【ライオンの隠れ家】8話のネタバレと感想をまとめています。
愛生が釈放されて洸人たちのいるペンションにやってくる。ようやくライオンと再会を果たした愛生だが、洸人は姉のやり方に対して不満だらけだった。すると翌日、明日ここを出て行くと愛生は言い出し……。
【ライオンの隠れ家】8話のあらすじ
橘愛生(尾野真千子)が釈放され、夫の祥吾(向井理)は警察署で待っていた。だが、高田快児(柿澤勇人)が裏口から愛生を逃がし、待っていた柚留木(岡山天音)の車で息子の愁人(佐藤大空)のいるペンションを目指す。
ようやく再会した親子だが、小森洸人(柳楽優弥)は姉に対して今まで抱えていた不満をぶちまける。それを黙って聞いていた愛生は、翌日、ここを明日出て行くと言い出し……。
←7話|9話→
【ライオンの隠れ家】8話のネタバレ要約
釈放された愛生は高田の手引きで、祥吾に見つからないよう表に出て、柚留木の車で港まで送り届けてもらう。
ペンションでようやく再会した母子だが、洸人の今までの鬱憤が噴出してしまう。翌日、愛生はここを出て行くといい、洸人は混乱する。
天音は亀ヶ谷議員とたちばな都市建設が、裏で繋がっていると楓に伝える。楓は洸人たちにしばらくそこにいるよう電話した。
洸人がペンションに戻ると部屋は荒らされ、ライオンと愛生の姿は消えていた。
【ライオンの隠れ家】8話の詳細なネタバレ
再会
工藤楓(桜井ユキ)は面会室に入り、橘愛生(尾野真千子)と向かい合った。ガラス越しの対面に少し緊張した表情を浮かべながら、口を開く。
「伝言を預かっています。『こちらは変わらず三人で元気でやっています』と」楓の言葉に愛生は微かに目を伏せた。「それと、釈放後のことについてですが…どうされたいのか、少しお話を伺えますか?」
一方、橘祥吾(向井理)のもとに一本の連絡が入った。愛生が起訴猶予となり、明日釈放されるという知らせだった。「迎えに行ってくる」と兄の春一(黒田大輔)に話す祥吾。しかし兄は怪訝そうな表情を浮かべた。
「愁人、本当に生きているのか?」問い詰める兄に、祥吾は答える。「愛生の弟のところにいるはずです」だが兄はさらに追及を重ねた。「愛生さんには身寄りがなかったんじゃないのか?それに…愛生さんは嘘が多い。だから結婚して本当に大丈夫なのかと思ったんだよ」その冷ややかな言葉に、祥吾は眉をひそめた。
「これ以上、会社の評判を悪くするなよ」兄の忠告が響く中、祥吾の表情は曇ったままだった。
その頃、ペンションでは雷鳴が轟き、恐怖に震えるライオン(佐藤大空)と美路人(坂東龍汰)が寄り添っていた。雨音が激しさを増す中、小森洸人(柳楽優弥)のスマホに楓からの連絡が入る。
翌日、愛生は釈放された。迎えに来て待ち構えていた祥吾。しかし、愛生は高田快児(柿澤勇人)の手引で裏口からひっそりと出された。その事実を知らない祥吾は「逃げた…!」と怒りに震え、樺島(後藤剛範)に電話をかけて探すよう指示を出した。
喫茶店では、楓が高田と佐伯誠(谷恭輔)と落ち合っていた。高田は疲れた表情で溜息をつき、「彼女がDVを訴えない限り、我々にできることはほとんどない」と愚痴をこぼした。
一方、柚留木(岡山天音)の車に乗る愛生。窓の外を見つめながら、どこか遠い目をしていた。「少し時間をもらえますか」柚留木が静かに話し始める。「偽装死というわけにはいきませんが、祥吾さんから逃れるために偽装戸籍を用意します。これが最後のチャンスだと思ってください」愛生は困惑した表情を浮かべながらも頷き、言う通りにするしかないと決心した。
その頃、洸人はフェリー乗り場で待っていた。雨上がりの空気が漂う中、遠くから見覚えのある姿が近づいてきた。「姉さん…」愛生が姿を現したのだ。
二人は港で自転車を借り、二人乗りで進んだ。洸人の胸には聞きたいことも、言いたいことも山ほどあった。しかし、愛生という名の大きな渦に飲み込まれ、言葉を見失ってしまう。漂う沈黙の中、二人の影だけがゆっくりと進んでいった。
姉の存在
洸人と愛生は商店に立ち寄り、食材を買い揃えていた。狭い店内を歩きながら、洸人は複雑な感情を抱えていたが、どこか姉との日常を取り戻したような気分にもなっていた。買い物袋を手に戻る道すがら、愛生はふと立ち止まり、小さく呟いた。「次に会うときは新しい名前でって決めてたのに…いいのかな」
その言葉に洸人は苛立ちを抑えきれなかった。「ライオンには関係ないですよ。あの子、ずっとあなたのことを待ってたんですから」静かだが、どこか鋭い口調で返す洸人に、愛生は何も言い返せなかった。
その頃、ペンションではライオンが苛立ちを隠せず、美路人に八つ当たりをしていた。「どうして教えてくれないの!」と声を張り上げると、手に持っていたジェンガを美路人に投げつけた。驚いた美路人は萎縮し、声も出せなかった。
帰宅した洸人と愛生。玄関の様子に緊張感が漂う中、ライオンは家を飛び出してしまった。ペンションの外で、ライオンと愛生はついに再会する。ライオンの目に涙が浮かび、静かに「ママ…?」と声を漏らす。その瞬間、愛生は膝をつき、息子を抱きしめた。
一方、カフェでは祥吾が苛立ちながら樺島を待っていた。やってきた樺島は防犯カメラ映像を差し出し、そこに映る柚留木の車と、愛生の姿を指差した。「これが証拠です」その言葉に祥吾の眉間の皺が深くなった。
ペンションの中では、美路人がずっと怯えた様子を見せていた。子どもの頃、愛生に叱られた記憶が未だに彼の中で色濃く残っているのだ。だが、愛生が作ったから揚げを一口食べると、「美味しい…」とつぶやき、少しだけ緊張がほぐれた。
食事が終わると、愛生は美路人とライオンが描いた絵を見たいとリクエストした。美路人が絵を見せると、愛生は本当に嬉しそうに喜んだ。「僕のファンですか?」と冗談交じりに聞く美路人に、愛生は真剣な顔で「もちろんよ、ファンよ」と答えた。その言葉に美路人の顔が少しだけほころんだ。
時間が経つにつれ、美路人は次第に愛生を受け入れていく様子を見せた。洸人は「こんなに簡単に…」と心の中で驚きながらも、兄弟がまた少しずつ繋がりを取り戻していく光景に複雑な思いを抱いていた。
不満爆発
愛生はライオンを寝かしつけた後、静かに部屋を出た。その背中を見ていた洸人は、声をかけるタイミングを見計らっていたが、ついに口を開いた。
「なんで無茶なことをしたの?ライオンと離れてまで、こんな普通じゃないやり方を選ぶなんて」声に抑えきれない苛立ちが滲んでいた。愛生は一瞬だけ目を伏せ、静かに答えた。「そうだね。でも…これしかないと思った」
愛生は過去を振り返るように話し始めた。祥吾が息子にまで手を上げ始めた日のこと。愁人の体に残る痛々しいあざを見て、家を出る決意を固めた日々。警察や児童相談所、シェルター、地域の相談窓口、どれも頭をよぎったが、どれを選んでも夫に行動を見透かされるような気がしてならなかった。
「社会に頼っている時間もないって思ったの」愛生の声は震えていた。「SNSで情報を集めて、そこで知ったのが柚留木さんのサイトだった。お金も必要だったし、目立たないために愁人を洸人たちに預けるしかないと思った。愁人と二人で、新しい人生を生き直せるにはこれしかないって、本気でそう信じてた」
洸人は静かに、しかし怒りを滲ませながら反論した。「だとしても、ライオンは見ず知らずの人の家に預けられて、母親のことも話せず、母親が死んだと思った日には熱まで出して不安に耐えた。やっと現れたと思ったら、目の前で警察に捕まる姿を見せられて、母親がまた消えたんだよ」
言葉を詰まらせながらも続ける。「そもそも勝手に家を出ていったのは、あなたのほうでしょ。こっちは大変だったんだ。両親がいなくなって、美路人が不安定になって、生活を続けていくのがやっとで、何とか築いた平穏があった。それなのに、またあなたの勝手に振り回されて…やっぱり思うんだ。他にもまだ選択肢はあっただろうって」
愛生は洸人の言葉を黙って聞いていた。その顔には複雑な感情が浮かび上がっていたが、何も言わない。「ごめん、大変な状況だったことは分かってるけどさ…」洸人は一応謝罪の言葉を口にすると、立ち上がって部屋を去った。
その頃、市役所では牧村美央(齋藤飛鳥)と貞本洋太(岡崎体育)が話していた。「最近、小森のお姉さんのことがニュースで取り上げられなくなったよな」貞本が話を振ると、美央はうなずいた。
「実は、最近小森から連絡があったんだ」貞本は続けた。「もうちょっとペンションにいさせてくれってさ」その言葉に、美央は少し驚きながらも安堵した。
最後の鬼ごっこ
翌朝、姉に「ちょっといい?」と呼ばれ、洸人は外に出た。冷たい朝の空気が二人の間に広がる中、愛生は真剣な表情で切り出した。
「明日、愁人と二人でここを出ようと思ってる」その言葉に洸人は一瞬耳を疑った。「柚留木さんから、明日の昼発のフェリーに乗るよう言われたの」
「短い間だったけど、ここに呼んでくれてありがとう」愛生がそう言うと、洸人の胸に混乱が押し寄せた。「ちょっと待って…何の話?」
愛生は静かに続けた。「洸人と美路人にこれ以上迷惑かけたくないの。もう私の勝手で振り回される必要ない。洸人と美路人は家に帰って、自由になっていいんだから」その言葉に、洸人は返す言葉を失った。
「急にそんなこと言われても…」洸人が困惑していると、美路人がやってきた。「明日、家に帰りますか?」その問いに愛生は少し微笑みながら答えた。「帰れるよ。でも…愁人は一緒に帰らないの」
愛生の言葉に、美路人は驚いた表情を浮かべる。「ライオンと僕たちが一緒に暮らすのは、今日で終わり…?」その一言が彼の中の全てを崩壊させた。
「それが勝手なんだよ!」洸人が声を荒げると、愛生も必死に言い返した。「これが最後のチャンスなの!早くあの子に、安心できる生活をさせてあげたい。私はまだ諦められないの」その言葉に、洸人は何も返せなかった。
「ライオンには私から伝えるから、まだあの子には言わないで。お願い…」愛生が頼むようにそう言うと、洸人は静かにうなずいた。
その後、ドリルを終えたライオンが「外で遊びたい」と言い出した。美路人が「僕が一緒に遊ぶ」と志願すると、洸人は「今日は特別だ」と言って3人で鬼ごっこをすることにした。
ペンションの庭に響く笑い声。美路人が鬼になり、ライオンと洸人が逃げ回る。瞬間瞬間の喜びが心を満たす一方で、洸人は胸の奥でその日々が長く続かないことを痛感していた。
太陽が少しずつ傾いていく中で、彼らはただ、今この瞬間の幸せを噛み締めていた。
ライオンとの思い出
楓はスナックかすみでグラスを傾けていた。その場には高田と佐伯もいて、どうやら東京のお偉いさんに怒られたばかりらしい。酔いが回った二人はすっかり気を取り直したのか、上半身裸になって「ツッパリハイスクールロックンロール」を歌い出した。
「懲りないねぇ…」と呆れながらも、楓はその様子を写真に収めようとスマホを構えた。すると、突然天音悠真(尾崎匠海)から電話がかかってきた。亀ヶ谷議員とたちばな都市建設が裏で繋がっている可能性があるという内容だったが、スナックのカラオケのせいで肝心の話がよく聞こえない。
「色々知っちゃってさ、なんか死亡フラグ立ってる気がするんだけど、無事そっちにたどり着けるかな」天音が不穏なことを口にした矢先、スナックの扉が開き、なんと天音が現れた。
「取材の成果、見てください」天音は胸を張って資料を広げると、高田たちにも内容を明かした。楓は彼の奮闘を見て「よくやった」と微笑みながら褒めた。
その夜、ペンションの庭では焚き火を囲んで愛生が静かに話していた。「やっぱり…二人に預けてよかったって思う」愛生は炎の揺らぎを見つめながら言葉を続けた。「お母さんの言葉、信じてよかった。ライオンを見ててくれて、本当にありがとう」
洸人は「昨日あんなふうに言ったけど、大変なことばかりじゃなかったよ。なんていうか、景色が広がった気がする。ライオンが来てから」と静かに語った。
その言葉を受けて、美路人が突然口を開いた。ライオンが来てからの出来事を語り始めた。
「9月5日、ウミネコを見た日にライオンが来ました。9月7日、浦尾公園でライオンが迷子になりました。夕やけ公園のブランコにいました。9月14日、あさがお動物園でみんなの動物アート展があって、ライブペイントをしました。9月16日、病気のライオンの看病をしました…」
美路人の正確すぎる記憶に洸人は苦笑し、「もういいから」と優しく話を止めた。
焚き火の炭がくすぶり、静けさが戻る。洸人はその炎を見つめながら考えていた。ライオンが来るまでは、美路人と二人で平穏に暮らすことしか頭になかった。その静かな日常が揺さぶられたことで、今まで見えなかったものが見えてきた。炭の中でわずかに光る火種のように、洸人の心にも新たな感情が芽生えているようだった。
譲れない選択
翌朝、ライオンは美路人に向かって、「僕ね、名前が二つあるんだよ」とライオンと愁人という名前について話し始めた。
愛生は愁人の名前を洸人と美路人からとって、同じ“人”という文字を入れたという。「洸人と美路人っていう名前はね、人と人のつながりを広く持てるようにって、お母さんが名付けてくれたんだよ」その言葉に洸人はじっと耳を傾けた。「そんな大事な名前…」洸人の心には、その言葉が深く染み入っていった。
その日の午後、洸人は愛生を外に誘い、静かに問いかけた。「本当にこれしか方法はないの?名前を変えて生きていくしかないの?」
愛生が答える前に洸人は続けた。「昨日、自分で言ってて気づいたんだ。僕もずっと他に選択肢がないと思い込んで生きてきた。でも、ライオンが来て変わった。ライオンのおかげで、僕も変わったんだ。だから、そのライオンの大事な名前が亡くなるなんて、どうしても納得できない」
洸人の声はだんだんと熱を帯びていく。「だって、おかしいじゃん。ありのままで生きられないなんて。間違ってるよ。それに、あなただって前と状況が違う。すべてを知った上で、助けてくれる人が今はたくさんいる。だから、僕が探すよ。あなたたちが橘祥吾から逃げなくていい方法を。絶対に見つけるから」
愛生は洸人をじっと見つめ、微笑んだ。「ありがとう。確かに洸人の言う通りかもしれない。でもね、もう決めたの。いろんな選択肢を考えたうえで、これを選ぶって決めたから」
洸人は困惑しながらも尋ねた。「どうして?ほかにも方法があるんじゃないの?」
愛生は一瞬ためらいながらも、静かに答えた。「一つだけ…夫のことで引っかかってることがあるの。祥吾は危険な人なのかもしれない。洸人が思っている以上にずっと。だから、これ以上私たちも、ほかの誰かも彼に関わらないほうがいい」
その言葉に洸人は眉をひそめた。「何それ?そんなこと聞いてないよ」
愛生は視線を逸らしながら、決心したように口を開いた。「しばらく二人きりにして。愁人にちゃんと話すから」
部屋の中では、愛生が愁人に向かい合い、「ごめんね…」と謝った。その言葉に愁人は小さな手を伸ばし、愛生の肩をそっと撫でて慰めた。
【ライオンの隠れ家】8話の結末
洸人たちが買い物に出かけている途中、楓から電話がかかってきた。洸人が電話に出ると、楓は緊迫した声で話し始めた。
「亀ヶ谷とたちばな都市建設の裏の繋がりが見えてきました。亀ヶ谷の周りでは、リニア関連事業に関わる人たちが何人も失踪しているんです。事件化されていませんが、その家族たちは、何の前触れもなく姿を消してるんです」
洸人は耳を疑った。「そんな…どういうこと?」
「唯一遺体が見つかっている秘書を調べたところ、彼女はこれらの失踪が亀ヶ谷とたちばな都市建設によるものだと疑って調査していました」楓の言葉に天音が割り込む。「恐らく、その調査がバレて殺されたんです」
楓は話を続けた。「亀ヶ谷と祥吾の周りで一人、特に怪しい人物がいます。今そいつを調べています」樺島のことだった。
楓の声がさらに低くなった。「橘祥吾がどれくらい深く関わっているのかはまだ分かりません。でも、私たちはここから祥吾を追い詰めるつもりです。それまで、小森さんたちはどうかそこから動かないで。もう少しだけ隠れていてください」
電話を切った後も、洸人の頭は混乱していた。「頭がついていかない…でも、これで風向きが変わるかもしれない…」
急いでペンションに戻ると、そこには異様な光景が広がっていた。部屋は無惨に荒らされ、物が散乱していた。そして、ライオンと愛生の姿がどこにも見当たらなかった。
洸人は愕然とし、その場に立ち尽くした。「なんで…こんなことに…」胸の奥で湧き上がる不安と焦りが、全身を突き刺すようだった。
←7話|9話→
【ライオンの隠れ家】8話のまとめと感想
ようやく再会した母子ですが、何者かに連れ去られたのか姿が消えていたという話でした。
家族というものはどういうものなのか、考えさせられる話です。洸人は姉に振り回されていることに苛立ちを覚えて不満をぶつけます。しかし、姉は母から家族なのだから頼ればいいといわれて、洸人を頼ったのです。
信頼している家族になぜ負担を強いるのかと思う反面、信頼している家族でなければそもそも負担させない。という二律背反なわけです。洸人だからライオンを任せたのだし、姉の子だから洸人も受け入れたわけです。
洸人が不満を言いたくなるのは確かに分かります。しかし、やっぱり家族はこういうものなのだろうなとも思います。こういう時にあまり詰めると結局、出て行ってしまいます。ほどほどにしておく必要があります。
リニアの利権絡みの話にやっぱりなるようで、楓たちがそれを追うようです。内容的にハッピーエンドを希望するドラマなので、くれぐれも愛生がライオンをかばって死ぬとか、実は愛生が虐待していたみたいな終わり方はやめてもらいたいものです。
←7話|9話→