない。
- そこでサッカーチームがやっている地域活動とファンクラブを参考にし、アストロズでも同じことを全て実行すると張り切る。そして選手たちにも協力してもらい、ボランティア活動を開始する。
- 再び立ちはだかる金に君嶋は予算の追加修正をし、取締役会に持っていく。滝川に嫌味を言われながらも何とか新たな予算を獲得することができたが、新たなプレッシャーともなる。
- 柴門の知り合いである七尾は一般枠で採用試験を受けたという。なぜならラグビーでは生活が安定もしないため、リスクの多いプロより安定を選んだということだった。
- 仕事と練習の合間をぬってボランティア活動をすることに、選手たちから文句が出始めてボランティア活動のボイコットをされてしまう。
- キャプテンのテツが練習中にケガをし病院に行くと、ボランティア活動していた時にボールを渡した少年に会う。少年は心臓の手術の前に“勇気”と書かれたボールをもらい、お陰で勇気が出たという。そして感謝と応援の言葉をくれた。そこでテツはボランティアとは、自分のためにやるということに気づいたと君嶋に言う。
- 選手たちを集めて飲み会を開いた君嶋は、トキワスタジアムを満員にすること、そして未来への投資という目標があると語る。ラグビーを守るために、一人でも多くのラグビー好きの子供を増やし、地元の人たちに名前を覚えてもらう必要がある。君たちの戦場はグラウンドだけじゃないと説く。その演説に納得した選手たちは再びボランティア活動を始め、練習にも励んでいった。
- リーグ開幕戦の練習時間グラウンドに出るとスタジアムは去年と同じガラガラだった。自分たちのやったことが無駄だったとがっかりする部員たち。しかし、試合開始が近付き再びグラウンドに出た時、スタンドは大勢のアストロズファンが来ていた。
- 驚く選手たちだったが、実はファンクラブは5424名、開幕戦の前売りチケットは12000枚売れていた。君嶋は選手たちに内緒にして驚かせたのだった。
ドラマ【ノーサイド・ゲーム】3話の感想
アストロズは弱いだけでなく人気もないということが問題なため、君嶋がなんとか観客を増やそうと頭を悩ませます。確かにラグビーの試合を見に行く機会はなかなかありません。会社や母校にラグビー部があるという人か、その関係者の人でもなければ、純粋にファンという人もサッカーや野球に比べて少ない印象があります。
関係者でないなら関係性を作ればいい、まずは地域から関係性を作ろう。といった感じの君嶋の案はよいと思いました。ルールがわからなくても、見たことある人が試合しているなら、なんとなく応援しに行きたくなるものです。細かいことは後から覚えればいい、興味を持ってもらえることが、認知されることが大事というわけです。
話としては池井戸作品なので出来すぎな流れになりますが、荒地を耕し実らせるような喜びを疑似体験できて楽しいです。日曜のドラマなので嫌な感じで終わらないのもお約束です。お涙頂戴な感じの小話が挟まるのも、人によっては臭くて嫌かもしれませんが、このドラマにおいては大切なパーツとなっています。
なぜ国内のラグビーは人気がない?
日本代表のラグビー自体は人気があるのに、なぜ試合を見に来てくれないのか?それにはいくつか理由がありました。
- アストロズの去年の平均観客数は2500人
- 日本蹴球協会に1500万円の参加費を払っている
- プラチナリーグは16チームあるので、2億4000万協会にある
- しかし協会は代表の強化に金を使って国内リーグに金を使わない
代表が強くなったのは、この2億4000万円を使用して強化したからです。しかし、国内リーグには金を使ってくれません。支払っているのは自分たちなのになぜでしょう?
それは協会が元ラグビー選手で固まり全員顔見知りな状態なため、先輩の言うことには従うという環境だからです。中でも専務理事の木戸というのが幅を利かせてます。君嶋は各チームのGMが集まる会議で、国内のラグビーファンを増やすために収益を増やすために話し合いをして欲しいといいます。
- 2億4000万払っているのにおかしい
- チームの運営にも莫大な予算がかかっている
- 規模はプロと同じ
- 採算の合わない今の仕組みは問題がある
- 組織的な改善が必要だ
木戸は「ラグビーはアマチュアのスポーツだから収益優先するのはどうかと」といって取り合いません。金の話をした途端、アマチュアだからとかラグビーはもっと神聖なものだとか、精神論しか語りません。人から金を巻き上げて何もしない詐欺師のような団体です、話になりません。
観客動員数を増やすには?
協会を動かすのは現時点では無理だと思った君嶋は、サッカーチームがやっている活動を参考にします。それは地域貢献とファンクラブ設立です。
- 地域イベント
- 選手商店会巡回
- 清掃活動への参加
- 地域の学校や病院へのボランティア訪問
- 子供の体験教室
- ジュニアチームの運営
この地域活動に加えてファンクラブを同時に運営します。これで認知度が上がりファンクラブ会員になってもらえたら、定期的に試合を見に来てもらえる観客数が増えるという算段となります。しかし、またもや出てくる問題それはおなじみの“金”です。
追加予算の内訳
ドラマ内で予算の内訳が細かく出ていたので引用します。
地域貢献活動費 250万円
地元の清掃活動等のボランティア活動や、地域のイベントに積極的に参加する。地域密着のチームとなることで、アストロズを多くの人に知っていただき、地域住民に愛されるチームを目指す。
内容 | 項目 | 金額 |
---|---|---|
清掃活動 | 備品費 | 38万円 |
街頭清掃活動 | 交通費 | 27万円 |
河川清掃活動 | 交通費 | 25万円 |
府中観光協会 | 協賛費 | 50万円 |
府中夏まつり | 出店費 | 110万円 |
ラグビー普及活動費 550万円
病院や小学校を訪問し、子供たちに選手のサインボールを贈呈することで、ラグビーとアストロズに興味を持ってもらう。また、子供向けのラグビー体験教室の開催およびジュニアチームの運営を行う。
内容 | 項目 | 金額 |
---|---|---|
ラグビー教室 | 道具購入費 | 110万円 |
ラグビー教室 | 施設利用費 | 90万円 |
サインボール | 作成費 | 150万円 |
ジュニアチーム | 運営費 | 200万円 |
ファンクラブ運営費 1500万円
アストロズを応援してくださる方に、よりアストロズを好きになっていただき、盛り上げていただくため、ファンクラブサイトを開設し、運用する。会員特典としてグッズ及び無料チケットや割引チケットを配布する。
内容 | 項目 | 金額 |
---|---|---|
運営 | 業務委託費 | 300万円 |
ウェブ | 開設費 | 100万円 |
ウェブ | 運用費 | 200万円 |
特典チケット | 購入費 | 550万円 |
グッズ | 作成費 | 200万円 |
イベント | 開催費 | 150万円 |
合計して2300万円を新たに取締役会で承認してもらいに行きます。案の定滝川に嫌味を言われますが、なんとか予算が下りました。
ファンクラブの運営費が一番高額というのが、ちょっと意外でした。と、いうのも、ラグビーのジュニアチームというのがどういったものかわかりませんが、もしサッカーを参考にしているのならば、ここからプロを育成するものだと思ったからです。
サッカーの場合、下部組織としてジュニアチームがあり、ジュニアチームも年齢ごとにさらに分かれていたりします。このジュニアチームに所属している選手が、そのままプロのチームに行ったりします。200万で運営できるのか?サッカーとは違うタイプのジュニアチームなのか?ちょっとよくわかりません。
ボランティアは誰のため?
地域活動を始めたはいいが、さっそく不満が出始めます。昼は仕事、終わったらラグビー、オフを返上してボランティア活動と大忙しのアストロズです。強ければ人は来る、だから練習に時間を割いたほうがいいといい始めます。本当に強ければいいですが、つい最近テコ入れしたチームがそんなに強くなれるのでしょうか?
これは君嶋も言う通りに“どっちもやる”が正解です。なぜなら、すぐに強くなれるとは限りませんし、強いからといっても認知されていなければ誰も気づきません。キャプテンのテツが、ボランティアとはこういうものだと気づきます。
- 病気の少年に“勇気”と書いたボールを渡した
- 少年は手術前にそれをもらって勇気が出た
- テツが怪我したときに少年がきて「テツも頑張って」という
- 勇気をもらったのは自分のほうだ
- あの子にあげたものより何倍も大きくなって帰ってきた
ボランティア活動の一環として、子供たちにサインボールを渡していたら、少年にはそんな事情があったらしいです。そしてケガをしたテツに少年は声をかけ、感謝と応援をしてくれるという話です。ここでテツはボランティアが誰のためか気づきます。それは自分のためだと。勇気を与えたらもっと大きくなって返ってきて、より勇気をもらうことができたということです。
一番成功するのはどんな人?なんてことがアダム・グラント氏の著書『GIVE&TAKE 「与える人」こそ成功する時代 』という本で有名になりました。氏いわく人間には3つのタイプがいます。
- ギバー:人に惜しみなく与える人
- テイカー:真っ先に自分の利益を優先させる人
- マッチャー:損得のバランスを考える人
この本の結論ではもっとも成功する人は“ギバー”です。今回の話でいうとテツはあの少年に対して“ギバー”でした。その結果、もっと大きなものを金では買えないものをもらえました。ボランティアとは人のためではなく、めぐりめぐって最終的に自分のためになるということでした。
ラグビーの未来
ボランティア活動をしたがらない選手たちに君嶋は警鐘を鳴らします。自分たちが今どれだけ危うい状況なのか、そしてラグビーがどれだけ危ういのかを説きます。
- 応援したいチームにならないと、タダのチケットもらっても来ない
- ラグビーの才能があっても、仕事にするのをためらう人がいる
- 社会に出るのと同時に、ラグビーを捨てる者もいる
- ラグビーの人気がなくなれば、将来必ず日本のラグビーは弱くなる
- ラグビーが好きでやりたいと思う子供がいなかったら、どうやって強化するんだ
- ラグビーに愛情のない経営者が来たら、社会人ラグビーなんてなくなる
- 君たちは最後のラグビー世代になるかもしれない
これが予想される未来と現状です。君嶋は何とか状況を変えたい、今変えなければ未来はないと訴えます。そしてどうしたらよいかも説きます。
- 一人でも多くのラグビー好きの子供を増やす
- ボランティアや学校訪問をする
- 地元の人たちと触れ合う
- 少しでも多くのラグビーボールを渡す
- そうすることでアストロズの名前を覚えてもらえる
- 応援してもらえば我々は勝利の後押しをしてもらえる
- そして我々はその人たちのために戦うことができる
認知されなければ意味がない、認知されても応援したいと思えるようなチームでなければ意味がない。「いまやグラウンドだけが君たちの戦場じゃないんだよ」と君嶋は説きます。仕事、練習、認知活動の三つを同時にやらなければならない、選手たちにとっては大変な任務です。
それもこれも日本蹴球協会のような団体が、金だけもらって何もしてこなかったせいです。先人のツケが回ってきた感じになります。実際問題、今年ラグビーW杯が日本で開催されますが、どれだけの人が日本代表選手の名前と顔を知っているのか?どれだけの人が社会人ラグビーの選手を知っているのか?ルールすら知らない人が大半ではないでしょうか。今この機会を逃したらいつ盛り上がるのか?ラグビーは“勇気”のスポーツなのですから、ぜひ勇気をもって関係者の方々は改革して欲しいものです。
ドラマ【ノーサイド・ゲーム】3話のその他気になったこと
- 栃ノ心、栃煌山、碧山がゲスト参加し、三保ヶ関親方まで出演する力の入れよう
- 相撲をやらされることになって「どすこーい!」といって突っ込む君嶋
- また「ダッセーなラグビー」と言われる
- 黒字の匂いを嗅ぎ取れる君嶋
- アストロズのちらしをグシャグシャに丸めて投げる真希
- ファンクラブに結局家族みんな入った
ドラマ【ノーサイド・ゲーム】3話のまとめ
観客動員を増やすために戦略経営室上がりの君嶋が知恵を働かせて改革します。見習うところは他のスポーツに見習い、プライドを捨て慣習を無視しラグビー素人だからこそできる行動をします。残念ながら試合のことだけ考えて練習すればいい、そんな状況ではないということを選手に教えます。大変な状況ですがこの頑張りはいつか下の世代で実る可能性があります。
練習は頑張ってしてきたものの、果たしてアストロズは初戦を勝てるのか?それとも敗北してまた揉めるのか?試合が何試合あるのかわかりませんが、優勝を目指しているからには勝つ試合も見れるのを楽しみに来週もまた視聴します。