【モンスター】最終話のネタバレと感想をまとめています。
亮子は粒来と共闘して、大企業を訴えることにする。しかし、産業廃棄物が原因で体調が悪化したという、証明をするためには有害物質認定を国からしてもらう必要があり……。
【モンスター】最終回のあらすじ
神波亮子(趣里)は横沢さくら(前田敦子)と内海拓未(前原滉)の代理人として、粒来春明(古田新太)はサカミクリーンの代理人として、2人で共闘して帝東電機に損害賠償請求をすることに決める。
帝東電機から出た産業廃棄物が原因で、体調が悪化したことを証明する必要があるが、水質調査では国指定の有害物質は検出されなかった。だが、まだ国に指定されていないある物質が、有害である可能性があった。
国に有害指定をしてもらうため、亮子は今できることはすべてやるというが……。
【モンスター】最終回のネタバレ要約
最初は訴えを退けようとしていた帝東電機だが、世間の風潮が次第に変わり始める。
やがて帝東電機は和解を申し出て、亮子と粒来はそれに応じた。
謝罪説明会で今まで非協力的だった山遥村の住民たちが、ここぞとばかりに文句を言って金を一円でも多く欲しがるのを見た亮子は彼らを非難した。
【モンスター】最終回の詳細なネタバレ
親子共闘
神波亮子(趣里)は病院に行こうと粒来春明(古田新太)に声をかけた。粒来は一瞬ためらった様子を見せたが、すぐに「いや、わかってるから…」と短く答えた。その態度に、亮子は何も言わずに頷き、彼をそっと見守るだけだった。
事務所に戻ると、亮子は会議の席で改めて話を切り出した。これからは共同で帝東電機に損害賠償請求を進めることを決め、粒来はサカミクリーンの代理人として、亮子は横沢さくら(前田敦子)と内海拓未(前原滉)の代理人として連携を取る方針を固めた。緊張感漂う中、亮子の目には確かな決意が宿っていた。
大草圭子(YOU)は粒来に、家を出た理由を説明するよう求めた。最初は「必要ない」と断る粒来だったが、最終的には語り始めた。
14年前、彼はサカミクリーン建設に反対していた内海泰造(眼鏡太郎)からの依頼を受け、訴訟を準備して建設計画を白紙に戻すことに成功していた。しかし、1年後に建設が再開されていたことを知り、村を訪れると泰造が亡くなっていた。
その後、サカミクリーンから大金と引き換えに顧問弁護士を依頼されたが、反社のフロント企業だと知り、弁護士登録を取り消して内部にアドバイザーとして潜入する道を選んだ。
それがきっかけで名前を変え、家を出ることになった。そして、新たな生活の中で従業員たちの健康被害に気づき、血液検査の異常な数値に衝撃を受けた。環境汚染の可能性を疑い、長期的なデータ収集を開始することを決意したのだった。
「村全体に被害を訴えるには、村人たちの健康データも必要になります」と亮子は真剣な表情で話した。「過去の健康診断のデータや既往歴が集められれば、有力な証拠になりますね」と杉浦義弘(ジェシー)も同意した。
村尾洋輔(宇野祥平)が口を開いた。「帝東電機はサカミクリーンが反社だってことを知っていたんですか?」
「知っていると思う。それだけじゃない、有害な物質を処理させていたことも把握していたはずだ」と粒来は冷静に答えた。
さらに、帝東電機は最近、世界的に注目される技術を持つ企業となり、サカミクリーンを買い上げて反社を追い出そうとしていることが明らかになった。反社は資金源を失うことを恐れ、闇バイトや高額医療ツアーの斡旋に手を出し始めたと亮子が補足した。
「サカミクリーンの健康データが揃った頃、帝東電機が新しいSDGsの方針を掲げる企業発表会を開く予定だ」と粒来が続ける。その発表会で企業の言動の矛盾を暴くために、弁護士として再登録をしたのだと語った。
亮子は以前、帝東電機の発表会でのトラブル映像を見たことを思い出していた。その映像の中で野次が飛び、カメラが観客席を映したとき、そこには粒来の姿があった。それを見た亮子は「弁護士やってみようかな」と城野尊(中川翼)に静かに語った。
得られない協力
さくらは拓未に近づき、柔らかい笑顔で「証言してくれてありがとう」と感謝の言葉を伝えた。拓未は少し照れたように目をそらしながら「親父が言ってたこと、ほんとだってわかって良かった」と静かに語った。
「村の人たちも協力してくれるといいけど」と拓未は不安そうに呟いた。
「お父さんが亡くなったことは、もう大丈夫なの?」とさくらが慎重に尋ねると、拓未は少し考え込んだ後、「本当のことなんて確かめられないし、どうにもならない過去のことより、これからどうしてくか、未来のことを考えたいかな」と自分に言い聞かせるように答えた。
その後、亮子は村の集会所に村人たちを集めて説明を始めた。サカミクリーンの健康データをもとに、帝東電機の産廃物に有害な物質が含まれている可能性があると指摘した。村人たちはざわめきながら亮子の話に耳を傾けた。
「皆さんの健康データが必要です」と杉浦が訴えると、一人の村人が手を挙げて質問した。「サカミクリーンが反社だって噂、本当なのか?」
杉浦は一瞬迷ったが、毅然とした口調で「はい」と答えた。村人たちの間から怒りの声が上がり、「悪いのはサカミクリーンだ」と非難の声が相次いだ。
杉浦は続けて、「確かに有害だと気づきながら、処理をしていたのはサカミクリーンです。しかし、そもそもその有害な産廃物を出したのは帝東電機です。元を正せば、そこが原因です」と訴えた。しかし村人たちは、「帝東電機は日本を支えてきた大企業だ。そんな会社が悪いことをするわけがない」と主張し、「悪いのはサカミクリーン」と断固譲らなかった。
村人たちが帰った後、杉浦はデータが集まらない現状を嘆いた。「このままじゃ何も進まない」と肩を落とす杉浦に、亮子は「1例だけある」と告げた。
それは粒来のことで、杉浦は驚いた表情を見せた。粒来は自分が被害者であることを認め、水道水が原因ではないかと疑っていた。しかし、水質検査では有害物質は何も検出されていなかった。
「有害物質が出ないのは、まだ基準がないだけ。有害だと認定されていない物質という可能性があります」と亮子は冷静に指摘した。
その後、亮子たちはさくらと拓未に村人たちの状況を説明した。さくらは「大企業やテレビを絶対だと思っている村のそういうところが嫌い」と憤りを漏らした。亮子は穏やかな口調で「2人にやってもらいたいことがある」と提案した。
その言葉を受けた拓未は、ラップのリズムに乗せて住民たちに、環境汚染の危険性を訴えるビラを配る運動を始めた。しかし誰も耳も貸さず、立ち止まることはなかった。
裁判開始
裁判が始まった。法廷の代理人席には、亮子と杉浦、そして粒来が並んで座っていた。立場の異なる彼らが同じ側に立つ光景に、傍聴席から微かなざわめきが聞こえた。
亮子は帝東電機に関連するデータを基に語り始めた。「帝東電機の所在地であり、従業員のほとんどが住む本樹市は、山遥村と隣接しています。そのため、本樹市の住民や帝東電機の従業員にも健康被害が及んでいる可能性があります」と力強く訴えた。そして、従業員の健康データの提出を求めた。
数日後、事務所に届いた健康データをみんなで確認した。しかし、期待とは裏腹に、健康被害を示す情報は何一つ見当たらなかった。亮子は眉をひそめた。「本樹市は帝東電機とその関連企業による街です。病院も帝東総合病院という関連企業が運営しています。データを改ざんして身内を庇っている可能性があります」と冷静に分析した。
さらに、主要メディアがこの裁判をほとんど取り上げていないことも、影響力の大きさを感じさせた。
次に、帝東電機側の証言が始まった。研究チームのメンバーである武内道彦(桜井聖)が登壇し、「我々が製造している物品には、有害な物質は一切含まれていません」と断言した。さらに、向こうの弁護士・田窪(奥野瑛太)が「水質や土壌の検査でも、有害な物質は何一つ検出されていません」と続けた。
亮子の反撃は迅速だった。尋問の場で彼女は鋭く切り込んだ。「帝東電機の従業員とその家族の多くは本樹市に住んでいますが、研究チームのメンバー30名だけは全員が一人暮らしで、本樹市外に家族を住まわせていますね。有害物質による健康被害を避けるために、家族を本樹市から離れた場所に住まわせているのではないですか?」
その場が一瞬緊張に包まれる中、亮子はさらに追い打ちをかけるように裁判長に向き直った。「帝東電機が出した産廃物の詳細資料の提出を求めます」と毅然と言い放つ。その言葉に法廷全体がざわつき、緊迫感が一層高まった。
有害物質マリシン
事務所には帝東電機から大量の産廃物に関する資料が届いた。亮子たちはそれを見て圧倒されながらも、手分けして調べ始めた。資料を広げて数時間が経った頃、杉浦が「これだ!」と声を上げた。彼が指差したのは「マリシン」という物質の記載だった。「これ、水質調査の時にあったのを覚えてる。間違いない」と確信を込めて言った。
村尾は冷静に状況を整理する。「問題は、このマリシンが人体にとって有害かどうかの因果関係を証明できるか。そして、帝東電機がそれを有害だと認識していたかどうかだ」と話した。亮子は頷きながら、「現時点では国に有害と認定されていない未知の物質だから、証明が難しい。だからこそ、村人たちの健康データが必要」と語る。
「それを検証するのに何年かかるかわからない。それどころか、国が有害だと認定するのにもっと時間がかかる可能性もある」と村尾が嘆くと、亮子は強い意志で答えた。「専門家に有害性を認めてもらい、国に訴えかけるしかない。それが今やれる最善の方法だと思う」
その後、亮子はサカミクリーンを訪れ、従業員たちを集めて状況を説明した。「帝東電機に非を認めさせるのは難しい状態です」と言うと、従業員たちは一斉に怒りの声を上げた。しかし、亮子はその場で新たな提案を持ちかけた。
事務所に戻った亮子は、その提案を杉浦や村尾に話した。「従業員一人ひとりが個別で帝東電機を訴えるんです」と言う亮子の話に、杉浦は呆れて声を荒げた。「あまりにも馬鹿げてる。そんなことをして、何の意味がある?」
しかし、亮子は動じずに答えた。「どんなことでもやるって言ったでしょ。今やれることをやらない人には微笑まないの。幸運の女神は」
数日後、亮子は帝東電機の本社を訪れ、その「馬鹿げた話」を持ちかけた。案の定、帝東電機の関係者たちは鼻で笑った。しかし、亮子の目は冷静で、内心の計算が透けて見えるようだった。彼女の真意を悟った者がいたのかどうか、それはまだ誰にもわからなかった。
諦めない気持ち
拓未とさくらは、亮子たちの裁判活動を支援するために日々地道な活動を続けていた。一方、粒来は入院先の病院で看護師から帝東病院の内部事情について話を聞き出していた。城野もまたネット上で噂を拡散させようと動いていたが、その成果は芳しくなかった。
亮子は従業員たちの「馬鹿げた」個別訴訟を帝東電機に訴え続けていたが、それを聞かされた従業員たちは呆れるばかりだった。ネット上では噂はほとんど広まらず、配布されたチラシも受け取る人は少なかった。事態が進展しない中、従業員たちの代理人がしびれを切らして亮子に詰め寄った。
「一体いつまでこんなことを続けるつもりだ!」と怒鳴る代理人。 その場の空気がピリつく中、帝東電機の側から予想外の提案があった。「お金を払うから、話をまとめてくれ。一人1万でどうだ?」と持ちかけられたのだ。亮子はその話に一瞬驚き、そして微笑みながら「恐れ入ります」と返した。
その夜、粒来から亮子にメッセージが届いた。「帝東電機の研究者ががんで入院した時、社長から現金が渡されたらしい」との情報だった。それを聞いた亮子は、すぐにさくらたちを呼び出した。そして新しいビラを渡しながら、「これをばらまいてほしい」と頼んだ。
そのビラには、「サカミクリーンの従業員が帝東電機から見舞金を受け取った話」と「帝東電機の社員ががんになった際、社長がキャッシュを渡す」という内容が書かれていた。「誰も受け取ってくれなくても構わない」と亮子は言った。
一方、事務所では村尾が由紀子(音月桂)に司法試験への再挑戦を決意したことを告げていた。由紀子は「やればいいじゃない」と微笑んで応援の言葉を贈った。
そんな中、事務所に戻った杉浦が亮子に尋ねた。「いつまでこれを続けるつもり?」と。亮子は「マリシンとの因果関係が証明されるまで」ときっぱり答えた。そのやり取りの後、杉浦はふと思い立って言った。「病院に見舞いに行かなくていいの?」しかし、亮子は「行ってもやることがないから」とそっけなく答えた。
コンビニで会った城野は、亮子に「相変わらず何もバズらない」と嘆いた。亮子は「大丈夫」と言わんばかりの笑みを浮かべ、前を向いて歩き出した。彼女の視線の先には、まだ見えない答えが待っているようだった。
幸運の女神登場
事務所の扉が開き、杉浦がにやりと笑いながら入ってきた。「お連れしました、幸運の女神です」と一礼して、後ろに控える女性を紹介した。その女性は帝東電機の研究責任者である武内道彦の娘、涼香(小島藤子)だった。彼女の出現に事務所の空気が一変した。
法廷で、亮子は涼香を尋問した。涼香は毅然とした態度で証言台に立ち、亮子の質問に答え始めた。
「本樹市に住んだことはありますか?」亮子が尋ねると、涼香は首を振った。
「父だけが東京に住んでいました。でも最近になって、その理由を知りました。本樹市に住むと重大な健康被害が出る可能性があると父が言ったんです」と涼香は語り始めた。
彼女が事実を知ったのは、結婚を考えて父に報告したときだったという。その相手は本樹市に住む帝東電機の社員だった。しかし父は彼との結婚を許さなかった。
「彼はダメなんだよ。この先、彼は健康を害する可能性がある。本樹市に住んでいるからだ」と父は言ったそうだ。
さらに、父は続けて告げた。「山遥村も本樹市も地下水が汚染されているんだ。汚染源はうちの会社の産廃物だ。だから、いつか生まれてくる子供にも影響があるかもしれない」と。
涼香はその時、父に反論した。「わかった。結婚はしない。でも、お父さんは自分が大切に思う人だけを守れればそれでいいの?結婚よりも前にやるべきことがあるはず」と言い放ったという。
父親である武内道彦は、娘の言葉に心を揺さぶられたのか、社長の来栖悟志(矢島健一)に辞表を提出した。しかし、社長は「早まるな」と彼を説得した。
「たとえいつか因果関係が証明されたとしても、それは何十年も先の話だ。我々が裁判に負けることはない」と語った。
涼香の証言により、武内が有害性を証明するデータを持っている可能性が浮上した。亮子は毅然とした声でそのデータの開示を求めた。
ついに決着
事務所には静かな緊張が漂っていた。帝東電機から届いた膨大なデータを確認していると、杉浦が溜息をつきながらぼやいた。「生物への影響だけじゃ、人体への健康被害との因果関係は証明できない」
しかし亮子と粒来は、それでもどこか余裕を感じさせていた。「別に勝たなくてもいいんじゃない?」亮子が呟くと、粒来も微かに頷いた。その言葉の裏には、すでに次の一手を見据えた自信が垣間見えた。
そこへ配達の荷物を持った城野がやってきた。亮子と目を合わせると、城野は無言で頷き、荷物を置いて出て行った。その直後、由紀子がスマホを見つめながら声を上げた。「帝東電機のこと、SNSでバズってる!」
さらにテレビでは帝東電機のCMから俳優の本田翔馬(青木瞭)が降板したニュースが流れ、事務所の空気が一気に変わった。「これ、村でも大騒ぎになるんじゃない?」と村尾が言うと、亮子は満足そうに微笑んだ。
その予想通り、山遥村の住民たちが動き始めた。健康診断のデータが次々に事務所に送られてきたのだ。さくらと拓未たちの活動も注目を集め、ネットで再び話題になった。株式市場では、帝東電機の株価が下落を始めた。
数日後、亮子たちは帝東電機の本社を訪れた。会議室には山遥村の住民843名分の健康診断データを持参していた。亮子が静かに口を開く。「このままだと、住民全員が損害賠償請求を求めて提訴することになります。そして、マリシンが有害だと国に働きかけていることもお伝えしておきます」
帝東電機側の弁護士が緊張した面持ちで一瞬黙った後、低い声で告げた。「帝東電機は既に和解の意思を固めています」
事務所に戻った亮子たちは、和解の内容について話し合った。帝東電機はサカミクリーンの従業員と山遥村の住民に、それぞれの症状に応じて1人あたり100万円から1000万円の賠償金を支払うことを約束した。
その夜、亮子がふと目を覚ますと、粒来がオセロのボードを持って立っていた。「一局、どう?」と誘う粒来に、亮子は小さく笑って頷いた。
オセロをしながら粒来がふと聞いてきた。「今日、泊めてくれる?」亮子は一瞬考えたが、さらりと「いいよ」と答えた。
「もう家を出る理由なんてないんじゃない?」と亮子が言うと、粒来は少し困ったような表情を浮かべた。「いていいの?」と問い返す。
「彼氏とか、いないの?」と茶化すように聞く粒来に、亮子は静かに首を振った。「いない」部屋には静かな空気が広がり、二人の会話もそのままゆっくりと途切れていった。
【モンスター】10話の結末
四季の移ろいを映す静かな村の集会場に、人々の声が響いていた。亮子はサカミクリーンの従業員や住民たちの前で立ち上がり、帝東電機の社長による謝罪会見を見守った。しかし、マスコミが去ると同時に、社長たちはさっさと帰り支度を始めた。その姿を見て、住民たちは怒りをあらわにした。
「世間の批判を収めたかっただけじゃないのか!」一人が声を上げると、他の住民たちも口々に不満を漏らした。
「最初から反社だと知っていたんだろう!」マスコミ向けの会見では「知らなかった」と言っていた帝東電機の社長の言葉を指摘する。
「一番悪いのは帝東電機だ!」住民たちが声を揃える中、さくらが冷静に手を挙げた。「ちょっと待ってください。環境汚染を予想して建設を反対した内海泰造さんを追い詰めたのは、あなたたちですよね?」
その言葉に、一瞬場が静まり返る。しかし、山下芳夫(野添義弘)が噛みついた。「お前だって賠償金目当てだろ!」
「違います。私は今、本当にこの村が元気になってほしいと思っています。」さくらが言い返す。
住民たちの不満が高まる中、亮子が前に出た。「補償額に納得して和解に同意したのではないのですか?」
「でも、あの謝罪会見は何なんだ!」住民たちは譲らない。
「世間が大騒ぎしたから、もっとお金を取れると思ったんですか?」亮子の鋭い言葉が飛ぶ。だが住民たちは「金の問題じゃない」と反論する。
サカミクリーンの社長の村越周作(佐久間哲)が声を荒らげる。「私たちを悪者にするなら、それ相応のことをしてもらわないと!」
亮子は視線を鋭くし、静かに問いかけた。「だったら、いくらもらえたら満足するんですか?」
住民たちは答えを濁し、山下は「金があればあるほど豊かな人生になる」と繰り返す。亮子は深く息をつき、「お金なんていくらあっても足りないんじゃないですか?どこで満足するんですか?」
「そんなことない、いくらでもあったほうがいい!」と山下が叫ぶ。
「では、あなたにとって豊かさって何ですか?」亮子の問いは、村人たち一人一人に向けられているようだった。彼女はさらに続ける。「毒を垂れ流すのと引き換えに、便利で効率的な製品を作ることですか?その製品で多大な利益を得ることですか?犯罪で資金を作り、居場所を失った人たちに『ここしかない』と思わせることですか?未来を閉ざすことですか?」
そして亮子は村人たちを見渡しながら、「自分たちの価値観と違う人を排除することですか?自分の信念で動かず、世の中の空気に動かされることですか?」と問いかけた。
山下が絞り出すように言う。「俺たちはただ、幸せになりたいだけなんだよ!」
「では、あなたにとって幸せって何ですか?」亮子が再び問うと、山下は「幸せは…幸せだ」と曖昧に答える。
「本当は何が幸せかわかってないんじゃないですか?自分にとっての幸せや豊かさがわからなかったら、どうやって生きていくのかなんて、決められないんじゃないいですか?」と問いかける亮子。
そして亮子は少しの間を置いて、静かに涙を流しながら最後の問いを投げかけた。「一体、何のために生きているんですか?」
その言葉に、誰も声を出せなかった。
後日、亮子は自宅の屋根が壊れたのは、NASAからの宇宙ゴミが原因だという奇妙な案件受けた。「行ってきます」と言って事務所を出ると、杉浦が後を追ってきた。
「どこに行くの?なんでついてくるの?」亮子が不思議そうに尋ねる。
杉浦は肩をすくめ、「神南先生にとっての幸せって何?」と問い返す。
亮子は少し笑うと、答えずに走り出した。杉浦はその後を追い、2人の背中に静かな朝の陽が差していた。
【モンスター】最終回のまとめと感想
親子で共闘して裁判を和解に持ち込み、被害者は賠償金を手にすることができたという話でした。
昔と違って昨今は企業も風評被害を恐れ、以前よりは謝罪や賠償もするようになった気がします。ですが、企業に対する損害賠償請求は今でも難しい案件なのだろうと思います。
粒来が長い年月をかけてデータを取り、娘の亮子が諦めずに小さなことを積み重ねていった結果、賠償金を手にすることができました。諦めない心と日々の継続が実を結んだ形となります。
そして最後に亮子は全方位へ向けて、疑問を投げかけます。何も考えずに生きている村人、従業員を洗脳して危険な仕事をさせるサカミクリーンの社長、利益を優先して毒を垂れ流す帝東電機。そんな彼らに苦言を呈しました。
そういう部分が説教臭くて嫌だという人もいるでしょうが、亮子の言葉は新たな気付きを与えてくれました。
自らの頭で大局的に考え、すぐに行動に移せる人が結果的に“幸せ”をつかめるのだと。面白いドラマでした。